【感想・ネタバレ】YABUNONAKAーヤブノナカーのレビュー

あらすじ

文芸業界の性、権力、暴力、愛。戦慄の長篇
性加害の告発が開けたパンドラの箱――

MeToo運動、マッチングアプリ、SNS……世界の急激な変化の中で溺れもがく人間たち。対立の果てに救いは訪れるのか?
「わかりあえないこと」のその先を描く、日本文学の最高到達点。

「変わりゆく世界を、共にサバイブしよう。」――金原ひとみ

文芸誌「叢雲(むらくも)」元編集長の木戸悠介、その息子で高校生の越山恵斗、編集部員の五松、五松が担当する小説家の長岡友梨奈、その恋人、別居中の夫、引きこもりの娘。ある女性がかつて木戸から性的搾取をされていたとネットで告発したことをきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の日常が絡みあい、うねり、予想もつかないクライマックスへ――。

性、権力、暴力、愛が渦巻く現代社会を描ききる、著者史上最長、圧巻の1000枚。
『蛇にピアス』から22年、金原ひとみの集大成にして最高傑作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

凄まじい小説体験で、本屋大賞は「イン・ザ・メガチャーチ」がとったけれど、
金原さんの書くものには気迫がある。迫ってくる。
正義とは何か? こんなふうに書ける人ほかにいない。
大好きな作家のひとり。

0
2026年09月14日

Posted by ブクログ

いやー、だいぶしんどかった。。というのが一言でまとめた感想。長岡友梨奈のシーンが特に息が詰まる感じがした。生きることがしんどそう。でも、自分のアンテナに引っかかる事に目を逸らす事なく、むしろ面倒な事に自ら突っ込んでいくその精神は尊敬する。しかし、自分は一哉に限りなく近い人種だと感じたし、それで幸せだと思っている。終始、とにかく息苦しいししんどかった

0
2026年09月12日

Posted by ブクログ

自分が一生かかっても分かり合えないであろう人の気持ちを多少なりとも理解できたような気がする。
この作者は人生何周かしてるんじゃないかと思わせるほど、どうしてこんなにも人の気持ちが分かるのだろうかと、ただただ脱帽した。
この作品には人間に対する厳しさと優しさを感じた。

0
2026年09月07日

Posted by ブクログ

481ページの長岡さんに助けられていたに鳥肌立つ。
腐っても文学の世界に浸かったプロフェッショナルだからこそわかる伏線回収。

大型の人は

おじさんの苦しみを書いていた。

息子に送ったメッセージは届かなくていい。
送ったことに意味があった

腹を空かせた猛者たち
やエッセイを読んできたから長岡さんは金原ひとみの投影で、娘との関係も度々出てきたものだった。

五松や、山横は主観の文が怖かった。
視点を変えると立体的に見えて面白い。

しごできの乃木さん
乃木さんの部分が1番読んでて気持ちよかった。

長岡口調、文章は読んでて長くて辛かった。

0
2026年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

金原ひとみがインタビューで怒りの矛先と熱量と強度に共感できる人と出会ったときのうれしさ?みたいなことを言ってて、それだ〜〜〜となった
読もうと思うには気負いするようなテーマと強烈な装丁と厚みで尻込みしていたけど本当に素晴らしかった。圧巻だった。
わたしは完全に伽耶に割と共感することが多かったが、友梨奈のようや怒りを持つこともあるし一哉のように保身、結局身の回りの人間が幸せならいいと思ってしまうこともあるし、のように仕事も惰性でこなすようなところがあるから少しずつわかることが多い。だけはマジでわからんけどな笑
恵斗が友梨奈に共感するのを危ういなと思っている自分がいて、怒りや思想への共感ってなんなんだろうと思ったり。共感って感情にしか発生しないんだっけ?
読み終わったときおなかの中がぐわぁぁぁ〜って沸々と熱くなるのを感じた。こんなのはじめてだった。

0
2026年08月30日

Posted by ブクログ

この変化の激しい時代において、読まなければいけないという義務感すら感じた一冊だった。
年齢、性別を超えて同じものを見ているのに受け取り方が違っていて、それぞれに共感できる部分があるくらい描き方が細かかった。過激な正義感を持つ人物や時代の波に飲まれて静かな自殺をする人物、それらを支えようとする人貶めようとする人々色々な人がいて読みやすかった。それぞれの視点が上手く描かれていて、読み応えもありこの先も定期的に読みたいと思った。

