【感想・ネタバレ】大人は泣かないと思っていたのレビュー

あらすじ

時田翼32歳、農協勤務。九州の田舎町で、大酒呑みの父と二人で暮らしている。趣味は休日の菓子作りだが、父は「男のくせに」といつも不機嫌だ。そんな翼の日常が、真夜中の庭に現れた“ゆず泥棒”との出会いで動き出し……(「大人は泣かないと思っていた」)。恋愛や結婚、家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たちが、もう一度、自分の足で歩き出す──色とりどりの涙が織りなす連作短編集。

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Posted by ブクログ

7編の連作短編は、どれも大きな事件が起こるわけではない。でも、どの登場人物からもそれぞれの心の揺らぎが伝わってきて、誰もが一生懸命いろんなことを考え、悩みながら生きているんだな、と実感させられる。
周囲の目とか、かくあるべきとされる固定観念とか、生きる中で自分を縛ろうとするものは沢山あるけれど、自分がどうしたいのかを見つめ、選び取って生きていくことを大事にしたい、ということを感じさせてくれる作品だった。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて読みました。
本当に子供の頃は、大人は当たり前に
泣かないと思ってました。
でも、それは勘違いだなと思う
大人の方が感情的になってしまうことが
あると思う…
読んでみて改めて思いました。

登場人物みんなが豊かな人生を
歩めますように(*˘ᵕ˘*).。.:*☆

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2025年06月25日

Posted by ブクログ

田舎の固定概念に従ってきた人たち、その固定概念に苦しめられてきた人たち、その固定概念を無くそうとする人。それぞれの登場人物が「学び」「気付き」「後悔」を通じて、少しずつ成長していく物語。

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

この作品は、題名からして前から気になっていた。自身としても小さい頃に周りの大人たちを見ると物怖じせずに悩みなんて一つもないように思えていた。何に対しても完璧にできるんだと思い込んでいた。今回この作品を読んで、大人になっても悩み事はあり試練に立ち向かわないといけないことがあることを思い知らされた。大人になってからも、生きている限り自分が気づいていない所で沢山迷惑をかけていることがあると改めて思った。この作品を読んで、逆に迷惑をかけることは悪いことではないような気持ちになった。なぜなら、人間は1人では生きていくことができないし、お互いに頼り合いながら、支え合いながら生きているからだ。迷惑をかけたことで、新しい関係を築く架け橋になるかもしれない。人にはそれぞれ悩み事や欠陥があるが、それがあるからこそその試練を乗り越えた先に新たな道をみつけることができるのだと思わせてくれる作品であった。
立ち止まったときは、この物語に戻ってきたいと思う。

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2025年03月07日

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ネタバレ

心の点滴になった。すらすらと読みやすい文体。田舎特有のなんともいえないあの感じを絶妙に表していて、自分もその場にいるかのような居心地の悪さを感じる。その場にいる人たちの多くは「そういうもの」と疑問も抱かないが、玲子はびしっと反撃。強い。
あとは心情の描写が自然で沁みる。このところ続く不眠、タバコを減らしたせいだろうと思おうとしていたが、認めざるを得ないのは肺に見つかった影。もし重い病気だったら…という不安が不眠の正体だったという。“(あなたとの)結婚生活で溜まった愚痴を聞いてもらうために、あなたには長生きしてもらわなくちゃね”という妻の寄り添い方。

祖父が亡くなったばかりの今、読むべくして読む本だったように思う。

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2025年01月11日

購入済み

大好きな作家さんです

寺地はるなさんの小説が好きでこちらも購入しました。
全て繋がった物語ですが、短編集のような形になっておりサクサク読み進めることが出来ました。
たくさんの人の目線で書かれており、それぞれの人生や価値観を考えては泣き、を繰り返していたのでとても読み応えを感じました。
寺地はるなさんの暖かいお話が大好きです。

