【感想・ネタバレ】黒牢城のレビュー

あらすじ

本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。このままでは城が落ちる。兵や民草の心に巣食う疑念を晴らすため、村重は土牢に捕らえた知将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるが――。
事件の裏には何が潜むのか。乱世を生きる果てに救いはあるか。城という巨大な密室で起きた四つの事件に対峙する、村重と官兵衛、二人の探偵の壮絶な推理戦が歴史を動かす。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

歴史関係に全く疎く、そのテの時代小説も避けてきた。ただ、本作はミステリ、米澤穂信、そして直木賞受賞ということで、読んでみるかぁと手に取った。
時代小説特有の言い回し、序盤はやはり苦手だったけど、最初の事件が発生してからするすると読んでしまった。それぞれの事件もちゃんとミステリだし、気になっていた火鉢の描写もちゃんと伏線として回収されたし、さすが。明かされた真相、犯行理由がこの時代、背景ならでは。ミステリとしてだけでなく、作品として最高に面白かった。
陳腐なことしか言えないが、黒田官兵衛の遺訓も心に残った。よもやこんな結末になるとは。言葉で表現できない自分の国語力が悔やまれる。残酷な時代に救いがあったともいえるし、それが早く伝わっていればより大きな救いもあったのかもしれないし、もっというと主従関係とか、人質とか、この時代に罷り通ってた道理がおかしいわけだし…
黒田官兵衛と荒木村重の牢でのやりとり、まさか羊たちの沈黙のオマージュとは。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

荒木村重。ゲーム「信長の野望」で優秀な武将としてその名前は知っていたが、謀反を起こしたことやその生涯は知らなかった。本書でもなかなかの知将として描かれている。途中、その生涯を調べたくなる誘惑に駆られながら読み進めた。
籠城中の城内で事件が起き、村重が「探偵役」となって調べ、わからなくなって官兵衛にヒントをもらって解決、という流れが面白い。
3つの話の後、4つ目ではまさかの「黒幕」が。一つ一つの事件の伏線回収されスッキリ。この「黒幕」の語りには迫力があり考えさせられる。
そして、最後に官兵衛の真の狙いが明らかになる。
ミステリーではあるが、宗教などについて考えさせられる。また、人の世の中「信用」というものがいかに大切かと思った。村重に対する「信用」が揺らぎ部下の心が離れていく様がリアルだった。

本能寺の変、明智光秀の謀反の理由も、本書の村重と同じような理由なのかなあと思った。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

信長に謀反を起こした荒木村重を主人公に、囚われの黒田官兵衛が安楽椅子探偵となる異色の時代小説ミステリ。著者初の時代小説となる本作で、以前の『可燃物』などを読んでいると分かる通り、小説の内容に合わせて文体を変えられる作家と知ってはいたものの、いざ読むとこれほどまでに時代小説に適応しているとは思わなかった。元々、教科書に残り続けるような「古びない」文体を得意としているが、本作は時代小説特有の言い回しがそれに合致しており、違和感がないどころかかなり本格派の時代小説に仕上がっている。『氷菓』などのイメージで読むと面食らうかもしれないが、言い回しがややクセが強いだけで、信長をぼんやりと知っている程度の歴史知識でも読み解けるほどに内容は易しい。

しかしながら、易しいと言っても安易と言うわけではなく、最初は時代小説の装いだったのが場内で起こる怪事件を皮切りに、著者の持ち味である本格ミステリの雰囲気がしっかりと漂ってきて、むしろそれを読むまで本作がミステリであることを失念していたほどに時代小説としての完成度が高い。それでいながら、本作の探偵役である黒田官兵衛は魅力的でありながらも、著名なだけに翻案・脚色されることも多いキャラクターではあるが、本作は数多の他作品と比べても遜色ないほどに底の見えない切れ者としての魅力的なキャラクターに仕上がっており、何よりも特筆すべきはその主人公との関係性だろう。決して信頼関係で結ばれているわけではないと言うのが素晴らしく、牢に閉じ込められた黒田官兵衛をハンニバル・レクターとして見立てているのは面白かった。

お気に入りは第二章の事件であり、首のない死体は入れ替わりや誤認トリックの定番ネタではあるものの、それを逆に首だけで正体が掴めないという風にひっくり返しているのが面白い。戦国時代でないと成り立たないネタであり、どちらが敵の大将なのかという謎に対して、実は見回りに来ていた大将を主たる主人公が討ち果たしたからこそ首を改めず、結果的に大将が消失したというトリックがとても良かった。

そうした本格ミステリとしての読み応えはしっかりとありながらも、歴史ドラマとしても深く、信長に反旗を翻し、粛清の鬼と化した信長の逆張りをすることで生きながらえようとする主人公の動機もさることながら、その「見栄」が自身を活かし、結果として息子を殺したと詰め寄る官兵衛の喝破も見事というほかなく、結果として因果が巡り、望んだ大戦にはならないままに敗北へと傾いていく無常性のある終わり方だった。最後のナレーションに近い報告とそこから感じる余韻もまた歴史小説らしい趣きがあり、単純なクオリティのみなら本作こそが著者の代表作といえる出来栄えであり、直木賞も納得の一冊である。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山田風太郎賞は分かるが本格ミステリ等で1位だったのはどうだろう?というのが率直な感想。
第一章と第二章まで読んだところでかなり地味な事件、言うなれば戦国時代の日常の謎といった様相でなかなか盛り上がりを感じられなかった。

第三章の事件が一番ミステリらしさがあり、村重もだいぶ疲弊して孤独になり打ちひしがれて官兵衛に気持ちを開き始めてからの第四章の真実。
正直、官兵衛が何故村重に知恵を貸すかということをそんなに疑問を持っていなかったので(一緒に謎を解く様なあらすじだったので)、名を貶めたいという恨みの積み重ねから策を授けた執念と、それに完全には乗らない村重とのやり取りは読み応えがあった。でも結局城を出た。
千代保の冴えざえとした語りと、退かば地獄の苦しみの教えは宗派を持たぬ者にも感じ入るところがあった。自分は民草なので。

郡十右衛門が終始仕事の出来る人物で魅力的だった。

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2026年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>


<内容>
戦国時代の荒木村重を主人公に、織田信長に離反し有岡城に籠もった1年間を描く。投降を促しに来た黒田官兵衛を幽閉したが、城内で起こる事件、実は城内でゆっくりと起こっていく村重への不信感に気づいた村重が、官兵衛に理由を尋ねる形からなる。これ以上は種明かしになるので辞めよう。戦国時代や宗教を絡めてほんとうによく描かれている。面白かった。

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2026年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一章ごとが長くて、米澤穂信にしては珍しく文章も固くてなかなか読み進まなかった。でも最後の、謀叛人はいなくて千代保が裏でいろいろやっていたとわかったときはなんというかゾワッとした。一章ごとに謎解きして終わりじゃないのが米澤穂信だよねと思った瞬間。4つ目は新たな謎が出てくるのではなく、今まで解いていなかった謎が残されていてそれが解かれるおもしろさ。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

安楽椅子探偵の連作短編集みたいな感じですね。1つ目の事件の雪密室、2つ目の事件の意外な犯人(というか被害者?)、3つ目の事件のロジックなど、どれも小粒ながら時代ものを活かした謎解きとなっています。(おそらく)丁寧な時代考証も歴史好き受けするでしょうし、なにより本作のテーマを総括するような黒幕の動機が審査員受けに拍車をかけていると思います。インガハメグル…

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2025年11月16日

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