0
2026年08月21日

Posted by ブクログ

ニュースなどを見るにつけ、実社会でも性欲がかなりのドライバーになっている人(で、制御に失敗する人)がなんと多いことか。
その性欲基準、性暴力ありきの世界で、女が危険な目に遭わずにすむよう肩身狭く生きているのは、今も昔も大して変わらないように思う。本当に腹立たしいし、悔しいが。
「日本文学の最高到達点」とは思わないが、読ませる推進力がすさまじかった。
誰に自分を重ねて読むかは、人それぞれ。
2つの家庭の問題について、到達点からの振り返りが断片的だったように思うので、もう少し情報がほしいなとも思ったが、語り手の視点から考えると、それぞれのパートナーの深い感情は「藪の中」ということなのだろう。

このあと、『イン・ザ・メガチャーチ』と、立て続けに、ある程度の社会的地位を得て稼ぎはあるが人生にしくじった自覚のある孤独な中年男が出てくる小説を読んだ。いずれも少し下の世代の作家による、残念な中年男たちの描写は、まあまあ容赦ない。
中年は人生の成果が出揃ってくる時期なので、お金以外何も残っていない自覚がある人が「そういうあんただから、そうなってるんだよ」と突きつけられて、ゾッとする話にゾッとする。中年たちは、ただただ凍りつく以外に、しなやかに、血の通った人生を取り戻していくことができるのだろうか。

0
2026年08月19日

Posted by ブクログ

どれにも誰にも1部分ずつ、ちょこっとずつ同化している自分を認識して、改めて「個」を突きつけられた気がした。
読んだ後のこの気持ちを、どうにかして自分の中で消化したくなる本。
できる自信は50:50ぐらいだけど、、、
色々な人がどんな解釈するのか、かなり興味をそそられる。

0
2026年08月15日

Posted by ブクログ

性加害をテーマにした百科事典のような一冊。この問題について考えられるありとあらゆる視点が全て詰め込まれている。そこに一切の説教臭さ、説明過多はなく、強い引力のある文章の連続に酔う。

0
2026年08月13日

Posted by ブクログ

言語のシャワーを浴びるような感覚。溌剌として、湧き出る勢いに圧倒された。
登場人物の視点が切り替わり、主観が乱立する世界。男性も女性も加害性をもっている。ジェンダー意識の変容途中かつ晒し合い文化の時代を鮮やかに描いていて、読んでいてスカッとした。こういうの大好き。

0
2026年07月31日

Posted by ブクログ

面白かった。けれど、他人事でなさすぎて抉られるから二度と読みたくない。
尊厳をふみにじられた経験は当たり前にあって、けれど若い女性なら誰しもが経験することだからと、傷付かないために受け流して生きてきたけれど、それっておかしいよなと気付かされてしまう。気付いてしまうと気持ち悪さと過去を変えられない事実に発狂したくなる。
同時に自分の加害性も自覚した。
こういう小説が生まれてくれたことに感謝する。

0
2026年09月19日

Posted by ブクログ

セクハラスキャンダルとか加害者の意図全く理解できず糾弾されるべき!と思ってたけど、そのサイドだとそんな見方になってるんやとか正義すぎてしんどい人がいるのもわかるし事なかれ主義になっちゃうのもわかるし、でも考えると憂鬱になってくる社会の問題について向き合い続けるのもしんどいし大勢が諦めちゃうから社会は動かないのかなと思ったりもするし自分の中にはこの物語にでてくるひとの気持ちがちょっとずつ入ってるなて思った

0
2026年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どの女の子も、男という存在に直接的か比喩的かはさておき、性的暴力を受けたことがあると思う。
過去の馬鹿にされるように、恋人に演技をしていた自分を思い出すと、いかに自分を蔑ろにしていたか。
友梨奈の怒りがリアルなぐらいにわかって、ひとりの女として、自身も友梨奈に盲目的に連帯していた。

