あらすじ
大震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらもある人物を探すため姿を消した青年。自らの家族も被災した一人の刑事が、執念の捜査で容疑者に迫る。壊れた道、選べなかった人生――混沌とした被災地で繰り広げられる逃亡劇! 『孤狼の血』『盤上の向日葵』の著者が地元・東北を舞台に描く震災クライムサスペンス。
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真柴の生まれが不幸だったのだろうか。その境遇に追い込まれたのは真柴の責任なのだろうか。生まれてから死ぬまで幸せいっぱいの人生を送る人はいるだろうし、どう頑張っても一般的に不幸な人生を送る者もいる。真柴は後者の方だ。真柴の力が及ばないところで転げ落ちていく。あちこちの不幸を不幸で転がしていくような、そんな救いのない物語だった。そんな無慈悲な世界を読んで、自分はそこそこ幸せなのかと感じるか、一寸先は不幸の波に飲み込まれるのか、読者ごとの読後感がありそうだ。
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読書備忘録999号。オーメンの逆。笑
★★★★★。
やっと回ってきました。
長かったぁ。1年弱掛かったぁ。
そして、さすが柚月さん!
昔懐かしい火曜サスペンス劇場を観ているようにのめり込みましたわ。
ただ、舞台が2011.3.11の東北。
読むのが辛い方が多いのでは思いました。
(だから回ってくるのが遅くても我慢した!)
さてさて早速面白味のない備忘録を!
プロローグ。
岩手県宮前市のとある小学校の体育館。
男性と警官の2人を殺害し、大人15人と5歳男児を人質にとり立て籠もっている重要指名手配犯、真柴亮22歳。
それを狙うSATのスナイパー。
この距離では絶対に外さない。
そして動きがあったら容赦なく引き金を引く。
そして、引き金を引いた・・・。
第1章。
物語は3.11のちょっと前から始まります。
福島県の永田製作所の工員、真柴亮。真面目な青年。
もうここで涙が出てくる!
だって、プロローグで2人殺して人質をとって立て籠りですよ。
間違いなく極刑ですよね。
絶対に亮くんは救われないですよ。決定ですよ。
だけど、真面目な亮くんの物語から始まる訳ですよ。
辛い読書の始まりですよ。
早速、工場のクズの先輩のせいで亮くんは傷害罪で捕まります。
そして留置されている時に3.11は起きます!
激甚災害の特例で釈放された亮くんをとにかく不運が襲い、結果2人を殺害してしまうことに。
ここまで運に見放された主人公を見たことがない!
そして亮くんは、ある目的のために岩手県に向かう。
寡黙な幼児、直人くんを連れて・・・。
物語は3つ。
①亮くんと直人くんの逃避行の物語。
②亮くんを傷害罪で取り調べた陣内警部補の物語。陣内刑事も娘が行方不明に。娘が行方不明なのにお前は仕事なのか?本気か?お前は家族なんてどうでも良いのか?と妻から。家族のことと職務の間で苦悩する陣内。それでも自分は公僕である。亮の過去まで遡った捜査は頭が下がる。いわゆる人情派デカ!最後まで亮を救おうとする。
③3つ目は震災で家族を亡くした漁師の村木圭祐の物語。家族をすべて失った。妻も両親も。唯一生死不明の息子。絶対に生きていて欲しい!と血眼になって探す。
これらの物語が岩手県宮前市でひとつに繋がる!
