あらすじ
「宇宙食、作れるんちゃう?」
はじまりは生徒の一言だった。
数々の困難をのりこえる大気圏突破ノンフィクション!
地域の名産「よっぱらいサバ」の缶づめが、宇宙へ旅立った! そこには12年にわたる物語があった。一筋縄ではいかない開発、学校統廃合の危機。葛藤の中で一人一人が力を合わせたとき、宇宙への扉が開いた──。
「大きすぎる夢は、一人で実現するのは難しい。
でも長い年月をかけて、一人一人が力を合わせた時、信じられないことが現実になることがある」
2022年発行高校英語の教科書(三省堂刊)でも紹介!
小浜水産高校から若狭高校へ引き継がれた、宇宙食開発のもようを、宇宙ライターの林公代氏が詳細な取材で迫る。
【目次】
プロローグ 「野口さん、サバ缶食べてますよ!」
第1章 「この学校、潰れるで」
第2章 「1億円はかかりますよ」
第3章 「宇宙食、作れるんちゃう?」
第4章 「缶詰は宇宙に飛ばせない!?」
第5章 「学校がなくなる!?」
第6章 「何、夢を語ってるんだ」
第7章 「5点満点の6点です」
第8章 「特に話題の宇宙食を紹介しましょう」
第9章 「鯖街道、月へ、未来へ」
エピローグ 学びのビッグバン
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Posted by ブクログ
久しぶりに、いい本を読んだ。高校教育のあり方を学ぶことができた。
定時制高校の『宙わたる教室』伊与原新(著)の物語も良かった。こういう本が出てくるのは頼もしい。
水産高校の定員割れの中で、水産高校らしさとは?そして大きな目標を立てる。
福井県の小浜水産高校は、1895(明治28)年に開校した、日本で一番歴史のある水産高校である。
福井県南西部に位置する小浜は、古くは大陸文化の窓口として、京の都へ文化を伝えた歴史があり、「海のある奈良」とも呼ばれる。
2001年、その小浜水産高校食品工業学科に東京水産大学を卒業した一人の新米教師の小坂康之が初出勤した。彼は、神奈川県大和市で生まれ育った。スキューバダイビングが趣味だった。
小浜水産学校は、前は福井県簡易農学校水産科で、大正時代から魚介類の缶づめの製造をしたのが原点で、サバ缶で有名だった。昭和から平成の初頭には年間1万缶ほど製造していた。サバの生の身を蒸気で加熱する。水溶性タンパク質を含む水分が出てくるので、それを捨てる。蒸煮することで、生臭さがなくなり、汁は濁りがなく澄む。
NASAが有人月面着陸をめざすアポロ計画のために、衛生管理システムHACCP(Hazard Anaiysis and Critical Control Point:危害要因分析・重要管理点)が1960年代にできた。
1993年に国連の専門機関による食品規格委員会(コーデックス)がHACCP適用のガイドラインを公表し、世界の食品メーカーに広まっていった。日本でも2021年6月から食品業者にHACCPによる衛生管理が義務付けられている。
2005年に全国の水産高校の教師を対象に、HACCPの講習会が行われ、小坂も参加した。
その時に 一般社団法人「大日本水産会」の高取直樹と出会い、小坂と協力して、小浜高校のHACCP取得を始める。HACCPを取るのが難しい。お金がかかる。大変だというハードルを越えていった。
水産高校で、HACCPが取れるのか?
