あらすじ
東京都内の公園で臓器をすべてくり抜かれた若い女性の死体が発見された。やがてテレビ局に“ジャック”と名乗る犯人から声明文が送りつけられる。その直後、今度は川越で会社帰りのOLが同じ手口で殺害された。被害者2人に接点は見当たらない。怨恨か、無差別殺人か。捜査一課のエース犬養刑事が捜査を進めると、被害者の共通点としてある人物の名前が浮上した――。ジャックと警察の息もつかせぬ熾烈な攻防がはじまる!
※本書は二〇一三年四月に小社より刊行された単行本『切り裂きジャックの告白』を改題し、文庫化したものが底本です。
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中山七里作品、犯人が序盤で読めるようになってきた気がしてたのに外したー!まだ浅かった。
どうなっていくのかハラハラで一気読みしてしまった。犬養シリーズはやっぱりおもしろい!
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犬養と古手川のコンビがとても良い。
若手の古手川の突っ走るような考え方などを、ベテラン犬養は認めている。そして、犬養は、古手川を信頼し、コンビとして助け合う。古手川が大活躍だ。
今まで読んできた、御子柴シリーズや能面検事では、アシスタントが、けっこう平凡で、すごいリーダーから学ぶ形だった。今回は、アシスタント的存在の小手川は、犬養から学びながらも、犬養も感心するほど、機転が効く。
犯人は誰だ?のどんでん返し!そしてまた、どんでん返し!面白かった!
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今作品で心に残った言葉は、犬養さんの『楽な道というのは力のない者の専用道路だ』。
事件は解決しても、我々が永遠に考え続けなければならないような問題を取り扱っており、これだから中山七里作品はやめられない!と心の底から思う作品でした。それと犬養×古手川のコンビ相性がすごく良かったです!!古手川の良さが存分に発揮されてて、それをしっかりと感じ取る犬養さん。ぜひシリーズ通して読みたい!
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臓器移植についてドナー、レシピエント、その家族、移植に携わるさまざまな立場の気持ちを想像しながら読んだ。
脳死は死なのか生なのか
自分のことなら死と思っても、まだ体の温かい眠っているだけのように見える家族に対してそう思えるかはその時にならないとわからないんだろうなと
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中山七里さんのど真ん中のミステリーという感じの作品で刑事犬養隼人シリーズの第1弾!
主人公の犬養刑事とコンビを組んだ古手川刑事が良い味を出していて好感が持てました!シリーズ全読破を目指します!
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カエル男の古手川さんが出てくるとの事だったので読みましたが、面白かった!!
やっぱ古手川さんはこちらでも愛される脳筋(笑)
犬養さんとの相性もバッチリなので、カエル男読んだ方は是非読んでほしい。
今作は臓器移植がテーマ。
永江さんの解説にもあったけど、私なら自分が脳死したら、心臓でも何でも持って行って欲しい。だけど知らない人の臓器を受け入れる事は出来ないかも。
それなら潔く最期の時を迎えようと思う。
でも自分の大切な人、私なら自分の子供とかの臓器が知らない誰かに移植されるとして、移植された先で、不摂生とかされて、娘の臓器が粗末にされてたらめっちゃ嫌。
大切に大切に臓器に感謝して生きてて欲しいな。
逆に娘が臓器貰う側なら、毎日誰か脳死してくれへんかなとか考えてしまいそう。
我ながら超絶自分勝手な考えにちょっとくらってしまった。
どんでん返し好きにもたまらん作品でしたが、やはり1番怪しくない人が犯人説は正しいと改めて思った。
面白い
逆転の逆転で本当にびっくりした。中山七里せんの本は大好きでよく読むが、一番びっくりした。また生々しい表現などもありはじめて本を読んでいて胸がムカムカした。とてもリアルで読んでいて考えさせられるところがある。是非いろいろな人によんてもらいたい。
やっぱり中山七里
本当に面白かった。
容疑者も二転三転して、結果この人かぁ〜って人が犯人でした。
中山七里作品ならではの残虐な描写は想像すらだけでゾッとするけど、そのおかげで読みごたえする作品になっていました。
この作品には古手川和也も出てきてます。
Posted by ブクログ
ヒポクラテスシリーズに出てくる古手川さんのことを気に入っているため、メインで動くシリーズはあるのかななんて思っていたので、偶然と言えども活躍する本を読めて良かった。
個人的には、こういう犯人に関しては法の穴というか、良い方向に法が動くように事件が起き、最終的には良い結果となるみたいなストーリーが好きなんだが、あまり誰も救われてない感じがして、あまりにも身勝手な話だったなというのが感想。
私が学生の時に「脳死」という言葉と「ドナー」という言葉が話題になったが、海外と日本の「死」に対しての見解が違うというのは興味深かった。
いつの間にか「死」が周りなどでも身近な存在になりつつある時に、もう少しドナーなどの知識を得たいと思った。
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臓器を抜かれる連続殺人の捜査にあたる主人公。切り裂きジャックを名乗る犯人の意図とは……?