とにかく亮くんが岩手に向かう理由が切なすぎる。涙涙涙。
エピローグ。
救いがない物語と思いましたが、救いは有りました。
おーさん!おーさん!ですもん。
涙涙涙。
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些細な自分の決断が悪い方へ悪い方へと転がっていく真柴亮。津波被害に見舞われた直後の東北で連続殺人を犯しまだ見たことのない父からの手紙を受けてた亮は父に会うため、北へ北へ逃亡劇の途中、津波によって行方不明中の男児直人と出会う。一人で行動したい亮だったが直人が離れようとしないため一緒に行動するようになる。最後、避難所になっていた体育館に立て籠り24時間の交渉の末SATにより亮が射殺され事件が終わった。立て籠り時、父の最後の手紙を警察から受け取り、何度も読み返した亮は自分の将来について考える力になっていく場面は感動もの。
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東日本大震災がきっかけで罪を重ねてしまうが目的を果たすために北へ向かう青年の話。タイトルが内容をそのまま表している。最近読んだ本の中では一番面白かった。
東日本大震災直後はこれから先どうなるのかも分からない混乱が長く続いたので、警察の人手も少なく捜査の手が伸びにくいなど犯罪者にとって利点がある状況を活かして逃げる青年。とにかく運が無く事件に巻き込まれて罪を重ねるので青年に感情移入してしまう(もちろん罪を償う必要はあるが)。
青年を追う刑事も震災の被害者で家庭内不和があり、どちらも応援したくなった。
青年が子供と共に立ち寄った集落の避難所に警察の捜査が入った際、子供が青年にとても懐いていた、という証言を誰かしてあげてほしかったなと思う。震災で皆気が立っている描写があったのでそこまで丁寧に取調べできなかったのかなと思うが。
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まず、過去読んだ中でもトップクラスに面白かった。ずっと手元に置いておきたい1冊。
東日本大震災直後の殺人事件。作品名のごとく犯人は逃げるのだが、その背景や思いが交錯していく。
「死」「命」と漢字で書いてしまえば同じに感じるが、人それぞれが体験する「死」や感じる「命」にはもちろん違いがある。それが震災によるものか殺人によるものか、病気によるものか。生きていてほしい、死んでほしくないと願うなか、それが叶わないことがあるのも現実。
多くの犠牲者を出した東日本大震災を風化させないためにもまた読みたい1冊。
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苦しい小説。
その時々の、諦めたりどうしようもなかったりした状況での選択の結果、追い詰められる。抗いようのない状況下での負のスパイラル
最後、お父さんからの手紙が読めて、選択の責任を自身で引き受けるまでに成長した、しかし。
苦しい
主人公の彼だけでなく、震災で娘さんを亡くした刑事さんとその奥さんも、ほかの人々も
何とか助かって、何とか心の平安を、と祈りながら読む
切なかったな、、、撃たれちゃったか、、、あり得ない未来だったけど直人との2人生活想像してそれが真柴にとってわずかな間でも心の支えになってただろうし、私も想像してしまったから、真柴には何か別の方法で罪を償ってその後の人生幸せに生きてほしかった。
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感想
筆者らしいなかなか打ちひしがれる序盤!そして報われない展開・現実。
負の連鎖はあるんだな。亮のじいちゃんがひねくれ者だったことも悪い一因。
あらすじ
真柴亮は福島県の養護施設で育った。工場で4年働き、ようやく正社員になれたが、先輩の甲野に無理矢理誘われて、キャバクラへいく。甲野がそこで半グレと問題を起こし、喧嘩して亮も逮捕される。会社も解雇される。警官の陣内は亮の取り調べをする。亮を送致した頃、大地震が起きる。圭祐は父親と漁師をしている。地震発生時、自分は船を守るため沖に出た。父親に母を託した。
地震の対応で警官が帰れない中、陣内の娘の麻利も行方不明になっていた。そんな頃、亮に傷つけられた半グレの一人が海辺の病院にいたところを津波にさらわれて亡くなる。それが亮のせいだとして友達の半グレが亮を殺しにくるが揉み合いの末に亮がそいつを殺してしまう。亮は故郷に帰るがそこで警官に職質され、揉み合ううちに警官を射殺してしまう。圭祐は安置所で両親の遺体を発見する。その後、妻の遺体も発見するが、5歳の息子が見つからなかった。
