あらすじ
本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。このままでは城が落ちる。兵や民草の心に巣食う疑念を晴らすため、村重は土牢に捕らえた知将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるが――。
事件の裏には何が潜むのか。乱世を生きる果てに救いはあるか。城という巨大な密室で起きた四つの事件に対峙する、村重と官兵衛、二人の探偵の壮絶な推理戦が歴史を動かす。
感情タグBEST3
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戦国✕ミステリなので個々の事件の情景が浮かびづらいのは困ったが、一連の事件の黒幕は誰か、官兵衛が知恵を貸した理由、そして城主が城を捨てた史実を全て回収するラストは圧巻。史実故に救われない結末に対して、最後に一筋の清涼感を残してくれたのはありがたい。
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映画化が決まったので、公開前に読みました。映画がどういった脚本になるのかわかりませんが、さすがに情報量が多いので、これは観る前に読むべきと感じました。
私は歴史に強くはないんですが、意外にすんなり読むことができました。当時の世相や武士の心の持ちようなど、勉強になることも多かったです。黒田官兵衛を菅田将暉が演じると知ってから読んでいるので、官兵衛のセリフは菅田将暉の声で聞こえる感じで読んでいました。
映画が何分の上映時間になるのかわかりませんが、この情報量をどう落とし込んでいるのか、不安もあり楽しみでもありです。
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映画化というニュースを見て、面白そうだったので読んでみた。
短編ごとに事件を解決していくが、最後の章で全体の事件がひとつに繋がる。
黒田官兵衛が安楽椅子探偵役。ではあるものの、最後の謎解きでただの探偵役ではないことも明かされ、最後まで面白かった。
ちょうど大河ドラマの同じくらいの時間軸だったので、より面白かった。
信長を否定するような立場からの視点が、少し前に読んだ信長の原理とも通じるところもあって、より理解が深まったような気もする。
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織田を裏切り戦支度を整える荒木村重の城内で起こる不可思議な出来事。これを放置すれば兵たちの志気に関わり、それがやがて落城を連れてくることを防ぐため、村重は土牢に捕らえている黒田官兵衛の元へ通う─
めっちゃおもしろかった。
普段時代物はミステリしか読まない知識のない身でもすらすら読み進められる物語力。文章もかっこいい。
雪密室、首のない死体(の変奏)、などミステリ読みとしてもワクワクする謎で、かつ、この時代、武士であることにきちんとよった作り。
いのちの軽さ、時代、祈りが絡み合い哲学的な思考にまで下っていくラスト(の手前)がお見事。
Posted by ブクログ
○ 特殊設定への期待
「自分は新たな”新本格”運動のはじまりを目にしているのだろうか?」との思いを抱きながら本書を読んでいた。
新装改訂版の『十角館の殺人』の解説で「新本格が一般化して現代本格となり、時間が経つとその型を破る新たな新本格が現れてくる」という流れが過去何度も繰り返されてきたことを知った。綾辻らから始まった現代の新本格も30年(= 一世代)を優に超える時間が経ち、新しいムーブメントがいつ起きてもおかしくない頃合いであると思っている。本書も含む2010年代後半からの硬派な特殊設定ミステリーの秀作達の出現は、次のミステリーへの動きなのかもしれない。