死体の描写がしっかりされてて想像が加速する。
主人公、結構家庭のやらかし凄いな?
移植の問題は本当に繊細で難しい。関わる人全てが葛藤を抱えつつなんだなって。
最後の夫婦の絆も何とも言えない。
ラストの親子の再会は泣く。
他の方の感想見た所、古手川は他のシリーズに出てきてる?らしくて気になる。
犬養のシリーズも読みたい。映画も。
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刑事犬養隼人シリーズ。
今回のテーマは臓器移植。これを読むと確かに重いテーマですね。人身売買など臓器は金になりますし。
ドナーについても死の境界線、色々と考えさせる内容でした。
相棒に埼玉県警の古手川刑事。他の作品にも登場して愛着のあるキャラで嬉しい限りです。
最後のどんでん返しは予想外でしたがちょっとイマイチ。しかしながら物語的にはとても良かったです。
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思っていたより骨太の社会派ミステリーで驚いたが、ラストの二転三転は作者らしい展開で楽しめた。テーマは非常に重たく考えさせられるが、何をもって死とするか議論は決着しないと思う。
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臓器移植、今迄何も考えずに生きて来られたのは幸せなんだなぁと改めて感じた。ジャックと警察の攻防がハラハラして読めたけど、どんでん返しが何回もあるとは思わなかった!題材は重いものの後味悪くなくホッとした。犬養は綾野剛を思い浮かべながら読んでました(笑)
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この作者の作品はとても読みやすく好き。特に後半はどきどきしながら、おーそう言う展開にきましたか!となって最後まで一気読み。
健康保険証の裏にある臓器提供に私は丸をつけている。夫にも娘にも念押ししているが、夫は脳死になっても拒否をするといっている。でも小説の中のようなコーディネーターがいるのならきちんと家族に説明をしてくれるだろう、と少し勝手に期待
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スイスイと読めて、臓器移植についていろいろ考えさせられる作品。
中山七里作品にはセリフの語尾に「ですな」つけるのが結構多いけど、30代でイケメンの犬養の語尾が「ですな」ってのはやっぱり違和感があるw
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伝説の殺人鬼を模した凶行の裏に隠されていたのは、現代医療が抱える重い十字架でした。動機については好みが分かれるかもしれませんが、それ以上に「臓器移植」というテーマへの問題提起と、それをエンタメとして昇華させる構成力が実に見事。刑事・犬養隼人の人物像も魅力的で、一気に引き込まれました。まさに、物語のプロが描く「知のエンターテインメント」を堪能できる一冊です。
Posted by ブクログ
連続殺人事件。被害者の臓器をすべて取り出すという狂気的な犯人、日本に現れた切り裂きジャックの目的とは。男の嘘を見破ることができても女の扱いはうまくないバツニ刑事犬養隼人が所轄の若い刑事暴走気味の古手川と組んで捜査を行う。警察上層部のお粗末な指示、疑われる医療関係者。犯人逮捕。動機が気に入らなかったのでどんでん返しには納得。犬養の相棒、古手川に好感。シリーズにまた登場するといいな。
Posted by ブクログ
古姓俊彦