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2022年02月28日

Posted by ブクログ

寺地はるなさんは「水を縫う」に続いて2作目でした。不思議な力のあるお話だと感じました。
登場人物それぞれの人生が何処か力が抜けたような語り口で描かれていますが、ところどころですっと腹落ちして前向きになれるフレーズがあったり、分かってはいるんたけど中々言えないようなフレーズがあったり、自分もこんな考え方してしまうことってあるなと思ったり、不思議なお話でした。
相手の視点を考えつつも、自分らしさは持っていたい、そんな思いを持ちました。

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2025年12月07日

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良かった。
じれったいけど、当事者はそんなもんかも。
私から見たら、20代も30代も、同じくらい若いけどね。

この作家さんの作品の中では、上位な印象だった。
表現的には中学生でも問題はないけど、主人公の葛藤や心の揺れは理解できないかもね。

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2025年11月06日

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あとがきにも書かれていた通り、寺地はるなさんの視点がフェアであることがとても好み

女だから〜、男だから〜、というのは全く必要なくて、その人そのものをみて理解することが大切なんだと思う

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2025年10月11日

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寺地はるなさんの本を読むのは2冊目。
前回の「水を縫う」でも感じだけど、本作でも登場人物たちが誰も“善悪”で描かれていないことに感心した。
誰かの生き方を絶賛するでもなく、誰かの価値観を否定するでもなく、「その人はそう生きている」という事実として丁寧に描かれている。

最初は「嫌な人だな」と思う登場人物でも、読み進めるうちに「ああ、私の中にもこういう感情があるな」と気づかされる。
そして、そんな自分の中の不器用で複雑な部分までやさしく掬い上げて、「それも人間らしさだよ」と受け止めてくれるような温かさがある。

「違いがあるまま、そこにいる」ことの尊さを感じさせてくれる物語だった。

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2025年10月10日

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物語に大きな起伏がなくて、ほっこりする話だけれど、主人公の父親が病気になった時とか、所々にグサっと刺さるような場面がありました。

主人公の男性が穏やかで優しくて、若いけれど達観しているようなところがあって、好感が持てます。

田舎の閉塞感、男尊女卑など重苦しい空気がある中で、親友の鉄腕の単純な明るさと、ヒロインのレモンちゃんの身軽な可愛らしさが、救いでした。

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2025年08月17日

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ネタバレ

ど田舎を舞台とした人々の連続短編集。
主人公の翼から始まり、お隣さん、親友、母親、同僚…とさまざまな人の視点から描かれている。

最初はヒューマン系特有の感動させようとしてる雰囲気が微妙かもと思っていたが、登場人物の性格を読者側が理解するにつれて楽しめる仕様。
読後に「うわー、この章が良かったな」っていうのはぶっちゃけ無いんだけど、でも読んだことを後悔するような作品では無い。
おそらく、田舎特有の噂が一瞬で巡る閉鎖的なところとか、亭主関白的な前時代的なものの考えとかに妙な納得感があって読み進めてしまうのだと思う。

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2025年08月01日

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日常がミクロ的で想起がしやすい。
お父さんは何もいわないけど、相手のことを一番思ってる人なのかもしれない。

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2025年06月26日

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自分の身近な人が思い浮かぶようで、登場人物たちに親しみやすさがあり話が入ってきやすかったです。鉄腕のお父さんは、他者視点だとこういう面倒くさいひといるよなあと思ってしまいましたが、本人視点だと仕方ないというかなるほどなあと思わされてよかったです。

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2025年05月29日

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ネタバレ

主人公いい人すぎない…?!って思った笑

過去を振り返らないで今を楽しむ方法を考えようって自分を置いてった親に言えるのすごいなー。

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2025年05月23日

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ひとり1話形式で、主人公の翼、レモン、鉄也、母の広海、同僚の原田、鉄也父、と来て最後に再び翼。そこまでのたうちまわる翼はちょっと変わり者だか、よい人で誰もが「絶賛」する「今時」の男のようだ。が、父の入院を機にちょっと怪しくなる。父は死期が近く回復する事は無さそうだ、そんな状況で仕事にも影響し、元カノが登場して自分の嫌なところを自覚させられる。挙句、レモンにも…そんな彼を救ったのは親友の鉄也だった。スマートなままの翼はちょっと「出来杉くん」過ぎたので最後に「拗らせくん」なところを見せた翼は良かった。

