あらすじ
そこに人間の悪意をすべて陳列したいんです――ナンバーワンキャバ嬢・初美の膨大な知識と強烈なペシミズムに魅かれた浪人生の徳山は、やがて外部との関係を絶ってゆく。圧倒的デビュー作!
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Posted by ブクログ
生命の本質はこの懐かしさにある、の前にまだずっと元気だった頃、の何気ない思い出が今の状況と交互に懐かしむように描かれているのも良い 死ぬ時は過去しかないし生命を1番感じることが出来るであろう死ぬ時に思い出す思い出がその人を形作るもので、何も無かった徳山にそれをくれたのも初美なんだと思った
私も自分が空っぽだから私が徳山の状況ならほんとにあのまま餓死するとか思ったけど意外と初美を置いて逃げるかもしれんとも思うし、でも私が全て失った時に初美からもう、そのあったかい寝床から出てこんでええ。って言われたらもうずっと悪いままダメになるとしても何としてでもそこにいるだろうな
何度も読み返してしまう作品です
Posted by ブクログ
社会に対して期待を持たなくなった二人の男女が出会い、二人の世界に入ることで、社会とのつながりが徐々に薄くなり、次第になくなっていく話。
二人は決して孤独に沈んだわけではなく、ただ生きている意味は見いだせず、明日を生きる理由もない。ただ静かに摩耗していく時間を過ごしていく様子がありありと描かれた。
「何も起きない消耗」が淡々と描かれている点が、とても印象に残った。
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浪人生の徳山がキャバクラ嬢の初美に出会い恋人になり洗脳されていく。
「死にましょうよ、心中しましょう。それがわたし達の取れる唯一の脱出策です。ね?心中しましょうよ。」
ニヒリズムについて考えさせられる。
また、魔女狩りについての会話があるが、このシーンがインパクトありすぎ。
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「了解です、問題ないです。愛してます」
「いやいやそういうことです、そういうこと。でもまあ、生きるってそういうことなんでしょうね、悪い意味で。・・・・生きるって、長生きするって、そうして塵が積もってゆくこと。そんで私は塵を金の粉と無理やり思い込むのは嫌やし、塵は塵やって言っときたい。人生経験なんて塵でしかない」
ドッヒャーですよ、なんですか?これはぁ!?すごいの読んだな。切れ切れ。切れっ切れっ。人生経験、塵ですよ。
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ずっと面白かった。
「ネガティブな言説に依存する者たちに寄り添い、その言説の欲望に沿って自滅まで導くことで、ヘイト的な言葉が成り立つ土壌を失わせるという、捨て身のアイロニーを特徴とする。」
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“実態のない女”と”自分を見失った男”。
きっと、徳山は初美に惹かれていったのではない、嵌まって、沼っていったのだ。初美の発する鋭利な言葉たち一つ一つが彼女の夢であり、拠り所。徳山からすればそれは薬。
結局みんな洗脳してされて。してる側もそれにかかって。そんな訳ないと思いたいがそうも思えず、。
人生に対するヘイト、社会に対するヘイト。それらを抹消するには社会ごと変えるしかない。が、そんなことは不可能。だからこその自死。打開策としての自死。漠然と自殺はダメだと叫ぶよりよっぽど説得力がある。
感想がこんなに言語化出来ない作品は久しぶりだが、この後味の悪さがこの作品の面白さだろう。
再読だが、しばらくは読まないでも記憶に残っているだろうインパクトはあった。
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「能ある鷹は爪を隠す」ナンバーワンキャバ嬢の
初美は外見だけでなく、内面も圧倒的な読書で
磨いている。当然会話力も全方位的だ。
初美は群れることが嫌いだ。孤高の哲学者である。
Posted by ブクログ