すでに『十角館の殺人』内でも問題にされていることでもあるが、現代は科学捜査や監視カメラの発展で探偵役の推理の余地はどんどん少なくなっている。それをいかに掻い潜って推理の世界に持ち込むかというのがミステリー界が腐心していることだと思うのだが、「外部との隔絶」一辺倒ではいかに工夫を凝らしたとてマンネリ化が否めない。近年の(従来を超える広い意味での)特殊設定ミステリーはSFやファンタジックな仕掛けで科学捜査を無効化し、推理の活躍する余地をこじ開けているところが新しい試みだと感じている。
本書は時代を遡り、現代社会から時間的な距離を取ることで科学捜査を使うどころか存在すらしない状況を作り出しており、「こういう特殊設定で純粋な推理とトリックの勝負に持ち込むか!」と感心した。
また、近年の特殊設定の良作に共通する特徴として、「ミステリーのオマケとしての特殊設定ではなく、物語の中によく練り込まれており文章自体も面白い(だから物語の世界に引き込まれ非現実的な設定を自然に受け入れてしまう)」というものがあるが、本書もその例に漏れず戦国時代に生きる人間の心理や風景描写の妙、特殊設定とミステリーの親和性の高さという点で非常に優れている。
○ 本書ならではのミステリー的特色
本作は戦国時代を舞台とした特殊設定のミステリーと呼べるものだと思うが、時代小説部分の完成度が非常に高く、時代小説とミステリーの融合と言えるような作品になっている。
ページ数で見れば本書のかなりの部分は「有岡城籠城戦記」なのだが、それでも本書のジャンルを挙げるなら確実にミステリーであり、戦国の人間模様も合戦もミステリー部分を活かすために描かれていると感じた(重厚な時代小説なのだが、それでもミステリー部分を除いてしまうと味気なくなる)。
この「戦国時代の籠城中の城内」という設定は非常に上手いところを選んでおり、不自然さの解消や緊張感の維持、トリックや犯人の動機など多くの点において上手く機能している。
例えば、推理小説の中で重要ではあるが不自然になりがちな死体の傷の検分(本来は刑事や探偵であっても明言できるほど検死の場数を踏んでいるはずもない)も、歴戦の将である村重ならば矢傷や刀傷の詳細を間違いようもなく言い当てることができる。
籠城中の総構えの城郭を舞台としたことで、事件が起きる場所にバラエティを持たせ、各所に点在する小さな密室(:事件の舞台)と城郭内という大きな密室(:犯人が外部に容易に出られない)の二重構造も作った。
また、殺人が連続するという現代社会ではパニックを起こしそうな異常な状況も、暗殺・謀殺が常の戦国の世、それも戦況が膠着した籠城戦(しかも敵方の間者が場内に潜入している描写がうまくちりばめられている)ともなれば実行犯がバラバラであっても不自然ではなくなる。それとともに「士気を崩壊させないために早期に、完全に解かなければならない」という事件解決への強烈なモチベーションと焦燥感も与えている。
史実を知らなければ村重に凶刃が届く可能性も感じられ、内応も考えると味方も疑わしくなってくる。これは進行中の殺人事件の渦中で推理するのと同じ緊張感である。しかも、ただ生き残るだけではダメで、危険を冒してでも必ず事件を解決しなければならないというミステリーにはうってつけの縛りがある。
一般的なクローズドサークルのミステリーであれば事件が進むごとに登場人物が減り、「(偽装がなければ)残った人物の誰かが犯人」という絞り込みが起きてくるが、本作は城内に多数の将兵がいることで人数は減らず、むしろ疑心暗鬼によって味方が減り、犯人候補が増えていくような構造にもなっている。
