あらすじ
時田翼32歳、農協勤務。九州の田舎町で、大酒呑みの父と二人で暮らしている。趣味は休日の菓子作りだが、父は「男のくせに」といつも不機嫌だ。そんな翼の日常が、真夜中の庭に現れた“ゆず泥棒”との出会いで動き出し……(「大人は泣かないと思っていた」)。恋愛や結婚、家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たちが、もう一度、自分の足で歩き出す──色とりどりの涙が織りなす連作短編集。
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Posted by ブクログ
すごく良かった。実際に、そしてどこにでもいるように思える登場人物の思いや人生観を軽やかに切り取って、さらに1つの物語にしていくことの凄さ。
回復魔法をかけられてるみたいな小説で、元気が出てきた。そうだ、平凡な暮らしをしている私のなかにもドラマや思いがあって、それをわかってくれたような感覚になったのかもしれない。
物語に出てくる登場人物は、どこか世間の「らしさ」から外れている、または世間の「らしさ」どっぷりだけどそんな自分を見つめ直さざるを得ない人たち。
時田翼はなよなよしてる32歳の農協職員だが、内面にはやりたくないこと、やるべきでないことをしっかり持ってる、存外芯の強い男に見える。
自分の今の生活を「あの家で暮らすことを、俺は毎日選び続けてるんだよ」と言ったり、お酌文化をなくすために偉くなりたいと言ったり、頑固な父親ゆずりなのか、不器用ながら好きになってしまう主人公。
ラストで先の事ばかりを考えず、年の離れた小柳さんに好きを伝えられたところに、私もガッツポーズをしてしまった。
素敵な話ばかりだったが、特に好きなところ。
連れ子の小柳さんと、継父の小柳さんが会話しているシーン。
継父の小柳さんが「家族って、僕は、会社みたいなもんだと思う」と言い、
連れ子の小柳さんは「…けど会社の目的って、なにか売ったり、利益出したりすることでしょ。家族という組織の目的ってなんなの。わかんない」と言う。
それに対して、「え。目的は、そりゃ、『生きていく』ことだよ」
生きていくことは簡単ではなくて、ただ息をして、食事をして、働いてということだけでもやり通すには一大事だと、そしてその一大事それを全うするには家族とはどんな編成でもいいこと。
一人でも、連れ子でも、片親でも、血のつながりがなくても、大家族であっても、なんでもいいのだと。
世間に認められることが家族の前提条件と考えていると、生きていくための共同体である家族を忘れてしまう。そうだ、生きていければ、どんな編成でもいいんだと軽やかに言う継父の小柳さんが、格好良かった。
次は、時田翼の母の言葉。長年連れそった翼の父と別れ、友人と会社を立ち上げた。
「摘まれた花は、摘まれない花よりはやく枯れる。だから翼は花を摘まない。でも、わたしは花を摘む。摘まれた花はだって、咲いた場所とは違うところに行ける。違う景色を見ることができる。たとえ命が短くても」
長く咲くことも大切だけど、しんどくてもなんでも、自分が見たい景色を選んだ覚悟を感じた。
花を摘む、摘まないは、どっちがいいとかではなく、どっちの生き方もあるということと思う。
最後に時田翼の幼馴染で、性格は真逆な鉄腕の存在に助けられた。
気は優しくて力持ちを地で行く人だが、言いたいことを言い出せない翼に助け舟を出してくれたり、自分が周りから思われてる男らしさの正体を客観的に見たり、こいつが自分の幼馴染にいたらなぁと思わざるを得ない。
晴れやかな気持ちになった。明日からまた頑張ろう。
Posted by ブクログ
20代から60代までの老若男女のそれぞれの人生がリレー形式で描かれ偏見や差別や人生の辛さの中を試行錯誤したがらも生きていく話で思わず泣きました。また再読したい本です。
Posted by ブクログ
20代から60代までの老若男女のそれぞれの人生がリレー形式で描かれ偏見や差別や人生の辛さの中を試行錯誤したがらも生きていく話で思わず泣きました。また再読したい本です。
Posted by ブクログ
主人公や、主人公の友達のように、自分の弱さに気づき認め、考えを改めることのできる人間になりたいと思う。
また、物事って一方の視点から見ただけでは正しいとか間違っているとか判断できないと分かっていても、自分の経験だとどうしても主観が入って偏りがちなんだけど、この話を読んでいると、客観的に一つの事象に対していろんな目線で話が見えるので、改めて人の選択にいいとか悪いとか決めつけてはいけないと思った。
この作者さんの作るお話を読んだ後は、現実世界が少し明るく感じる。
最後の主人公が、小柳さんへの気持ちをこぼすところは、店員さんとしてその場にいたいと思うくらい尊い場面だった…。その場にいたら叫び出してたかも。鉄腕グッジョブ!