悪意に対して悪意で返すのは、徳山は後悔していたけど少し爽快だった。逆に自分に向けられた善意に対して悪意で返しているところは読んでて心が痛かった。例えその善意が気持ちよくなるためだけの偽善だと思えたとしても、本人にはその意識はなくて本当に純粋な善意で心配してくれてる(と思う多分)のに、それに対する返事は本当に読むのが辛かった。救いがないんじゃなくて救われようとしてない。初美に会う前の徳山なら建前でも「ありがとう」と返していたと思う。完全に染まってしまっている。自分に初美を投影してシニカルなことしか言わなくなった頃から、入学金のこととか関係なく破滅しか待っていなかったと思う。初美の価値観は魅力的な部分もあるし、間違ってはいないと思うけど、どう転んでも終わってしまいそうな気がする、、、
ただ、後の人生に絶望しかない中で、眠るように苦しまずに死ねることは羨ましい。
Posted by ブクログ
自分は徳山は初美に寄っていったのでは無く、嵌っていた型から出るまでの物語だと思った。
自分はこれが鬱々とした物語には感じられない。更には他人事とは思えず徳山には親近感や羨ましさすら覚えた。
凄く良い作品だった。10年以上も前の作品にこのタイミングで出会えて良かった。きっと昔の自分ではこんな感情にはなれなかったから。
Posted by ブクログ
アルバイト先の人に勧められて読んだ一冊。
あらすじも読まず、タイトルだけを見て「ハッピーエンド系の小説かな」と軽い気持ちで読み始めたけれど、まさかの鬱系小説で衝撃を受けた。
主人公・徳山が抱える悩みは、誰もが少なからず持っているような普遍的なものやと思う。
その悩みに寄り添い、包み込むように接する初美の包容力は、時に優しさを超えて相手を縛るものになる。
徳山はその優しさから抜け出せず、いつしか破滅の道を進んでいってる。
初美は「現代版悪女」と言われることもあるけど、まさにその通りやと感じた。
これまで映画や小説で描かれてきた典型的な悪女とは一線を画してて、その存在感は本当に衝撃的やった。
とにかく、この小説は“えぐい”。
読み終えたあともしばらく余韻が残るような、そんな一冊やった。
Posted by ブクログ
苦しい。初美はいい女で、おもしろい人だと途中までは思っていたのに…悪魔じゃん。何が正しいか分からなくなる。言葉の説得力すごくて「その考えは良くない」が合ってるか分からなくなる。何なん怖すぎ。
Posted by ブクログ
自分の中にある"カウンター悪意"の潜在性を思い知らされて怖かったし情けなかった。
でも自分と2人が明確に違うところもあってギリギリ入り込まずにいられたと思う。
ニヒリズムの骨頂みたいな感じ。
やっぱ自分ニヒリズム嫌いなのかも。
Posted by ブクログ
評価がひどく難しかったが、他にはない感覚がある、という点で、この本の評価を5とした。
突きつけられるのは、誰かの不幸の上に成り立つ幸せがあるという事実。人より優位になることで感じる喜び。
優位に立たなければ、支配される側にまわってしまう。支配する側か、される側か、、、。
作中、欲望がすべて枯れるのが理想、と心中願望のある女がいう。
仏教の考え方に近いのかも知れない。
煩悩を捨てることによって悟りを開くことができるという考え。
けれども、欲望が無くなったら、無、しか残らない。無、しか残らないから、死、へと向かう。
仏教では、無の先に、無我の境地、があるのだろうけど、それこそ、凡人にはたどり着けない場所な気がする。
いやはや、一般人は、突き詰めたらいけない世界だ、、、。
Posted by ブクログ
主人公の性格が共感できるところが多かっただけにのめり込むように読んでた
自分の前に初美のような女性が現れたらと思うと恐ろしくもあるけど、悪くないなとも感じた
終盤の初美と片岡さんの文章の温度差に笑った
最後はハッピーエンド?幸せは人それぞれ違うからね
俺も嫌な奴に嫌ってガツンと言ってやりてえーー
自分が今まで触れてこなかったから考えもしなかったけど、この作品読んで関西弁素敵だなって思った
Posted by ブクログ
初美みたいな女性に狂ってやがて緩やかに死んでいきたいとよく思っているが、死んでもいいやと思ってる人間より徳山みたいに本来乗らなければいけないレールがある人のほうがどんどんそこに溺れていくんだろうな
してはいけないのに欲に屈してしまうときがいちばん気持ちいいわけで
Posted by ブクログ
どんどん初美の思考に徳山が乗っ取っていかれていく感じ
関わる環境によって人って変わってしまうんだと
1人に固執してしまうと思考が1つに固まっていってしまう、色んな人と常に会うべきだと思った
Posted by ブクログ
徳山が初美に依存したのは、徳山自身が空っぽで、いろいろな言葉や人と関わることの正解のようなものを初美がどんどん与えてたから?