第二章の『武士はあまり、恥辱を耐え忍ぶことをしない・・・その刀を主人に向けるか自らの腹に向けるかの違いはあれど・・』の台詞はその場面ではハードボイルドな時代小説の様相なのだが、のちにはミステリー部分の背景にもなっており二重の意味をもたせていて上手いと唸った。
これらの要素を考えると、本書の時間・場所の設定でなければならなかったことが分かってくる。戦慣れした将兵の存在、強大な城郭とそこでの籠城戦、扱いの平易な火器の存在、という条件は前後の時代ではそろえることのできない絶妙な設定だったと言える。
本作は大筋を歴史の流れ通りに展開していく、というよりも史実の隙間を想像力とミステリーで埋めている構成(想像力だけで埋めれば純粋な時代小説となる)なので、歴史に詳しければ登場人物のちょっとした所作に別の懸念や解釈が生まれる。結末を知っていればミステリー部分とは別のハラハラを感じながら読み、史実を知らなければ荒木村重や黒田官兵衛の行く末を案じながら読み進めることができる。村重謀反の顛末を知っていても知らなくても楽しみ方があるのは良い作りだと思う。
また、史実通りだからこそ、吉川元長が書状に記した『あら木弓・・』の歌を見て、「この史実をもじってトリックを発想するのか!」と驚いた。虚実を違和感なく混ぜ合わせてくるところに著者の作家としての腕を感じる。
○ミステリー関連以外の良いところ
ミステリー部分以外にも見るべきものは多い。
各場面での明暗の表現が上手い。時代柄、夜の闇が深く、文中での描写が写実的でもあるので、登場人物だけでなく読者にも疑心暗鬼を起こさせる効果がある。「暗さと灯りがトリックに関係あるのでは」とか「暗がりの中の人物とのやりとりは心暗い部分や暗い未来を暗示してはいないか」といったハラハラ感がある。
時代小説としての”色”の移り変わりも本書の見所に思える。
自信に満ち勇ましい軍記物としての前半から敗色が濃厚となっての人間心理の描写、一向一揆が親鸞上人の教えから乖離している点を突く視点(この部分を読んで西洋や中東の宗教戦争と一向一揆が似てはいても何か異なるのは浄土真宗の教えとの齟齬がある点にあると思った)と、物語の進展に伴って雰囲気が遷移していく。
村重が求心力を急速に失っていく様や部下への猜疑心などは、英明な君主が疑り深く残忍な暴君へと変貌していく過程を上手く表している。勝者の物語では詳しく描かれない”悪役”の成り立ちを説得力や共感を持って描けているようではすごいと思う。
有能でありながら考え方が普通(?)で読者が共感しやすい村重に対して、底知れぬ異能の狂人として描かれているのが黒田官兵衛である。
地下牢に繋がれた官兵衛の異様は、異界のような地下牢の様子と合わせてうまく描かれている。
捕えられるシーンでの鮮やかな好漢と湿った暗闇の中の凄みのある狂人のコントラストはクッキリとしていて、探偵役のキャラクターを際立たせている。
状況的に村重を刑事役、官兵衛を“安楽椅子探偵”と分類すべきなのだろうが、境遇や様子からはとてもそう呼べないという印象を抱く。「羊たちの沈黙シリーズのハンニバル・レクター(;『解説』でもオマージュが言及されている)のように遠隔で事件の犯人に影響を与えているのでは?黒幕なのでは?」と終始疑いながら読んでいた。
黒田官兵衛が陰険な切れ者として描かれることはあっても、タガの外れてしまった狂人というのは見たことがないのだが、本書の異様な官兵衛のキャラクターはしっくりと馴染んでいた。物語の中盤以降では「官兵衛がこの人柄のまま後の歴史を生きるなら、本能寺の変が起きるのを読んでいたような鮮やかな中国大返し(:実際には村重反乱の教訓を生かし確保していた退路を応用しただけだが)や、秀吉に警戒されて功労者ながら大身となり得ず遠ざけられたことも納得できるし、非常に不気味な存在であり続けただろう」と本書の内容を超えた官兵衛像を創造し納得してしまっていた。
