【感想・ネタバレ】ポトスライムの舟のレビュー

あらすじ

芥川賞受賞作
29歳、社会人8年目、手取り年収163万円。
こんな生き方、働き方もある。新しい“脱力系”勤労小説

29歳、工場勤務のナガセは、食い扶持のために、「時間を金で売る」虚しさをやり過ごす日々。ある日、自分の年収と世界一周旅行の費用が同じ一六三万円で、一年分の勤務時間を「世界一周という行為にも換金できる」と気付くが――。ユーモラスで抑制された文章が胸に迫り、働くことを肯定したくなる芥川賞受賞作。

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Posted by ブクログ

津村さんの初期作品、意外と初めて読んだ。やっぱり津村作品は良い。

『ポトスライムの舟』
働いて得たお金で世界一周するのを選択肢として持つこと。食べられない観葉植物を、お金をかけずに工夫して育てること。できる範囲で友達を助けること。
結婚にこだわらず、手に届く範囲で楽しみを見出し、遊び心を持ってコツコツ働く。それでいいじゃないか、と少しも押し付けがましくなく言ってくるような一編で、すごく好きだった。
出てくる人みんなが普通の人で、それぞれ悩みもありながら日々を過ごしているのもいい。

『十二月の窓辺』
パワハラの描写がしっかりあり、津村作品にしてはいろいろな事件が起こる、メッセージ性の強い作品。
世界は狭く画一的なわけじゃない。この世には千差万別の痛みがあり、だからこそ今いる場所にこだわる必要はない、という結論は新鮮で、津村さんらしい。
今仕事の人間関係が辛い人は読むのがしんどいかもしれないけれど、読み終わる頃にはきっと心に涼しい風が吹くだろう小説。

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2026年04月12日

Posted by ブクログ

大学生の頃に読んだ時は全く刺さらなかったのに、社会に出て労働というものに向き合った後に改めて読んだら五臓六腑に染み渡った
津村記久子先生の小説とeastern youthの音楽は現代の蟹工船だと思っている
一度レールを外れてしまった人間にしかわからない絶望や不安というものは確かにあって、例え元のレールに戻れなくても、ナガセの見る世界を通じて、大袈裟ではなく、それでも世界は愛おしいと、そう思えるような小説だったと思う
傷だらけの労働人生でも、この本に出会えただけ私は幸運だったんだろうと思う

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2026年04月07日

Posted by ブクログ

決して楽しく読める小説ではないけれども、ナガセのちょっとした気遣いとやさしさ、ツガワの最後に見せる思い切りにグッときました。

佐多稲子のデビュー作を読んだ時に感じた無力感とガッツポーズをしたくなる気持ちをちょっと思い出しました。

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2026年02月07日

Posted by ブクログ

素朴であたたかい津村節。こういうのでいいんだよ。

『コンビニ人間』、『ハンチバック』、『推し、燃ゆ』と芥川賞巡り中にあった本作。

そうそう。津村紀久子さんはこういう感じだった。こういうのでいいんだよ。

彼女の書く甘すぎないしあたたかすぎない。緩すぎるかも?独特の雰囲気が好きだ。定期的に摂取したい。

アウトリガーカヌーに乗ってゆるゆると決して速くはないけれど、それでいて不思議と転覆しないバランスで世の中を漕いでいきたいものだなあ。

それにしても表紙の男の子がかわいすぎる。このワンポイントが入ったTシャツあれば欲しい。

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2026年02月06日

Posted by ブクログ

ひとつめのポトスライムの舟、かなり好きだった。

自らが稼いだお金をどのように使うのか

金銭的に余裕があれば、子どもを産んでいれば、あのとき結婚しなかったら。今では友人と思えない旧友、老いていく親、古びた実家。
満ち足りた生活にはほど遠い気がするけれど、自分で選択をして行動を起こすことはできる。

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2026年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川賞受賞作『ポストライムの舟』とその前日譚とも言えそうな『十二月の窓辺』。
やはり『ポストライムの舟』がかなりよく、『十二月の窓辺』はちょっと迷うところ。だけど『ポストライムの舟』は「こんな書き方あるかぁ!」と感嘆。なので迷いましたが、やっぱり★五つ。