亮は、父親からもらった手紙を持っていた。死ぬ前に会いたいと書かれており、場所は岩手県となっていた。亮は検問をすり抜けて北へ向かう。空き家でなおきというしゃべらない少年直人と出会う。彼らは一緒に大渡市を目指す。陣内の子供の麻利が遺体で発見される。陣内の妻は仕事優先で麻利を探さない陣内に不信感を募らせる。
亮は直人を連れながら逃げつつ、父親がいると信じた病院にいく。陣内は亮の過去と父親の日沼について調べる。圭祐は直人を探し歩き、ようやく直人の痕跡を見つける。陣内は日沼から看護師に託された手紙を亮に渡す。亮は直人を解放しようとしたところを撃たれる。
Posted by ブクログ
東日本大震災直後、ほんのはずみで半グレと警官の2人を殺してしまった真柴亮を追う、さつき東署の刑事陣内康介警部補。
自分の出生時に父親が起こした交通事故から人生の歯車が狂ってしまった亮は、音信不通の父親から届いた手紙を頼りに福島から岩手へと向かう。
一方、発災時に船で沖へ退避した漁師の村木圭介は、両親と妻を亡くし、行方不明の幼い息子直人を捜し回る。
逃亡中に立ち寄った小屋で直人と遭遇した亮は、人見知りで口の重い直人になぜか懐かれ、やむなく直人を連れ歩く。
追手の気配に絶望的になりながら、直人との未来を夢見始める亮。
人生のどこで道を誤ったのか、これからどこに行こうとしているのか思い悩む亮の境遇に、震災で愛娘を失った陣内は自らを重ね合わせる。
発災後の混乱の中で進む逃亡劇。
警官を含む連続殺人事件に近隣県の警察は総力をあげて亮を追う。
官房長官の早期解決の命を受けた警察庁は、警視庁SATの狙撃隊を送り込む。
緊迫度を増す終盤に、そうはならないことを願いながらも、読者は最悪の結末を予感する。
書かれてみればその結末は最も説得力があり、作品の完成度を高めるものだった。
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震災や度重なる不運によって、殺人者となってしまう主人公の物語。
不運な状況ではあったものの、主人公自身にも責任があると感じる場面はあった。ただ、父親の真相をもっと早く知っていれば、殺人者にならずに済んだ可能性もあったのではないかと思う。
全体を通して救いの少ないストーリーだったが、先の展開が気になってページをめくる手が止まらなかった。ハラハラする展開が続き、とても読みやすく、最後まで楽しめる作品だった。
Posted by ブクログ
どこまでも運の悪い青年
彼の人生なんだったのか…
そのうえ大震災が大きな影を落とす
指名手配されることになってしまった不運な青年もさることながらそれを追う刑事、人質と見なされる子供の父親、震災後のそれぞれの家族の物語がどれも辛い
どれも震災がなかったらこんな結果になっていなかっただろう数々の出来事
選ぶことができたのだろうか
なんであの時体育館の扉を閉めてしまったのか
行き場のない彼が直人と二人でのささやかで楽しい暮らしを妄想していた時がいちばん幸せだったんだろうなぁ
Posted by ブクログ
誰かに愛されている、大切に想われている。そのことこそが人を人間たらしめ、人の道を歩ませてくれるのだな。
震災と重ねながら書くことには想像を絶する覚悟や配慮が必要だろうが、そこに踏み込んだ一言「もう誰にも死んでほしくない」は響く言葉だった。
Posted by ブクログ
あまりにも辛い。
舞台も観に行ったけれど、号泣した。
救いがないので心に余裕が無い時は読めない。
最近地震が多いので尚更当時のニュースを思い出す…
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何かひとつでも大切なものがあること、今は幸せじゃなくてもいつか笑える日が訪れると思って過ごすことが、人に生きる意味を持たせてくれるのだと改めて考えさせられる物語だった。
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第173回直木賞候補作6作品のうち、5冊目に読んだ今作。
ただただ悲しかった。プロローグに結末をもってきていることで結末を知りながらその経緯を振り返って読んで知ることになる構成なのだが、結末を知っているからこそ悲しすぎる。悲しみのオンパレードだった。ドバッと泣きたいときに読むべし。
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震災を思い出してしまうためか、ページを捲る指はなかなかスムーズとは言えなかったけれど、心に刺さるテーマと震災の状況が相まって、より深く心に染み込んできた。
読後にじんわりと心に染み渡る