最後は憑き物が落ちたように元の爽やかな武将に戻っているが、土牢の中の魔人官兵衛も自身の一部だと自覚しており、復讐に駆られた人間の異常性や二面性、そこからの非連続的な復帰が描かれている。
本書の主人公を村重とするのか官兵衛とするのかはわからないが、エンディングでの二人の扱いも対照的である。その心理が明瞭に描かれる官兵衛と、有岡城脱出後はあえてあっさりとしか触れられない村重。これは籠城中の「村重の心理や思考は緻密に、官兵衛は何を考えているのか全く掴めない」とはひっくり返ったような描写でさっぱりとした終幕と余韻を残している。
ひとつだけ改善すると良い点があるとすれば、人物の一覧表が欲しかった。ミステリー作品では巻頭に人物一覧が載っていることが多いが、本書にはそれがない。
本書は史実由来の登場人物が多いので、ミステリーによくある人物の特徴を捉えた人名にはできず、人物名に幼名や職位、洗礼名などが含まれて現代とは雰囲気も異なるので人物を覚えづらいかもしれない。私は自分でメモを取ってそれを見ながら読み進めたが、人物の簡単な説明と名前の一覧があるとわかりやすくなると思った。
○解説も良い
『解説』も、わかりやすい平易で素直に感想を盛り込んだ文章でありながら本書内の哲学を上手く汲み取り、表現していて非常に良い。
ドイツ人である解説者は、日本史を元にした時代小説である本書内容から解説者のルーツであるヨーロッパ史へと思いを馳せることで、日本人とは少し違った方向からの視点を提供し、本書の底を流れる複数のエッセンスを理解しやすく解説してくれている。
本書を賞賛する根拠と熱量が共に感じられるよい解説だと思った。
Posted by ブクログ
10か月におよぶ籠城という閉ざされた空間で起きる怪事件を、城主荒木村重が城内の土牢に監禁していた当代きっての知恵者黒田官兵衛に助力をあおぎながら解決していくという、もっとエンタメに振り切った戦国ミステリーなのかと思ったら、ミステリー味のある堂々たる歴史小説だった。
あまり幅広い作家の歴史小説を読んでいるわけでないので正確な指摘ではないかも知れないが、武将たちの作法の細かい描写(対面の時に会談の内容やお互いの身分によってどういう部屋が使われているか、戦時下なので武具を装備しているが、その時それらのどこまでを身に着けてどこは外しているか、軍議や伝令の合図の陣太鼓の使われ方や音の伝わり方、砦や城内、城下町の籠城時の日常描写(兵糧や武具の管理の在り方)、戦の仕方(名乗りや首級をあげる際の段取り、刀、槍、鉄砲等の攻撃方法の選択の必然性や、死角を作らないための草刈りであるとか、捨てられた敵の防護柵は処分しないと再利用されるなどなど)の描写のディテールに感心。歴史小説でここまで書かれたものをあまり読んだことがなく、これなら映像にする時の考証も楽だろうと思う。
籠城ものということもあり、誰が何を考えているか、荒木村重を超一級の洞察力の持主に描くことで、登場人物たちの腹のうちを探っていく心理劇であることも新鮮だった。反面読む前に思っていた4つの密室ミステリーのほうは、そもそもそれほどミステリーとして追求されていない、いわゆる物理的トリックのような面白さはほぼなかった。しかし4章仕立ての短編ミステリーが、やがて一つにつながり、それが荒木村重の史実自体の謎である「なぜ信長に謀反を起こしたか」「なぜ黒田官兵衛を殺さず監禁したか」「なぜ一族女子どもを見殺しにしながら自分一人城から抜け出したのか」の謎解きにつながるという趣向と、本作で提示されたアイデアは面白かった。
歴史小説におけるフィクションの醍醐味は、架空の出来事が、すでに判明している史実のそこに着地するのか~、という、史実を知っていればこその面白さ、ということが多いと思うが、クライマックスで官兵衛に待ち受けていた運命は、逆に史実を知らないほうが圧倒的に盛り上がっただろうな、と思う。