以下、解釈&ネタバレ。
『ポストライムの舟』』の主人公・長瀬由紀子。このフルネームは最初の一文にだけ使われて、あとは「ナガセ」で統一される。ではなぜ、最初だけフルネームか?
「脳内並行世界の確立にナガセが成功した」という個人的な感想を抱いている。本体は長瀬由紀子であり、ナガセは様々な長瀬由紀子のうちの一人。でも実際のナガセは前職、パワハラで辞職しており、なかなか辛い人生を送っている。彼女が薄給の中「そうか163万円で世界一周旅行にいけるのか」とケチケチ&土日も働く生活を始める。ナガセの周囲の、お金に困っていない友人・店の経営者の友人・旦那からモラハラを受けている友人、また会社の先輩の岡田さんの夫はどうも不倫しているらしい。そんななか、ついにナガセは体を壊してしまう。しかし復帰したら、なんと会社からボーナスが出て、163万円たまっていた! でもナガセはすぐには世界一周旅行にはいかない。恵奈という友人の娘に、イチゴの苗を買ってやろう、なんて考える。唐突に「また会おう。 何者にでもなくナガセは呟いた」、そして物語は終える。
ナガセは脳内並行世界ですでに世界一周旅行に出かけた自分を見て、そしてそれは今の世界の自分でも、絶対にいつか行ける、行こうと思えば行けるんだ、ということを無意識に悟ったんじゃないかな? その心強さ。肯定感。
一方の『十二月の窓辺』の主人公ツガワは女上司からパワハラ受けている真っ最中。会社の周りには暴漢が現れるらしい。そしてその暴漢がある人物であることが最後にわかるが、全体として暗い印象が否めない。この唐突な犯人暴きも、たぶんミステリーとして読んでしまうと「は?」となってしまうのではないか。たぶん「脳内並行世界」みたいに読むと、犯人は犯人であって犯人でないのかもしれない……ツガワ自身も「ヨーグルト菌の大量虐殺」を行っているし、表裏がわからなくなっている。

『ポストライムの舟』はまた読みたくなる作品でした。

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2025年11月21日

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仕事は生きるために週のほとんどを費やすから、気持ちを持っていかれがちだが、きちんと働けることだけや仕事での評価がすべてじゃない。
仕事での人間関係に悩んだ経験があるからこそとても刺さるし、自分を大切にできてるか、考えさせられます。

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2025年10月04日

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こういう温度感の話好きなんだよな〜
と思ってたけど十二月の窓辺はあまりに前職の自分がチラついて…当時はどこに行ってもダメだと思ってたけど、全然そんなことなかったな。
こうやって学生時代ぶりに本読んだり音楽楽しむ余裕もなかったな。嫌な環境の職場って害でしかない。やだね〜ほんと。(感想じゃなくて日記になるシリーズ)

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2026年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作がとても良かった。
薄給の職場で働いていると、ふとした瞬間に「自分の人生はこれで良いのだろうか」「他の人は立派なのにそれに比べて私は……」みたいな思考に苛まれることは自分もよくあるので、共感できるものがあった。
ナガセは突発的に「世界一周」という夢に向けて貯金を始めるものの、些細なことで散財してしまう自分に嫌気が差してしまう。
しかし、それは本当に散財なのだろうか?
親や友人や職場の人たちと関わる中で、自然に「そうするべきだ」「そうしたい」という気持ちがナガセの心を動かしたのだと思う。
我慢して貯金することも素晴らしいことだとは思うけれど、今この瞬間の僅かなお金の消費が人生を「豊かに」「幸せに」していることも事実ではないだろうか?
そんな気持ちになったであろうナガセが、手帳を開くことをやめて、自転車で駆け出すラストが非常に爽やかで好きでしたね。
読みやすい筆致でありながら、お金や仕事や人生に対しての価値観を再考させられるような、奥深い内容だった。
『十二月の窓辺』のほうは、パワハラに苦しめられている者のお話で読むのが辛い部分もあったが、『ポトスライムの舟』のナガセの前日譚的なものとして捉えて考えてみると面白いと思った。

