あらすじ
背筋が寒くなるどんでん返しの快感
ミステリ・ランキング常連の注目作家による、新境地連作ミステリ。地獄は始まる。あなたの隣の小さな悪意から……。
目次
【あらすじ】
ストーカー化した元パートナー、マタハラと痴漢冤罪、技能実習制度と人種差別、SNSでの誹謗中傷・脅し……。
リタイアした元刑事の平穏な日常に降りかかる事件の数々。
身近な人間の悪意が白日の下に晒された時、捜査権限を失った男・平良正太郎は、事件の向こうに何を見るのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本書は、元刑事が身近な事件や相談事に関わっていく物語である。よくある警察OBが現役警察の事件にオブザーバー的に関与する設定ではなく、あくまで捜査権限を失った立場から、身近な事件の真相解明に挑む姿が描かれている。
事件の真相にたどり着くまでには、主人公が過去に担当した事件を振り返り、そこからヒントを得ながら、過去と現在の事件の真相に気づいていく。
明らかになる真実は、身近な人を不幸にし、「知らなければよかった」とさえ思わせるものだ。
物語に登場する「嘘」は、誰かを守るためのものでもありながら、結果的に人を傷つけていく。その「嘘」を見抜いたとしても、誰も救われない現実が残る。
読後、私は身近な人の嘘ほど恐ろしいものはないと感じた。信頼している人にこそ、嘘をつかれたくない。だからこそ、「知らずに幸せでいる」という選択も、時にはありなのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
自分の保身のためについた嘘が、周りの人を窮地に陥らせてしまう、そんな物語が描かれていました。
そして、真実を突き止めようとすることは、自分にとって不都合なことも明るみにしてしまうんだなぁと、なんだか薄目で世界を見る方が幸せに生きられるんじゃないかなと思ってしまった。
Posted by ブクログ
やはり後気味の悪さが芦沢央さんはすごい。
限りなく現実に近い設定や場面で、納得して読んでいくけれど、だんだん変な方向に進んでいき、最後の最後でドーンっと割れる感じ。
実際にいるのかもしれないし、いても見えてないだけかもしれない、身近なところに起きていることなのかもしれないという感情が膨れ上がっていくような作品でした。
さすが直木賞候補
Posted by ブクログ
面白かった。どれも身近にありそうな内容だ。
自分の立場を守るために工作をする。よくあることだ。そして多くは大ごとにならず過ぎ去る。仮に違和感を覚えた第三者がいたとしても、真相を追及するまでには至らない。もし真相を暴いたとしても、それが誰のメリットになるのだろうか?
社会は嘘を闇に葬ることで成り立っている。
私も面と向かって相手の嘘を追及することはしたくない。
ただ本人の預かり知らぬ所であれやこれや探り合うのは楽しいものである。
Posted by ブクログ
表紙にそそられて読むことに。短編集。どれも最後におやっ、その人が実は…という終わり方で捻ってあって面白かった。
電車の痴漢によるもっと大きな事件のアリバイ、子供の失踪を誤魔化すための行動、事故によるマンションの価値下落の操作
どれもまずい事態に直面した人が取り繕うためにとった行動とそれを隠そうとすることで時間が複雑になるのだが、そこの心理に気付けるのはさすが元刑事だ。
ただ一つ一つが短過ぎてが少し物足りなく、また文章が正確に事実を書こうという意識か、やや説明的で読みにくい所もあった。膨らましたバージョンも書いて欲しい。
Posted by ブクログ
直木賞候補作
警察を定年退職した老人が、過去の担当事件を回想したり、退職後に身の回りで遭遇したトラブルを追いかけたりする連作短編集
各編で昨今の社会問題が違和感ない形で取り入れられている点や、提示した謎に対して短い中でも綺麗に真相解明している点がよくできた小説だと感じた
Posted by ブクログ
物語そのものは退職した警察官が主人公でその生活自体はゆったりと、どこか温かい感じ。
でも短編それぞれに嘘が紛れていて、それに気づくとゾワっとする、その感じが良くて、楽しめました
Posted by ブクログ
身近な謎を元刑事の主人公が解き明かしていく短編ミステリ。
すぐ隣に転がっていそうな話なのがまたリアルで、ちょっとした嘘をキーワードに謎が解けていく時が面白い!!