逆に初美が徳山を初めから気に入った理由は何だったんだろう。顔?徳山には「自分と似てるから」と言っていたけれど2人の似ている点がわからなかった。
(人間としての欠陥はあれど)美しく、聡明で、知識豊富な初美。なりたいけどなれないな。
Posted by ブクログ
殺人、拷問、虐殺といった物々しいタイトルがぎっしり並ぶ大きな本棚を前に「そこに人間の悪意をすべて陳列したいんです」と微笑む初美が魅力的。自分より圧倒的上位の存在にすべてを委ねてしまいたい欲を満たしてくれる美女。
死にたい、人類滅びろと感じる心の隙間に、初美の思想がスルスル入ってくる。死に誘う言葉に同調してしまう。
心が沈んでる時にこそ救いのない小説を読みたくなる勢の方々におすすめ。
Posted by ブクログ
中盤以降だんだん引き込まれ度が上がってきて
どんどん読み進めてしまった。
結局のところ初美の目的はなんだったんだろう。
という疑問と、徳山は最後もはや信者の道をいっていた気がした。
周りの人や社会から自分を切り離し、初美の言うことだけを信じて生きる。恋愛がそうさせたのか、意図的に導いた結果なのかわかないけどちょっと怖さすらあった。
Posted by ブクログ
昔同じようなことを当時付き合っていた人に言われた。 弱っているときのこの言葉は麻薬でしかなくて、共依存に陥るのは私自身も経験したことがある。
初美のような人間が実際にいたら惹き付けられるだろう。アングラだとしても知識が豊富で容姿端麗、まさに魔性の女だと思った。周囲に強く言えるようになったのも、初美がいて彼女の強さを自分のものと勘違いしただけなのだから。完全に外の世界を遮断し、廃人と化した彼は初美と死んでいくしかないだろう。
Posted by ブクログ
私も相手が欲しい、と、この小説から抜け出せていない
その後どうなったか気になるし、この2人はそれはそれでよかったんじゃないかって思ってしまうほど、初美に魅了されました
Posted by ブクログ
"そこに人間の悪意を陳列したいんですよ"
初美がすごく魅力的で、でも危うくて、案の定その魅力と危うさにズブズブになっていく。尖った知性にも色気がある。ブラックホールのような女だと思った。
でも初美が何か間違っているのかと言われれば、お節介以外に言えることがない。
初美は悪女なのかというとそれも違うと思う、まっすぐ、私が思いもよらない方向を向いていて、どんなに声を尽くしても振り向かない。そんな人が自分にだけ好意を向けてくれていたら。破滅に向かうのも無理はないなと思った。
私はこういう純文学が好きなんだ!と思って読んでいた、けど結末に向かうにつれじわじわと全ての嫌な予感のピースが嵌っていくように静かに2人きりの世界へ沈んでいく姿をどうしても自分のものさしでしか測れずにもどかしい。2人にとってはこれは破滅ではない、のかなあ。
世界は取るに足らないことばかり。人間なんていつだって人を軽んじうる醜悪な存在。それには同意できるところはあるけど、ここまで突きぬけてしまうきっかけは一体なんだったんだろう。
Posted by ブクログ
「死にたくなったら電話して」
その他にないタイトルに惹かれて読み始めた。
とても魅力的でかつ人並みとは言えない価値観をもつ初美とそれに感化されていく主人公・徳山の物語。
最初から明るい流れではなかったが、後半になるにつれどんどんと2人で暗闇へと突き進んでいく世界観に読む手が止まらなかった。
私も間違いなく徳山の立場だったら同じ破滅的な道を歩む自信がある。
Posted by ブクログ
何も考えずただ読んだだけだと、三浪中の主人公が、ナンバーワンキャバ嬢と出会い、徐々に彼女の思考に洗脳されていき破滅していく物語で、どのへんが文藝賞受賞作なのかと思ってしまいましたが。
最後の解説を読んで納得。
自分は上澄みの上澄みしか読み取れていなかったんだなと反省しました。
『七十八億人の人類を完全に滅ぼす方法はあるのか→自死すること』は私にはない発想だったので、新しい発見でした。
解説があってよかったー
Posted by ブクログ
初美とおなじく、キャバ嬢をしていました。夜の世界に疲れて一旦あがっている今、以前気になって買っていたこの本を本棚から発見し、なんとなく読んでみました。
まず、夜の世界は基本的に社会の闇で溢れています。というか世界の闇が全て集まる場所が夜の世界といっても本気で過言ではありません。夜の世界で学べることと失うことを天秤にかけると圧倒的に失うことの重量が重いです。(キャバクラは特に)
そんな中で生きてきた19歳の初美が、社会には闇しかない、生きていく価値はないと感じるのは自然なことのようにも思いました。