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歴史物と聞いてしばらく読まずにいたが、とんでもない。やはり米澤穂信だった。歴史物にこんな形で米澤穂信ミステリーが織り込まれるとは。史実を知らぬ方が最後まで楽しめた(だろう)。村重や官兵衛の情報が何もなくても最高のエンターテインメントを味わえるでしょう。
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どっしり重いのにどこか軽妙。
ずっと気になっていたが、あらすじの重さ、表紙の圧迫感(笑)から読み時をうかがい続けていたが、映画化と聞いてもはやこれまでと手に取った。
米澤穂信の文章はとても気持ちがいい。文学してるぜぇーって気持ちになれる。声に出したい日本語が山ほどある。
荒木村重の苦悩、同じ才覚を持つ「城の地の下にいる者」、黒田官兵衛。二人の認め合う関係性が堪らない。
そして何よりも千代保が美しすぎる。「いつわりの奇瑞が人を救うのもまた、この世の習いではございますまいか」からの辞世の句までの美しさ。見事だ。
家を存続させるために、誉れ高く生きる。
宗門の教えを胸に極楽浄土を目指して生きる。
武士が武士らしくあり、争いがすぐ隣にあった時代において、生きる目的、生きる方法はこのようなものだったのか。
では、果たして現代の憂き世に抗う方法は何なのだろう。
現代はずっと安全で、そしてもっと複雑だ。
彼らの生き様を見て、仕事や家族、人生そのものに対して自分の中にどこか信念を持って生きるべきなのだと思った。油断してるとすぐ流されちゃうからなあ。
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映画の告知を見て、気になって手に取りました。時代背景が良く分かるように書かれてあり、武士の生き様や宗教への考え方、生と死の向き合い方等、今の時代より死ぬことが身近にあった時代だったんだなと思いました。全く登場しない信長ですが、いかに恐れられた存在なのかよくわかります。ミステリー要素もありつつ、それを凌駕するほどのヒューマンドラマです。もう一回読み直してみたいです。
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米澤穂信、すごすぎる。
歴史にあまり詳しくはないが、夢中で読める。
1つ1つの事件はもちろん、城の中で起こる小さな火種は少しずつ膨らみ、やがて戦乱の中で巡る因果に呑み込まれていく恐ろしさがあった。
ミステリの枠におさまらない大傑作。
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古典部シリーズの作者と思って読んだ。
同じようにスッキリと謎解きがされて面白かった。
史実のなかにフィクションを織り込んでおり、構成が大変だったのではと思う。
直木賞には歴史物が有利
知勇兼備の名将荒木村重が織田信長に叛逆し、有岡城で籠城。籠城中に様々な事件が起きるものの、牢に囚われた名軍師黒田官兵衛が安楽椅子探偵風に謎解きをしていく。歴史&ミステリの直木賞作品で、悪くはない。🏯しかし、米澤穂信の青春ミステリファンとしては、米澤が落選続きの直木賞受賞を狙って、受賞に「有利な」歴史物を、あえて執筆したような気がした。本作は軽妙洒脱な「いつもの」米澤成分が足りないのだ。果たして、受賞第一作は青春ミステリ。ライト文芸ファンの想いが垣間見れる。🏯
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ミステリーの歴史小説!新しくて面白かった!