マラソン選手。インターハイ、大学陸上部を経て実業団入り。スポーツ雑誌の誌面を飾るような華々しい活躍とは無縁の七年間だったが、ここにきてタイムが急速に伸びてきた。トレーニング中に木場公園で胴体が切開された死体を発見する。
麻生
警視庁の警部で主任、班長。犬養の上司。猫撫で声になる時は大抵碌でもないことを押しつける。
陣内
深川署強行犯の班長。気位の高い男。麻生とは顔見知り。
六郷由美香
第一の被害者。二十一歳独身。東城信用金庫東陽町支店に勤務。葛西の自宅は両親と三人暮らし。勤勉で素直で、上司や同僚からの評判も悪くない。親しい同僚や友人はいなかった。B型。ネット上でのハンドルネームは〈No.6〉。劇症肝炎で二年間長期入院し、肝臓移植をした。
御厨
検視官。
豊崎沙耶香
帝都大付属病院に腎不全で入院中。人工透析が欠かせない。犬養を毛嫌いしている。隼人と成美との間の娘
犬養隼人
警視庁刑事部捜査一課、麻生班の刑事。階級は警部補。14年目のベテラン。バツニ。
真境名孝彦
沙耶香の主治医。帝都大附属病院の医師。移植推進派。
真境名陽子
麻酔医。孝彦の妻。孝彦が執刀する手術ではいつも麻酔を担当している。
葛城公彦
警視庁の刑事。犬養の後輩だが班が違う。三田村敬介の身辺警護にあたる。
鶴崎
本庁の管理官。今月神奈川県警から警視庁に赴任してきたばかり。警視。
津村
捜査一課長。
仙石
深川署署長。
六郷武則/六郷和江
第一被害者の由美香の両親。
兵頭晋一
帝都テレビ報道局のディレクター。ジャックと名乗る者からの犯行声明を受け取る。『アフタヌーンJAPAN』の緊急ニュースとして犯行声明を公開する。
松井
AD。
住田
兵頭の上司。報道局のプロデューサー。
高野千春
帝都大附属病院の移植コーディネーター。娘の美登里を交通事故で失った。
高里翔平
脳死宣告を受けた二十二歳の患者。ドナーカードを持っていたため、ドナーとなった。
榊原博人
帝都大付属病院勤務。臓器摘出手術では真境名と並んで成功率の高い医師。移殖慎重派。
梨田
榊原率いる執刀チームの看護師。
久世山
榊原率いる執刀チームの麻酔医。
鬼子母涼子
志郎の母。息子である志郎の死を受け入れらない。志郎の分の下着まで買い続ける。夫とはスポーツ用品の会社に勤めていた頃に知り合った。現在はスーパーのお客様係でパート勤務をしている。
鬼子母志郎
十九歳になる体操選手だった。父親は数年前に他界していたがやはりオリンピックにも出場した体操選手で、父の背中をずっと追い続けていた。体育大に入学して二年目、国内大会で上位入賞を続けてオリンピック強化選手に選ばれた矢先にダンプに撥ねられた。意識不明のまま脳死判定されドナーとなった。
涼子の父
雨宮恵美
水泳部に所属する中学生。通学途中に死体を発見する。第二の被害者の第一発見者。
谷垣
水泳部顧問。
半崎桐子
第二の被害者。三十二歳。独身アパート暮らし。川越市郊外の家電量販店カワダ電器に勤めていた。建設中のビルの中で発見された。家族は全員熊谷市在住。遺産や借金に絡むトラブルは皆無。勤務先での人間関係も良好。B型。ネット上でのハンドルネームは〈half cape〉。細菌性肺炎で肺の移植手術を受けたことがある。
光崎藤次郎
法医学教室の教授。
古手川和也
埼玉県警の刑事。第二の犠牲者の解剖所見を光崎に訊きに来たところで犬養を顔を合わせる。合同捜査で犬養とコンビを組む。
渡瀬
古手川の上司。班長。バツニ。
豊崎成美
犬養の最初の妻。沙耶香の母。
筑波稔
恵帝大付属病院の医師。肝臓移植の執刀医。
鮎川達志
黎名病院の医師。肺の移植手術の執刀医。埼玉県医師会常任理事。
朱美
涼子の職場の正社員。スケジュール管理能力はまるで犬並み。
具志堅悟