だってまだ19歳なのだから。
大学も中退して、社会をまともに見ぬままに夜の世界に飛び込んでしまったのだから。
初美にとって夜の世界は、サーカスの動物の檻のようなものだったと思います。逃げたいけど逃げても行く場所がない、居れば評価してくれる、ある種の居場所。
そんな初美にとっての徳山との出会いは、初美にとっても「救い」に感じたと思います。
「似ている」と感じるのって、話さずとも分かる時が確かにある。そしてそういう直感って、意外と当たってると思います。
なんだかこの人になら、と思える稀有な存在の徳山。だからこそ初美は偏った知識を思う存分に語り、誰にでも言えるわけではない価値観まで、徳山に知ってほしかった。わかってくれるわけじゃなくても、知ってほしかった、自分の内に秘めた黒いものをぶつけたかった。
無性愛者で恋愛感情がなくても、徳山に対する愛情のような執着に嘘は無くて、この人を側に置けるなら身体を差し出すことなんて容易い、と思ったのだろうと。
初美は我が強くて、だけど自分がまだ確立されていなかった。
本当は誰かに支えられないと生きていけなかった。生まれたての子鹿(Lv.100)みたいな。
こんな強くて弱い初美に、徳山はただただ翻弄されたことだと思います。
初美がAと言えば次第にAに寄り、突如Bと言い出せば確かに、とBに寄るような。
徳山自身に考えが全く無いタイプではなかったようなのでイエスマンですらなく、徳山自身の考え方の根本から初美に侵されていく感じ。
(イエスマンは考えが0なので何をかけても結局は0ですが、徳山の場合は100の初美が掛け合わせると100にも200にも1000にもなる。)
初美はそんな徳山を見て、自分に侵されていく徳山を1番近くで感じていて、満たされた。
満たされたことによって欲求がさらに削られていって、最終的に1番強かった死への欲求が浮き彫りになった。
それにさえ自ら着いてくる徳山。“結婚”なんてワード出されたら、さそがし重い。両親に在日の件を話していたのが本当か嘘かはわかりませんが、どっちにしろ徳山と結婚、考えられるか?
かといって徳山がどうしておけば結婚できたのに、という答えはありませんが。
初美が壊れたのは、徳山が満たしてしまったから。あんたのせいよ。
Posted by ブクログ
評価しずらい。ただ、引き込まれる作品だった。
無条件に他人を信じ、他人の言うことを疑わずに受け止め、行動する。
相手の言動を想像して、それを自分の考えとして発する。相手に依存する。
が、相手は掴みどころがなく(そこが魅力的である)、何を考えているのかわからない。何を求めているのか、何をしたいのかわからない。
そんな相手に人生の希望を求めてしまった。
あとはもう静かに沈んでゆくだけ、
Posted by ブクログ
展開が上手い
心の中にたまに現れる「どうにでもなればいい」をずっと追いかけている話
人は弱ったときに人に頼るけど、頼った人の意見も受け入れないのなら、いっそ主人公のようにすべての関係を断ってしまえばいい。
大抵な人はそれができない、
ならば、、、
人との関係を大事にするしかない。
世の中は決して自分さえよければ良いという訳ではないからね。
良いヤツばかりじゃないけど、悪いヤツばかりでもない、だから
ロマンチックな星空にあなたを抱きしめていたいと誰かに思われているだけで、幸せだと思うよ。
Posted by ブクログ
私が暗くて悍ましくて、性的描写を伴う作品にあまり触れてないので、耐性なくて星3ですが、耐性があれば、4か5だったと思います!
この初美の存在に徳山が引っ張られていく様が気になりすぎて、夢中になって読みました。
性的描写はちょっと気持ち悪かったけど、初美の考えや雰囲気に私でさえも飲み込まれそうになるのだから恐ろしい、、けど気持ちよくもあるのです。
時間がないので感想はここまで
Posted by ブクログ
これは、映画でいうところのアカデミー賞とかそう言うのを受賞しそうな作品。
何とも言葉では言い表し辛いところがあるけれど、この世界観に入り込めるものだった。
多分きっと嫌悪の様なものを感じる人もいるかもしれなけれど、何だか少し分かってしまう自分もいる。
死というものを改めて感じさせられる。最後に初美が語る死ぬという事の話は、ある意味でものすごく救われるかもしれない。
きっとさこんな風に、拗らせるという言葉で表せていいものじゃ無いけれど、そんな感情とか思想とかを言ってしまえる様なのって、現実世界になかなかなくて、だからこそこうした本の中で描かれていてありがたいなとも思う。