あらすじ
本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。このままでは城が落ちる。兵や民草の心に巣食う疑念を晴らすため、村重は土牢に捕らえた知将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるが――。
事件の裏には何が潜むのか。乱世を生きる果てに救いはあるか。城という巨大な密室で起きた四つの事件に対峙する、村重と官兵衛、二人の探偵の壮絶な推理戦が歴史を動かす。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
軍師官兵衛のファン
私が一番好きな大河ドラマは軍師官兵衛です。なかでも好きな武将は荒木村重でした。
やっぱり戦国武将に纏わるエピソードというのは美化されることが多いなか、荒木村重は2度の謀反に加え、城から逃げ出し武士らしく自害もせずに生き恥を晒す始末。ここに人間らしさを感じずにはいられませんでした。
そんな私がこの作品に出会えたのは奇跡のような体験に思えました。あまり衝動買いする性格ではないのですが、これは迷わず即買いでした。
もともと軍師官兵衛を観ていたので官兵衛は岡田准一さん、村重は田中哲司さん、だし様は桐谷美玲さんで脳内再生されてました笑。
ようやく本の感想に入っていきますが、簡潔に言って面白いです。四つの事件を通して見えてこなかった村重の全貌が少しずつ暴露されていきます。
これには村重の行動指針も含まれていて大河ドラマでしか知らなかった私の村重に対する解像度が補完されていく感覚を味わえました。
そして官兵衛が出てくるときのワクワク感と爽快感。村重が時間をかけても解けなかった事件をどうやって解くのかといったワクワク感、そして事件が解けたことによるカタルシスが官兵衛の登場で同時に味わえます。
ラストはネタバレになるのであまり語りたくはありません笑。硬い文章で読みづらさも多少あるので最後まで読んだ読者へのご褒美とでも思ってください。とにかく衝撃的で背中がゾワッとした感覚を味わえました。
この作品を読もうとしている方に無理に軍師官兵衛を観ることを勧めはしません。逆に軍師官兵衛を観た人は絶対に読んだ方がよい作品であるとは言えます。
一風変わったミステリーを読みたい人、もしくは自分の歴史の知識を感情やストーリーで補完したい人にはおすすめの作品です。
Posted by ブクログ
歴史関係に全く疎く、そのテの時代小説も避けてきた。ただ、本作はミステリ、米澤穂信、そして直木賞受賞ということで、読んでみるかぁと手に取った。
時代小説特有の言い回し、序盤はやはり苦手だったけど、最初の事件が発生してからするすると読んでしまった。それぞれの事件もちゃんとミステリだし、気になっていた火鉢の描写もちゃんと伏線として回収されたし、さすが。明かされた真相、犯行理由がこの時代、背景ならでは。ミステリとしてだけでなく、作品として最高に面白かった。
陳腐なことしか言えないが、黒田官兵衛の遺訓も心に残った。よもやこんな結末になるとは。言葉で表現できない自分の国語力が悔やまれる。残酷な時代に救いがあったともいえるし、それが早く伝わっていればより大きな救いもあったのかもしれないし、もっというと主従関係とか、人質とか、この時代に罷り通ってた道理がおかしいわけだし…
黒田官兵衛と荒木村重の牢でのやりとり、まさか羊たちの沈黙のオマージュとは。
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荒木村重。ゲーム「信長の野望」で優秀な武将としてその名前は知っていたが、謀反を起こしたことやその生涯は知らなかった。本書でもなかなかの知将として描かれている。途中、その生涯を調べたくなる誘惑に駆られながら読み進めた。
籠城中の城内で事件が起き、村重が「探偵役」となって調べ、わからなくなって官兵衛にヒントをもらって解決、という流れが面白い。
3つの話の後、4つ目ではまさかの「黒幕」が。一つ一つの事件の伏線回収されスッキリ。この「黒幕」の語りには迫力があり考えさせられる。