かつて腎不全を患い、食事療法も化学療法も効果がないまま末期症状を迎え、尿毒症まで発症していた。人工透析に頼る日々が続いていた。親友のブログを通じた募金活動の末に手術費用を手に入れ、移植手術を受けて健康を取り戻した。東京競馬場西門近く、駐輪場の裏で死体となって発見される。二十三歳、B型。
結城丈二
京葉医療センターの医師。腎臓移植の執刀医。
具志堅晴菜
悟の母親。
梁瀬美香
ターフィーショップの店員。二十四、五歳。三十くらいの綺麗な女の人が、悟に話しかけているのを見たと証言。
僧侶
移殖慎重派。
三田村敬介
十八歳、B型。特発性拡張型心筋症を患っていたが、心臓移植をした。
城仁田健譲
羽生谷総合病院の医師。心臓移植の執刀医。
三田村日菜子
敬介の妹。小学校に入ってからますます母親の口調に似てきた。
高千穂
麻生班の刑事。
Posted by ブクログ
面白いけど移植に関しては違和感しかない。
この本が書かれた時点でも脳死腎移植より生体腎移植の方が多かったと思う。
犬養刑事があれほど娘のことを思うなら生体腎移植をまず考えるのでは?
それに日本での移植で募金をつのる?
移植コーディネーターの医師?
リドカインと間違えてハロタン?
中山七里の作品でここまで⁇となったのは初めてです。
Posted by ブクログ
とても読みやすく、ストーリーも分かりやすく、そして犯人も私には分かりやすかった!笑
私の普段の生活の中で臓器移植についてなんて考えたことがなかった…。
だけど実際には臓器提供を待っている患者さんたちがいる事、脳死を「死」とみていいのかという事をこの小説を読んで移植というものの重さを実感。
それにしても犬飼、小手川刑事二人とも私の中ではイケメンのカッコ良すぎる刑事を想像してます笑
欲を言うなら、犯人の動機に何か一捻りあればなと思った。
でもなかなか面白かったです。
臓器移植の奥深さを実感…
とても読みやすく、ストーリーも分かりやすく、そして犯人も私には分かりやすかった!笑
私の普段の生活の中で臓器移植についてなんて考えたことがなかった…。
だけど実際には臓器提供を待っている患者さんたちがいる事、脳死を「死」とみていいのかという事をこの小説を読んで移植というものの重さを実感。
それにしても犬飼、小手川刑事二人とも私の中ではイケメンのカッコ良すぎる刑事を想像してます笑
欲を言うなら、犯人の動機に何か一捻りあればなと思った。
でもなかなか面白かったです。
Posted by ブクログ
著者の作品が面白かったので他の作品も読んでみようと思い購入。
葛城さんが出てきたので嬉しい。
切り裂きジャックを模倣した劇場型犯罪という所が惹かれる。
臓器移植を巡って様々な問題があるとはいえ、明日死ぬかもしれない人を目の前に、諦めろなんて自分は言えないが。
人の優しさにはその分相手への期待があって、それが裏切られたと思ったらやっぱり多くの人が批判するのだと思う。期待が(犯罪者にだけはならないで)くらいなら良いが、(普通に仕事して生きて)だと、病気で最終学歴が低かったり、さまざまな不安の中で生きてるなら、結構難しいのかもしれない。人間、そんなに強い人ばかりじゃないと思う。募金する時は募金したことをすぐに忘れるくらいが良いと思う。そうでないと無意識の期待が裏切られた時に、人を罵倒し始めてしまうから。
募金で臓器移植した方も、受け取った重圧がやっぱりあるだろうなと思うと募金募るのも覚悟がいると思う。今後の人生を、助けてくれた人たちに捧げるみたいな考えは苦しいし無理だと思うから、偶にありがとう、と思って生きたら良いと思う。
善意は自分が良い人間だと思いたい人がやる行為だ、みたいに言ってたが、100%ではない気がする。目の前で辛そうな人がいたら心が痛い、だから助けるって場合、人にはもっと単純で純粋な気持ちがあるんじゃないかなと、思いたい。
Posted by ブクログ
現代の切り裂きジャックは誰だ?