Posted by ブクログ
自分がなにかに悩んでいるとき、きまって、小説を手にとりたくなり、最初は気を紛らわすつもりで読み始めるのに、内容が次第に自分の悩みと重なっていく。おそらく勝手にこちらが重ねているだけなんだろうけれど、本作に登場する人物とは相性が良いのか悪いのか、気付けば自分が窘められていて、読みながらなんども謝ってしまった。ごめんなさい、私も先のことばかり考えて、今を蔑ろにするところある。大切な人へ気持ちを伝えることを恐れている。意地を張ることもある。それにより傷付けてしまった人々へ、ごめんなさい。
でも、大人ってだいたいそうじゃないか? 誰にも叱られなくなって、自分が確立されていって、他者を受け付けなくなって、気付けば孤立している。そうして殻に閉じこもりながらいっちょ前に寂しいって、そりゃ、誰も可愛がってくれないよな。
そうやって捻くれている自分への喝をもらったような気持ち。沈んでいたところを掬いあげてもらい、人と人との、正解のない関わりの中で藻掻く姿にこちらも同調し苦しみつつ、終末はあたたかく締めていただいて、まだまだ自分、やれます、やらせてください、と思えた。自分と関わる人や、関わることそのものを大切にしたい。良い内省の機会でした。ありがとうございました。
解説のこだま氏もおっしゃっているように、確実に背中を押してくれる作品です。
Posted by ブクログ
切ない。
特に「妥当じゃない」で平野さんの視点から見る色々な人の模様が特に切なかった。
誰かみたいに明るく生きたい。あの人みたいに真っ当な人生を送って、いい頃あいになれば自分を心から愛してくれる人がめぐってきて結婚するものだと思っていた。
でもそれは思い込みで幸せは自分で手に入れなければならない。白馬に乗った王子様なんていないのだと。
「翼がないなら飛ぶだけだ」もよかった。
結婚とは親や親戚とするものではない。
本人同士が好きで結婚したければすべきなのだ。
確かになぜ親に許してもらわないといけないのか。
ましてや親戚など全く関係ないのに。
それでも旦那の親や親戚に媚を売って気に入られようとしている自分がいるのも事実だと思った。
これからの世の中は結婚は当人同士で決められたらいいのにと思った。
最後の話では2人が結ばれて本当によかった。鉄腕の作戦最高!