謎が解けてもハッピーエンドとはならなかったりするし、果たしてこれで良かったのだろうかと思う場面もあるけれども、話として面白く、サクサク読めた。
Posted by ブクログ
なかなか頭を使う小説でした。さーっと読めない。よく読まないとどこかに伏線があって、ここかあ!と思う。刑事を引退した正太郎にちょっとした事件を解決して欲しいと隣人から頼まれるが…。あまりにも嘘つきが多くて最後まで気が抜けない。
Posted by ブクログ
短編集なので読みやすかった。
どれも、元刑事の正太郎が身の回りの事件の真相を探っていく話。
真実を知ることが常に良いことだとは限らない、と実感。
知らなければ良かった…ということはあるんだな、と。
関係者が自分の保身が第一みたいな人間ばかりなのは読んでいて少し疲れたが、正太郎のまっすぐな姿勢は応援したくなった。
人間って怖い。
Posted by ブクログ
これぞ芦沢節という感じ。
この本は直木賞候補作だけど、受賞作なしで、この作品も受賞を逃した。
芦沢さんの本(特に文体)が好きな私としては、芦沢さんにはもっと良い本たくさんあるから、この本で受賞しなくても近い将来必ず受賞すると思っている。
普段本を読まない人たちは、直木賞受賞作=その作家の一番おもしろい本、だと思っているし(実際一番売れるだろう)、その本しか読まずにその作家への評価を下す方もいるので、そういう意味でも、もっといい本でてくるだろうなって思った。
警察官を引退して隠居の身となった平良という男性が主人公。
元警察官ということで、周囲の人に「これってどうなの?」という相談をもちかけられる。
捜査権があるわけでもないが、平良の人柄なのか、元刑事の習性なのか、放っておけずに首を突っ込んでしまうことも。
そんな中で、ふと思い出す現役時代に担当した事件のこと。
記憶の数珠つなぎみたいに、よく思い出すものだなぁ。
私の想像でしかないが、こんなふうに生々しく思い出すのは刑事だけだと思う。検察も、裁判官も、弁護人も、そんなに思い出すことはないだろう。だって、彼らは自分の足で現場に行ったり、聞き込みしたりはしないから。
出来上がった証拠を見て裁判をするのも、内心や記憶に与えるインパクトは強いが、あくまでも完成された証拠しか見ないから、本当に些末な疑問は持ち得ないのだ。
事件のことをゼロから調べ、結論がでたあとも、結局あの証言はなんだったのか?なんていうモヤモヤが残り続けるのは刑事だけだろう。
そう考えると、刑事ってすごい仕事だなと思う。刑事小説がダントツで多いのも、さもありなんだね。
「嘘と隣人」っていうタイトル出し、芦沢央だし、不穏な感じの小説かと思ったけど、人間の心理の複雑さだったり、人間のズルさ、本質のようなものに焦点を当てたお話だった。
連作小説なので、新鮮な気持ちで読み進められた。
Posted by ブクログ
私の隣の人は善い人なのか…
警察をリタイアし、セカンドライフを楽しむつもりが、ちょっとしたトラブルに巻き込まれながら、元刑事の勘もあり、解決はするが、、、
嘘が嘘で上書きされ、真実はどこに……
短編集ですが、ストーリーの展開は、時間の経過とともに、にしても、よくトラブルに巻き込まれる人だなぁ(笑)
Posted by ブクログ
連作短編
警察官を引退した正太郎かわひょんなことから関わる小さい事件。
どれも、少し受け取り方を変えれば、結末がかわるという…
小さな証言の違いから真相が見えなくなる事って結構あるよね…
Posted by ブクログ
純粋な悪意の場合も、利己的な保身の場合も
予期した以上に不幸が大きくなることもあり
より複雑な事件になっていく
熱帯夜のようなじっとり纏わりつくような内容だった
Posted by ブクログ
テンポよく読みやすかった。
主人公が同じで章ごとに話が違う形式だが、どれも絶妙な後味の悪さがあって面白かった。と思うと、最後の事件は後味悪いかと思ったら少し救いがあるようで、それもまた良い。
