あらすじ
2009年、日本で初めて、〈刑務所〉で盲導犬候補の子犬を育てる試みが始まった。試行錯誤のなかで、犬との出会いは、〈受刑者〉だけでなく、まわりの人々をどのように変えていったのか。動物との絆に秘められた可能性とは。人生を根本的に生き直すとは。この試みの立ち上げから7年以上にわたって取材を重ねてきた著者が綴る、希望の書。
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Posted by ブクログ
島根あさひ社会復帰促進センターという社会復帰を特に重視した刑務所において行われた盲導犬育成プログラムを取材したノンフィクション新書。
日本盲導犬協会を筆頭に、全国視覚障害者情報提供施設協会、法務省矯正局、刑務官、地域住民など多くの人々や組織の理解と協力のもとパピープログラムは行われた。
まだ幼く小さい子犬たちを、平日は訓練生(受刑者)たちが、休日はウィークエンドパピーウォーカーという民間の有志のボランティアが、約1年間がかりで育てていく。
そこでは、多くの楽しいこと、苦悩、ぶつかり合いが当然起こってくる。
盲導犬を育てるという体験を通して、変化していく訓練生たちの姿を読み、想像すると、胸が熱くなる思いになった。
このパピープログラムは、プログラムに参加した訓練生たちが自らの犯した罪と向き合い、生まれ変わってもう一回生き直すための道しるべとなったことに違いない。
それぞれの人々の想いが、「盲導犬を育てる」という共通の目的で交差し、塀を超えて、人と人、心と心が繋がっていく過程には、人間の本来的な美しさと強さがみなぎっているように感じた。
人と動物、人と人が出会い関わり合う中で生まれてくるドラマには、魂を揺さぶられる想いがした。
更生保護、障害、動物愛護、人間の生き方など、多くを考えさせられる素晴らしい一冊です。
Posted by ブクログ
島根県にある刑務所"島根あさひ社会復帰促進センター"は、一般の刑務所とは異なり、受刑者の出所後の社会復帰に力を入れるため、教育プログラムと職業訓練プログラムが充実している。
そのプログラムの1つが、"盲導犬パピー育成プログラム"。盲導犬候補として生まれた子犬たちを、受刑者(訓練生と呼ばれる)たちに託して育ててもらうというものだ。
この本は、2009年4月から始まったこのプログラムの1期生の訓練生たちの変化や成長、3匹のパピーたちとの絆を描いたものである。
一般家庭が引き受けるパピーウォーカーの存在は知っていたが、"刑務所で盲導犬を育てる"ということが興味深かった。読む前にちょっと疑問に感じた、「刑務所で子犬が育ったら、車に乗ったり公共交通機関に乗ったり、普通の社会生活が体験できたりしないんじゃ?」ということも、週末だけ子犬たちを一般家庭が預かる"ウィークエンド・パピーウォーカー"というシステムでカバーできるそうだ。
子犬たちが訓練生たちやウィークエンド・パピーウォーカーの二重の親たちの愛情を一身に受けて育つこと、訓練生たちも子犬からの愛情を感じてこれまでの生き方や姿勢から少しずつ変わっていくこと。"子犬が刑務所で育つ"ということが、子犬にとっても訓練生にとってもウィークエンド・パピーウォーカーにとっても、誰にとってもプラスの側面が見られて良かった。