あらすじ
一九五〇年,無実の罪で逮捕された蔡焜霖は,激しい拷問に遭い,自白を強要されると,政治犯として離島・緑島(ルビ:りょくとう)に送られる.強制労働に従事し,「再教育」を受ける長くつらい十年間,支えになったのは家族の手紙や,同じように収容された人びととの友情だった.白色テロの深い傷を描いた台湾の傑作歴史コミック,第二巻.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
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Posted by ブクログ
蔡焜霖の半生、白色テロ時代に投獄され、政治犯として十年の刑期をくらい、緑島の収容所に送られてから出獄するまで。
この辺りは映画「返校」でみた時代と同じだけど、この本の方が時代背景がわかりやすく説明されてるので、あの時の映画の話はこのことだったのか、と繋がるところが多かった。いつかみたいと思ってる映画「流麻溝十五号」もまさにこの緑島収容所のはなし。2016年の蔡英文政権後、「移行期正義」つまり独裁体制から民主制度に移行する過程において行われた人権侵害を糾弾し真実を明らかにする試みが進められていて、この「移行期正義」を語る台湾社会の中で、「返校」も「流麻溝十五号」も「台湾の少年」も作られている。
第二次世界大戦後、中国国民党政府が中華民国として台湾を回復したけど、その後、共産党との戦いに敗れて中国本土を失い、中国=中国共産党、台湾=中華民国になる。
中華民国政府は台湾で、アカのスパイや反乱分子を逮捕する、四十年の長きにわたる白色テロ時代がはじまる。
蔡焜霖は鎮役場で働いていたのに、高校時代に一時期読書会に入っていたせいで反乱分子として密告されて捕まり、収容所へ。
会ったこともない思想犯と共犯扱いにされ、やってもないことを自白させられて政治犯になる密告社会、恐ろしいし、誰が密告したか分からない疑心暗鬼の時代は人々の心が荒んだろうな…。
逆にそこで共産主義思想を知ることになる。
台北の保安所は、日本統治時代に東本願寺だった場所。作中に出てくる建築の感じが築地本願寺にそっくり…。
収容所で名前を呼ばれた人は連れてかれて銃殺される。鐘校長が呼ばれて連れてかれる時に、「幌馬車の歌」という日本語の歌を囚人たちが歌って見送る。このくだり、「悲情城市」でもあった気がする。
鐘校長のエピソードは創作ではなく、実際に伝わる有名な逸話みたい。
緑島の景色が美しくて、ゴーギャンの描くタヒチのよう。月桃やユリの花が咲き、珊瑚に囲まれた島は、沖縄や奄美大島を思わせる美しさに満ちてるけど、そこでの収容生活は過酷…。
しかしその中でも希望を失わない蔡焜霖は強かったなと思う。
「
だけど、時間の推移はぼくに身をもってエマーソンの言っていたことを感じさせてくれた。温室で育った「盆栽」は、生涯十分な日の光を浴びて温かく細やかな世話を受けることができるけど、終生鑑賞物であることから逃れられない。
だけど一旦何らかのアクシデント、例えばそれは壁が倒れたり、屋根が崩れたり、あるいは庭師の不注意なんかがあった場合、それは盆栽にとって一つの契機にもなり得るんだ。根を深く大地に張って大いに生い茂り、人々に幸福をもたらすことだってある。
ある人が病気になったり、障害を持ったり、あるいは愛する人との別れや死別を経験することは、その人に二度と立ち上がることのできないほど大きなダメージを与えてしまう。けれど、実際にはぼくたち自身の惰弱やある種の不幸を除けば、しばらく時間が経ってさえしまえば、そこに革命的な作用を
もたらすものなんだ。
幸福でのんびりとしたそれまでの囲いから抜け出して、生活のために奮闘しながら幼き日々に別れを告げて、より成熟して豊かな人生を創り出せるものなんだ。」
「君、振り返るんじゃないぞ!振り返っちゃダメだ」
十年経ったのち、家族の住む台北に引き取られる。ここで政治犯から距離取るために、引き取ってくれなかった親族もいたという他の囚人のエピソードが悲しい。
そして、出所後に、自分が捕まった一年後、父が自殺していたことを知るのだった…
緑島収容所で、「反共抗俄」の入れ墨を入れないかと言われて断るシーン。
「「孝経」には、「身体髪膚、之を父母に受く。敢て毀傷せざるは、孝の始めなり」とあり、我々は毎日中国の伝統美徳を称揚してるのに、これは孝行の道から外れてるのでは?」と断る。