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悲しい。不運な事故から人を殺めてしまい、殺人事件の容疑者として指名手配されながら、余命短い父親に会いに行こうともがく青年・真柴の物語。幼い頃からの真柴の境遇がずっと可哀想で、なんで真柴ばかりが…と辛くなる。舞台が東日本大震災の直後ということで正直真柴以外も皆しんどい。直人君と出会って、直人君に感じる庇護愛だけが心の救い。直人君と親子として暮らしていってほしい、本当のパパのところに戻らないで…!と思ってしまうけど、直人パパは何も悪くないからね…。撃ち抜かれる直前に父親の手紙で救われててほしい。
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震災後の東北で連続殺人犯を追うお話。
娘が行方不明になってしまった警察官。
警察は皆、家族がどうなっているかにかかわらず、市民の安全を守るため避難誘導や災害に乗じた犯罪の処理に追われている。
妻と義母に家族よりも仕事が大事なのかと責められ、さらに娘は遺体で見つかる。連続殺人犯さえいなければ。あの、震災前に取り調べをしたヤツがこんな罪さえ犯さなければ。
一方連続殺人犯と“なってしまった”男の人生は。
家族と仕事の天秤の話が自分の生活とリンクしていてとても辛かったです。
Posted by ブクログ
今日読み終えた「逃亡者は北へ向かう」は、私にとっての柚月裕子作品のちょうど20冊目でした。
舞台は2011年3月11日の東日本大震災発生直後の福島県。そこで起きた二つの殺人事件から物語は動き始めます。
物語の中心となるのは三人。思いがけず人を殺めてしまった天涯孤独の青年。彼を追う刑事。そして、震災で家族を失い、行方不明となった幼い息子を探し続ける漁師。刑事自身もまた津波で娘を失い、妻から捜索を懇願されながらも職務を優先せざるを得ない立場にあります。
あの当時は極限状態のなかで、誰もが喪失と責務、絶望と希望の狭間でもがきながら生きていました。この物語は単なる逃亡劇や警察小説ではなく、「人は壊れそうな現実の中でどう生き延びるのか」を描いた作品だったように思います。
物語終盤で漁師が刑事に語る言葉が深く胸に残りました。
『今日のいまを生きれば、明日のいまがやってきます。明日のいまが過ぎれば、明後日のいまが、それが過ぎればその次のいまがやってくる。そうして時間を過ごしているうちに、気が付けば一週間、一か月、一年が経っている。そうして生きていれば、きっとどこかで笑える日がくると思うんです』
地震、津波、豪雨、事故、戦争、明日が当たり前に来る保証のない時代だからこそ、「今日のいまを生きる」という言葉の重みを改めて考えさせられました。頭ではわかっていても、実際にそれを続けることの難しさまで含めて、この作品は静かに問いかけているように感じました。
Posted by ブクログ
目も当てられない運命と人生の中、最後自分が愛されていたという希望だけが今作の救い。
震災の描写は文字だけでも辛さや悲惨さが溢れ出てきて、胸が苦しい。
Posted by ブクログ
震災と不運と。
震災で家族が見つからない描写は胸を締め付けられる思いだった。
居た場所によってもたらされる不運としか言い表せない自然の脅威。
そこに絡んだ青年の不運。
もう不運としか言い表せないのよ。
本人の意思とは違うところで罪を犯してしまうのだから。
父からの思いを受け取った後生きて欲しかったなぁ。
不可抗力だらけで本当に不憫だと思ったけどそれすらも愛されていた実感でどうやって乗り越えて罪を償う気持ちになるか知りたかったな。
Posted by ブクログ
こんなに何もかもツイていないような人生の連続ってあるのかな。決して欲深くもなく、人を恨んだり恨まれたりするわけでもなく、ただただ摩擦を起こさずに生きながらえようとしているだけなのに、なんでこんな目に遭うんだろうと。
そういう運命だと割り切れと言われても割り切れない。
そう考えると面白みのない人生でも、平凡に流されながら歳を重ねているのも大いに幸せなのかもしれないと感じる。
Posted by ブクログ
流されるように犯罪を犯す羽目になった亮。しかしそこには抗いきれないとは言い難い自分自身の決断があったことに気がつく。
大震災の記述と家族を亡くした多くの方達の様子が切ない。
Posted by ブクログ
プロローグが必要だったか。時系列ではいけなかったのかと疑問に思った。
東日本大震災の混乱の中の逃亡劇。震災や被災者の描き方がとてもリアルで読み応えがあるし、不運の連続で罪を重ねて追い詰められていく逃亡者の道行きは緊迫感溢れているけれど、二つの大きなテーマを絡めた分、登場人物達の心情や行動に所々に腑に落ちない部分もあったりして、両方とも中途半端に感じて。。別々の物語として読みたかった。
Posted by ブクログ
真柴亮が流れに任せ、たどり着いた先に待っていたのは。
東日本大震災で家族を失った刑事の陣内は
罪を冒し逃げている真柴を追いかける。
真柴はなぜ北へ?