薄給でも居心地の良い職場……良いよね(笑)

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」の中編2本が収められている。2つの作品は独立しているが、後者は前者の前日譚であるらしい。なので、後者の主人公ツガワは前者の主人公フカセと同一人物という事になる。確かに人物造形的に繋がりが感じられて、フカセの理解には後者も読んだ方がより理解が深まるだろう。

解説でも触れられているが、文体が独特で静かな語り口であるのだが、中々にハードボイルドで、主な登場人物がカタカナで表記されている事により客観的に物語に入っていける。
両作品ともいわゆるロスジェネ世代の女子の人生観や仕事観がよく表現されているように感じるが、僕がそこからかけ離れた世代であるのでどうでしょうか。

「ポトスライムの舟」では幼稚園の恵奈ちゃんのキャラに惹かれ、「十二月の窓辺」では、V係長のあまりのブラックさに呆れを通り越して恐怖すら覚えた次第ですが、一冊読み終わり「ディス・イズ、ザ・デイ」の読後感にもあったのですが、ほのかな優しさが感じられて、津村さんの他作品も続けて読みたいと思いました。

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2026年05月30日

Posted by ブクログ

久しぶりに小説を読んだ。選んだのは、津村記久子さんの『ポトスライムの舟』。
映画『君は永遠にそいつらより若い』を観て以来、ずっと気になっていた作家さんだ。文芸評論家の三宅香帆さんもお薦めしていたので、「それならまずはデビュー作から」と手に取ってみた。のちに芥川賞受賞作だと知り、そういえば当時ニュースで見聞きした記憶がうっすらと蘇る。

慣れない関西弁に最初は少し戸惑ったものの、読み進めるうちに、それが逆に主人公・ナガセの思考をダイレクトに脳内へ届けてくれるような感覚に変わっていった。彼女の淡々とした日常の中に、自分も一緒に没入していくような心地よさ。

読み終えたとき、これはまさにあの映画と同じテイストだ、と腑に落ちた。
そう言えば、今作の主人公「ナガセ」も、映画の主人公「ホリガイ」も、なぜかカタカナの名前だ。どちらの作品も、彼女たちの地続きの日常を丁寧にたどりながら、ラストには驚くほど前向きな光へと導いてくれる。
津村さんにとって、小説とは「人を前向かせる役割」を持つものなのだろうか。それとも、執筆を通して自分自身を奮い立たせているのだろうか。

ナガセがアウトリガーカヌーに乗った男の子に告げたように、私も心の中で呟いてみる。
「また会おう」
津村記久子さんの言葉に、再び出会える日を楽しみにしている。

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2026年06月06日

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おそらく作者のエッセイをいくつか読んだ影響もあるかと思うが、「仕事」や「働く」という事柄に関する生々しさや切実さに胸を衝かれる。ここに書かれていることは「労働」という言葉の響きより、「働く」という言葉が合っているように感じる。
ナガセは徐に一年かけて世界一周旅行の資金を貯め始めるが、些細な、または些細でなかったりする事情で順調に貯められかったりする。
大きく何かが変わるわけではないけれど、憑かれたように働き詰めだった彼女にささやかな心情の変化が訪れ、また日常に戻っていく描写に自然と涙が流れた。
十二月の窓辺は読んでいてずっと呼吸が浅くなっており、こういう上司、知っている…という覚えのある痛みを感じた。
本文にある「千差万別の痛みやその他のことがある」という一文は転職を何度か繰り返した自分にとっては深く頷かせるものがあり、最後に退職を決断した主人公が職場の冷蔵庫のヨーグルト菌を死滅させる様は傑作だった、