0
2026年09月14日

Posted by ブクログ

登場人物への嫌悪・哀れみ・同情・共感と色んな感情になった。どんどん面白くなって途中から一気読み

綺麗で高度な文章と、他者の洞察力と、天才だなと思った

0
2026年09月11日

Posted by ブクログ

まさにヤブの中って感じで、一つの事件をきっかけにそれに関わる人たち、それぞれの主観を順に描いている。読み進めるうちに、同じ出来事を共感しているはずなのに、まったく違う見解を持っていることがあり、現実もこうなのかと愕然とした。
特に男女差で考えていることと感じていることの温度差がすごい。
これを読んでると本音と建前も出てきて、橋山の告発したわけも結局は自己保身、自己弁明じゃないかと感じた。
長岡がだんだん狂気を帯びて、自己破壊的になっていったのもなんとなく理解できるし、五松の頭ではわかっているつもりなのに、結局堕ちるとこまで堕ちないと止まらない、むしろ終わらないという悲惨さもすごかった。
それぞれの感情に没入できて、まさに藪の中状態だった。
最後にリコのエピソードでなんか救われた。これ木戸悠介でこのまま終わったら真っ暗だなと思いながら読んでいた。伽耶がどうなったのかが気になったけど、結局自分で乗り越えていくしかないよね。

0
2026年09月10日

Posted by ブクログ

おそらく“me,too”に触発されて書かれた小説なのだろう。芥川龍之介の「藪の中」のように登場人物が複数人登場して、主に女性に対する性加害について、いろんな立場から語られていく。赤裸々な性描写もあり、予想しない展開となって、どきどきしながら最後まで読ませる小説だ。借りるのに半年以上待った甲斐があった。

0
2026年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

出版社の性加害問題。女子大生の頃、作家志望美津は編集長木戸に、立場を利用して性的な関係を強要されていたと言う。
勇気を出して過去の苦しい経験を告発するが…

年齢、立場、考え方が違う様々な人々の視点で性加害問題を掘り下げていく。聞いていくとそれぞれに理由、事情があり納得させられてしまう。
告発者の意見を聞いていると確かに木戸は加害者だが、木戸の独白を聞くとこちらにはこちらの事情があり、単に搾取だけで行ったのでは無く、止むない事情のゆえボタンの掛け違いもあったのでは?と思う。

真実は何なのか?文字通り「薮の中」だ。

セクハラを目の当たりにした時、どうするのが正解なんだろうか。会社組織や人間関係において、事を荒立てたくない。だからと言って長岡友梨奈ほどにグイグイ行くのも果たしてどうなのか。
長岡友梨奈には長岡友梨奈の正義があり、たしかに正論なのだが、他の意見を聞く耳を持たず、相手を論破してしまうのが、見ててしんどい。娘伽耶をズタズタに傷つけても治まらない彼女の言動には恐怖感すら抱く。娘よりも大事な思想って何だ?身近な人すら幸せにできないのに、社会を良くする理想を訴えるなんて…。病んでいる。

正しさとは何か。正しくても、人を追い詰めても良いのか。それが自分を追い詰めていく事に気づかずに。
告発者も告発された者も誰も報われない。
ラスト、死によってさも理想のように長岡友梨奈が祭り上げられていく流れには危うさを感じる。本当の彼女、真実とは違うのに、こうして勝手に論調が作りあげられていくのか。恐ろしい。

こんなにも難しいテーマを芥川龍之介の「藪の中」の手法でもって、掘り下げている金原ひとみさんは、凄い作家さんだと改めて認識した。
片方の言い分だけでなく、両方の意見を聞き、総合的に判断する。多くの方の事情や状況を理解し、考えを聞く事が大事である、と学ばせていただいた。

0
2026年08月23日

Posted by ブクログ

章によって語り手が変わる群像劇。「藪の中」というタイトルのとおり、現実でも我々が経験するように、語り手によってとある物事の捉え方が悉く異なることがよくわかる。この作品は、「ハラスメントの告発」にその物事をおいているから、さらに捉え方のギャップがよく目立つ。性描写はここまで描く必要があるのかという気はして読んでいて気が滅入ったのは確か。ただ、それぞれの語り手が捉えている現実はよく考えられており「いやいや考えすぎでしょもっと気楽に生きたらいいじゃん」と思うものの、そのような姿勢の読者にさえ牙が向かれるという。広く言えばこの世界との向き合い方を考えさせられる作品で、もう少し狭く言えば、物事の捉え方が日々接する相手と違うことを実感させられる作品で楽しい。

0
2026年08月10日

Posted by ブクログ

性加害の告発という重いテーマに尻込みしてたけど、章ごとに語り手が変わって人のSNSを見てるような感覚でスルスル読めた。
あらゆるハラスメントや保守派は許さないめためたに叩きのめしてやる!という正義感の塊な女性作家に一番共感した。彼女の章を読んでいると、あるテーマに対して全然分かり合えない時の絶望感、同じ熱量で怒ってくれる人を見つけた時の喜びを分かち合えた感覚があってカタルシスを感じた。