彼が探し求めるものとは?
その設定に少し無理があるように感じた。
(一度読んだだけなのでわかっていません)
真柴が被災地で出会った直人と暮らす未来を
淡く夢見ていることが悲しかった。
自分と実父のことを思っていたのかな。
(これも読み込めていないのか)
久しぶりの柚木裕子さんの一冊。
もう一度読めば、納得いく結果が得られたと思う。
でも、大きく心惹かれるまでとはならなかった。
Posted by ブクログ
不運の連鎖から罪を犯してしまった孤独な青年の逃避行と、その結末に胸が締め付けられました。絶望的な状況下で無垢な少年と心を通わせる中、最後に父親の手紙から「自分を愛してくれた人の存在」を知り、同時に「自分が愛したいと思える存在」に気付けたことはせめてもの救いでした。罪に塗れ、決して許されない逃亡劇でしたが、最期に愛を知って死んだ彼の人生は果たして不幸だったのか幸福だったのか、深く考えさせられます。
Posted by ブクログ
父親に捨てられたと思っている天涯孤独の青年は、正社員になる祝いで連れて行かれた店で半グレと喧嘩になり、警察にしょっ引かれて正社員を失う。
絶望の中仕返しに来た半グレを殺してしまう。
それでも、震災がおきた東北の街を父を求めて北上するなか、またしても警官まで殺害してしまう。
直人と優しく触れ合うことからも、心根は優しいのが伝わるが不運が離れてくれない。
最後は立てこもり、投降を決意するも銃口の向きが少し人質に剥いただけで射殺されてしまう。
愛を求める青年の姿、震災のさなか家族よりも捜査を優先する刑事の姿、皆が皆辛い思いを背負っている。
Posted by ブクログ
2025年 直木賞候補作品
東日本大震災当時の東北地方を舞台に
殺人を犯した青年の逃亡劇。
著者自身が震災でご両親を亡くされたそうで
様々なシーンがリアルで胸に迫るものがあった。
娘の行方がわからない中
妻にそれを詰られながらも
刑事の職務を全うする陣内。
両親と妻を亡くし、
行方がわからない一人息子を探し続ける
漁師の村木。
避難所に身を寄せている人々の様子など。
つらいシーンが多いのに、どんどん読んでしまう。
そんな過酷な状況下で起きた殺人事件。
犯人に殺意はなく、決して悪人ではない。
本当になぜこんなことになってしまうのか。
最後まであまりに不条理、理不尽という言葉で頭がいっぱい。
直人の存在と父からの手紙を読めたことが
せめてもの救いであった。
Posted by ブクログ
『孤狼の血』『盤上の向日葵』の作者の手になるクライムサスペンス。
東日本大震災の破壊と暴力、主人公が起こした犯罪の不条理。
悪意から犯罪者となったとは言えない。
不条理が彼を犯罪に追い込む。
普通に生き続けたいだけなのに、犯罪者となってしまう。やり切れなさの中に、ほのかにともる優しさ。
そして予想されている結末に。
違う映画の曲ではあるがサザンオールスターズの「暮れゆく街のふたり」がエンディングによく似合う。
Posted by ブクログ
柚月裕子は震災で両親を亡くした震災被害の当事者なので、仕方がないのかも知れないが、余りにも思い入れが強く、いかにもいかにもと言った設定、ストーリーになっていて、残念ながら高い評価はできない。
この作者は出来の良い作品とそうでない作品の落差が大きい。 この作品は残念な側のひとつだと思う。