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2026年05月01日

Posted by ブクログ

限界会社員小説。
パワハラで前職を退職し、単純作業をする現職に勤めるナガセが、掲示板に貼り出されたピースボートと思われる世界一周旅行のポスターを見て、自分の年収と同じ163万円を貯金しようとする話。友達と遊びに行っても、友達を助けてもずっとその交通費や食費を計算し続けるという、馬鹿らしいようで、現代っぽくて切実な感じが胸に来る。どこか現実との接触の実感が乏しい感じがよく出ている。2009年芥川賞受賞。
併録されている「12月の窓辺」は、著者もインタビューで答えていたが、パワハラにあった職場の実体験に基づく話。読んでて辛くなるが、どこか滑稽さもある。どこか憧れともゲームの背景のやうな非現実とも思われた、休憩室の窓から見える兎我野タワーでの、ある出来事を目撃してしまうあたりの展開はすごい。
両方とも救いのある終わり方なのに読後寂しい気持ちになる。※オーディブル

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2026年02月21日

Posted by ブクログ

仕事や日常生活に行き詰まった時に読み返しています。「今がいちばん働き盛り」と入れ墨を彫りたくなったナガセの気持ちを自分に置き換えて奮い立たせました。
十二月の窓辺の上司がほんとにくそすぎて
こんな人間にはなるまいと真剣に思いました。

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2026年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみよう」の三冊目。

「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」が収録されています。

「ポトスライムの舟」は前職をつらい思いをして辞めて、工場や友人ヨシカが経営するカフェで働いたり、パソコン教室で講師をしたりしている女性ナガセが主人公。たまたま職場に貼ってあった世界一周クルーズが、工場での年間手取りとほぼ同額であったことから、世界一周を目標にするところから始まります。と、こう書くとそこに焦点が合った小説かと思いきや全然違うのです。
ナガセは奈良で母親と古い自宅で二人暮らしをしていますが、そこに友人りつ子が娘を連れて夫から逃げてきます。と、こう書くとなんだか波乱万丈な日常を思い描きがちですが、全然違うのです。
じゃあ、何なんだ、と言われたら、もう「読んでみて」としか言いようがない。
ナガセは過労で体調を崩すけれど、淡々と日常に戻る力をつけていくし、転がり込んできたりつ子も淡々と夫と別れ、娘と二人で暮らしていく道を見つけていく。その「淡々と」が非常に良いのです。ナガセ、母親、りつ子、りつ子の娘、ヨシカが連れだって奈良の観光地にあらためて出かけていくところなんか、すごく清々しくて良い場面なのに、「淡々」と描かれています。
ナガセは友人の娘にも過度な愛情をかけることはないけれど、ちゃんと人と人のつながりを築いていて、ナガセの家を出て、新たな道を進み始めたりつ子の娘に、ポトスライムを持っていくし、苺の苗を買ってやろうと思うし。出てくるみんなが決して恵まれた環境ではない環境で淡々と日々の暮らしを送っていて、その「淡々」はストーリーではなく津村さんの文章への印象かもしれないけれど、良いお話でした。これも津村さんお得意のお仕事小説といえるかもしれません。

次の「十二月の窓辺」は、お仕事小説そのものですが、真っ向からのパワハラ事案でなかなか読むのも辛いものがありました。主人公ツガワへのV係長(このお話ではどんな形であれ”ハラスメント”をしてくる人は全てアルファベットで示されていたように思います・・・)のパワハラは言葉によるものが主だったものでしたが、まぁびっくり。同時に、私はつくづく恵まれた職場環境で仕事ができているな、と思いました。新卒から働き出してウン十年。パワハラを受けたり、大声をあげられたり、汚い言葉で罵られたりしたことはありません。(ひとりパワハラ課長がいましたが、なぜか私のいる係はその課長に好かれており、被害を受けることはありませんでした。)働きやすいけど、やりがいがないから辞めたいだとか、職務内容に飽きたから異動して新しいことをしたいだとか、なんて贅沢をほざいていたんだろう、と大いに反省しました。この反省はこの話のラストのツガワの気持ちからすると、綿あめくらい軽いものですが、最後の最後で、ツガワは自分だけが「底の底」にいたわけではなかったと知ります。「通り魔事件」と「トガノタワー」がこんなふうに物語の本筋にからんでくるとは・・・。パワハラを受けた側がどんなふうに自己否定に陥ってしまうかというのが、ツガワの気持ちの描写でよくわかりました。傍からだったら、「V係長の方が、他のところではやってけないよ!」「ここを辞めても、どうせ次でもダメだなんてことは絶対ないよ!」「合うところは必ずあるよ!」と大声で叫んであげられるところですが、当事者の耳にはなかなか入りにくいことも想像に難くなかったです。ツガワには希望が見えた気がしますが、ナガトはどうなんでしょう。なんでまだパーカー姿だったのかな・・・