高鳥は、HCCPを使って生徒に気づきの機会を与え、人材育成を行うことが目的という。
工夫して、問題を見つけて、話し合って解決法を探していく。エアーシャワーをコロコロで行う。
2006年12月、全国の水産高校で二番目にHACCPをとった。
HACCPをとったことで、小坂が生徒にHACCPの由来を説明したら、「宇宙食、つくれるんちゃう。」という意見があり、サバ缶が宇宙に行く始まりとなった。
そんな中で、水産高校の定員割れ問題が起こり、高校統合の計画が上がる。
水産高校としては、海をきれいにするアマモマーメイドプロジェクトでアマモ定植活動をしたり、エチゼンクラゲが大量発生に困っている漁師からの相談を受けて、「えくらちゃんクッキー」を開発して、販売したり、水産学校らしい地域の課題に取り組み、漁師や地域の人に評価されていることが重要だった。そして、教育困難校だった水産高校が、進学高校の若狭高校と合併することになる。若狭高校海洋科学科となった。
進学高校は、知識を覚えるのが勉強だった。探究する時間があれば勉強すべしという考え方だ。若狭高校の教育理念は、「異質なものに対する理解と寛容の精神」であった。宇宙食を目指したサバ缶の話をした小坂の話には、「そんなこと、実現するんですか?」「本当にできるんですか?」「勉強と関係あるんですか?」という質問に対して開発する楽しさを海洋学科の生徒を通じて、学ばせたのだ。
高校教育には、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性・多様性・協働性」を学力の3要素としている。
2014年、新たな宇宙食候補33品目に、若狭高校の「サバ醤油味付け缶づめ」が入っていた。
保存試験、そしてさらに美味しく、柔らかくをテーマに改良。葛粉は9%でとろみをつける。砂糖が味を濃くする。2018年11月12日、さば醤油味付け缶づめをJAXA宇宙日本食として認証する式典が行われた。
2020年11月16日 野口飛行士を載せたクルードラゴン・レジリエンス号が、サバ缶と一緒に宇宙に飛び出した。11月27日 野口飛行士が、サバ缶を食べて、美味しいとYouTubeで配信。宇宙で、サバ缶が初めて食べられることになった。
サバ缶を宇宙に届けるのに、14年かかっている。高校という世代交代していく中で、伝承することの難しさがあり、それを乗り越えていった。それは大きな夢のある目標を掲げたことが、つなげることができた。先輩たちの夢と研究データを後輩たちが受け継ぎ、さらにブラッシュアップしていく「世代を超えた協働」と、それを伴走者として支え続けた教師の情熱が見事に本書の中に凝縮されている。
「サバ缶製造」という地元の伝統技術。それをただ守るだけでなく、最先端の衛生基準のHACCPを知恵と工夫で導入し、さらに「宇宙食」という最先端のフィールドへと昇華させた。食品物語としても卓越している。宇宙の無重力空間でも飛び散らないための「葛粉による絶妙なとろみ」や、宇宙空間での味覚変化に対応する調味、濃い味が欲しいという宇宙飛行士の気持ちになって作り上げる。「本当の学びとは何か」という問いから、利他的精神の発揮。日本の高校も素晴らしいものを持っている。
小坂康之先生は、生徒の変化を正確につかみ、言語化していく能力がある。
Posted by ブクログ
2026年春季のフジテレビ系月9ドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」の原作本
福井県立若狭高校(旧・小浜水産高校)の生徒たちが、14年かけて地元名産のサバ缶を宇宙食にするため挑戦を続けたノンフィクション
廃校寸前だった課題校を小坂康之先生が生徒の心に火をつけて、若狭の名産のサバを宇宙食にしてしまう内容にただただ感動
また何年も何年も、学校の統廃合を経て、生徒達がバトンをつないで14年かけて実現したことにもまた感動
そして小坂先生が行った指導が、今は全国的に標準となっている「探究的学び」であったことに三度感動した
教育の神髄とともに人間にとって地域にとって大切なことに気づかされた
それとともに歴史的な鯖街道が宇宙にまでつながっていったことに心震わされるとともに高校生の活動を表面ではなく本質を捉えて、受け止め応援してくれたJAXAの皆さんにも感動した
全国の学校関係者や高校生必読の一冊
Posted by ブクログ
ドラマの原案になったということで読んでみた。
問題点や悩みを聞いて、課題を設定し、問題解決の方法をいくつも考え、数値を測り、模索する。これはAIでもまだ苦手なことではないだろうか。
私は、テストでできるだけ早く正解を出す、詰め込み型の勉強しかしてこなかったので、課題設定して模索するのは苦手だ。
こんな学校が増えたら、頼もしい人材が増えるだろうなと感じた。
Posted by ブクログ
ドラマの原作本!