一方で、彼女の語りだけ読んでるとめちゃくちゃ共感できる!てなってたのに、また違う人の視点から読むとあっそういう感じ??となったり、当たり前だけど人によって見えているものが違いすぎて正に真実は藪の中だった。
昔の性加害を告発される元編集長や女性蔑視編集者とか、普段なら絶対分かり合えないって思うような奴もその人の目線から語られるとなんとなく共感や同情できるところもあって、一思いに切り捨てることだけが正義ではないと感じた。最近のSNSを見てると本当に嫌になることが多いけど、こうやってどんな他人にも共感の余地はあるのかもしれないと思えたことは救いになるかも。

0
2026年08月08日

Posted by ブクログ

濃かった。
筆者の叫びというか、なんというか。
圧倒的な言葉の数。なんか読んでいてしんどくなってきたのは確か。
でも、今の日本の確かな一面なのだろうなあ。深くて怖いお話でした。

0
2026年08月06日

Posted by ブクログ

ずっしり重たかった。
加害者は誰で被害者は誰なのか、みたいな、推理小説的な善悪の判断は読者に求められていないと感じた。
ミーツザ・ワールドくらいの重い独白が、悪を制裁しようとする恐ろしいほどの強い正義が、まるでこちらをわざと疲れさせるかのように畳みかけてきて、重たい。
朝井リョウのインザメガチャーチと同時に読んでいたので、似たような重さはありつつも、朝井リョウの方はとにかく現実にありそうな、親近感のある怖さ、金原ひとみの方は、リアルからは飛んでいるけれど、その飛躍が怖い。

0
2026年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なるほど、まさに「藪の中」ですね。同じ出来事でも、語り手が変わればまったく異なる姿を示します。しかし、芥川の『藪の中』と異なるのは、「何が起こったか(真実)」ではなく、「それをどう評するか」が問われている点です。本作で扱われる出来事も、語り手ごとに評価が大きく異なっています。

特筆すべきは、過去の出来事が現在の価値観・基準で裁かれている点です。橋山美津に告発された木戸悠介の性加害は約10年前の出来事であり、橋山自身も当時は「被害者である」という意識を持っていなかったと述べています。自分が搾取されたという概念は、その後の10年間で形成されたものだといえます。

法の世界では「法の不遡及」により事後法で裁かれることは原則ありませんが、SNSの世界ではこの原則は通用しません。木戸悠介はSNS上で断罪され、すべてを失ってしまいます。非常に容赦がない世界です。

しかし、作中で長岡友梨奈が指摘するように、価値観や基準は常にアップデートされており、そのサイクルもどんどん短くなっています。現在の視点だけで誰が悪か、誰が加害者かと決めつける行為は、どこか空虚なのかもしれません。

とは言え、年齢層が近いからか、僕は木戸祐介には同情的。息子の越山恵斗は苦手です。そして、よく考えるとリコもとっても恐い気が、、、以下は、気になった登場人物についての考察です。

長岡友梨奈
間違ったものを徹底的に排除しようとする正義感は苛烈で、目についた者を次々と刺していく狂人のようにも見えます。当初は「言葉」を武器にしていましたが、後半では「暴力」そのものを武器とするようになります。敵と見なした相手には徹底的に不寛容である一方、木戸悠介への追及だけはどこか生ぬるい印象があります。それは長岡と横山一哉の関係が影響しているのかもしれません。男女が入れ替われば、長岡と一哉の関係も木戸と橋山の関係と同様、完全に黒だといえるでしょう。長岡友梨奈の正義は、個人の思惑が混入したダブルスタンダードな正義なのではないかと感じました。

木戸は長岡を「この女は世界平和を望みながら世界が滅亡する小説を嬉々として執筆する女だ」と、ある意味高く評価していますが、実際の長岡の言動を見る限り、それは木戸の買い被りであったように思えます。木戸は長岡に「俗世を俯瞰する冷徹な表現者」であってほしいと願っていましたが、現実の彼女はもっと泥臭く、狭量で、感情的でした。「言葉」で世界を変えるはずの作家が「暴力」を行使し始めた時点で、その歪みは限界に達していたように思います。

木戸悠介
現在の価値観で見ても、彼はそこまで悪人とは思えません。アップデートが追いついていないものの、そのことに自覚的である分、五松武夫よりも善良だといえるかもしれません。自らが裁かれる中で、長岡だけは「本物の表現者」であってほしいと願う文学的ロマンを捨てきれない姿は、哀れみすら誘います。