そして、最後に官兵衛の真の狙いが明らかになる。
ミステリーではあるが、宗教などについて考えさせられる。また、人の世の中「信用」というものがいかに大切かと思った。村重に対する「信用」が揺らぎ部下の心が離れていく様がリアルだった。
本能寺の変、明智光秀の謀反の理由も、本書の村重と同じような理由なのかなあと思った。
直木賞には歴史物が有利
知勇兼備の名将荒木村重が織田信長に叛逆し、有岡城で籠城。籠城中に様々な事件が起きるものの、牢に囚われた名軍師黒田官兵衛が安楽椅子探偵風に謎解きをしていく。歴史&ミステリの直木賞作品で、悪くはない。🏯しかし、米澤穂信の青春ミステリファンとしては、米澤が落選続きの直木賞受賞を狙って、受賞に「有利な」歴史物を、あえて執筆したような気がした。本作は軽妙洒脱な「いつもの」米澤成分が足りないのだ。果たして、受賞第一作は青春ミステリ。ライト文芸ファンの想いが垣間見れる。🏯
Posted by ブクログ
時代物の小説をあまり読まないのと戦国時代が苦手で知識も乏しいゆえに、大好きな米澤穂信さんの本なのになかなか手が伸びなかったのだけど。最後まで読んでよかった。よく知らない人物や城を調べながら読むのも楽しかったです。最初は籠城とはいえどまだ開放感があったのに、ゆっくりと閉塞感で満ちていくのがお見事。
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織田信長の家臣有岡城主となった摂津守荒木村重が謀反、同じ高槻城の高山右近、茨木城の中川瀬兵衛などが織田側へ寝返り、秀吉の命で使者となった黒田官兵衛は有岡城の地下牢に閉じ込める。城内では中川家の人質が何者かに殺害されるという事件、手柄の首がすり替えられる事件、「五本鑓」の中でも刀法の抜群の遣い手である秋岡四郎介が何者かに斬殺される事件、そして「寅申」が庵より持ち去られ、密書も読まれた形跡の事件、内通していた武士が雷で死亡するが実は鉄砲での事件とみなされるが犯人が見つからず等。城内での様々な事件と長い籠城戦が城主と家臣との信頼を揺るがし「不忠の風聞」を起こした。城主として取った行動は関係者への対面と現場検証、必ず現場から予測と証言を照会し(官兵衛に試し)結論を導いていることだ。現代の経営者では、情報を収集し、分析、予測、検証から結果を出すに似ている。小説の結末は予想外の人物を映し出す、またそれはその人物の何人の死の信念を貫くことだった。ただ一人を除いては城内には謀反者はいなかったのだ。村重の謀反と籠城要因は、信長の敵に対する人の道を外れた野蛮で卑劣な仕打ちを繰り返す獣に反抗する事、対する村重の罪人も殺さずの風聞を世に流すことだった。明智光秀の謀反(本能寺の変)もこの信長の武士を含めて民に対する余りにも卑劣な行動に誰かが止めなくてはと対抗したのかも知れない。
Posted by ブクログ
信長に謀反を起こした荒木村重を主人公に、囚われの黒田官兵衛が安楽椅子探偵となる異色の時代小説ミステリ。著者初の時代小説となる本作で、以前の『可燃物』などを読んでいると分かる通り、小説の内容に合わせて文体を変えられる作家と知ってはいたものの、いざ読むとこれほどまでに時代小説に適応しているとは思わなかった。元々、教科書に残り続けるような「古びない」文体を得意としているが、本作は時代小説特有の言い回しがそれに合致しており、違和感がないどころかかなり本格派の時代小説に仕上がっている。『氷菓』などのイメージで読むと面食らうかもしれないが、言い回しがややクセが強いだけで、信長をぼんやりと知っている程度の歴史知識でも読み解けるほどに内容は易しい。
しかしながら、易しいと言っても安易と言うわけではなく、最初は時代小説の装いだったのが場内で起こる怪事件を皮切りに、著者の持ち味である本格ミステリの雰囲気がしっかりと漂ってきて、むしろそれを読むまで本作がミステリであることを失念していたほどに時代小説としての完成度が高い。それでいながら、本作の探偵役である黒田官兵衛は魅力的でありながらも、著名なだけに翻案・脚色されることも多いキャラクターではあるが、本作は数多の他作品と比べても遜色ないほどに底の見えない切れ者としての魅力的なキャラクターに仕上がっており、何よりも特筆すべきはその主人公との関係性だろう。決して信頼関係で結ばれているわけではないと言うのが素晴らしく、牢に閉じ込められた黒田官兵衛をハンニバル・レクターとして見立てているのは面白かった。