気になりすぎて購入しました。
高校生の秘めた力を引き出して、宇宙までさば缶を届けた先生の姿には、教えられるものがたくさんあって、自分もこんなふうな仕事をしたいなぁと思いました。
ずーっと繋がれてきた研究のバトンのそばに、たくさんの人の愛と応援が詰まっていたことに感動しました。
Posted by ブクログ
ずっと気になって読みたかった一冊。ドラマも始まったので「読まねば!」と思って開いてみた。
誰かが言った「宇宙食、作れるんちゃう?」のひと言から始まって14年後、若狭の鯖街道が宇宙まで延びたという実話。水産高校に勤務したことのある私には、とてもリアルで「うんうん」と光景が簡単にイメージでき、頷きながら読むことができた。一つの課題が代々繋がれていくことがこれほどのビックバンを起こすとは…やっぱり高校生のパワーはスゴい!やんちゃさんでもちゃんと大人を見ていて、授業に向かい合い、自主性を尊重してくれるけどちゃんとしかることができる線引きが上手な先生にはついていくという言葉には大きく頷いた。私自身も高校生に関わる大人として、そうでありたいと思う。
切実今な問題になっている学校の統廃合にも一石を投じてくれる。小浜水産高校だけではなしえなかった…若狭高校との統合も、宇宙までの鯖街道には必然だったと思える。
感想文の課題図書になった本なので高校生に読んでほしいし、先生方にとっても必読の一冊になってほしいと思う。
Posted by ブクログ
現在、月9でドラマ化されていて、ちょうど半ばほどになるところだろうか…
ドラマ化される以前から注目していた一冊で、いつか読もうとしていて、今になった。
「宇宙食、作れるちゃう?」という生徒の何気なくもらした一言から福井県立水産高校に赴任してきた新米教師が、「宇宙へさば缶を飛ばす」という奇跡に向かって扉を開く。
予算不足から開発の難航、そして学校は統廃合の危機に…。
14年間に渡り、毎年生徒たちが代替わりをしていく中で、地道に繋げていくという苦労は、凄いとしか言いようがない。
生徒だけじゃなく、教員たちも地域の人たちも巻き込んでの改革が良い方向に向かったのかもしれない。
何年かかっても自分たちで課題を見出し、次の代へと引き継いでいくのは、大切なことであると感じた。
今日もテレビで見なければ…。
Posted by ブクログ
鯖街道を伸ばせ国際宇宙ステーション
2026年春ドラマの原作本。福井県の水産高校の生徒たちの作る鯖の缶詰。学校崩壊直前だった高校に赴任した一人の教師。生徒たちと共にサバ缶の宇宙食化を目指し奮闘する、10年以上にわたる夢のリレー。
京は遠ても18里。約72kmISSまでは約400km。たったの2往復半街道を伸ばすというコンセプトがよい。ドラマでもキーワードとなっている。
子どもたちの未来、夢に大きな感動の一冊。
Posted by ブクログ
サブタイトルは『鯖街道を宇宙へつなげた高校生たち』だ。いま放送中の月9ドラマ『サバ缶、宇宙へいく』の原作本。このドラマ、TVerで2話までまとめて視聴したら、見事にハマりました。そして、事実を元にしたノンフィクションであることを知り、原作を読まなきゃいかん!という僕のいつもの流れになったわけだ。
本書は、福井県立若狭高校(旧・小浜水産高校)の生徒たちが、地元名産のサバの缶づめを宇宙食としてJAXAに認証してもらうまでの、約12年にわたる挑戦を描いた話。
地方の潰れるという噂のある水産高校にある教師(ドラマでは北村匠海が演じる)が赴任してくるところから、壮大な宇宙へつながる夢が、やる気の無かった地元高校生たちに湧き起こる。
そして高校生たちの情熱と奮闘ぶりが可愛くて愛おしくなってくる。
この話がリアルなのは、高校生は3年間しか在学できないこと。夢の実現がこの学校の生徒が何学年にもわたり、先輩たちの意志を汲み、タスキを繋ぎながら叶えていくのが素晴らしいのだ。(思わず電車の中で泣いてしまいました)