加害者と断じられる一方で、木戸は離婚した妻や妹夫婦に金銭的に搾取され続ける被害者でもあります。しかし寄生者たちは、木戸が性加害者と告発された途端、容赦なく非難し切り捨てます。「過去の恩恵」を簡単に忘れる妹夫婦、「薄っぺらな正義感」の息子。木戸は家族に恵まれず、やはり哀れだと感じます。

五松武夫
徹底した小市民であり、性欲と利己主義だけで動いています。スケールの小ささゆえに悪人というより「ただの愚者」。哀れというより滑稽な存在です。

越山恵斗
自分の感性を根拠なく信じられるのは若者の特権ですが、底の浅い正義感と処罰意識で行動しており、父親である木戸への言動は非常に冷酷です。現在はいかにも正義側の越山恵斗も、10年後には断罪される側に立たされている可能性があります。

長岡や木戸には人間的な弱みや痛みが見えます。長岡の「狂った思想」、木戸の「古いロマン」、妹夫婦の「世俗的な欲」も、良くも悪くも人間的です。しかし越山恵斗だけは、中身がスカスカのモンスターのように見えます。SNS世代のクリーチャーといえる存在です。

リコ
エピローグともいえる短い最終章の語り手であるリコは、つかみどころのない人物です。ラストの「自分を責めないで塞がないで口を閉じないでもっと自分を信じて立ち上がらなくてもいいでも崩れ落ちないで」という言葉は、現代を生きる人への応援歌のようにも聞こえます。しかし、その直前でリコが長岡と同じ「無敵メンタル」を自認していることを踏まえると、どこかモヤモヤします。「無敵メンタル」から発されるエールは、一種の「正義の押し付け」にも見えます。長岡友梨奈という怪物が死んだあと、リコという「次の怪物」が誕生したのかもしれません。

0
2026年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全体的に各登場人物の頭の中を覗いて回っているような感じで、読み進めるのになかなか疲れる
モノローグが長いというかほぼモノローグだけど、普段考えていることや感じていることや流していることや眼を逸らしていること等が丁寧に言語化されていて、共感できる言葉もできない言葉も耳に痛い言葉もあるけど、なるほどなあと思いながら読み進めた

引きこもりあがりの娘への友梨奈のガン詰めには引いたけど、自分自身でもどうしようもなく気付いてしまったからには目をそらすこともできず最終的には何も変えられなかったという無力感から諦念に至り無敵の人になるというのも、極端というか何というか、、、不器用な人なのかなあ

ギスギスしていて息苦しくて目をそらしたくなるエピソードも多い中で唯一ほっこりしたのは、友梨奈と一哉と桜の三人がイタ飯屋でオナラネタで爆笑しているシーン
ほんと、「悪や戦争のことなど忘れて、オナラ話で笑っている内に人生が終わってしまったらいいのに」

0
2026年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

YouTubeチャンネル TBS CROSS DIGで
文芸評論家の三宅香帆さんと、MC・竹下隆一郎さんがオススメされており興味をもち読みました
金原ひとみさんの作品を読むのは今作がはじめてです

まるでノンフィクションの物語を読んでいるかのような綿密なディティールや、登場人物の思考と言葉の鋭さに消耗してしまい、序盤で読むのを諦めそうになりました笑
が、読みきることができました
中盤以降はさくさくと興味深く読み進められました

加害者と被害者
希望と絶望
連帯と孤立
抑圧と解放
同じ現象も立場の違いでまるで見え方がちがうこと、上にあげた言葉の意味としては対局にあるはずのことが、実際には表裏一体であり少しの歪みで簡単に裏返ってしまう
真実はどこにあるのか分からないまま結末を迎え、藪の中とはこのことなのかと
最終章リコちゃんの無敵メンタル思考に、希望を抱くとともに危うさも感じてしまった
その健全な心が汚され折れることのないようにと祈りに近い気持ちも沸いてきました

個人的には五松の暴力的な思想や欲求、タガが外れた際の行動がいちばん怖かったです

わかりあえなさが渦巻く世界で、どう考え行動するか
何を守るのか
歪な思想に知らぬまに飲み込まれていないのか
答えがでそうにもないし、でるかも分からないけれど、考えつづけてしまっています