Posted by ブクログ
短編集とか説明されていた気がしたが、一つの物語を複数の視点で綴った作品だった。
現代の価値観に否定され過去に固執しながらも、今目の前にある大事なもの、大切な人を受け入れていく姿に、心が浄化された。最後の涙をクライマックスに、様々な人を通して確かに存在する愛に気付いて向き合っていく展開が、とても美しい。それぞれが飾らずさりげないことも、私には刺さった。
男女の役割、親子など、世代間で変わる価値観があったとしても、最後に突き詰めていくと、愛する人のために何ができるかであり、実は時代が変わっても本質的には同じ根がはっているのではないか。
Posted by ブクログ
時田翼が物静かな性格であるが、芯のある姿に惹かれた。所々のユーモアある言葉や登場人物の可愛らしい一面に思わず口角が上がった。実際のシーンを想像しやすく、とても読みやすいと感じました。他作品にも興味が湧いてきた。あと、千夜子って名前確かにかっこいい、今時なら千夜っていいなーっ感じた。
Posted by ブクログ
目線(中心人物)が変わる構成、展開の楽しさ、着地感がよかった。「あの子は花を摘まない」に共感する。苦しかったこと、迷惑かけたこと、苦しませたことがつぎつぎと浮かんで消えるこのごろ、p153ではっとする、すがしいくらいに前を向いていきたい。
Posted by ブクログ
寺地はるなさんの『大人は泣かないと思っていた』を読み終えて、しばらくページを閉じられなかった。
九州の山々に囲まれた田舎を舞台に描かれる、何気ない日常の中に潜む人生の本質。
この作品は、私たちが普段目を逸らしがちな問いを、静かに、しかし確実に突きつけてくる。
田舎という舞台が映し出すもの
物語の舞台は、九州の山々に囲まれた小さな町。
都会の喧騒からは遠く離れた、時間がゆっくりと流れる場所だ。
しかし、その穏やかな風景の下には、目に見えない「空気」が重く漂っている。
古い価値観、世間体、「みんなと同じ」であることを求める圧力。
田舎特有の閉塞感が、登場人物たちの人生に影を落としている。
この作品の巧みなところは、田舎を一面的に描いていないことだ。
古い価値観に縛られ、その檻の中で息苦しさを感じながら生きている人々がいる一方で、同じ場所で颯爽と新しい価値観を持って生きる人々も描かれる。
この対比こそが、物語の核心部分を形作っている。
私たちは何のために生まれてきたのか
作品を貫く最大のテーマ、それは「人は何のために生まれ、何のために生きていくのか」という根源的な問いだ。
「人は誰かのために生まれてくるわけじゃない」
この一文が、作品全体を通して何度も響いてくる。親のため、配偶者のため、子どものため、世間のため──私たちはいつの間にか、「誰かのため」に生きることが当たり前になっていないだろうか。
寺地さんは、その「当たり前」に疑問を投げかける。あなたの人生は、本当にあなた自身のものですか、と。
花の比喩が教えてくれること
作品の中で特に印象的だったのが、花の比喩だ。
「何もかも上手くいく場所などどこにもない。どの場所で咲くことを選んでも、良いことと悪いことの総量は同じ」
完璧な人生など存在しない。どこに行っても、どんな選択をしても、光と影は必ずついてまわる。この冷徹な現実を、寺地さんは優しく、しかし明確に示す。
そして、もう一つの比喩。
「摘まれた花は摘まれない花より早く枯れる。だが摘まれた花は咲いた場所と違うところに行き、違う景色を見ることができる」
この対比は、人生の選択の本質を鮮やかに切り取っている。
安全な場所にとどまるのか、リスクを取って新しい景色を見に行くのか。
どちらが正解というわけではない。
ただ、どちらを選ぶかは、自分で決めなければならない。
「みんな」という呪縛
作品の中で繰り返し描かれるのが、「みんなと同じでありたい」という願望だ。
世間並みの結婚、世間並みの家庭、世間並みの幸せ。「みんな」と同じ側にいることで、安心を得ようとする人々。しかし、その「みんな」とは一体誰なのだろう。
田舎という舞台設定は、この「みんな」の圧力を可視化する装置として機能している。
人と違うことをしているだけで嘲笑の対象になってしまう。少しでも「普通」から外れると、好奇の目で見られる。
けれど寺地さんは、そんな環境の中でも、自分の選択を貫く人々を丁寧に描き出す。彼らの姿を通して、「自分の尊厳は自分で守らなければならない」というメッセージが静かに伝わってくる。
一大事は人それぞれ
「何を人生の一大事とするかは人によって違う」
この当たり前のようで忘れがちな事実を、この作品は思い出させてくれる。
ある人にとっての一大事が、別の人にとっては些細なことかもしれない。逆もまた然り。
