あらすじ
そこに人間の悪意をすべて陳列したいんです――ナンバーワンキャバ嬢・初美の膨大な知識と強烈なペシミズムに魅かれた浪人生の徳山は、やがて外部との関係を絶ってゆく。圧倒的デビュー作!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
浪人生の徳山がキャバクラ嬢の初美に出会い恋人になり洗脳されていく。
「死にましょうよ、心中しましょう。それがわたし達の取れる唯一の脱出策です。ね?心中しましょうよ。」
ニヒリズムについて考えさせられる。
また、魔女狩りについての会話があるが、このシーンがインパクトありすぎ。
Posted by ブクログ
「了解です、問題ないです。愛してます」
「いやいやそういうことです、そういうこと。でもまあ、生きるってそういうことなんでしょうね、悪い意味で。・・・・生きるって、長生きするって、そうして塵が積もってゆくこと。そんで私は塵を金の粉と無理やり思い込むのは嫌やし、塵は塵やって言っときたい。人生経験なんて塵でしかない」
ドッヒャーですよ、なんですか?これはぁ!?すごいの読んだな。切れ切れ。切れっ切れっ。人生経験、塵ですよ。
Posted by ブクログ
悪意に対して悪意で返すのは、徳山は後悔していたけど少し爽快だった。逆に自分に向けられた善意に対して悪意で返しているところは読んでて心が痛かった。例えその善意が気持ちよくなるためだけの偽善だと思えたとしても、本人にはその意識はなくて本当に純粋な善意で心配してくれてる(と思う多分)のに、それに対する返事は本当に読むのが辛かった。救いがないんじゃなくて救われようとしてない。初美に会う前の徳山なら建前でも「ありがとう」と返していたと思う。完全に染まってしまっている。自分に初美を投影してシニカルなことしか言わなくなった頃から、入学金のこととか関係なく破滅しか待っていなかったと思う。初美の価値観は魅力的な部分もあるし、間違ってはいないと思うけど、どう転んでも終わってしまいそうな気がする、、、
ただ、後の人生に絶望しかない中で、眠るように苦しまずに死ねることは羨ましい。
Posted by ブクログ
評価がひどく難しかったが、他にはない感覚がある、という点で、この本の評価を5とした。
突きつけられるのは、誰かの不幸の上に成り立つ幸せがあるという事実。人より優位になることで感じる喜び。
優位に立たなければ、支配される側にまわってしまう。支配する側か、される側か、、、。
作中、欲望がすべて枯れるのが理想、と心中願望のある女がいう。
仏教の考え方に近いのかも知れない。
煩悩を捨てることによって悟りを開くことができるという考え。
けれども、欲望が無くなったら、無、しか残らない。無、しか残らないから、死、へと向かう。
仏教では、無の先に、無我の境地、があるのだろうけど、それこそ、凡人にはたどり着けない場所な気がする。
いやはや、一般人は、突き詰めたらいけない世界だ、、、。
Posted by ブクログ
竹槍を読みたいと思い、先にデビュー作を読むべきか、と思い手に取ってみた。
初美、ミミというキャバクラの女の子。早速マウント取る男、、よくわからないけど人も育ち(金持ちとか良家という意味ではなく)も良さそうな徳山。 1人だけキャバ嬢の中で他の子と違うセンス良くて賢くて、、、よくあるキャラクターか、と、期待せず読んでいくも、なんか面白い方向に進んでいく。
ほかのバイト先の仲間、年配の女性、社員含めた、あるあるな、強がる敗者みたいなしようもない人らの中で、徳山くんは、よい意味の育ちの良さがあり、初美と徳山くんはルッキズムの恩恵も受けている。二人で電車乗ってるところとか、なかなか、独特の嫌な感じを爽やかに書いていて、とにかくセンスが新しいというかユニークというか。
日本社会では見えないように包んで包んでそとからわからんように他人をボコボコに傷つけることが横行しておりそれをなぞり認知しその気持ち悪さを確認するように歴史上、歴史的から現代現在いや今日今おこなわれている残虐、虐殺、非道をひもとき、過去の遺物としてではなく開陳しゆえに徳山くんは時代が近づくほど嫌な気分になる。やがて今、今の現状に気づき、、、小気味良く詐欺師やマウントバカ男や勘違い女をバスターしながら、理想の境地に向かっていく、滑らかな感じ。
262ページあたりが衝撃であった、なるほどと膝を打つ感じ。
心穏やかに、そして小気味よい、いいぞ!って心の中で拍手しながらラストに向かっていく、希望とか、やる気とか、世の中でマウントとるか自己弁護、現実逃避するためのくだらん感情を粉砕し原点にもどる、みたいな、よい表現わからないけどそんな感想。
Posted by ブクログ
初美は普通の家庭に生まれたことがコンプレックスと言った。