Posted by ブクログ
身近にありそうな 出来事を取り上げているので
読みやすい作品でした
嘘と隣人 ツイートが原因で 思いもよらない事件に繋がる怖さは独特な視点でした
Posted by ブクログ
2025/11/08
嘘と隣人
芦沢央さん
定年した元刑事さんのお話
ジワリジワリと嘘がバレる。
なかなか面白かった
元刑事だけど、いまは一般人。
事件を解決しちゃうと、角が立つ。
特に知り合いの頼みだと、、、
直木賞候補作
Posted by ブクログ
定年退職後の警察官の回想込みの身の回りの事件簿。
定年退職後だからか全体的にはのんびりとした感じで話は進む。
一つ一つはちょっとしたことなんどけど、心がモヤモヤとかザワザワする感じの話ばかり。
Posted by ブクログ
芦沢さん、大好きですよ。
わかりやすくて、とても読んでいて清々しく、ああこうだったのね!ってなる話好きです。
最後は、もうちょい欲しかったな。
Posted by ブクログ
短編集。
一応解決するんだけど、なんだかしっくりこない感じの話が多かった。
でも、実際の事件もっていうか、被害者からしたら納得いかない事件ばっかだよなー。とか考えた。
Posted by ブクログ
この手のストーリーはなんとなく「後出しじゃんけん(≒とってつけたような感じ、という意」的な趣きがあるのですが、それにしても「よく考えるなあ~」という面白さもあって、だからゆえの直木賞候補なのだろうと思いました。
文体は読みやすく、連作短編集ということもあって、比較的気楽に読み終えることができました。
Posted by ブクログ
直木賞候補というから期待したが、引退刑事の思い出話と日常生活の事件簿という感じの短編集で、あまり熱中もせず、時間もかからずさらりと読める本だった。
思い出話も「あれはこういうことだったのかもしれない」で終わるし、話は面白いがそれほど驚きも感銘もなくて残念だった
Posted by ブクログ
この装丁に惹かれて読みたくなった。
一話が短いので、2日間で読み終えました。
普通の人の、普通の日常が、ちょっとしたタイミングのズレで非日常を作ってしまう。
はぁ、そこ⁈そんな結末!がラストに待っていて、個人的に「アイランドキッチン」は、タイトルが違えば全く予測もできず、しばらくあとを引く結末だった。
Posted by ブクログ
定年退職した元刑事•平良正太郎が、相談された事件を安楽椅子探偵よろしく持ち前の洞察力で推理していく連作短編集。中には過去自分が担当した事件の結末に当時と異なる解釈を施すケースもあり、刑事の記憶力と執念ってすごい!と感心した。
総論、身の回りで偶発的に発生した事件を、自分の都合の良いように利用する人達のお話。ひねりが効いてて意外性はあるけれども、短時間にこんな悪知恵がはたらくか?とツッコミたくなる無理筋が多い印象。
◆かくれんぼ
機内モードとGPSの関係は勉強になった。
子どもを預けた母親、預かった母親、いずれの思考回路も理解に苦しむが謎は魅力的。
◆アイランドキッチン
クレーマーかつストーカーが主題のお話かと思いきや、よもやの着地。ローン特約(ローンの本審査が通らなかった場合だけ、買い主は契約を白紙に戻すことができる特約)の知識は勉強になった。
◆祭り
学生時代に一度だけ体験した引っ越しバイトのことを思い出した。自分自身、体力が無くてあまり戦力になってなかった自覚はあるけど、今思えばパワハラな職場だったなー。
◆最善
全5話の中で、個人的にはこれがベスト。
なぜやってない痴漢の濡れ衣をかぶったのか?
正しいことをやってるはずなのに、様々な後悔が押し寄せるラストのやるせなさといったら…
◆嘘と隣人
轢き逃げ被害者の母親の取った行為は、よく理解できない。赤ちゃんが亡くなった状況の中で、そこまで頭が回るかな?と。
ミステリが読みたい! 19位