お気に入りは第二章の事件であり、首のない死体は入れ替わりや誤認トリックの定番ネタではあるものの、それを逆に首だけで正体が掴めないという風にひっくり返しているのが面白い。戦国時代でないと成り立たないネタであり、どちらが敵の大将なのかという謎に対して、実は見回りに来ていた大将を主たる主人公が討ち果たしたからこそ首を改めず、結果的に大将が消失したというトリックがとても良かった。
そうした本格ミステリとしての読み応えはしっかりとありながらも、歴史ドラマとしても深く、信長に反旗を翻し、粛清の鬼と化した信長の逆張りをすることで生きながらえようとする主人公の動機もさることながら、その「見栄」が自身を活かし、結果として息子を殺したと詰め寄る官兵衛の喝破も見事というほかなく、結果として因果が巡り、望んだ大戦にはならないままに敗北へと傾いていく無常性のある終わり方だった。最後のナレーションに近い報告とそこから感じる余韻もまた歴史小説らしい趣きがあり、単純なクオリティのみなら本作こそが著者の代表作といえる出来栄えであり、直木賞も納得の一冊である。
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戦国時代✕ミステリーという異色作。
時代物らしい語句と言葉遣いだけど読みやすい。
ミステリー部分も面白いけど、籠城の中でどんどん行き詰まっていく閉塞感を感じられる雰囲気もいい。
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作者が時代小説をこれほどものにしているのには驚いた。時代小説とミステリーの見事な融合。時代物が苦手だという方もこれならば充分楽しめるだろう。ハンニバル・レクターのように牢の中から村重にヒントを与える官兵衛の不気味さがいい。
Posted by ブクログ
<目次>
略
<内容>
戦国時代の荒木村重を主人公に、織田信長に離反し有岡城に籠もった1年間を描く。投降を促しに来た黒田官兵衛を幽閉したが、城内で起こる事件、実は城内でゆっくりと起こっていく村重への不信感に気づいた村重が、官兵衛に理由を尋ねる形からなる。これ以上は種明かしになるので辞めよう。戦国時代や宗教を絡めてほんとうによく描かれている。面白かった。
Posted by ブクログ
【短評】
「第166回直木賞」を始め、国内ミステリィの主要タイトルを総嘗めにした米澤穂信の時代小説。米澤穂信は何作か読んだことがあるが、時代小説という「節」を効かせる類の世界観には不向きという印象を抱いていたので、意外な作風に舵を切ったことにまず驚かされた。果たして心配ご無用。戦国時代の荒漠な舞台と、其処に生きる人々が活き活きと描写されており、情緒豊かで心地良いリズムに浸りながら読み進めることが出来た。
地の文が素敵な小説は「ハマる」のである。
時は戦国。権勢を誇る織田信長に反旗を翻した有岡城主・荒木村重(あらきむらしげ)。説得に訪れた使者・黒田官兵衛(くろだかんべえ)を土牢に放り込み、村重は籠城の構えを見せる。以降、有岡城に頻発する怪事件。人心は乱れ、すわ落城という危機に瀕し、村重は自ら投獄した稀代の知恵物・黒田官兵衛を訪ねるのであった。
「戦国時代」×「新本格」という趣。軟禁中に「見えない矢」で殺害される人質とか大好物であるが、真に舌を巻いたのは状況を作り出す世界構築の巧さである。「何故、人質が必要なのか」「人質を殺すことにどんな意味があるのか」という『戦国の習い』が分かりやすく且つ丁寧に描写されるので、いつの間にか読書にのめり込んでいる。土牢に放り込んだ官兵衛が安楽椅子探偵をやるというのも、歴史好きとしては心躍るシチュエーションだ。
トリック云々が余分とさえ思える程に、世界観が追求されていた。数々の事件を通じて「死生観」を炙り出す展開もなかなかに上手い。
唯一、残念だったのが、私自身の歴史知識である。