貧乏と裕福、片親など、将来バネになるような、目的意識を強めてくれるような、要素があまり無かった。
だから、初美の心は基本的に空っぽで、そこに世界中の歴史を元に、人間の醜さ、卑しさ、愚かな姿が入っていった。
何百年経っても人間の本質は変わらないということを理解した初美は、全てを諦め、絶望しているんだと思う。
さらには、社会に出ても、キャバクラという、酒、男女、金という人間の欲が溢れ出る環境、醜さ、愚かさもてんこ盛りの場所に身を置いてしまった。そのために、知識だけでなく、経験からも人間に絶望したんだと思う。
そんな初美からすると、徳山にも諦めと絶望が滲み出ていたんだと思う。
マルチ商法の勧誘があった時、初美がなぜあれだけ好奇心旺盛に乗っかり、行きたがったのか、謎だった。
今にして思えば、マルチ商法がどんな内容で実態がどうであるかは、知識として知っていたと思う。しかし、気になったのは、マルチ商法自体ではなく、そんなことをしている醜く、愚かな人間たちの方だと思う。より自分を絶望させてくれる何かが欲しかったのかもしれない、そして、そんな人間たちが何をどう考えて生きているのかに単純な興味が湧いていたのではと思う。
最初はマルチ商法の人間たちも、自分たちを大きく見せることに必死で、何重にも綺麗事という名の装甲を付けた言葉を放っていた。しかし、初美の真っ直ぐすぎる脅迫にも近い追求によって、次第にその装甲は剥がれていき、最終的に剥き出しの本音を引き出した。その結果、予想通り、くだらない理由や目的が出てきた、そこには人間の欲だけが並んだ。
クルーザーを貸切って、有名人と酒を飲みながら、セックスをしたり、欲の塊のような理由に初美は内心満足だったと思う。さらなる、人間への絶望を与えてくれたのだから。
他にも、バイト先の女性の先輩に対しても、徳山のメールを介して、初美は似たようなことをした。こちらに関しては、一方的なぶん殴りだったとは思うが。
この先輩は欲が溢れていたというタイプでは無い。むしろ、人間というものに期待や希望を持ちすぎており、初美とは真逆と言ってもいい存在だったのかもしれない。
当初、徳山はこの先輩を良く思っていたが、初美と出会い、ある種この悪女によって、真逆の道、希望に寄った心を、抗うすべもないほどに魅力的な初美によって、絶望側へ引っ張りこまれてしまった。
人は大抵、人の言動からその裏を読み、悲観的になる方が多いが、この先輩は事実として悲観的であるにもかかわらず、それに気づかず最大限希望的に人間を捉えていた。
これは、この女が人間を自分の見たいようにしか見ていないためである。人は確かに、誰しもが相手を自分の中の理想と比べて、見たいようにしか見ないが、この女はそれがあまりに強すぎる、世渡りが下手というか、現実が見えていないというか、善良すぎるんだと思う。だからこそ、初美から見れば、イライラしただろうし、気持ち悪いと感じたんだと思う。
その気持ちを全て徳山のメールを介して、最大級の言葉で、最大級の皮肉を込めて、ぶつけたくなったんだろうと思う。
初美は人間に絶望し、人間の欲というものが本当に嫌いだった、だからこそ、自分から欲というものをできる限り削ぎ落としていった、性欲、食欲、自己顕示欲など、全てを削いでいき、最終的には死にたくなった。ねぇ、死にましょうよ。という印象的な言葉へと繋がっていったんだと思う。
Posted by ブクログ
「死にたくなったら電話して」
その他にないタイトルに惹かれて読み始めた。
とても魅力的でかつ人並みとは言えない価値観をもつ初美とそれに感化されていく主人公・徳山の物語。
最初から明るい流れではなかったが、後半になるにつれどんどんと2人で暗闇へと突き進んでいく世界観に読む手が止まらなかった。
私も間違いなく徳山の立場だったら同じ破滅的な道を歩む自信がある。
Posted by ブクログ
初美とおなじく、キャバ嬢をしていました。夜の世界に疲れて一旦あがっている今、以前気になって買っていたこの本を本棚から発見し、なんとなく読んでみました。
まず、夜の世界は基本的に社会の闇で溢れています。というか世界の闇が全て集まる場所が夜の世界といっても本気で過言ではありません。夜の世界で学べることと失うことを天秤にかけると圧倒的に失うことの重量が重いです。(キャバクラは特に)
そんな中で生きてきた19歳の初美が、社会には闇しかない、生きていく価値はないと感じるのは自然なことのようにも思いました。
だってまだ19歳なのだから。
大学も中退して、社会をまともに見ぬままに夜の世界に飛び込んでしまったのだから。
初美にとって夜の世界は、サーカスの動物の檻のようなものだったと思います。逃げたいけど逃げても行く場所がない、居れば評価してくれる、ある種の居場所。
そんな初美にとっての徳山との出会いは、初美にとっても「救い」に感じたと思います。
