あらすじ
大震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらもある人物を探すため姿を消した青年。自らの家族も被災した一人の刑事が、執念の捜査で容疑者に迫る。壊れた道、選べなかった人生――混沌とした被災地で繰り広げられる逃亡劇! 『孤狼の血』『盤上の向日葵』の著者が地元・東北を舞台に描く震災クライムサスペンス。
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Posted by ブクログ
ただ切ない。
震災の中で起きた2件の殺人事件
プロローグで結果を見せている為
凶悪犯の立てこもり事件を勝手に連想させられるが、
最後まで立てこもり犯への同情ばかりが浮かんでしまう。
何故殺人を犯してしまったのか、
何故逃亡し続けてしまうのか。
動機を探る傑作長編。
Posted by ブクログ
どこまで遡れば今と違った人生が歩めたんだろうか。どこか一つだけでも違ったら、こんなことにはならなかったのに。
きっと誰にでもある話。
3.11を舞台とした悲しい悲しいお話。
Posted by ブクログ
全体的に重く悲しいけれど、少し希望が見えるラストでよかった。
サスペンスだけど、震災時の状況もしっかりと描かれていて、大切な人を失った人・そうはならなかったけれども罪悪感に苦しめられている立場の人、の心理描写に引き込まれました。
最後に手紙がきちんと手に渡ってよかった。
Posted by ブクログ
東日本大震災の半月後におこった人質立て籠もり事件。
あの日、あの時、あの場所に居なかったら、どうなっていただろう。
誰もがふと考える事が、深く深く考えさせられる作品。
一つの選択がドミノ倒しように連鎖していく。
そのドミノは倒したのか、倒されたのか。
直木賞ノミネート作品だが、私の中ではこれが
直木賞!
Posted by ブクログ
二名を殺害して逃走している真柴亮(22)が、時を同じくして起こった東日本大震災の避難所の体育館で人質をとって立て籠っている、そしてSATに射殺されそうになっているシーンが冒頭。そこから、なぜ真柴がそんな状況になったかが語られていく。
真柴の暗転していく様と、随所に描かれている震災後の身内を亡くした人がそこら中にいて、それでも仕事をしたり、相手を思いやったり、行方不明者を必死で探したりする様子が追体験させられる、その二つが軸になった小説です。はっきりいって楽しいお話ではないです。でも、すごく読ませてくれます。深夜に一気読みしてしまったくらい。読み終わって眠れなくなるくらい、重たい何かを残していきます。
どこかで運命を変えるとしたら?
重たすぎるので中学校から。ある程度心が育っていれば小学生でもいける…かなぁ。少し成長してから読んだほうがいいかもしれない、と思う内容でした。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
震災さえなければ、この人生は違ったのだろうか?大震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらもある人物を探すため姿を消した青年。自らの家族も被災した一人の刑事が、執念の捜査で容疑者に迫る。壊れた道、選べなかった人生――混沌とした被災地で繰り広げられる逃亡劇!
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
一気読みでした。
父親に捨てられ、母親と祖父には先立たれ、天涯孤独で生きてきた青年・亮があまりに不憫すぎる。そして東北を襲ったあの震災。私にとってはテレビの向こうの話だったけど、あのとき、沢山の人が絶望の淵に立たされていたはず。
刑事・陣内のセリフ「俺たちだけじゃない。誰もなにもできない。自分で泣き止むしかないんだ。」がずっしりときた。一生の中では、どうしようもないときが必ずある。支え合える相手がそのときいないかもしれない。覚悟をしておかなければいけない。
ただ、亮はこの絶望の最中で初めて、支え合えると思える相手を見つけたのでは?その一筋の光が救いにならんことを。あの震災で被害にあった皆さんが、どんなに小さな光でも、救われる思いをしたことを願いたい。
Posted by ブクログ
泣きながら読んだ本は初めて。描写の細かさが、震災後、常磐道を北上していった時、無人の農村を抜けて行く時の悲しさと無力さを思い出した。
亮が心が穏やかであったと祈りたい。
Posted by ブクログ
運がいいとか、運が悪いとか、
人はその都度、喜んだり、悔しがったり・・・