自分の価値基準を他人に押し付けることの暴力性、そして他人の価値基準に自分を合わせることの不自然さ。
寺地さんの筆致は、登場人物たちの多様な「一大事」を、どれも等しく尊重しながら描いていく。その優しさが、読者の心に深く染み入る。
過去を嘆くより、今を生きる
「過去があっての今の自分。あの時こうしていたら、と考えるより、今いる場所をどうやったらもっと楽しくするか、と考えること」
後悔は誰にでもある。もっと違う選択をしていたら、今頃もっと幸せだったかもしれない──そんな思いに囚われることもある。
しかし、過去は変えられない。変えられるのは、今とこれからだけだ。寺地さんは、その事実を説教臭くなく、物語の中に自然に織り込んでいく。
一歩ずつ、進んでいくしかない
「私たちは、悩んだりまごついたりしながらも、目の前に現れるものに一つずつ対処しながら、一歩踏み出す方向を決めながら生きていくしかない」
この作品が最終的に辿り着くのは、この地に足のついた結論だ。
人生に完璧な答えなどない。正解も不正解もない。ただ、目の前のことに向き合い、悩みながら、迷いながら、それでも一歩ずつ前に進んでいく。それが生きるということなのだと。
おわりに──私たちへの問いかけ
『大人は泣かないと思っていた』は、田舎という限定された舞台を描きながら、普遍的な人生のテーマに迫る作品だ。
古い価値観と新しい価値観、誰かのための人生と自分のための人生、安全な場所と未知の景色—作品が提示する様々な対比は、読者それぞれの人生に問いを投げかけてくる。
あなたは今、どこで咲こうとしていますか。
あなたは何のために生きていますか。あなたの人生の一大事は何ですか。
この作品を読み終えた後、きっとあなたも自分自身にそう問いかけることになるだろう。
そして、その問いこそが、この小説が私たちに贈る最大の贈り物なのかもしれない。寺地はるなさんの『大人は泣かないと思っていた』を読み終えて、しばらくページを閉じられなかった。
九州の山々に囲まれた田舎を舞台に描かれる、何気ない日常の中に潜む人生の本質。
この作品は、私たちが普段目を逸らしがちな問いを、静かに、しかし確実に突きつけてくる。
田舎という舞台が映し出すもの
物語の舞台は、九州の山々に囲まれた小さな町。
都会の喧騒からは遠く離れた、時間がゆっくりと流れる場所だ。
しかし、その穏やかな風景の下には、目に見えない「空気」が重く漂っている。
古い価値観、世間体、「みんなと同じ」であることを求める圧力。
田舎特有の閉塞感が、登場人物たちの人生に影を落としている。
この作品の巧みなところは、田舎を一面的に描いていないことだ。
古い価値観に縛られ、その檻の中で息苦しさを感じながら生きている人々がいる一方で、同じ場所で颯爽と新しい価値観を持って生きる人々も描かれる。
この対比こそが、物語の核心部分を形作っている。
私たちは何のために生まれてきたのか
作品を貫く最大のテーマ、それは「人は何のために生まれ、何のために生きていくのか」という根源的な問いだ。
「人は誰かのために生まれてくるわけじゃない」
この一文が、作品全体を通して何度も響いてくる。親のため、配偶者のため、子どものため、世間のため──私たちはいつの間にか、「誰かのため」に生きることが当たり前になっていないだろうか。
寺地さんは、その「当たり前」に疑問を投げかける。あなたの人生は、本当にあなた自身のものですか、と。
花の比喩が教えてくれること
作品の中で特に印象的だったのが、花の比喩だ。
「何もかも上手くいく場所などどこにもない。どの場所で咲くことを選んでも、良いことと悪いことの総量は同じ」
完璧な人生など存在しない。どこに行っても、どんな選択をしても、光と影は必ずついてまわる。この冷徹な現実を、寺地さんは優しく、しかし明確に示す。
そして、もう一つの比喩。
「摘まれた花は摘まれない花より早く枯れる。だが摘まれた花は咲いた場所と違うところに行き、違う景色を見ることができる」
この対比は、人生の選択の本質を鮮やかに切り取っている。
安全な場所にとどまるのか、リスクを取って新しい景色を見に行くのか。
どちらが正解というわけではない。
ただ、どちらを選ぶかは、自分で決めなければならない。
「みんな」という呪縛
作品の中で繰り返し描かれるのが、「みんなと同じでありたい」という願望だ。
世間並みの結婚、世間並みの家庭、世間並みの幸せ。「みんな」と同じ側にいることで、安心を得ようとする人々。しかし、その「みんな」とは一体誰なのだろう。
田舎という舞台設定は、この「みんな」の圧力を可視化する装置として機能している。
人と違うことをしているだけで嘲笑の対象になってしまう。少しでも「普通」から外れると、好奇の目で見られる。