正直言えば、ドラマは事実をベースにセリフは感動するような言葉で作られてるだろうし、演出やストーリー展開も次々に起こる問題や、胸がスッキリする解決方法など『ドラマ仕立て』で作られているだろう。(それでハマっている僕がいる)
だが、本当にこんなふうに夢が実現していったのだなあ…と本を読むことで検証できることが面白みに繋がった。
実際に少子高齢化などを背景に福井県の教育委員会での議論の末に2013年に水産高校は高校統廃合で無くなってしまい若狭高校となり、その高校の中の『海洋科学科』として研究が継続されてゆく。
ドラマは昨日3話が放送され、最初に夢を描きHACCP(NASA が提唱する国際的な衛生管理手法)を取得した学年が卒業していく話だった。
来週から、次の世代の高校生たちがその夢を受け継いでゆくことになる。
ラブロマンス中心だったフジ月9のドラマ枠が面白くなっている。
Posted by ブクログ
いわゆるこの本は実録ものである。
水産高校の生徒たちが、十余年をかけて自分たちが作った鯖の缶詰を宇宙食にするという実話をまとめたものだ。
ゆる言語学ラジオ系列のゆる天文学ラジオで紹介されていたのをたまたま知って読むことにした一冊である。
今シーズンの月9でドラマ化されていることを紹介していたのだが、もう設定だけでなんか胸に来てしまった。
舞台は水産高校、いわゆる底辺校と評される学習困難校だ。私事であるが、私の息子はいわゆる職業高校に通っていた。この水産高校と同じく底辺校と揶揄される高校である。勉強があまり得意でない生徒たちが集まる高校であったから、本書でとりあげられている話が、まるっきりの他人事ではないため、実に身につまされた。
こんな夢のような展開は、現実にはないのだと考えている反面、上手くことが数珠つなぎになれば、良い形に結実するということもわかっている。あいにく息子は、ここまで劇的ではなかったが、それでも卒業するまでに色々な山を越えたし、それを糧にもしていた。
前へ前へと進む姿勢と、その前に進むための知識を得ようとする貪欲さに胸がすく。さばの缶詰を宇宙へ届けるというゴールの次、その先を見ている彼らのたくましさに感動した。
面白かった。
Posted by ブクログ
高校生が宇宙食のサバ缶を作った話し。14年の歳月と貢献した生徒は約300人というのが、プロジェクトの偉大さを物語る。宇宙食を目指したきっかけや、試行錯誤の開発など、事細かく描かれている。とにもかくにも、先生や生徒の情熱や、行動力が半端ない。何かの文化や伝統を守る、発展させるには、共同で創り続けることの重要性を感じた。サバ缶が更に好きになりました。
Posted by ブクログ
ドラマ化すると聞きまして。まあまあ近くの市なのに存じ上げずお恥ずかしい。個人的に魯山人とレジリエンスがセレンディピティ…って意味ちょっと違うか。たまたま興味持ってた事柄が出て来たってことです。
Posted by ブクログ
本作は、福井の高校生が作ったさば缶が宇宙食になるまでの物語である。
「宇宙食、作れるんちゃう?」
この言葉ですべてが始まった。
この14年間にわたるサクセスストーリーは、本当に周囲の人たちの支えによって成り立った。
小坂先生の熱意が周りに伝播していったように思える。
気になったことは、どんどん調べて探究する探究活動の面白さがわかる◎
私も、気になったことはどんどん突き詰めていきたい!と抑えられないほどの探究心が湧いてくる1冊。
実際、さば缶が食べられた時の興奮はまだ残り続けている。
その時は、感動で涙が出てきた。
4月からドラマ化される本作!
ドラマも今から楽しみ!
絶対観てほしいドラマです!
Posted by ブクログ
前々から読みたいと思っていた本。4月からこの話がドラマになるらしいと聞きつけ、この機会に読みました。もっと早く読めばよかった!