犯行の目的は?
さすが中山七里さんだけあって、容疑者が二転三転していく
何となく犯人わかったなぁ〜と思っている上をいかれた感じではありました
が!執刀医の奥さんが犯行をおこなった動機がわたし的にはイマイチしっくりこなかった
簡単に言ってしまえば旦那に医療ミスをしたことを怒られたくなかった
なるほどねぇ…
Posted by ブクログ
犬養隼人シリーズ
犬養の相棒として古手川登場、臓器移植がテーマでドナーに関わる動機かと思っていたら、まさかの動機に驚き、やはり中山七里作品は面白い
Posted by ブクログ
「カインの傲慢」を読み始めてあれ?このメンバーに覚えがあると気がついた。先に「切り裂きジャックの告白」を読んでいた。犬養隼人シリーズだ。記録がなくて、改めてまた読み返した。
スト―リーは残念ながらあまり覚えてなくて、その上人間関係が思い出せない、登場人物の人間関係は大切。まぁ知らないでも作品を楽しむことはできるけれど。シリーズ作品は順番通りに読めれば流れに乗りやすく面白い。
中山七里という作家は一度テーマを決めると、どんどん深堀をして話に厚みを持たせる人らしい。ここでは犯罪の元になるのは臓器移植だが、非常に臨場感があり考えさせられるところも多く時間がかかった。
命の重みを考えると単に臓器の受け渡しだけでは済まない多くの問題があり、関係者の心情も複雑になる。
殺害方法は、絞殺後にY字に切り裂いて内臓を全て取り出しているという、残忍な方法だった。
犯人は声明文を新聞社に送り付けてジャックと名乗った。
切り裂きジャックの模倣犯なら一件では済まないだろう、捜査本部も緊張する。
第一の殺人は、マラソンランナーが発見する、公園の椅子に何気ない様子で座っていた女性は、絞殺され見事なメス捌きで内臓が取り出されていた。
深川署と公園は道路を隔てただけの至近距離だった。
本庁から麻生班が捜査本部に参加した、犬養と古手川もペアを組んで捜査に当たる。
二枚目の犬養は30代、元気な古手川は20代。
一人目の犠牲者は劇症肝炎で肝臓移植を受けていた。二人目は細菌性肺炎だったが治療が遅れて肺移植が必要になる。成功して仕事に戻っていた。
臓器移植法が制定されてドナーからの移植が可能になっても、ドナーについての情報はコーディネーターだけが知る、ドナーと患者の詳細は漏らせない。
それがなぜ漏れてこの事件になったのか。
まずコーディネーターを疑え、しかし彼女にはアリバイがあった。だがここまでくると彼女も職業倫理などを振りかざしている状況ではない。
三人目は腎臓を移植された男だという。最近のひどい遊びぶりが話題になっていた。
まだ間に合う、彼を張り込もう。
だが競馬場にいた男は男の声で連絡が入り一足違いで殺された。
二週間に三人、犯人は医療関係者か、それでもなぜ情報が漏れた。
四人目の移植患者は三田村という青年、次は彼を狙うだろう。彼には身辺警護の承諾を得た。
犬養は執刀医のアリバイも調べる、だが全員疑わしいところはなかった。その上執刀医にもドナー情報は開示されていなかった。
執刀した神の手と言われる真境名教授と榊原教授。立場は移植推進派と慎重派に分かれていた。
ついにドナーの情報を得る。高野冴子の倫理観と道徳観、その上情報が洩れて殺人事件が起き四人目も危うい彼女は決心した。ドナーは鬼子母志郎。交通事故死したが彼は母一人子一人の母子家庭だった。
ジャックも最後の目的に向かう。
最後はなぜか人情がらみで解決する。少々犯人も人間的で。
ストーリーの展開は、様々な要素が織こまれている。
応援に加わった犬養・古手川コンビもいい。
犬養は古手川に対する先入観が少しずつ変わってくる。古手川は野生人風でいて繊細なところもある。