「黒田官兵衛」×「軟禁」と来ると、自然とある「事件」を想起してしまう。最終盤、それがノイズとなり、幾分か驚きを削いだのは否めない。「まぁ、そうなるよね」となってしまった。故に、歴史好きを自称する諸氏についてはやや注意が必要かもしれない。
【気に入った点】
●平素の良い意味の癖の無さを破却して、戦国独特の言葉遣いで紡がれた物語の歯応えが癖になる。最初は面食らったが、熟れて来ると文章に触れるだけで心地よくなってくる。その気になればこういう書き方も出来る、作家の凄さに触れた気がする。
●フーダニット・ハウダニットとしては平易。ホワイダニットとしては至高である。戦国に生きるものの「業」が立ち現れる様は見事だった。各章で「引っ掛かり」を残しながら進んでいく構成にも唸らされた。結構、頭を捻りながら読んだ。
【気になった点】
●官兵衛がダークを通り越してややキモい。当時のリアルを追求するとああなるのだろうが、安楽椅子探偵として颯爽とした何かを期待してはならない。
●かなり有名(だと思う)な逸話を下敷きにしている部分もあり、やや展開が読めた。構造的な瑕疵というよりは、個人的な問題であるので、減じた一点もそういうものだと解して欲しい。
直木賞受賞も納得の出来。着想が面白い時点で既に勝者なのである。
Posted by ブクログ
有岡城城主・荒木村重が、城内で起こる不可解な事件の謎に翻弄される物語。登場人物が多く、序盤は人間関係を整理しながら読み進めましたが、主要人物さえ押さえれば流れは理解しやすく、物語の緊張感を十分に楽しめました。
印象に残ったのは、村重が織田信長と対比される形で描かれる点です。信長とは逆の行動を取ることで家臣や民の心をつかもうとしますが、その意図は伝わらず、次第に疑心暗鬼が広がっていく。その姿は、現実社会でも「思いが伝わらず空回りする」ことの教訓のように感じました。
牢に囚われた官兵衛の知略も圧巻で、村重の心を少しずつ掌握し、復讐を果たしていく展開には息をのみました。事件の真相が明かされるクライマックスでの官兵衛の執念と策略は、本作最大の魅力です。
Posted by ブクログ
一章ごとが長くて、米澤穂信にしては珍しく文章も固くてなかなか読み進まなかった。でも最後の、謀叛人はいなくて千代保が裏でいろいろやっていたとわかったときはなんというかゾワッとした。一章ごとに謎解きして終わりじゃないのが米澤穂信だよねと思った瞬間。4つ目は新たな謎が出てくるのではなく、今まで解いていなかった謎が残されていてそれが解かれるおもしろさ。
Posted by ブクログ
ずっと籠城!?
終盤、どのように進行してエンディングを迎えるのだろうと読み進めました
予想外の展開ではあるのだが、あまり歴史小説に慣れていないせいか、あまり気分が昂らなかった
そういうのを読み慣れている人は楽しめるのだと思う
Posted by ブクログ
面白かったです。
歴史を舞台にしており、そこでのミステリーとはどのようなものか知りたくて読み始めました。
正直、読みはじめてから暫くは文体や時代に慣れていないのか全然ないページが進みませんでした。全く面白くなくて何故人気なのか分かりませんでした。
でも諦めずに読み進めて良かったです。途中からとても面白かったです。それこそ終盤はページをめくる手が止まりませんでした。
変な視点かもしれませんが、歴史上の人物もこういうチームリーダーや管理職のような悩みを抱え手いたのかもしれないなと感じました。
終盤に様々な話が結びついていったり、主人公の生き様というかドラマが読んでいてとても面白かったです。
ミステリーかといえばわかりませんが、こういうのもたまには良いかなと思えました。
ただ最初はやはり面白くなかったので星4つです。
Posted by ブクログ
生死がかかっている人の考え方が伝わる。
細かく見ていなければ蹴落とされる。ましてや命を奪られると思えば、最もよね...。
進めば極楽!都合よく吹聴した教えで、戸惑うのは下々の民。進もうにも進めない民を救う教えが真の宗教であるべきというもの深く納得。
荒木村重の行動に対する1つの方向性が見れてとても満足でした!!