まして、どんな家庭に産まれ育つかは、本人の選びようがない。
両親が離婚してどちらの親も頼れない子供も現実にいる。
亡くなってから顔も知らない実の親を知ることも。
家族も色々な形がある。
真柴亮の人生を知るほど、胸が痛くなる。
やること全て裏目に出てしまう、まさに運が悪い。
東日本大震災で、家族を亡くした人の辛さ、無事だった人の辛さ、津波での、定規を引いたようにくっきりと分かれた被災の区分。
読んでいて、当時のニュースや映像が浮かんできて、胸が締め付けられる。
真柴をなぜか慕う直人には、子供の清らかな目で真柴の心のうちが見透かせたのかもしれない。
警察関係、自衛隊の方々の、自分の家族より仕事を優先せざるを得ない立場、とてもありがたく、申し訳ない思いだ。
著者自身も東北で震災により家族を亡くされていると知った。
だからこそ、登場人物の一人一人がとてもリアルで、逃亡するルートも臨場感たっぷりだった。
今なお、避難中の方も、行方不明の方も、家族を亡くされ悲しみから立ち直れていない方が大勢いる。
切なかったな、、、撃たれちゃったか、、、あり得ない未来だったけど直人との2人生活想像してそれが真柴にとってわずかな間でも心の支えになってただろうし、私も想像してしまったから、真柴には何か別の方法で罪を償ってその後の人生幸せに生きてほしかった。
Posted by ブクログ
柚木裕子さんの硬質な、男性が描いたようなピシッととした警察モノがやはり好きかも。救いはないけどでもやはり救いはある。本当に運のない、何もかもを生まれや世間のせいにしてきた疫病神に取り憑かれたような犯人だけど、最後に親の愛情を知って気付いた「すべては自分で選択して決断してきた結果」なんだということ。この真実に気づくには誰かに心から愛されて大切にされることが必要なんだと思う。柚月さんだからこそ描くことができた未曾有の悲劇的災害の中での希望と再生の物語。
Posted by ブクログ
確かに2人も殺してしまったし、1人殺してしまった時自首するべきだったのかもしれない、でも
この逃亡者の生い立ちを考えると可哀想で逃げ切ってほしいとさえ思った。
甲野が1番許せない
Posted by ブクログ
柚月裕子さんの作品には力強さの中にある緻密さや繊細さのようなものが宿る一言一句に惹き込まれてしまいます。本作もなかなかでした。
運命なのか、人生の歯車なのか。東日本大震災直後の東北を舞台に、選択ができないような生かされ方に翻弄されるままの真柴亮(22歳)が連続殺人犯となり、さつき東署の陣内康介が相棒の藤島とその犯人を追い詰めていくという話です。
逃亡犯となってしまった真柴はある人を探し会うため北へ向かいます。一方、陣内も震災で家族が被災します。果たして真柴は会いたい人のもとへたどり着けるのか。この捜査の特命班長に任命された陣内は、ある人を救い無事に事件を解決できるのでしょうか。
逃げる真柴と追う陣内の哀しみが交じり重なったとき、読み手の心境が揺さぶられる思いでした。
実際に震災時に、まるで被災地にいたかのような感覚をおぼえるほどの描写に没入し夢中になってしまいました。
大切な人を失い、会いたい人に会えなかった人たちに心を寄せ読みながら、震災後14年経った目の前の風景は、ある店内に響く青年たちの笑い声、お店の椅子を脚でぞんざいに扱う人などの姿が目にうつり、コントラストにやるせない物思いに耽ってしまいました。
Posted by ブクログ
柚月裕子さんの作品は幾つか読んでるけど、どちらかというと映画というより2時間サスペンスのイメージ(虎狼の血シリーズは別ですが)です。この作品も、
設定が重いし、犯人の境遇も重い。「運が悪い」で片付けられてしまうが、最初のチンピラといい、巻き込まれた感じで不幸さを感じる。こういう境遇の人は少なからずいるんだろうなと思ってしまう。犯人の気持ち、東日本大震災、まだ春ではない、粉雪の降る季節、全てが重い話でした。
日本人は基本的に仕事人間なのはわかるが、職務を優先した主人公の陣内には、どうにも共感できない。
Posted by ブクログ
良かった。個人的には、救いのない所に、救いが見いだせました。不運な人間だからこその最後の悟りに行けるのかと。ただ、ラストはもう少し盛り上げてほしかった。
柚月裕子の本を読んだの初めてでしたが、悪くない。でも、人物描写がぬるいというか、もう少し輪郭を出してくれると、もっと没入できるかと思いました。他の作品はどうなんですかね。。。
Posted by ブクログ
震災を扱ったクライムサスペンス
人質を取って立てこもった犯人を建物の外から見張るSATの描写から物語は始まる