傍若無人に見えるキャラクターで別のシリーズにも顔を出すらしい。
お馴染み警察内部のキャリア官僚との軋轢。
移植については
脳死判定は慎重にも慎重に。、時間を争いながら様々な医療手続きがある。脳が死んでも体は生きている。
声明文を受け取った新聞社やマスコミの反応。
医師と宗教家との対談(これは臓器移植に対する歴史に育まれた宗教観、死生観、と現場医師の立場を超えた話が興味深い)こういう心理を織り込むところ効果的。
患者は苦痛から解放されてもまだ長い治療時間が必要になる、移植は完全な治癒ではなく代替の臓器との共存であり、莫大な費用が掛かるということ。
中山七里さんが書くミステリはこういう医療問題を取り上げても説得力がある。それをつないで物語にする力を持った稀有な作家なのだろう。
犯人を追いながら臓器移植が必要な娘を持つ父親として、二度の離婚の後別に住む娘を見舞う父親の心理も盛り込み、グロテスクな話の裏に柔らかいところもある。
Posted by ブクログ
主人公・犬養に向けられる元妻と娘の嫌悪に満ちた態度や、本人が自覚している「女の真意を探るのは苦手」という性格描写から、離婚に至るまでに相当な理由があったのだろうと思いながら読み進めた。ところが明かされた真相は、ただの不倫クズ男で正直仰天。そりゃあ病室に来られても娘に無視されるよな……と妙に納得してしまった。
それだけならまだしも、切り裂きジャックに怯えて移植手術を拒む娘に対して説教を垂れる場面まで描かれていて、読んでいてかなり引っかかった。犬養というキャラクターの価値観や振る舞いがどうにも前時代的で、読み終えたあとに著者のプロフィールを調べたら案の定年配の男性で、妙に腑に落ちてしまった。個人的には、この主人公の造形が最後までモヤモヤの原因だった。
物語全体のテンポもあまり良いとは感じられず、終始足踏みしている印象。登場人物が多く、病院関係者、警察、テレビ局、被害者遺族など、あらゆる立場を描こうとしているためか、どの描写が物語の核になるのか見えにくかった。そのせいで、ラストの真犯人が明かされる場面でも「確かにそんな設定あったな……」程度の感想に留まってしまい、衝撃というよりは淡々とした納得で終わってしまったのが残念。
臓器移植をめぐる倫理や道徳に疑問を投げかける社会派小説としては読み応えがある一方で、「切り裂きジャック」を題材にする必然性はあまり感じられなかった。「切り裂きジャック」や「劇場型殺人」という設定が、むしろノイズになっていた印象すらある。あれほど凄惨な事件が起これば、モチーフを借りなくとも臓器移植をめぐる議論は十分に巻き起こるはずだからだ。
犯人の動機についても、期待していたほどの強度や説得力はなく、肩透かし気味だった。テーマ自体は重く興味深いだけに、個人的にはいくつかの設定や描き方が噛み合っていないように感じられた一冊だった。
Posted by ブクログ
脳死判定や臓器移植法がはらんでいる問題の根深さを知ることができました。社会的背景や法成立と改正の流れ、医師間の対立、日本における倫理問題等をよく調べて織り込んでいるなと驚きです。もちろんミステリーとしても楽しめましたが、問題意識を刺激され、普段の生活の中ではなんも思わなかった臓器移植法について考えさせられる小説でした。
Posted by ブクログ
些細な描写も後々影響を及ぼしており、ここでそれが来るかと一喜一憂しながら読み終わった。
ここまでにしよう、と思いながらもページをめくる手が止まらない。
最後のシーンは心がホッコリと暖かくなり、残虐な描写が多い中で唯一の救いのシーンでもあるかなと思った。
シリーズ化しており、続編が出ているので是非そちらも読んでみたい。