荒木村重が織田信長に謀反をして牢城。謀反を取り消すようやってきた黒田官兵衛を牢屋に入れる。その後に起こる事件を解決していく。荒木村重の味方がいなくなっていき、情勢も悪くなっていく。村重視点の物語が珍しくて面白かった。
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戦国×ミステリーというありそうでなかった組み合わせと、映画化もするということで興味をそそられた。登場人物はさまざまで、歴史にある程度興味のある私であるがあまり聞いたことのない人物もたくさん出てきた。裏を返すならば日本史知識をさほど必要としない点からも、この作品が映画化した理由が十分わかるといえる。城内で幾つかの事件がおこり、それを城主荒木村重と囚われの軍師黒田官兵衛が解決していくというもの。歴史好きなら分かるかもしれないが、有岡城は落ちる。結末がある程度予想できるからこそ、裏切りの連続が予想だにしない方向からきて心地よさすら感じられる。しかしミステリに偏るのでなく、ちゃんと歴史物の雰囲気を残しているのがさすがである。映画も楽しみだ
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歴史はもともと好きだったけど、ここまで“物語の外側”まで知りたくなった作品は初めてかもしれない。
最初は戦国用語や人物名に苦戦しながら読んでいたけど、気になる言葉を調べていくうちに、どんどん世界に入り込めた。
ミステリーが面白いのはもちろんなんだけど、荒木村重という人物が特に印象的で、単なる“裏切り者”ではなく、恐怖や迷いを抱えながら決断した人間として描かれていたのが面白かった。
誰が正義・悪ではなく、それぞれの立場や事情が見えてくるところにすごく惹かれた。
読み終わった今は、物語だけじゃなく史実や周辺人物についてももっと知りたくなっているし、実際に有岡城跡にも行ってみたくなった。
2ヶ月くらいかけてゆっくり読んだけど、「本を読むってこんなに楽しいんだ」と思わせてくれた一冊。
Posted by ブクログ
普段歴史小説を全く読まず、歴史に明るくもなく、黒牢城の根幹のエピソードを全く知らなかった自分でも最後まで読み切ることができました。(織田信長に謀反した荒木村重が、黒田官兵衛を牢に捕えたという史実すら全く知らないレベル。)
文体にクセがある、いわゆるしっかりとした「時代物」という趣きなので、慣れるまでは少し苦痛でしたが、背景がうっすらとしか分からなくても読み進められる急進力があり、そこに著者の力量を感じました。
なによりちゃんと史実に添いながらもミステリー小説の王道を行くので、そこが面白い。
ただ、専門用語が多用されるため、歴史の知識がある人の方が当然理解しやすい内容です。しっかり背景を理解しながら読むというよりは、ざっくりとでも楽しく読み進められる人に向いている作品だと思います。
Posted by ブクログ
読み応えあり
歴史に疎いながらも、戦国時代に興味あり
登場人物はどんな関係だっただろうと調べながら読む
戦国時代のミステリーは、私にとって新しい分野であった
1回では理解ができていない部分が多い
映画で振り返ることができるので、楽しみ
Posted by ブクログ
織田信長に反旗を翻した荒木村重は、有岡城に立て籠もった。
城内で起きる数々の難事件によって、内部から城が崩壊することを危惧した村重は、土牢に捉えた黒田官兵衛に謎解きの助言を乞う。事件の真相とは。直木賞受賞作。
歴史小説として面白い。
方々から人質をとるそのわけ、籠城戦のいろは…当時の戦や武士の構造が面白く読める。米澤作品は何作も読んだが、こんなに精巧な歴史小説も守備範囲だったとは、素直に感嘆した。表紙とタイトルからは、重厚で固い読みづらさが想起されるが、大河ドラマのようにエンタメに適度に振られた作りで読みやすい作品である。
殿の孤独がよく伝わってくる。
部下からの篤い信頼も、戦況によって容易く変化する。表向きは忠臣であっても、言葉の端々、一挙手一投足で心の距離を感じることもある。腹心の部下である郡十左衛門にすら謀反の疑いを向けたことからも、村重が真に信じられるのは己しかいないのがよく分かる。軍議でも、結局最後に詰め腹を切らされるのは将であるので、喧々諤々の議論もどこか他人事に感じることもあった。プレッシャーを一手に引き受けて、城の舵取りをする村重の重責は、想像に余りある。