震災の混乱に乗じて罪を犯した極悪人と思わされるが、順を追って見せられると犯人の真柴はたまたま犯罪を犯してしまっただけの被害者にすら思えてくる
真柴自身も、あのときああしていれば、こうしていなければ、自分は殺人などしなかったと振り返る
とにかく「ついてない」人だったのかなと思うとやりきれない
読み終わったとき、犯罪を犯した犯人、その被害者、震災の犠牲者、いろんなものに思いを馳せた
Posted by ブクログ
読後が良いとは言えないが素晴らしい本であった。
改めて著者の筆力に脱帽する。
東北大震災をテーマとした本として女たちの避難所(垣谷美雨さん)の本と何となく似ているような感じがした。
但しストーリーは全く異なる。
人間、皆、平等だ、、、、などという綺麗事とは全くの真逆。
ちょっとしたきっかけから人生が予想外に展開してしまう。
最後の自分の人生を振り返る部分が心にしみた。
どうしてこんなことになってしまったのか、考えた。いったい誰を恨めばいい。娘を失った悲しみのあまり、自分に間違った父親像を植え付けた祖父か。車に轢かれた高齢者か。酒を飲んでいながら、車を運転した父親か。
甲野が店で半グレと揉めなければ、眉なしに恨まれることはなかった。眉なしが死ななければ、警察官を殺さずに済んだ。そして、震災が起きなければ自分は殺人犯にならなかった。
ここまで考えて、いや、として心でつぶやいた。誰のせいでもない。その時々で道を選んだのはっ自分だ。これは、なるべくしてなった結果だ。
18歳のときに父親を探すのを諦めず巡り着いていたら、祖父の言葉が違っていたともっと早くにわかったはずだ。父親が起こした事故や両親の離婚も、被害者も父親も母親も、それぞれにそのような行動を起こす理由があった。
店で甲野が半グレと揉めたときに逃げなければ、彼を死なせることはなかった。日常の些細な決断が、いまの状況に繋がっているのだ。震災があってもなくても、いずれ自分は同じような道を辿ったのだと思う。
Posted by ブクログ
「どこまでいっても不幸から抜け出せない」主人公の背負わされている理不尽や不条理といったものは東日本大震災での被災の全てを象徴しているかのようだ。
冒頭で、一般男性と警察官の計2名を殺害して逃亡する主人公にSATの出動からこんな感涙の物語が展開されるとは思わなかった。
自身も津波で両親を失った作者が描こうとしたのは「理不尽な目に遭いながらも必死に生きようとしている人」であり「他人を思いやれる心」だろうと思う。
社会派サスペンスとして、水上勉の「飢餓海峡」(タイトルからわかるように戦後の貧困という社会的背景があり、実際の沈没事件や大火をモチーフにしている)や後半の立てこもりの緊迫した場面では、映画アル・パチーノ主演の「狼たちの午後」を思い出した。
ラスト近くで主人公を追い詰める(救おうとする)刑事への妻の言葉、主人公が北に向かった理由、果たしてこの物語に救いは…
Posted by ブクログ
あの該当者なしだった直木賞の候補作だったうちのひとつ。
やっと予約が回ってきました(^^)
なんだか急に本がバタバタと届いていて、
読まずに返すことになりそうかなと思いましたが
どうにか読めました(・_・;
読めてよかったです(^^)
これは1人の逃亡者の物語であり
東日本大震災の物語でもありました
生まれながらにして不運を背負っているような主人公真柴。
先輩の喧嘩に巻き込まれ、会社をクビになり、警察に捕まってしまいます。
そこから、次から次へと不運に不運が重なります、、、。
真柴に悪意があるわけではないのです。
ただ不運に巻き込まれているのです
ほんのちょっと違えば、別の未来があったのです。
真柴は思います
あの時ああしていれば、、、
いや、もっと前のあの時からやり直せれば、、
、、、いったいどこまで遡っていけばいいのか。
東日本大震災直後に起きた事件であり、真柴は震災の混乱の中逃亡を続けます。
それを追う警察官の陣内、息子を探す村木、真柴と出会った人、どの人も辛い思いを抱えています。
いきなりのことに混乱し、失ったものの大きさに嘆き悲しみ、明日以降どうしたらいいのか途方に暮れています
そういった人々の思いや、変わり果てた街の様子などが生々しく描かれていました。
柚月さんもご両親を震災で亡くしているそうです。自身とも向き合い、被災された方々とも向き合わなければ書ける作品ではないなと感じました。
逃亡を続ける真柴がたどり着いた答えを読んで欲しいです。そしてその逃亡の結末も。
賛否分かれると聞いてましたが、、
なるほど。
私はすいません、星4で。
Posted by ブクログ