同じ教職、しかも実は水産に携わる生徒を育てる学校に現在勤めているので、共感しながら、かつ感嘆しながら読みました。
夢を持ってやってきた水産高校。
最も古い歴史を持ちながら、教育困難校になってしまった小浜水産高校への赴任からお話は始まります。
まず、新任の先生が生徒たちと気持ちをかよわせるのも難しいという状況が、個人的に共感ポイントでした。自分もむちゃくちゃな高校に行ったことあったなぁ…。
しかし、小坂先生はそこから徐々に生徒たちを変えていくのです。教育者として手本となるお話が多く、どんな生徒もチャンスを与えて、主体的に行動させることが大切なのかも…と感じました。
わたしも間近で水産を学ぶ生徒を見ていますが、普通科だったら落ちこぼれで終わるかもしれない生徒たちが研究活動で成果を上げる姿はいつ見てもすごいと思います。
そして本題の宇宙にサバ缶を…!のお話。
もともとHACCPがきっかけらしい。HACCPとは、もともとNASAが宇宙食の安全管理のために作った食品衛生管理システムのことです。
NASAが関係していることを学び、生徒の「宇宙食、作れるんちゃう?」の一言から運命が動きだします。
わたしは学校現場をよく知っているので断言します。この一言を言った生徒も素晴らしいですが、この一言を活かす環境を整えた先生はさらに素晴らしい。
学校って保守的なんです。
チャレンジがしにくいし、教育困難校ならなおさらで、生徒を管理監督しようとするのがふつうです。
ですが、小坂先生はこの一言を忘れなかったし、生徒たちにどうすれば宇宙食として採用されるのか考えさせようとした。
なかなかできることではありません。
この話は読む前はもっと生徒目線の話なのかと思っていましたが、読んでみると、教育者としての心構えを教えられることが多く、単なるサクセスストーリーではないと感じます。
人と繋がり、人を育てて、不可能を可能にする。
どんな学校でもバトンをわたし、挑み続けることで夢につながる。
サクセスストーリーは1人の人間が夢を実現することが多いのですが、この話は小坂先生だけではなく、周囲の先生、生徒たち、たくさんの大人が真摯に課題に取り組む姿が印象的です。
廃校寸前までいき、知恵を絞って希望を残し、やっとの思いで宇宙食として認められる過程は胸がいっぱいになります。
野口聡一氏が缶詰を食べるシーンでは、思わず涙ぐんでしまいました。
ドラマではもっと劇的に描かれるのかもしれませんが、この本だけでも十分に感動的でした。
水産高校に勤めるなか、もっと水産高校を知ってほしいという思いをわたし自身抱いています。
きっとこの本や、ドラマが知ってもらう機会を作ってくれるでしょう。
Posted by ブクログ
福井の高校生たちが作ったサバ缶が宇宙食になるまでの軌跡。
冒頭から涙腺緩みっぱなしであった。
生徒たちは、一気に宇宙食を作り上げたわけではない。まずは宇宙食に関わる認証資格の取得から始まる。いや最初は新人先生がとある高校に赴任するところから始めると、十数年の年月をかけて、奇跡のようなリレーで代々の生徒に宇宙食づくりが受け継がれていく。その過程の、登場する生徒たちの節目節目の気づきと達成の喜び、生徒たちを見守り支える周囲の大人たちの想いに、いちいち涙腺が刺激された。
この学校がある福井の街にも感銘を受けた。学校の統廃合や、生徒の活動を支えるための議論や会合が熱く繰り返されていて、地域を支える熱い意識に感心した。私はこんなに地域や地域の子どもの未来を真剣に考えたことはなかった。地域性にもよるとは思うが…。
事実は小説より奇なり、もとい、ハートウォーミング。登場人物は標準の小説よりちょっと多いかもしれないが、そんじょそこらの小説より断然心がぬくぬく、面白かった。日本の、そして子供達の未来のために何が出来るか、考えさせられた。
余談。宮下奈都のエッセイにも福井が舞台になっているものがあり、豪雪で身動きがとれない描写があった。この本の中にもそんな一文があったが、宮下家もこの本に登場する学校と関わりがあったりするのかしら。繋がりを想像すると楽しい。
追記
なんと、ドラマ化するという!そりゃこんなに楽しくてドラマチックなお話だもの。本みたいに泣けるかな。とても楽しみ。
Posted by ブクログ
13代に渡る高校生たちの奮闘記。
底辺高の福井県立小浜水産高校に新任教師小坂が赴任。小浜水産高校は国内で最も歴史のある水産高校だったが、その頃は荒れていてヤル気のない生徒が大半の高校だった。
授業の一環で鯖の缶詰作りがあって、その鯖缶は臭みがなくすぐに売り切れる逸品。これを世界基準にしようとHACCP認証を取る。これは宇宙食のためにJAXAが開発した認証で、生徒の誰かが「この鯖缶も宇宙に行けるんちゃう?」と言ったことが開発が始まる。
学校の存続の危機や統廃合のたびに計画は頓挫しそうになるが、乗り越えてついに栄光の時を迎える。
Posted by ブクログ
本書は、高校生が作った「さばの缶づめ」が宇宙に届くまでの14年間を追ったノンフィクションで、2025年5月放送のNHK新プロジェクトX「廃校寸前からの逆転劇 高校生と熱血先生の宇宙食開発」の原作本(2022年1月初版)です。
コロナ禍真っ只中の2020年11月27日、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在する野口聡一宇宙飛行士が、YouTubeで宇宙食の食リポを配信しました。紹介されたのは、福井県立若狭高校が開発した「サバ醤油味付け缶詰」。宇宙食としての認証は審査が厳しいゆえ、名だたる大企業が名を連ねる中、高校生の認証は世界初の偉業でした。
高校生たちがいかにして認証を受けるに至ったのか? ぜひ本書を読んでその軌跡を辿り、感動に浸ってみてください。足かけ14年、約300人の生徒たちがつないだバトンは、波乱万丈で紆余曲折があったものの、先生や生徒たちの想いが結実していきます。その驚きの展開に目頭が熱くなります。
TV(新プロジェクトX)は、かなり簡潔に上手くまとめたドキュメンタリーでしたが、お馴染みの、田口トモロヲさんの哀愁漂う語り、中島みゆきさんがアレンジし、キーを上げて歌う主題歌「新・地上の星」が脳内に響き高揚します。
風の中のす〜ばるぅ♪ あぁたまりません…。でもやっぱり原作の本書は外せません! 可能ならNHKオンデマンド220円で視聴できます。原作とのセットがおすすめ。泣けますよ!