ミステリィとの相性はどうだろうな。
まさに合戦の最中。一度戦火が切られれば、謀反や暗殺なんでもござれ、武士の死は日常に溶け込むのではないか。織田に城が落とされようというのに、「誰が」だけでなく、「どうやって」自念や無辺、瓦林能登入道を殺害したのかを丁寧に突き止めようとするのは少し違和感。現に、部下の将たちは、それが分かっても村重への忠信を取り戻しきっていないように思った。
松壽丸の生存が分かってから、黒田官兵衛の心情は何も動かなかったのか。
松壽丸が生きていた、竹中半兵衛ありがとうというところで物語はふっつりと終わる。それを以て、村重への思いに何か変化があったのか、またはなかったのか、その後を知りたかった。
Posted by ブクログ
歴史小説には苦手意識があり、なかなか手を出していなかった本書。
とにかく読むのに時間がかかった。
村重が実在していた人物であり、どのような形で歴史に残っているのか、一般的に知られているのか等の知識があればもっと楽しめたかなと。
戦国無双の知識だけでは苦しい...笑
Posted by ブクログ
時代小説と思いきや、立派なミステリー
言い回しや単語にそれらしきものはあるものの、浅い知識でも充分に楽しめる
荒木村重という武将は言ってみれば「悪名」の権化のようなもの…その評を、なるほどそうなのか、と裏切ってみせ、また、背景を描いて納得させる…そのトリックがとても効いていた
史実に忠実かどうか、はとりあえず傍に置いておいて…いわば「密室」のような籠城作戦の真っ只中の「城」の中で起こる数々の難題を、あろうことか、捉えて土牢に閉じ込めた黒田官兵衛と解決する…
後半、官兵衛が協力した経緯も明らかになるものの…その知略が素晴らしい、さすが官兵衛と唸る
それにしても
常に腹の探り合い、疑心暗鬼、、、一筋なわではいかない曲者ばかりで、正直疲れた…
こんな時代に生きていたら何も信じられない
信長もこの有岡城を落として、さらに人を殺めるわけだが、その3年後、本能寺の変は起こる
なんの因果か…とは思えるも、そもそも信長という人間が因果など露ほども思ってはいないだろう
そんな世の中で、村重の妻、千代保の言葉は胸に響いた…「進めば極楽、退けば地獄」と教えられ日々、戦の中に身を置く武将達のいわば、通説となっている思考を、ものの見事に覆す
「進もうが退こうが、地獄なんてない」
千代保の辞世の句
「みがくべき心の月のくもらねば
ひかりとともににしへこそ行け」
西とは極楽浄土のこと
私は思う…極楽浄土とはどこかにあるものでもなく、いつかたどり着く場所でもなく、またあるとも無いともわからないけれど
心に何を住まうか、何を光として信じるか、つまり心そのものの有り様が、極楽浄土にも地獄にもなるのではないか、と…
村重のように、進んで進んで無敗を誇っても、常に人を疑い、己を疑い、疑心暗鬼にかられ、最後には城を抜け出さざるを得ない生き様は、果たして極楽浄土などてはとても無いと思う
それこそ、無限地獄なのではないだろうか
対照的に、土牢に一年もの間閉じ込められた官兵衛は…というと…有岡城の陥落とともに救出されたのちに、最愛の息子と再会を果たす
てっきり信長により成敗されたとばかり思っていた息子が、実は竹中半兵衛の元で匿われていた、という史実は知っていたから、失意に沈む官兵衛はいつ知るのかと思っていたら、ラスト…鮮やかな展開だった
後に官兵衛によって残され、黒田家の家訓となる言葉
「神の罰より主君の罰おそるべし。
主君の罰より臣下百姓の罰おそるべし。
臣下百姓にうとまれては、必ず国家を失ふ故、祈りも託言しても其罰はまぬかれがたし。
故に神の罰、主君の罰よりも、臣下万民の罰は尤もおそるべし。」
この家訓の元で長じた官兵衛の息子、黒田長政は筑前守となり、現在の博多一帯を治めて町の名を福岡と変える…官兵衛の遺訓は後々まで伝えられて福岡を大いに栄えさせた、そうだ