作者の柚月さんは先の震災でご両親を亡くされました。それを踏まえてこの作品のインタビュー記事がありますので、ぜひ参考になさってください。
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『東日本大震災のあの日で止まったままの時があり、一方で、またそこから流れ始めた時もある。そんな〈ふたつの時間とふたりの自分〉を生きてきた気がします。震災の体験をもとに、作家として今の自分に何が書き残せるのだろうかとの思いが常にありました』
自身も震災による津波で、実家の両親を喪った柚月裕子さん。あの日の痛みと真摯に向き合いながら執筆を続けた今回の候補作は、大震災発生直後の東北を舞台に、殺人を犯したある青年の逃亡劇だ。
主人公の真柴亮は、町工場の工員として働く二十二歳。彼は、同僚と行ったクラブで、半グレとの喧嘩に巻き込まれ勾留されてしまう。だが、直後発生した震災により処分保留で釈放されることに。
『作品の構想は十年以上前からありましたが、自分が思っていた以上にメンタル的につらい部分があり、物語を冷静に俯瞰することが難しかったですね。そんな中、震災から八年後に訪れた岩手県の釜石市で、成人式を迎える若者たちの笑顔に触れたんです。私も前を向いて歩き出さなければと、執筆する背中を押してもらえました』
真柴は、ある一通の手紙を手に、北へ向かおうとするが、ひょんなことから半グレの仲間や巡回中の警官を殺してしまい、追われる身となってしまう。その途中、家族とはぐれたらしき直人という子供と出会って――。
『私がこれまで一貫して取り上げてきた小説のテーマには、世の中の不条理や理不尽があります。震災のなかにそれが現れていると痛感しました。震災を通して自分が何を考え、感じたかを描きたかった。自分が表現したいものを主人公の真柴に託しました』
作中には、津波や遺体安置所の生々しい描写がある一方で、真柴を追う刑事・陣内康介にも、柚月さんの思いが詰まっている。陣内は、震災で一人娘が行方不明となっていた。妻とともに娘の捜索に向かいたいものの、真柴を追うという職務との間で懊悩することに……。
『人にはそれぞれの役割があります。今ここで自分は何をすべきかを考えなければいけないことを震災から学びました。けれども実行するのって難しいことなんですよね。そんな葛藤を陣内という人物を通して描きました』
幼い直人を連れて逃亡を続ける真柴は、一体どんな秘密を抱えているのか。陣内はそんな彼の不幸な生い立ちを調べあげ、事件の解決の糸口を探っていくことになる。
過酷な運命に翻弄された二人が、最後に導きだした答えとは――。
Posted by ブクログ
罪を犯してしまった。でもこの震災のドサクサでやり直せないだろうか。
だって殺意があったわけじゃない。結果こんな事態になった。
ツイテナインダ。
気持ちはよくわかった。だから悲しいね。
Posted by ブクログ
時は東日本大震災………………
微罪で拘留されてた男が釈放され………………
自由の身になったんだが………………
運無く?間も悪く?事件を起こしてしまう。。。
そして逃亡者となり目的があり北へ向かって!
ラストまで一気読みしましたねぇ
切ない救いない話しながら自分に置き替えて読んだ。
俺も同じ過ち犯すかもなぁ。。。なんて考えた^^;
実際、その場その人でなければ分からない事。
改めて《神さま》はいてません(^^)
Posted by ブクログ
亮がただただ可哀想でならなかった。生まれてから、苦労の連続。親に捨てられたという思いで、親しい人もいなくて、正社員になれそうな矢先に暴力事件に巻き込まれて、そして…と、物語が展開していく。
不幸な人生を呪い、いったい誰を恨めばいい、と自分に問いかける。最後亮は、「誰のせいでもない。その時々で道を選んだのは自分だ。これは、なるべくしてなった結果だ」と思い至る。気持ちを変えて償おうと思った矢先に発砲されて、射殺されてしまった。しかし、最後の最後に父親の思いがわかったことが救いだった。
震災時のリアルな状況、被災者達の心にもふれ、とても考えさせられる小説だった。ぐいぐいと読まずにはいられない柚月さんの筆力に圧倒された。
Posted by ブクログ
冒頭でバッドエンドが予想されるシーンから始まり、運命が先細りしていくように結末に向かっていく中、物語がひっくり返るようなどんでん返しがあるわけでもなく、ストーリー自体は切なさを感じるだけであった。しかし舞台となる震災直後の現地の描写や社会の雰囲気、被災者の心理描写が生々しく、当時の雰囲気が伝わってきた。当時は自分も被災し、家族と連絡が取れない中で、任務を遂行しなければならない立場に置かれたため、この本を読んで色々と考えさせられた。結果家族の無事を確認でき、この登場人物と比べると自分の被災は足下にも及ばないが、近しい人ではないにしても仲間の家族が亡くなったり、本人が亡くなる中、公か私かを自問自答したことを思い出すリアルな描写であった。