「似ている」と感じるのって、話さずとも分かる時が確かにある。そしてそういう直感って、意外と当たってると思います。
なんだかこの人になら、と思える稀有な存在の徳山。だからこそ初美は偏った知識を思う存分に語り、誰にでも言えるわけではない価値観まで、徳山に知ってほしかった。わかってくれるわけじゃなくても、知ってほしかった、自分の内に秘めた黒いものをぶつけたかった。
無性愛者で恋愛感情がなくても、徳山に対する愛情のような執着に嘘は無くて、この人を側に置けるなら身体を差し出すことなんて容易い、と思ったのだろうと。
初美は我が強くて、だけど自分がまだ確立されていなかった。
本当は誰かに支えられないと生きていけなかった。生まれたての子鹿(Lv.100)みたいな。
こんな強くて弱い初美に、徳山はただただ翻弄されたことだと思います。
初美がAと言えば次第にAに寄り、突如Bと言い出せば確かに、とBに寄るような。
徳山自身に考えが全く無いタイプではなかったようなのでイエスマンですらなく、徳山自身の考え方の根本から初美に侵されていく感じ。
(イエスマンは考えが0なので何をかけても結局は0ですが、徳山の場合は100の初美が掛け合わせると100にも200にも1000にもなる。)
初美はそんな徳山を見て、自分に侵されていく徳山を1番近くで感じていて、満たされた。
満たされたことによって欲求がさらに削られていって、最終的に1番強かった死への欲求が浮き彫りになった。
それにさえ自ら着いてくる徳山。“結婚”なんてワード出されたら、さそがし重い。両親に在日の件を話していたのが本当か嘘かはわかりませんが、どっちにしろ徳山と結婚、考えられるか?
かといって徳山がどうしておけば結婚できたのに、という答えはありませんが。
初美が壊れたのは、徳山が満たしてしまったから。あんたのせいよ。
Posted by ブクログ
評価しずらい。ただ、引き込まれる作品だった。
無条件に他人を信じ、他人の言うことを疑わずに受け止め、行動する。
相手の言動を想像して、それを自分の考えとして発する。相手に依存する。
が、相手は掴みどころがなく(そこが魅力的である)、何を考えているのかわからない。何を求めているのか、何をしたいのかわからない。
そんな相手に人生の希望を求めてしまった。
あとはもう静かに沈んでゆくだけ、
Posted by ブクログ
こんなタイトルを選んでいる時分で文句言えないんだが2冊連続でなかなかネガティブに振り切った作品読んでしまって心が疲弊
とはいえ、最初こそ独特の言い回しに読みづらさを感じるも読めば読むほど引き込まれて、この文体こそがミミの持つものなんじゃないかと思わされた
藤倉にお金のありかを聞くことはできない、と徳山が独りごちてたのを最初は「意外とそういう義理堅いところもあるもんなんだな」と思っていたが、きっと確認してしまったらミミがそうであることが自ずとわかるわけで、それが怖かっただけなんだろうな
予備校の先輩にキレたのも、(先輩自身がとんでもないというのもあるけど)自分の拠り所としている存在を汚そうとしてきたからで、どこまでいってもミミだった
これまで徳山は自分のことで怒るっていうのができなかったんだろうと思う
周りはミミのことを悪女と評するので、なにかミミに裏があるのかと思ったけど、朝キャバに調査にいってもなお彼女には徳山が知っているまたは想像の範疇にあるような気質しか結局なくて、それはつまり、徳山の周囲もまた徳山を蔑んでいたということだ
だから!は「もう一度キャバクラに行けば彼女のことがわかる」と親切心で伝えるし(=徳山が彼女について理解しきれていないだろうという憶測がある)、日浦は気持ち申し訳なさそうにするし(事実徳山を軽んじていたがそれを本人から指摘されて自覚した)、斎藤は店長にキレる彼に尊敬を向けるが、積極的に遊ぼうとはしない(キレたという側面はすごいがその他に魅力を感じてない)
なによりグロテスクなのが躁の先輩で、なにかと徳山を気にかけてはいるものの、ああいう長文の本人からしたら励ましを送れること自体舐めてるのだ、彼を目覚めさせてあげないと、導いてあげないと、が透けてみえる、仕事でぼろぼろの自分にとってのあのポンコツはそれこそ拠り所だったのかもしれない
そんな徳山にきちんと敬語で丁重に接してくれる人間が現れたらそりゃ砂漠のオアシスなわけで、ああいう結末になってしまったのは蔑ろにし続けた周囲のせいか、プライドを崩せなかった徳山自身か
結婚なんて「2人で生きていきます」という宣言であってミミの求めるものとは対極なのにそれに気づかないのが徳山だなあと思った
在日と親を理由に断ったのは徳山のそのどうしようもなさを指摘したくなかったのか、不条理に苦しめたかったのか、よくわかんなかった