とりあえずの「津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみよう」の三冊終わり!
また折を見て津村作品を読んでいきたいと思います。

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2026年01月19日

Posted by ブクログ

ありきたりで変化のない人生を変えるため海外旅行の目標を立てたのだが、カツカツの生活を送る内に、日常のささやかな楽しみで満足するようになり目標がどうでも良くなってゆく。失われた世代の悲哀。

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2026年01月10日

Posted by ブクログ

『ポトスライムの舟』は読みやすかったが『十二月の窓辺』はパワハラがリアルに描かれていて胸糞悪かったですね。

ポトスライムの舟は主人公の独り言にクスッと笑えたり、主人公の友達の娘も癖強くて面白いですね。


十二月の窓辺は、当たりの強いV係長がとにかく胸糞悪かった、責任を丸投げする先輩たちもどうなのかと思いましたね。

解説も読みました。津村記久子さんの過去作である『ミュージック•ブレスユー!!』の話も織り交ぜて有り面白かったです。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

具体的なエピソードとしては、主人公をはじめとした複数の登場人物が抱える職場や家庭での苦労が描かれているが、働く経験や、家庭的な苦労を未だ経験したことのない自身でも、登場人物たちの苦しみに共感することができ、人生の普遍的な苦しさをぴたりと言い当てる筆致に心を打たれた。一方で、とてつもない苦労を抱えながらも、やられっぱなしではなく意外にも(!)強かに日々を過ごす主人公たちに、希望も感じた。こうでないとやってられないよね、と共感できる。また、主人公との心情の距離感も絶妙で、過度な感情移入がないので、読後感が爽やかだった。苦しい時にまた開きたい一冊となった。

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公・ナガセの一年を追いながら、仕事やお金、生き方について何度も考えさせられた作品でした。
年収163万円という現実味のある数字と、そこから始まる節約生活や世界一周資金作りは、夢というより「自分にも起こりうる選択」のように感じられて、とてもリアルでした。

作中で、思うように貯金できず、働きすぎて体調を崩し、それでも働き続ける彼女の姿には胸が痛くなった。でも同時に、小さな幸福を拾い集めながら生きていく姿に、静かに励まされました。
ポトスライムが水だけで増えていくように、ナガセも自分の力で生き方を模索していく姿が重なって見えたことが印象的でした。

また、友人関係の描写を通して、誰もが表に見えない苦しみを抱えて生きていることを思い出させられた。自分の世界だけで完結せず、もっと周りにも目を向けたいと思えました。

読後、すぐに何かが変わるわけじゃないけれど、「自分にも小さな一歩が踏み出せるかもしれない」と思わせてくれる本でした。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫本に収録されていた2作品の感想を記します。
○ポトスライムの舟
社会の波に揉まれて傷ついた人たちに向けた作品だと思いました。最後まで優しい雰囲気の文体で物語が進んでいたのでストレスなく作品を楽しむことができました。
作品の雰囲気を維持するためだと思いますが、主人公の過去のことは最後までわかりません。

○十二月の窓辺
パワハラに悩む主人公が退職するまでの心情が生々しく描かれています。つらい気持ちになりましたが一気に読みました。理解力不足のため、通り魔の正体に納得していません。時間をおいて再読しようと思います。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

パワハラで精神を病んで会社を退職した主人公と自分の境遇が多少重なる部分もあった。
そんな境遇でありながら世界一周旅行に向けて、複数のバイトを掛け持ちし、ひたむきに節約を続け前向きに日々を生きている。
その姿が健気で慎ましく、美しい。