この「身体髪膚、之を父母に受く。敢て毀傷せざるは、孝の始めなり」って台詞は、戦時中女学生だった祖母が学校で覚えたって言ってた。(私がピアス開けるって言うたびに、祖母はこの文言を引用して苦言を呈してたのが懐かしく思い出される…。祖母は蔡焜霖の姉くらいの年代のはず)
こういうのがパッと出てくるのは、戦後の国民党による教育というよりむしろ、戦時中の日本の教育とある程度繋がってるのかもと思った。孝経は儒教思想で、儒教を重んじるのは戦前の日本の教育でも中国でも共通してるので、どっちがどっちという問題ではないかも知れないけど。
Posted by ブクログ
第1巻で、簡単に読めたと書いてしまったけど、第2巻で、全く簡単に読める漫画ではない、と悟った…
無実の罪で10年も収容されるという、その過酷な日々を思うと心が砕かれそうになる。
歴史を知らないまま、海外の方、特に東アジアの方々と話すわけにはいかないな、と思う。
今の時代も、この時代とあまり変わらないのでは?と思う箇所もあり、暗い気持ちにもなる。
Posted by ブクログ
国民党のさまざまな、思想矯正施設、監獄を経験する。
火焼島、国民党が緑島と改名。美しい南の島。
ペラグラという病になる。栄養不足ビタミンBとタンパク質不足で太陽に当たりすぎるとこの病にぬり皮膚が痒くなる
中国共産党と戦い思想統制を行なっている国民党政権も、毛沢東、中共の、下放と同じ様なことをしていたのが興味深い。インテリ層、学生、教員、学者等が島流しされて、畑をしたり石割りをしたり豚を飼っていた。
監獄島に残る先輩からのアドバイス。振り返るな、振り返っちゃだめだ。
人生は続き、殺されてしまった仲間たちの分まで長く続いていくのだ。
Posted by ブクログ
第2巻は、無実の罪で逮捕された蔡焜霖が、激しい拷問によって自白を強要され、政治犯として緑島に送られ、そこで強制労働に従事させられ、「再教育」を受ける10年間が描かれる。全体に暗いトーンで描かれているが、時折入る見事なブルーが美しく印象的。
Posted by ブクログ
でたらめな白色テロによって長期間収容されたり殺されたり。国は違ってもやることやられることはそっくりだ。多様性を拒み平気で差別するくだらない人間にだけはなってはいけない。
Posted by ブクログ
台湾でこのようなことがあったのか。外省人と内省人の対立ということは聞いたことがあったが、十年にも及ぶ長期に無実の者をとらえていたなんて。漫画であるが、読むのが辛くなるような内容だった。
Posted by ブクログ
最初に三巻を読み、二巻目に入った。はからずしも、そろわずに読む順が逆になってしまったのだが、三巻目を読んでいたときに折に触れ白色テロという言葉が出てきた。何か不条理なものにまきこまれたのだな、ということは察した。だが、二巻を読んでわかったのは、どのような方向に社会が向かうとしても、一般の人の考え方がどうであれ、権力が移動すると抑圧はおこって、それが右であろうが、左であろうが、起きることはほとんど変わりがない。自由主義、資本主義社会が選択されたとしても起こっていたということにやはり、驚く。思想信条は外からみえない。しかも、相手が疑いがあると思えば無くてもあることになるのである。フランス革命や、人権宣言は、少数者の人権を守るための方策をこうじたけれど、日本ではそれは、戦争に負けたことによってもたらされた。つまり憲法である。実際を体験せずに人権を獲得した日本という国に不安を感じた。たぶん、ウクライナの戦争や、さまざまな亀裂は、権力のこういった用いられ方がなくならない限り繰り返されるのだろう。恐れは、混乱を増幅するだろうし、本当の意味での賢い選択をしないといつか後戻りができなくなる。そんな予感がした。
Posted by ブクログ
「ダニー・ボーイ」:歌詞には息子を戦場へ送る父親の心情が描かれていました タップダンス:1920年代のアメリカで生まれ、アイルランド移民とアフリカ黒人の民間舞踏が徐々に融合して生まれたダンススタイル。 りょくとう緑島(かしょうとう火焼島) 原始的なリズムとリズムは分かち難いもので 僕の自由と十年間の青春を奪った政府に感謝しないといけない?なんて馬鹿げてるんだ…。