教育関連本として扱う以上に、地域や大人と連携して工夫やアイデアを重ね、困難を乗り越えていく様子は、ものづくりという創造活動の喜びが詰まっています。スタンディング・オベーションです!
Posted by ブクログ
ノンフィクションだが、人物が生き生きしていて面白い。高校3年間という短い期間をどう繋いでいくのか、地方活性に残された手段は、等々、これからの地方創生や地方の教育を考える際のヒントがたくさんあって涙なくして読めない本だった。
若狭高校のサバ缶宇宙へというのは実は何処かで見たことがあったのだが、話題性のために高校生を引っ張り出したのかくらいに思っていた自分を深く反省。いやあこんな先生や探究目的に出会える高校時代を過ごしてほしいな、どのわかものにも!!
Posted by ブクログ
内容の骨子はタイトルの通りですが、そこから想像されるそうな、頑張ったら報われる的な感動青春モノというだけではありませんし、カリスマ先生によるプロジェクトXという訳でもありません。
(もちろん生徒、先生の努力の継続に大感動するのですが、それは言うまでもないので)
様々な世代、様々な立場の人々の群像劇でもあるし、まさに今の時代の教育論でもあると感じました。
子供の探究活動のモチベーションアップや読書感想文のネタにもよさそうだし(先生に喜ばれそうなテーマだしね)
大人が読んでも気づきの多い一冊でした。
文章は案外あっさりしていて、
一人一人の登場人物をもっと深ぼったり、エピソードを感動的な演出で装飾したり、
そんなこともできそうですが、
10年以上にわたる活動でそれをやると大河ドラマになってしまうので、これぐらいがちょうどいいのでしょう。
Posted by ブクログ
図書室本。この本は以前から知っていたものの未読で、プロジェクトXで取り上げていたから読みました。中身は感動物で、教師と生徒の長年の努力が実りました。出会いって大切。経験って目に見えない財産!羨ましいです。
Posted by ブクログ
12年にも渡る宇宙食開発の過程を綴ったノンフィクション。
地元産のサバを使い、生徒たち自らが開発した缶詰を“宇宙食”として宇宙へ届けるという試み。
生徒が次々と卒業していく中でバトンを繋いできたことも、数々の困難を乗り越えてきたのも本当にすごい!!!
よくぞここまで……。
宇宙食認定食品のなかで、企業ではなく高校生が製造しているものは世界唯一とのこと!
生徒、教師、地域の人たち、JAXA職員…関わってきた人たちすべての思いの結晶。
熱い!!
鳥肌が立ちます。
本書を読んで初めて知った、食品の安全性を確保するための衛生管理手法
「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)」
サバ缶の宇宙食認定を目指し、そのときどきの生徒が、今目の前にある課題をひとつひとつクリアにしていくーー。
地道な努力の積み重ねがもたらした偉業。
「まさか」を「現実」にした高校生たちに、盛大な拍手を送りたい。
作中で生徒たちとずっと伴走していた小坂先生が感じた、ある言葉が心に刺さり、残りました。
小坂先生の生徒と向き合う姿勢が素敵。
自分たちが製造に関わった缶づめを、宇宙で宇宙飛行士に食べてもらえるなんて…!