派手な話の展開もなく、ただ淡々と彼女の日常が綴られだけだが、その姿が胸にじんわりと染み入る。
そういったタイプの作品だった。

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2026年05月30日

Posted by ブクログ

狙いだろうけど、少し誰が誰の感情になっているのか分からなくなる瞬間があった。
労働に対する感情移入が難しかった。
ただまずまず面白かった。

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2026年05月24日

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ポトスライムの舟は、第140回芥川賞を受賞した。
一人称を、カタカナの姓で示した作風。
ナガセは、クルージングのポスターの金額が自分の年収と同じことから、貯金を始める。

十二月の窓辺は、その前日譚
ツガワは、パワハラの渦中で、耐え、仕事を続けている

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2026年05月08日

Posted by ブクログ

◼️ 津村記久子「ポトスライムの舟」

芥川賞。小説らしい作品だな、と。読みやすく展開は、把握しやすい。

たまたまではあるけど、最近芥川賞を読むことが多い。中には、博多弁で言うといっちょん分からんやったり、やたら理屈が多かもんもあるとばい。しかしながら、この作品は平易な言葉で、設定も展開もオチも分かりやすい。ただ、そこに含まれている意味を言葉でうまく表現できない。

長瀬由起子29歳は、工場でベルトコンベアの乳液のキャップをチェックする仕事をし、夕方からは友人のヨシカが経営するカフェで働き、夜は入力の内職をしている上、土曜日はパソコン教室でお年寄り相手にメールの送り方などを教えている。ある日、工場に貼ってあるポスターの163万円で世界一周、というふれ込みに、この金額は自分の工場の年収と同じ、と気づき、節約を始める。そんな折、母親と住む4LDKの古い持ち家に大学の同級生・りつ子が幼い娘を連れて、ほぼ無一文で家出してくるー。

「ポトスライムの舟」自体は100ページくらいの作品。主人公ナガセの前日譚「十二月の窓辺」も収録されている。

離婚した母に、離婚協議をしているりつ子、離婚を考え始めた、工場でともに働く岡田さん。回りがいろいろと動く中、目標である貯金に向けて働く、細かくカネの計算をしては心を痛めるナガセ。止まらず働く女に、束の間の休息が訪れる。そして心境の変化が・・?

最近意図せず関西ものに当たる気がしている。ポトスライムの舟」は奈良が舞台で関西弁も多い。そしてそちこちに奈良の細かいあるある、が散りばめられる。さて、この作品はお金の算段を中心にストーリーが進む。周囲に影響されて、働いて、エアポケットが生じて、というわかりやすい展開だと思う。

では、何を掴み、どう変わっのか。成長したり、自信を取り戻したり、というのはわかる気がする。ただそれを、えも言われぬグネグネしたような感情、変化の度合いと瞬間をどう表現していいのが、ホントにむずかしい。分かる気はするけど、この胸の中のもの、これがこの作品を読んだ時残るものでは、という気もした。

タトゥー、百科事典が好きなりつ子の娘・恵奈との触れ合い、自転車で走る、など印象的で計算されてそうな要素が織り込まれていていて非常にテクニカルだなと思えてしまう。

等身大の物語、平易な文章とあまり波のない展開。しかし何かある、という確信、あまり言葉にしたくないような気もすふ。様々な知識。小説らしい作品だな、と思ったりした。

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2026年01月29日

Posted by ブクログ

ポトスライムの舟
なんかわかりそうでわからない。
でも心地よいって感じの話

社会人になってからお金が苦しい時期があったので、友達と会うための電車賃を脳内計算する主人公に共感しかなかった

将来のための投資を頑張ってるけど、それは幸福なのか?みたいなことを改めて考えた

いまいち掴みきれてないので、みんなの感想も見てみたい。

十二月の窓辺
ひたすらパワハラ描写がきつかった。
主人公もかなり限界まできてたし…

「でもまあ仕事ってそういうもんなよなあっていう。ばかみたいな恥をかきながらもそれは続くわけですよ。遠い空の下でアホにされながら、それでも会社員ははたらくんだよなあ」
ってセリフ好きだった。諦めと希望のブレンドが(この段階ではまだ主人公は吹っ切れきれてないけど)。