けれど寺地さんは、そんな環境の中でも、自分の選択を貫く人々を丁寧に描き出す。彼らの姿を通して、「自分の尊厳は自分で守らなければならない」というメッセージが静かに伝わってくる。
一大事は人それぞれ
「何を人生の一大事とするかは人によって違う」
この当たり前のようで忘れがちな事実を、この作品は思い出させてくれる。
ある人にとっての一大事が、別の人にとっては些細なことかもしれない。逆もまた然り。
自分の価値基準を他人に押し付けることの暴力性、そして他人の価値基準に自分を合わせることの不自然さ。
寺地さんの筆致は、登場人物たちの多様な「一大事」を、どれも等しく尊重しながら描いていく。その優しさが、読者の心に深く染み入る。
過去を嘆くより、今を生きる
「過去があっての今の自分。あの時こうしていたら、と考えるより、今いる場所をどうやったらもっと楽しくするか、と考えること」
後悔は誰にでもある。もっと違う選択をしていたら、今頃もっと幸せだったかもしれない──そんな思いに囚われることもある。
しかし、過去は変えられない。変えられるのは、今とこれからだけだ。寺地さんは、その事実を説教臭くなく、物語の中に自然に織り込んでいく。
一歩ずつ、進んでいくしかない
「私たちは、悩んだりまごついたりしながらも、目の前に現れるものに一つずつ対処しながら、一歩踏み出す方向を決めながら生きていくしかない」
この作品が最終的に辿り着くのは、この地に足のついた結論だ。
人生に完璧な答えなどない。正解も不正解もない。ただ、目の前のことに向き合い、悩みながら、迷いながら、それでも一歩ずつ前に進んでいく。それが生きるということなのだと。
おわりに──私たちへの問いかけ
『大人は泣かないと思っていた』は、田舎という限定された舞台を描きながら、普遍的な人生のテーマに迫る作品だ。
古い価値観と新しい価値観、誰かのための人生と自分のための人生、安全な場所と未知の景色—作品が提示する様々な対比は、読者それぞれの人生に問いを投げかけてくる。
あなたは今、どこで咲こうとしていますか。
あなたは何のために生きていますか。あなたの人生の一大事は何ですか。
この作品を読み終えた後、きっとあなたも自分自身にそう問いかけることになるだろう。
そして、その問いこそが、この小説が私たちに贈る最大の贈り物なのかもしれない。
大好きな作家さんです
寺地はるなさんの小説が好きでこちらも購入しました。
全て繋がった物語ですが、短編集のような形になっておりサクサク読み進めることが出来ました。
たくさんの人の目線で書かれており、それぞれの人生や価値観を考えては泣き、を繰り返していたのでとても読み応えを感じました。
寺地はるなさんの暖かいお話が大好きです。
Posted by ブクログ
ナツイチ2026きっかけで読んだ。
性別も年齢も生き方も悩みも違う、複数の人間。
それぞれの立場でよく書けるものだ。
しかも、「最近の若いもんは……」「男のくせに……」「女なんだから……」って言われる側だけでなく、言う側のストーリーもある。
翼も鉄腕も、良い奴。
玲子、カッコいい。
鉄腕の兄、腹立つ。作中でいちばん嫌なやつ。
けどこいつの言動は、その後の展開をよりドラマティックにするための「フリ」なんだと思う。
Posted by ブクログ
初めての寺地さん作品
多様な人たちについて描かれており、
連作短編になっていて、深くて面白かった。
お話の中でいくつか共感できる部分が
あったり、切なくなる場面もあった。
とにかく、後悔のない今を生きたいと思った。
Posted by ブクログ
主人公をリレーしていく形式の短編連作。
舞台が九州の片田舎に設定されているのだけれど、
いくつかの寺地作品で共通するモチーフとして、
九州が“一昔前の価値観”を登場させるためだけに
ただ便利使いされているような感覚があって、
ちょっと楽しみきれなかった。
“おれは外套を脱げない”もいいエピソードだったけれど、
同じ話を“カレーの時間”でも見たなぁ、となる。
最後に収録されている“君のために生まれてきたわけじゃない”は親友の鉄腕のファインプレーに「鉄腕~~」となった。
Posted by ブクログ
解説のこの物語には脇役がいないというところがまさにその通りだと思いました
ひとりひとりが人生の主役!と表現するよりも脇役がいないと表現する方がこの物語にぴったりに感じます
自分の周りにもあるような固定概念などが頭ごなしに否定されるというよりは、こうなった方がステキじゃない?みたいな伝えてること自体は違う意見だけどなんとなく柔らかい、嫌な気持ちにならない小説だなと思います
寺地はるなさんの作品を読んだのは二作目ですがどちらもとても素敵!