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2025年05月07日

Posted by ブクログ

タイトルからシリアスな内容だと思っていたが、人の弱さの描画がコミカルに表現されていて、小説を読むようになってから初めて人前でふふってなった
未来を心配し過ぎて今を楽しめないのは勿体無いと頭では分かっているけど‥

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2025年04月26日

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生きづらそうな田舎町で好きでもやりがいを感じるわけでもないが出世をして『お酌警察を撲滅させたい』という夢をもつ翼といつでもだれても受け入れてくれるファミリーレストランで働きたいという小柳さんがとてもかっこよくて好き。色々な考え方の人がいる中でもぶれずに生きるってなかなか難しい。夢ってべつに大きくなくてもいいんだよね。

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2025年04月08日

Posted by ブクログ

インスタで見かけて気になってた本。
1つ1つが短編になっていて読みやすい。
読み終えると前向きな温かい気持ちになる。

恋愛や結婚など、在り方について刺さるし考えさせられるところあり。日々色々なことがあるけれど、その中でも1番は自分の気持ちに素直でありたいなあ。

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2025年03月28日

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なんかホヮーンとして良かった。他愛もないことなんだろうけど、それがまたいい。
完璧な人なんていないんだし、頼ったり頼られたりして暮らしているってなかなか気づけないと思うけど、そういうことがジワジワと伝わってくる。
読んで良かったと思える本だった。

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2025年03月06日

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自分 「川のほとりに立つ者は」が面白くて他の作品もと手に取りました。人間の一筋縄ではいかない難しさや優しさを表現しているなってこの作品でも思いました。
自分らしく自分の人生を生きることは難しいと思います。誰かの影響を受け誰かに頼り生きているのが人生のように思います。
「大人は泣かないと思っていた」は短編集ですが、つながったお話です。最後のお話「君のために生まれてきたわけじゃない」、父への思い、母への思い、元カノへの思い、親友への思い、恋人への思い、色々な思いがあふれていて、そうやって生きている人間の美しさや強さなんかが感じられました。良い作品でした。ありがとうございました。

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2025年12月03日

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ネタバレ

田舎の青年の日常の物語だけれども、その周りの人々に語り手が変わっていくことで奥深いものを感じる。人はみんなそれぞれに物語があるんだなーとつくづく思う。時田翼という青年、お菓子作りをしたり少し女っぽいところがあるけれど結構好きなタイプ。高校生で母親に出ていかれてからは大酒飲みの父親と2人暮らし。そんな家庭環境も彼の性格に影響はあるのだろう。少年の時から鉄腕という友人がいたことは彼にとって救いだったに違いない。彼の未来が幸せであることを願うばかりだ。

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

この一冊でいろんな人のドラマを見た。亜衣の友達をまっすぐに想う心と他人に迷惑をかけろよという鉄腕の言葉が刺さった。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

やっぱ若い子好きじゃん笑
うちもすれてない頃の自分のが好き。
親友の彼女が親友の家の祭の宴にお呼ばれする話が好き。そこであ、これ九州の話か。。。ってなった。
日本どこでもそんなもんだと思ってたけど、関東に住んで中年になった今だに九州ってさ亭主関白文化なんでしょ〜wって言われることがたまにある。まぁそうかもせんけど、こちらの生活してても、結婚してなくても割と感じるけどな。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

「こうあるべき」って昭和的な考えな気もするけど、割と誰の中にも知らず知らずにあるもの。
本のタイトルが素敵だし、ほんとにそう思ってた。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ面白かった!とかではないけど要所要所で刺さるフレーズはあった
あの子は花を摘まない が好きでした