道中がしんどすぎたので、ちゃんと前向きに終わってくれてよかった。

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2026年01月25日

Posted by ブクログ

2編のお仕事小説。
どちらの話も、悩みながら仕事を頑張っている姿が描かれている。キャリアウーマンではないところが、現実をリアルに切り取っていると感じた。
1話目は薄給の中でも夢や目標を持って働き、2話目は仕事がうまくできないことを自覚しながら、いじめに耐えるようにして働く姿が描かれる。

芥川賞受賞作の1話目「ポトスライムの船」は、生きるために働くのか、その人生にどんな意味があるのかという、多くの人が一度は考えるテーマ。
主人公は働くこと自体は苦ではなさそうで皆勤だが、給料の重みや働く意味について、漠然としたものから次第に形をもって考えるようになる。

2話目「十二月の窓辺」では、パワハラ上司に耐えて働く姿に、偉いなと思う反面、もっとその努力を認めてくれる人が近くにいればいいのにと感じた。
働く環境はとても大切で、QOLは大きく変わってくる。

一方で、社会では理不尽に耐える力も必要だとは思う。
嫌だからとすぐに投げ出すのが良いとも限らない。
ただ、パワハラに無理して耐えることが正義なわけではなく、自分を大切にすることも必要で、現代ではそのバランスがとても難しいと感じた。

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2026年01月22日

Posted by ブクログ

主人公はキラキラ系ではなく、どちらかというとぱっとしない生活を送るアラサー女性。世界一周旅行の貯金と友達の母子との交流の様子が淡々と描かれていく。
ポトスライムはわたしも一時期少しだけ育てたことがあるが、地味だけど丈夫で、葉のみずみずしさが印象的だった。華やかでなくてもいいからしぶとく生きること、そこに少しのうるおいがあれば人生も充分なのかもしれない。そんなふうに思える話でした。

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2026年01月16日

Posted by ブクログ

20代後半って世界旅行できるくらいの金があるべきなのかしらと自分を省みて侘しくなった。何にお金を使ってきたのか、何も考えずに28歳まで来てしまった。ピースボートは気になる。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

ポトスライムの舟、十二月の窓辺の2篇からなる本作。2篇は主人公も舞台も異なるが、上司からパワハラを受けている・受けていた主人公という共通項がある。

現在進行系でパワハラを受けている女性が主人公の「十二月の窓辺」は、読むほどに自分が仕事が一番辛かったときの喉に何かが詰まるような思いや、冷や汗をかきながら必死に追いつこうとするも、誰も助けてくれない状況を如実に思い出し、とても辛くなった。
過去にパワハラを受けていた女性が主人公の「ポトスライムの舟」は、工場や友人のカフェ、パソコン教室で働きながら、世界一周旅行のための貯金を始めるところから始まる。未来に希望を持とうとする姿がまぶしく見えたが、そんな主人公も過去の出来事が幾度となく頭をよぎり、完全に過去のこととして処理しきれていないところに共感した。

世の中にはさまざまな理不尽があって、私たちはその原因を自分、そうでないなら他者、どちらか一方にあると思い込んでしまいがちだ。
しかし本当はそのどちらにも原因はあって、自分のせいでもあるし、半分は他者のせいでもある。だから上手くいかないときは転職だとかで、自分が理不尽だと感じない場所を探してみるのがいいのだけれど、本当に辛いときはそうする気力すら湧かないよなぁとこれまた共感。

本当は今の会社じゃなくても、正社員じゃなくても、何かしらのバイトで生きていくことはできるのに、追い詰められるとその選択肢さえ気軽に手に取れなくなってしまう。
メンタルが元気なうちに、色々な選択肢や、自分を助ける知識を身に付けておきたい。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

全然脱力系じゃないよ…仕事に振り回される描写の解像度が高すぎるので元気吸い取られる…
表題よりも十二月の窓辺の方が好き、トガノタワーの設定が良い。

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2025年09月27日

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