Posted by ブクログ
◆ あらすじ(概要)
天正6年(1578年)。
荒木村重は、信長に反旗を翻し、有岡城に籠城する。
その直後、信長の使者としてやってきた黒田官兵衛を捕らえ、
「裏切り者の密偵ではないか」として地下牢に幽閉する。
しかし籠城戦のさなか、城内では次々と“不可解な事件”が起こる。
村重は、牢の中の官兵衛に助言を求める。
官兵衛は暗闇の中で状況を聞くだけで、事件の真相を見抜いていく。
2022年の直木賞受賞作でもあり、
“時代小説×ミステリー”というジャンルの可能性を押し広げた傑作
最終章で明かされる「ある人物の意図」は、
全ての事件と心理戦を一本に結び、
静かで重い“真実”として終わります。
Posted by ブクログ
「さすがに黒田官兵衛が鋭すぎでは!?」と、ツッコミを入れながらも、「村重、早く牢へ行け!」と彼を待ちわびる。
現代とは異なる死生観が登場人物の行動原理になっていて、それが新鮮に感じられた。
面白い一冊でした。
Posted by ブクログ
戦国時代の歴史の中で発生する謎、それを論理的に解決に導く過程とその解決に助言を与えるものとのやりとり、
全て面白かったです。
村重と官兵衛のキャラクターが魅力的でよかった。
Posted by ブクログ
村重が官兵衛を殺さなかったために人質を殺すと考えなかったように、官兵衛も子の恨みで村重の名を貶めることで城内の多くの者を殺すと考えなかった。
間違いなく頭の回る村重やそれを超える官兵衛でさえも見落としはっとする。
執着は恐ろしい。
因果が巡り波のように大きくなって、挙げ句多くの者を殺すことになった有岡城。
官兵衛が彼らを殺したのが自分だと気づいたとき肝を冷やす一方で村重に松壽丸を殺されたのだからとバランスをとっていた。
落城後、松壽丸と再会したときの描写は歓喜と安堵であったが殺した者たちを振り返らない官兵衛ではないだろう。松壽丸は生きていた、バランスは崩壊した、逃げ道がなくなった。後に、官兵衛はキリシタンになるが崩壊したバランスを保つ杖として神に縋ったのかと思うと面白かった。
Posted by ブクログ
これは…!!歴史小説のフリをした推理小説なわけですね…!!米澤穂信さんらしい期待を裏切らないロジックミステリーみがあります。
【序章 因】
既にタイトル回収を予感させる
有岡城、荒木村重と黒田官兵衛
中川瀬兵衛(なかがわ せひょうえ)茨木城
荒木久左衛門(あらき きゅうざえもん)国衆池田家
高山右近(たかやま うこん)高槻城
中西新八郎(なかにし しんぱちろう)三十前新参者
野村丹後(のむら たんご)村重の妹の夫
阿部兄弟一向門徒 大和田城 阿部二右衛門(あべ にえもん)の息子人質11歳 阿部自念(あべ じねん)
【第一章 雪夜灯籠】
郡十右衛門(こおり じゅうえもん)御前衆の組頭
秋岡四郎介(あきおか しろうのすけ)
伊丹一郎左衛門(いたみ いちろうざえもん)
乾助三郎(いぬい すけさぶろう)
森可兵衛(もり かへえ)
荒木御前衆の五本鑓
雑賀 下針(さげばり)
【第二章 花影手柄】
池田和泉
鈴木孫六(すずき まごろく)雑賀衆
大慮(ダリヨ)高山右近の父、高槻衆
大津伝十郎長昌(おおつ でんじゅうろう ながまさ)
堀弥太郎
謎を顕在化するかのような村重が見た夢の描写が秀逸だった…
【第三章 遠雷念仏】
北河原与作金勝(きたがわら よさく かねかつ)馬名人
瓦林能登入道(かわらばやし のと にゅうどう)荒木家中
親族、北河原与作の妻は瓦林家
栗山善助 黒田官兵衛の家臣
官兵衛が戻らないから信長は人質になってる官兵衛の息子松寿丸を始末しろと、、
【第四章 落日狐影】
ここまでの全てを総じてきた
改めて触れられる謎たち
長島一揆の語り、圧巻でした
“御仏は見ているぞ―”
そして官兵衛の奇策に心震わす村重、、作中ずっと心中燻っていた村重の本来の姿が垣間見えた
黒田官兵衛、、、恐ろしい、、、しかし人間味、というか温かい心の臓を持っている、、
このラストが史実につながっていく…
【果】
これぞ史実との答え合わせ、感動したよ、、、
読んでる間ずっと村重の視点で、村重の気持ちに寄り添って読んできたはずなのに、史実とともにこの章で読者の心をひっくり返しにきた。
荒木村重と黒田官兵衛、本当に“ひっくり返された”という気持ちになりました。。。
Posted by ブクログ
第166回直木賞受賞作品!
