小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
今年ベストかもしれない...!
少なくとも今まで読んできた村田沙耶香作品のなかで1番やばい、好き、大好き、本当に好きすぎるこれ...!!
1人の女性が生まれてから死ぬまでを描いた作品なのかな?
まだ上巻なのもあってラストが予測不能すぎる。
どうしたらこんなめちゃくちゃな設定を思いつけるんだろう。
いや、めちゃくちゃに見えて実はしっかり筋が通っている。
だから面白いんだよなぁ。
天才すぎるよ...村田沙耶香さま...!
主人公は感情を持たない少女です。
いろんな人を見ては誰にも共感できず、どうやって感情を表せばいいかわからないから周りに合わせて行動をトレースして生きています。
そしてその世界に -
-
-
Posted by ブクログ
昭和100年を前に。
もっと色んな作家さんによる昭和100年を意識した作品が出ると思いきや出ない。
大作は売れない世の中。
出してもね、な風潮はそうだろなと。
まさにな来年は出るんでしょうか。
そこにがっつり真正面から挑んできた作品。
恥ずかしながら初読の作家さんですが、
540ページからなる大作に、昭和100年に真正面から挑み、
時代背景と警察組織と捜査員の思いと。
時代の違いを感じさせながらバトンを渡して、令和の今に全てを白日の下に晒した…のか?
もんのすごい大作でキレイに閉じてるのだが、
幽霊の正体見たり枯尾花
ではないが、真相は、推理よりもだいぶこじんまりした感あり、だからこそリア -
-
Posted by ブクログ
「慈雨の雨」とは、高度経済成長下で、松坂熊吾一家の周りに、慈しみの雨が降っていたという意味らしい。
城崎温泉に住むヨネや、蘭月ビルの盲目の少女香根、海老原の死。また、北朝鮮に還る人びととの別れ(北朝鮮に帰らせまいとする、大韓民国系の人びととの間で争いが多発していたのは初めて知った)など、幾つもの別離が一家に押し寄せるが、松坂熊吾は、新しい事業に乗り出していく。
相変わらず、濃いエピソード満載で、飽きさせない。
熊吾も、時々癇癪を起こすが、年齢を重ねて温厚になっている。
そして、伸仁が、いよいよ思春期に差し掛かるところまでが描かれる。
とりあえず第七部に進みます。 -
Posted by ブクログ
ジェス・ロウリー『怪物の森 未解決事件捜査官ヴァン・リード』新潮文庫。
女流作家によるシリーズ第1作。
『ファーム』という名のカルト的小集団で育てられた過去を持ち、事件の手掛りを悪夢という形で知るという特殊能力を持つミネソタ州犯罪捜査局BCAの未解決事件捜査官エヴァンジェリーン・リードと辣腕科学捜査官ハリー・スタインベック、ヴァンが指導したカイルの3人がチームを組み、長らく未解決となっていた42年前の3人の少女失踪事件に挑む。
トラウマになるような過酷な過去を経験し、超常的な特殊能力を持つ未解決事件捜査官エヴァンジェリーン・リードが、実はスウィートティー殺人事件で3人の男性を殺害した犯人 -
Posted by ブクログ
読み応え十分でした。翻訳者の方の描写力が素晴らしい。引き込まれます。またまた、すごい小説に出逢ってしまった。
ボヴァリー夫人、彼女の名はエンマ。不倫街道まっしぐらに突き進む姿に、恐れおののき、「そのへんで、やめとけば!」と声をかけたくなるも、続きを知りたくなってしまう、悪魔的な面白さにハマります。相手の男性は2人。よくもまあ、人妻に手を出したなという感じ。この男性の描き方も悔しいぐらい上手いのです。
エンマの内面の葛藤を、何も気づかない夫の存在が何とも、もどかしく、一人娘が不憫です。
結婚というものに、同一歩調で歩んでいけない夫婦の末路はいかに.......
結婚、嫁姑の関係、男女の気持 -
Posted by ブクログ
色褪せて錆びた傷だらけの白いドア、塗り
重ねた白いペンキ、しんしんと降る雪。雪の
ように真っ白なおくるみ、白いきれで縫われ
た産着、タルトックのように真っ白な赤ん坊。
「私」は、「白いもの」について書くことだ
けを決めて、祖国から遠く離れた都市に滞在
する。理解できない言葉が飛び交う街で、孤
独が深まるにつれて思いもよらない記憶が生
々しく蘇り、自らの内面へと逃げ込んでいく。
私が踏みしめているその街は、七十年前に
作り直された街だった。ナチスによって完璧
に破壊され、瓦礫の砂に包まれた白い街に、
二時間だけ生きた姉の姿を重ねる。夜明けの
霧の中で、姉である「彼女」に私の生を差し
出し、