Posted by ブクログ
これはツラい…。つらすぎます。
東日本大震災が背景の物語なのですが、震災時の想像を絶する描写が読んでいてとても苦しくなりました。遺族の方々はとても読めないと思います。家族を失った悲しみだけでなく、家族が生き残ったとしても、なぜ自分たちが生き残ったのかと自問自答する被災者たち。
そういった非日常の中で起こる事件。先が気になり一気に読みました。あまりにも犯人が報われないのですが、ラストの優しさに読者はほんの少し報われるかな…。
Posted by ブクログ
第一章から理不尽に理不尽が重なっていくのだろうと少し重い気持ち。
働き始めて4年、真柴は正社員になれる希望が見えてきたところに、それを妬むどうしよーもない先輩に飲みに誘われ断りきれずに付き合う。そこから傷害の加害者になり、転がるように指名手配犯になってしまうとは・・・。真柴の転落ぶりが切ない。もっと愛情ある言葉のなかで育ったら、帰ることのできる支えとなる場所があったならと、あって当然のものがない辛さに今さら気がつく。
体育館に立て籠った真柴に、刑事の陣内はまわりの反対を押し切って生き別れた父の手紙を届ける。父の手紙を読み、暖かいもので心を満たして旅立てたことが救いだ。
真柴が連れ帰った子供なおとは帰るべきところに戻る。少しずつ言葉を発して、震災後のまだ先の見えないなかで父と二人だけでも明るく暮らしている。真柴はなおとの記憶となり、魂に宿り、幸せに生き続けることだろう。
Posted by ブクログ
真柴の運の悪さは最後までどうしようもなく、、本当に「救い」のないストーリーに、何とも言えない感情になった。
直人がなぜあれだけ真柴に懐くようになったのも意味がわからず、、、唯一の救いは、陣内が真柴を理解しようとした点くらい。。。
震災でご家族を亡くされた柚月さんとしては、震災の残酷さ、非常さを伝えたかったんだと理解するものの、、、少し消化不良のストーリーでした。
Posted by ブクログ
大地震に襲われた東北。トラブルに巻き込まれて傷害事件で拘留、震災後処分保留で釈放されるが図らずも人を殺めてしまい逃亡する真柴亮。震災で娘が行方不明となるが、事件捜査のために娘の捜索に加勢出来ず親族に非難される陣内刑事。震災で妻と親を亡くし、幼い一人息子の生存を信じて探し続ける漁師・村木圭祐。彼らの運命はいかに…?
もしも震災の最中で殺人が起こったら?しかも故意ではなく不可抗力による殺人で…という設定。
フィクションだが東日本大震災を真正面から扱っている。最愛の人の行方を探すことよりも職務を優先せざるを得ない警察官の葛藤や、心身ともに疲弊して感情のコントロールができない被災者の様子がエモーショナルに描かれている。もしも自分が同じ立場だったら…と考えると胸が痛くなる場面も多々。
逃走劇という点では、先日読んだ『正体』と似ているが、逃走犯の魅力においては、あちらに軍配が上がる。あまりにも踏んだり蹴ったりで不運過ぎる人生の真柴亮。理不尽過ぎる。はたして“救い”はあったのだろうか?
以下2点がマイナスして評点を下げた。
•登場人物(特に警察)が多すぎて煩雑
•幼児がなぜ見ず知らずの彼になついたのか?釈然としない
Posted by ブクログ
主人公がひたすら不憫だった。
桃鉄で言ったらキングボンビーがずっと憑いているような。
なおとがいつか地震とそれからの数日間のことを思い出すことがあったときに、辛い記憶だけじゃなかったらいいなと思う。
東日本大震災と犯罪を絡めるの、ものすごくヘビーだった。でもこれを読んでまた、突然家族や生活、環境などを奪われてしまう恐ろしさを感じたし、相次ぐ災害に対して自分にできる支援をしようと改めて強く思った。
Posted by ブクログ
東日本大震災の渦中に起こった殺人、という題材。
警官の視点と犯人の視点が、交互に出つつ、さまざまな人間模様が描かれる。
面白くないことはないのだが、柚月裕子作品であれば、もっと面白いのあるよなあ、という思いを持ちました。
Posted by ブクログ
2025直木賞候補
微妙
父親に捨てられ母親に先立たれ、祖父に育てられた何をしても不幸な人生を歩んできた亮
東日本大震災と絡めて北へ向かうが、、、
対して重くもなく、強いメッセージがある訳でもなく、なぜ東日本大震災が絡むのかもよくわからず、微妙です