夢みたい…。
読みやすい文章で、読み応えがありました。
〈引用〉
『大きすぎる夢は、一人で実現するのは難しい。でも長い年月をかけて、一人一人が力を合わせた時、信じられないことが現実になることがある』
『教師にとって最も大事なのは「見取り」。
生徒の変化を見逃さず、思いや考えを認め、成長を支援すること。』
Posted by ブクログ
夢を見ることを諦めない。やらされるのではなく心から実現に向かっていける夢。こんな高校生になりたかった。こんな先生に出会いたかった。心が震えて渇望する夢を見つけたかった。爽やかな気持ちになった。ありがとう。
Posted by ブクログ
キッカケはドラマ原作だったので読み始めたけど、ロマンのある話で良かった。
今年のOBAMA若狭マラソンへ走りに行った時に、小坂さんが教育長としてスタート台に居たのは印象的でした。
Posted by ブクログ
小坂先生の指導方法もユニークでとても良いが、あくまでも生徒主体で進めていく過程が凄い。
企業とは違って同じ人がずっと作れる訳でなく3年間だけなので下の世代にバトンを繋げていく。
生徒の試行錯誤の経緯を知ると認定後、ISSで野口宇宙飛行士が鯖缶を食べる場面では胸が熱くなった!
自分もこんな夢中になれる何かがある高校生活を送ってみたかったなぁ。
読み終えて以前買っておいた若狭宇宙鯖缶を食べるのも、4/13〜のドラマも楽しみ。
Posted by ブクログ
HACCPって、工場じゃなくても出来てしまうのか!というのがとても驚いた。
自分が学生時代とても苦手だった探究学習が、ここまで楽しく、そして実りあるものになるのだというのが読んでいてとても楽しかった。
物語として書かれているのでとても読みやすい。
Posted by ブクログ
野口さんがサバ缶食べてますよ。水産高校の生徒が宇宙日本食としてサバ缶を作る。きっかけはある生徒の一言から始まった。教育困難校といわれた小浜水産高校で、生徒主体の授業で自主性を育てる。とてもおもしろい本でした。
Posted by ブクログ
高校生の娘に面白いよと薦められて読んだ本。確かに面白かった。
一昔前の普通科以外の高校は教育困難校が多かったですが、舞台となる水産高校もそこからスタート。そこに熱血先生が赴任して、というドラマになりそうな設定です。
先生が指導を進めて生徒が手を動かす、のではなく、あくまでも生徒たちが自分たちで考えて一歩一歩進んでいく姿と、この活動を通じて教育を実現したい先生の努力には、素直に感動します。
ただ、これ実現するまでには、やはり現実の壁は高く、かなりの年数を要しています。むしろ、何代にも渡ってこの夢の火が消えずに繋がったことに驚嘆します。
惜しむらくは、文章が誰の目線で書かれているのか混線しているような違和感を持つところですね。生徒なのか先生なのかはたまたという所に、いきなり著者の感想文的な文章が入って来たりして、物語にするかドキュメンタリーにするか寄せてしまえばいいのにと何度か感じました。
Posted by ブクログ
読書会の課題本。
今ドラマ化されているが、ドラマは2話で脱落。
教育困難校とされた荒れた高校が宇宙食を作る話。
大人も子供も、主体的に動くことの大切さを感じた。
小坂先生が子供たちを誘導した賞を取ってしまったという経験と罪悪感から、生徒を信じて、生徒から動くのを待つ姿勢、大事だよなぁ。
仕事でも、若手に手取り足取り教えたらすぐ終わるけど、若手が自分で悩み、考えて動くことが大事だ。それがわかっていても心配で手助けしちゃう自分に反省。
ドロドロ系の小説を中断して、この本を読んだので心が洗われました笑
Posted by ブクログ
一部をドラマで見ていたので、それに比べるとかなりサラッとな印象だった。ドラマ見ていなかったらもっと驚きながら読めただろう。
シンプルにこの蒸し煮されたサバ缶食べてみたい。
ロケットの発射音は人間が作る音の中で最も大きいものらしい。
宇宙飛行士が宇宙で日本食を食べて日本を思い出してホッとする話、好きだな。