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2025年06月11日

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1話完結の短編集かと思ってたら、珠数繋ぎの短編集。ひょろっとした翼君や、九州男子のお父さんなど周りに同じような人が多いので妙に親近感の湧いたお話でした。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大人は泣かないと思っていた
時田翼
三十二歳。父と二人暮らし。耳中市農業協同組合勤務。休日に菓子をつくることがいちばんの楽しみ。隣人の老婆が庭のゆずを盗む現場を押さえろと父から命じられる。

時田正雄
翼の父。七十八歳。田中絹江とたいへん仲が悪い。大酒呑み。

時田広海
翼の母。十一年前に出て行った

田中絹江
時田の隣人。八十歳。

飯盛
翼の後輩。

平野
眼鏡をかけたおとなしい女子。

課長



時田鉄也
翼の小学校からの同級生。内装工事。

玲子
鉄也の恋人。

小柳レモン
田中絹江の孫。時田家のゆずを盗み捕まった。

桜木涼介


小柳さんと小柳さん
小柳レモン。二十二歳。先月バイトとして採用されたファミリーレストラン・ビバーチェを店長を頭突きしてクビになった。五年前の誕生日の翌々日に田中から小柳になった。

時田翼
レモンのおばあちゃんの家の隣に住んでいる。

平野
翼の職場の女性。

木綿子
レモンの母。病院に勤めている。看護師。

小柳三四郎
レモンの義父。市外の病院に勤めている。診療放射線技師。父、兄二人は医者。

小柳さんの兄
耳中市でいちばん大きな総合病院の外科の先生。


翼が無いなら跳ぶまでだ
時田翼
小学一年のとき、鉄也の隣のクラスのおかっぱ。

時田鉄也
いじめれていた翼を助けた。スガ工務店。

時田正雄
翼の父。

木原玲子
鉄也の恋人。三歳年上。離婚歴あり。耳中市内の損害保険会社で働いている。

サクラサキコ
ひとりで店をやっている。

社長
スガ工務店の社長。

ミドリ
スガ工務店の社長の奥さん。

白山広海
株式会社ベル代表。翼の母。


あの子は花を摘まない
広海

千代子
広海と株式会社ベルの共同経営者。中学の同級生。



平野

飯盛

小柳レモン

田鍋
広海の隣人の元カレ。


妥当じゃない
平野貴美恵
耳中市農業協同組合。共済課。

原田亜衣
貴美恵の同期。飯盛と結婚する。

重田
亜衣が辞めて欲しいと思う先輩。

飯盛
共済課の職員。二十八歳。

時田翼

小柳レモン


おれは外套を脱げない
時田翼

時田鉄也

玲子

飯盛春馬
義孝の妻の遠縁の若者。

義孝
鉄也の父。農協系列の自動車販売会社に定年まで勤め上げた。

あき子
義孝の妻。

平野

原田亜衣

松田えま
偽名。飯盛の元カノ。

ミユキ
義孝が妻と見合いする前にいい仲になったスナックの女。

正敏
義孝の長男。

雪菜
義孝の娘。ネイリスト。


君のために生まれてきたわけじゃない
時田正雄

時田翼

小柳レモン

時田鉄也

宮野
看護師。

みっこ
翼の元カノ。

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

初めて拝読する作家さんで、タイトルに惹かれて、絶対泣かされるやつだ!と勝手にハードル上げて読み始めてしまったので、第1章であれ?という感じだったが、読み進めると泣けはしなかったが良かった。特に最後の「君のために生まれてきたわけじゃない」はいい終わりだった。
他の作品も読んでみたい。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

後半に行くに連れ、だんだん女性の強さが際立っていく感じがとても好きだった。
人生において誰と出会うかは、本当に重要な事だなって思った。

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2025年03月17日

Posted by ブクログ

印象に残った文
「だからほんとうにわからないけど、でも遠くばかり見ないように、と今は思う。遠くを見過ぎて、目の前にあることをないがしろにしないように。」

あるべき姿なんてない。
自分の生き方を狭める台の上から下りたとき、本当の自分を生きられる。

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2025年07月19日

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