あらすじ
「宇宙食、作れるんちゃう?」
はじまりは生徒の一言だった。
数々の困難をのりこえる大気圏突破ノンフィクション!
地域の名産「よっぱらいサバ」の缶づめが、宇宙へ旅立った! そこには12年にわたる物語があった。一筋縄ではいかない開発、学校統廃合の危機。葛藤の中で一人一人が力を合わせたとき、宇宙への扉が開いた──。
「大きすぎる夢は、一人で実現するのは難しい。
でも長い年月をかけて、一人一人が力を合わせた時、信じられないことが現実になることがある」
2022年発行高校英語の教科書(三省堂刊)でも紹介!
小浜水産高校から若狭高校へ引き継がれた、宇宙食開発のもようを、宇宙ライターの林公代氏が詳細な取材で迫る。
【目次】
プロローグ 「野口さん、サバ缶食べてますよ!」
第1章 「この学校、潰れるで」
第2章 「1億円はかかりますよ」
第3章 「宇宙食、作れるんちゃう?」
第4章 「缶詰は宇宙に飛ばせない!?」
第5章 「学校がなくなる!?」
第6章 「何、夢を語ってるんだ」
第7章 「5点満点の6点です」
第8章 「特に話題の宇宙食を紹介しましょう」
第9章 「鯖街道、月へ、未来へ」
エピローグ 学びのビッグバン
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
誰か一人の成功談ではなく,一つの学校が色々なことに揺られながら進んだ結果が,大きな果実を手に入れたということに心打たれる。
それにしても、頭の中だけで組み立てる「探究」学習が,なぜ薄っぺらで、似通ったものになるのか,その答がある。
「本当にやりたいこと」と「それを裏付ける具体的な経験」が無い。
Posted by ブクログ
鯖街道を宇宙へ。これは大きな夢の物語。
水産高校で長年取り組まれていた缶詰作り。その衛生基準を世界標準にすることから始まった。統廃合を乗り越えて、とうとうサバ缶は宇宙へ行く。しかしそこはゴールではなかった。代々研究を受け継ぐ生徒たち。教育とは何かを考え抜いた教師たち。地元のために奔走した大人たち。誰もが本気を出したから、宇宙食が完成し、またレベルアップを目指す。
反対もあったし、失敗もあったし、ピンチもあった。時間もかかった。探究とはそういうものだ。けれどここまで本気で探究するには、生徒も先生も興味を持って始めないといけない。それっぽいテーマでは続けられない。しかも長い時間とたくさんの困難を乗り越えないと。でもここには真剣に育てたい生徒の姿を求めて、見守り続けた教師の姿がある。
教育困難校と言われ統合対象になる水産高校、かくたる名産品がなく苦心した地方都市、そういう起死回生をはかる土壌が本気を産んだとも思った。生徒も教師も大人たちも危機を正しく見つめ、失ってはいけないものを選び取った。これを読んで、では自分たちも宇宙食開発を、というのは絶対に違う。まず自分と自分のいるところをしっかり見つめよう。
教師には「見取り」が大事というのが印象的だった。生徒の一瞬を見逃さない教師になりたい。