それもこれも、竹中半兵衛が主君である信長の命に背き、人質であった官兵衛の息子の生命を救ったことによる…戦の世の慣わしよりも、武士の慣わしよりも、人としての道理を通した半兵衛の心にも極楽浄土はあったのではないだろうか…
史実と虚構を入り交ぜた巧みな作りで、時代小説のテイをとりながらミステリーを綴り、様々な人間模様を浮かび上がらせながら、大団円へと導く筆力は素晴らしかった
Posted by ブクログ
古典部シリーズで夢中になった米澤さんの直木賞受賞作、2026年には映画化もされた作品ということもありある種「約束された名作」と信じて、特に中身もあらすじも見ずに買った。
いざ開いてみると言葉遣いは難解で、歴史に疎く荒木村重も黒田官兵衛も初耳だったのでこれは読み切るのが大変だと感じた。
ところがどっこい確かに読み進めるのは大変だったが面白い面白い。単に謎解きに収まらず、結末にメッセージ性を持たせてくれるところはさすがの米澤作品だった(といいつつ古典部シリーズとは全然違う!なんだこの引き出し!?)。
北摂地域は多少縁があったので少し読み進める助けになった。縁もゆかりもなく歴史も疎い人が読むのは大変そうだ。
Posted by ブクログ
黒田官兵衛好きとして読まねばと思い、数年前に購入し読むも、今までみた時代小説で1番読むのに時間がかかり文量も多く挫折を繰り返していたがようやく読めた。
有岡城に籠城中の荒木村重に捉えられた官兵衛が、城内で起きるミステリーに名探偵として荒木とタッグで挑む!みたいな話かと思っていたがだいぶ違って、メインは村重。
籠城中である状況など相まって、都度発生する珍事に対する村重や家臣の反応も変わり、それをさも最初からわかっていたかのような感じで牢で多少言葉を発するのみの官兵衛。おもしろかった。
しかしミステリーとしてはちょっと拍子抜け感があり、個人的にはミステリー✖️官兵衛でテンションが上がってしまっていたが、ミステリーを前面にというわけではなく、当時の時代背景などからみえるそれぞれの心情などに打たれる部分がありそこがおもしろかった。
だがやはり読みづらさが、、、時代物を読む時は覚悟がいるかもしれない。
Posted by ブクログ
なぜか自分にはハマりきらず読むのにすごい時間がかかってしまった
結論面白いとは思った
時代ミステリーの要素がありつつ、だんだんとそれだけではない戦国武将荒木村重を取り巻く環境の変化、価値観のぶつかり、官兵衛との土牢での対談といった様々要素が複雑に絡み合っていくさまが面白い
フィクションであると同時に、時代背景も含めて当時のことを調べたくなる
時代っぽい言い回しがあまり個人的には刺さってなくて、逆に意味がすっと入ってきづらくて時間がかかってしまった感あり
Posted by ブクログ
映画の宣伝を見て手に取った本。「籠城という密室で数々の怪事件が起きるという、歴史とミステリーが融合した本」なんて、この両ジャンルが好きな自分としてはワクワクする。
読んでみると、全体的にとてもまとまった作品という印象だが、なんというか、荒削りなところがなくて若干物足りなさを感じる(荒削りなら荒削りで文句を言っていたかもしれないが)。
最後で官兵衛の子供が助かっていたことが明らかになったが、読後に調べてみたら、半兵衛が子供を助けたのは史実らしい。このシーンが爽やかな終わり方を演出していた。
Posted by ブクログ
難しい用語や言い回しが多かったり、史実を調べながら読んだりしたので読むのにかなり時間がかかってしまいました。
諸々の黒幕…というか手引きをしていた人の正体はなんとなく分かっていたのですが、その動機にはなるほどなぁ…とあの時代の人々のことを考えさせられました。
戦国の世の無常さと生きる人々の立場ごとの心情がリアルでこういった時代小説ももっと読んでみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
時代物は読み慣れないため時間がかかりましたが、面白かった。史実と違うとはいえ、このような時代が本当にあったということに改めて恐ろしく現実世界ではないような感覚を覚える。
武士の世は安心して眠ることなんて出来ないなぁなんて軽く聞こえてしまうけど、すごい精神状態だったんだろうな。
黒田官兵衛、生かされて地獄とはまさに…