Posted by ブクログ
今の私に刺さる言葉がいくつもあった。
フェミではないけど本文中に出て来るような女性軽視する男性が大っ嫌い。自分のことは自分でやってほしい。
広海さんのように道を切り拓いていかなきゃね。
Posted by ブクログ
気になってた作品が多い寺地はるなさん、初読み!
予約ですぐ順番回ってきてよかった!
私が好きな連作短編集で読みやすかった!
田舎独特の人間模様に地元を思い出しながら読んでた。田舎の噂話って広まるの早いよね。
子どもの頃は大人になるってもっとしっかりした大きな存在になれるものだと思ってたけど、いざ大人になると思ったよりしっかりしてないし意外と泣いちゃうよね。
これからもいろんなことがあるだろうけど、遠くを見すぎず目の前にあるものをないがしろにしないように私も生きていこう、と思わせてくれた!
Posted by ブクログ
人間模様を丁寧に描いた短編集です。
世間体や、周りの目を気にして泣けない大人も、人目のつかないところで泣いていたりするものです。
そんな情景が伝わりやすく、しっかり読者を心を揺らしてくる作品で、読んでいて心が温まり、そして共感できる内容でした。
田舎という閉鎖的な環境で生きづらさを感じながらも、その中にある優しさが溢れていて、一気に読み切りました。
Posted by ブクログ
登場人物全員に人間味があって良かった。
間違っている事に気付いていても自分の意見を伝える事なく従うことは過去に何度もあったなぁ〜。
自分の考えや思いを大切にしよう。
この本を教えてくれてありがとう。
Posted by ブクログ
audible☆+本
時田翼の人生に触れた物語だった。
"「来年」や「将来」が、あらかじめ設定されていて、ただそこに向かって駒を進めるようにして生きていければ、楽だろう。"
大人になると全て自分が選んで、決めて生きていく。泣きたくなるくらい嬉しい事、辛いこともある‼︎
"目の前に現れるものにひとつずつ対処しながら、一歩踏み出す方向を決めるしかないのだろう。いちいち悩んだり、まごついたりしながら。"
人生ってこの繰り返しで、そこから学び生きやすくなるよう成長していくんだと痛感した。
Posted by ブクログ
同じ登場人物の中で
主人公が代わっていく短編集
誰もがみんな自分を抑えて人のためを思って行動するのだろうけれど
それがうまくいったりいかなかったりが
人生なんだなと思う
時田翼の優しい感じがよかった
Posted by ブクログ
九州のド田舎で暮らす人たちと、そこを去った人たちが織りなす、さまざまな涙の物語。
古い価値観と新しい価値観。みんなその狭間で戸惑ったり迷ったり、あるいは吹っ切れたり切り拓いたりしている。どの時代にも価値観の移り変わりはあっただろうが、最近はそのスピードが速くなっている気がする。
男は泣くな、女は黙ってろ…いまだにそんなこと本気で言う人がいるんですか?と笑いたくなるが、山あいにある田舎が舞台の本作ではよく登場する。
そんな時代遅れの人の考えには全く共感できないと感じる場面がたくさんあった。あったはずなのに、読んでいるうちに彼らと同じ感情に陥って、一緒に涙したくなるから寺地さんの作品は不思議だ。
自分も生まれた時代が違えば、古い考えを押し付けて、若者に冷ややかな目で見られ、誰からも相手にされなくなる、そっち側だったかもしれない。これからそうなる可能性もある。