時代小説+ミステリー
織田信長を裏切って、有岡城に籠城する荒木村重。
説得に来た黒田官兵衛を地下牢に幽閉。
その籠城の最中に起きた、城内での事件の謎を村重と官兵衛が解き明かしていく。
といった展開です。
■雪夜灯籠
人質の阿部自念を殺さないと決めたにもかかわらず、城内で殺害。
誰が、村重の命をそむいて殺害したのか?
その殺害方法は?
■花影手柄
敵の兜首、大津伝十郎を討ち取ったのは雑賀衆鈴木孫六か?高槻衆高山大慮か?
■遠雷念仏
織田との密書の運び屋の無辺が殺害。密書も読まれて、「寅申」も奪われる。
その犯人は誰なのか?
■落日孤影
その犯人を鉄砲で殺害されてた。
誰が撃って、誰がその命令を下したのか?
そして、今まで起きてきた事件の黒幕は?
となって、さらにさらに、官兵衛が村重と謎を解く協力をしていたその理由。
うーん、これは唸ります!
そうした謎解きミステリだけでなく、籠城中の村重のリーダシップ、心づもり、部下の掌握と、その苦労もひしひしと感じます。
最後、村重と部下の郡十右衛門の会話に胸打たれました。
これは、お勧めです。
時代小説好きの方にも、ミステリー好きの方にもどちらも嵌るのでは!
Posted by ブクログ
黒田官兵衛の深謀遠慮。このひと言に尽きる物語だったと思います。官兵衛の策にはまって荒木村重が徐々に追い詰められ、求心力を失っていく様が上手く描かれています。官兵衛の策は見事でしたが、それに加え、篭城戦の難しさ、人心を掌握することの難しさ、この時代特有の武将や民草の生き方、在り方等も相まって村重の有岡城脱出に繋がったのではないでしょうか。実際のところ、村重が本当に毛利に援軍を依頼するために有岡城を脱出したのかどうか自分には分かりませんが、妻子、家臣を含めた700人もの人質を残して茶壺「寅申」を持って大将自らが脱出…中々理解し難いです。結果として人質達は磔殺、焼殺、斬殺されます。普通に考えれば、村重は、武将らしく有岡城で一族郎党と共に戦って果てるべきではなかったのか。それが信長に叛旗を翻した大将としての責任ではないのか。自分には村重の心中は中々想像出来ないけれど、この時代を生きる武将らしくあって欲しかったです。
それにしても、郡十右衛門と下針の生き様は見事でした。
Posted by ブクログ
「神の罰、主君の罰よりも、臣下万民の罰は尤もおそるべし。」ーーー 読み切った後に感じるこの言葉の重み。
黒田官兵衛が策略家として一枚上手だっただけで、一般的な評価はさておき村重のキャラクターそのものは嫌いじゃなかった。だからこそ徐々に衰退して退いていく姿はなかなか辛いものがあった。織田方に謀反を起こした時点で気運は遠ざかっていたのかもしれないね。
古風が言い回しに慣れれば内容自体はミステリー小説のような書き方なのでとても読みやすく、歴史初心者にも大変優しい作り。
「村上海賊〜」を先に読んでいたので、出てくる人たちの関係性や時代背景を事前に把握できていたのも読む後押しになった。
次は何を読もうか...黒田官兵衛にフォーカスすべきか、織田信長にフォーカスすべきか...。オススメがあったら教えてください!
Posted by ブクログ
歴史上の人物に名を借りただけのミステリと思って敬遠していたのですが、米澤穂信の名前を信じて買ってみたら、面白い。これは、ちゃんとした歴史小説であり、ミステリはスパイス的なものでした。籠城していた荒木軍が士気を落としていく流れが描かれています。無辺をこう使うかっていうのも面白い。
まあ、ミステリ的な要素のため、やや現実離れしている感はありますが。
Posted by ブクログ
安楽椅子探偵の連作短編集みたいな感じですね。1つ目の事件の雪密室、2つ目の事件の意外な犯人(というか被害者?)、3つ目の事件のロジックなど、どれも小粒ながら時代ものを活かした謎解きとなっています。(おそらく)丁寧な時代考証も歴史好き受けするでしょうし、なにより本作のテーマを総括するような黒幕の動機が審査員受けに拍車をかけていると思います。インガハメグル…