0
2026年07月22日

Posted by ブクログ

2026/6/14
ボリュームもすごいし、内容もとても重い。
それぞれの登場人物の心理がとても細やかに表現されていて、共感したり、嫌悪を感じたりして読んだ。
特に、悪を絶対に許さない作家の友梨奈の、読点を打たずに一気にまくしたてる文章には、勢いが凄すぎて笑ってしまった。

私は友梨奈の彼氏の一哉が、一番自分の考え方に近いと感じたけれど、世のおじさんたちは木戸の章に共感する人が多かったんじゃないかと思う。
全くそんなつもりはないのにハラスメントだ、搾取だ、とある日言われてしまう恐怖。

誰が悪くて、何がダメなのか…
タイトル通り、答えは藪の中だ。

0
2026年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想むずい。
文体が回りくどくて読むのしんどかった。
登場人物たちが代わる代わる一人称で語られていくけど、どれもちょっとずつ分かるなって思ったのと、正義すぎてしんどい人とか、結局諦めることしかできないよねっていう虚無感とか、理解はできるよ

0
2026年09月20日

Posted by ブクログ

誹謗中傷の当事者たちにおける激しい思想が特濃で描かれていた。読んでいて気持ち重くなるが、色々と考えさせられることもたくさんある。

ただ、この作品に出てくる登場人物はみんなセリフが長すぎる。もっと簡潔に話してくれれば、100ページくらい削っても不足なく同じストーリーになりそう。

0
2026年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私は女だが、友梨奈の正論がしんどく感じた。自分が正しいと感じる事以外は全て排除されれば良いという感じにあまり共感できなかったから。時代が変わり物の考え方が変わった時に、もしかしたら友梨奈自身が加害者となりうる未来が来るかもしれないが(友梨奈が生きていればだが)、もしそうなった時にこの人は今まで自分がしてきたように自分を同じ熱量で裁けるんだろうか。自分は常に裁く側という無自覚な前提、立場であると勘違いしていないだろうか。「悪を断つ私」は常に免責されている、という立ち位置に見える。考え方が極端すぎて相手を追い詰めても自分の正義を振り翳す様は、決して近づきたくない。自分があまり経験した事がないからかもしれないが、木戸が10年前に起こした事に対する告発に対してそこまで厳しく批判されないといけない事だろうか。物語の中にも書かれていたが、自分の今の行動全てが時限爆弾になり得るし、そこまで考えていたら何も行動できないと感じる。
これがまた自分に当てはまるトピックであれば自分の感じ方も違うのかと考えたが、10年前のことを掘り返して告発する事はない気がする。よって横山の気持ちもあまり理解する事が出来ない。彼女は何がしたかったんだろうか。自分の人生がうまくいかなかった理由を確定させたい、あの出来事が原因で私の人生は上手くいかないんだと思いたい。あの時の力関係をひっくり返したい、過去を裁き現在の主導権を取り戻したい。自分が被害者であると他者に保証して欲しい。

0
2026年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長岡友梨奈が化け物すぎて無理だった。
いくら彼女に救われた人がいても、あんなに人に寄り添わない人やだ。相手の立場に立って考えることができない人やだ。一言うと百返ってくるし言葉が難解すぎる。
恵斗も、始めはいいキャラだと思ってたけど後半暴走してって何故?ってなった。

男性がとことん愚かなふうに書かれているけど、いや女性たちも大概だよな?と思う。正直木戸や五ナントカ(忘れた)がそこまで酷いことしてたか?と思った。長岡友梨奈然り恵斗然り、目がバキバキなんだよな。なんか怖い。
かくいう私も半年前までTwitterに貼り付いていて、だんだんおすすめが偏ってきて目につくものは男性vs女性のような呟きばかりになり男性という生き物が嫌いになりそうだった。けど、Twitterを一切見なくなると自分の中の怒りや激しい感情はかなりおさまったのを感じる。あれはなんだったんだろう。何かに誘導されてるように怒りが増幅していってたような気がする。

もちろん年を重ねていって、あれはパワハラ、セクハラだったのかと理解して若い女性が同じ痛みを味わうことのないようにしたいと思うことはあるけど。
うまくまとまらないけど、そういうことをもやもや考えることができたという点では良かったと思える。

0
2026年08月08日

Posted by ブクログ

読んでいてすごく疲れてしまった…。なんか、登場人物全員が、自分の身近に居たらすごく疲れそう。
昨今の時代?世の中をうまく描写してる作品だなあと思った。

0
2026年07月24日

「小説」ランキング