だから古い価値観を持つ彼らを、冷笑することはできない、誰だって。小さい頃から何度も耳にして、息をするように口にしてきた言葉たちは一朝一夕では変えられない。変える気力も体力も、日に日になくなっていく。
多くの小説、特に寺地さんの作品は、そういう到底理解できないと思っていたような人の気持ちに共感してしまう瞬間がある。自分も彼、彼女の立場だったら…と。
これまで3作ほど読んだがどの作品にも、あぁ寺地さんは常々こういうことを考えているんだろうなと感じるような言葉がたくさん散りばめられている。いつもハッとさせられるのだけど、それが説教くさくなくスッと自分のなかに入ってきて、残り続ける。
遅ればせながら、いま私のなかで最もアツい作家さん。他の作品もまだまだ読みたい。
Posted by ブクログ
言われるほどいい本ではなかったかな 登場人物それぞれの目線から語られるストーリー。主人公の男は常に冷静で落ち着いているが、協調性がない感じ。物語自体にそう感動するポイントはなかったかな。
Posted by ブクログ
登場人物の背景色はこんなんだったな 寺地はるなさんの何かしら癖があるから その人たちが出会う際の化学反応を楽しむってことだろうな、田舎のしがらみとか聞いてるだけで虫唾が走る 父親も会話にならず、朝病院行くよと言うが明日行く 喉が痛いし、じゃあ今行こう、明日は用事あるから と言っても明日行けると変な自信持っている 声だかに喋る相手に通じない自分が可哀想 子供だから介護するの当然と思っている せめてデイサービス休まず行けよ、もう5回休んでる ベッドの上にずっといるから大丈夫だと言う ハッ何が大丈夫 か ?あーいえばこういう 物事考えることやめて薄い知識で生きてる、あんなの介護するの嫌だ。
Posted by ブクログ
寺地はるなの作品は毎度読んでいて過去の嫌な気分を思い出させられる。男らしさ、女らしさ、古い価値観、田舎の閉塞感、理不尽な慣習などなど。自分も知らず知らずに無神経なことを言って傷つけてきたこともあるかもしれないとも思う。
作中では他者と関わる事でこうあるべきだと囚われていたものから解き放たれる人々がでてくるけど、いざ自分もとなったら歳をとるにつれて価値観をアップデートしていけるだろうか?なるべく時代と共に変化していきたい、そんなことを感じた。
Posted by ブクログ
オムニバス
親のこととか仕事のこととか歳をとると考えがちな胸がぎゅっとなる出来事について、それぞれの登場人物がどう向き合うのかがおもしろいし、救われる爽やかな作品。
映像化したら翼役は松下洸平にやってほしい。
Posted by ブクログ
視点が変わっても、今までの登場人物とどこかで誰かが繋がっている感じが、肘差というまちの狭さを表しているんだなぁと感じた。
それぞれがそれぞれの望む人生を送れていたらいいなと思った。
Posted by ブクログ
閉鎖的な田舎に暮らす人々の物語。32歳独身男性の翼、親友の鉄也、23歳女性のレモン、翼の離婚した両親、鉄也の両親、翼の同僚など、それぞれの視点から人生をみつめる。恋愛、結婚、離婚、仕事、介護、病、その意味とは。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて、5年くらい前から気になってた本。期待とは少し違ったかも。
田舎の窮屈さがひしひしと伝わってきた。
男だから、女だから、って考えが固まってる人の集団怖い。
見直す機会がないまま年取って、どうにもできない人も辛いのかな。