あらすじ
地下アイドル、ホスト、アニメ…暴走する「推し活」
なぜ彼らは苦しくても「推し」続けるのか
AKB、ホスト、VTuber、アニメキャラ、ゲーム、地下アイドル、AV女優、ビジュアル系バンド…
当事者への取材を重ねた「推し活」の現在地
「推し」という言葉は、「好きなものを応援する」ポジティブな言葉として使われることが多い。
だが、アニメグッズを購入したり、アイドルのコンサートに参加したりすることだけでなく、たとえば地下アイドルライブでのチェキの大量購入、ホストクラブやメンズ・コンセプトカフェでの過激な売り掛けなどを表す際にもこの言葉は使われている。
少なくとも、言葉のうえでは、学生のささやかな「推し」と、身を滅ぼすほどの出費をともなう「推し」は地続きだ。
「高田馬場ライバー刺殺事件」をはじめ、「推し」を端緒とした刑事事件も発生している。その精神性の根が同じであるならば、私たちは「推し」とは何かを慎重に見極める必要がある。
実際に「推し」によって人生を大きく変える選択をした人々の言葉に耳を傾けることで、「推し」の何が人々を病的なまでにエスカレートさせていくのかを探る。
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Posted by ブクログ
最近、といっても結構前からだが、「~推し」という表現をやたらと目にするようになった。近頃は「ファン」ではなく「推し」というのだな、くらいに考えていたのだが、そんな単純なことではないと、この本を読んでよくわかった。やはり、新しい言葉が流行するのは、既存の言葉では表せない何かが生まれ、進行しているからなのだろう。
本書は有名なアイドル、地下アイドル、AVアイドル、ホスト、架空のキャラクター、声優を、ほとんど身を持ち崩してまで「推す」人たちへのインタビューとそれに対しての著者の考察で構成されている。「推す」人々は高校生から還暦が近い人まで様々だが、彼ら、彼女らは、膨大な時間と何千万円という金を消費しながら、自分の行動を後悔していない。傍から見れば非常識極まりないこうした行動に耽溺する人々を著者は特別視せず、常に敬意をもって冷静に接している。だからこそ、彼ら、彼女ら特別ではなく、誰にでもそうなる素地、可能性があることが伝わってくる。
「推し」という現象についての著者の考えは、本のタイトル「病」、終章の「処方箋」という言葉からうかがえるだろう。まさに、「はまる」よりも、「沼る」がふさわしい。本書を読んでほしいので詳しい考察には触れないが、人間とはつくづく淋しい生き物だと、あらためて思う。岸田秀の「人間は本能の壊れた動物」という言葉が何度も頭をよぎった。
本書に登場する地下アイドルの歌と踊りをyoutubeで見てみた。率直に言う。申しわけないが笑いそうになった。稚拙だったからだ。どうしてこの人たちに、自らが生活苦に陥るほどの金を投じるのか、この本を読むまでは全く理解できなかっただろう。でも今はわかる気がする。彼女たちを「推す」のは、おそらく、彼女たちがまさに稚拙だからだ。この本のおかげで、その後に読んだ「推し、燃ゆ」(宇佐美りん)」、「渇愛 頂き女子りりちゃん(「宇都宮直子」)がより深く理解できた気がする。こちらも一読を勧める。
Posted by ブクログ
とてもおもしろかったです。
様々な推し活、推し活の業態を知ることができました。
推し活の光景を一般の友人に見せるとよく「宗教じゃん」と嘲笑されますが、推し活はまさしく宗教のようなものであることがよく理解できました。
Posted by ブクログ
推し=神。宗教との類似性の指摘は確かにそうかと思った。不変性はなくとも、自己肯定の拠り所として信者たちになくてはならないものになっている。筆者は客観視の言語化がとてもうまい。腹落ちしながらあっいうまに読めた
Posted by ブクログ
女子校で教鞭を取る教師がAVアイドルのTO(トップオタク)をしている話が印象に残った。
教師は日常的に規範を遵守し、生徒の健全な成長に努める。そんな日常から抜け出し、規則に縛られずに楽しむのが一般的な推し活の楽しみ方である。
しかし彼はTOとして現場全体の秩序を守り、自分の推し以外にも気を配ることを心がけていた。
真面目で誠実な性格ゆえの出来事であるが、彼が規律に縛られずに自己の解放ができる場所はどこだろうと考えてしまった。
Posted by ブクログ
推し活は活力になるけれど、一方で散財しすぎたり事件に繋がったりもする。推しとは一体何なのか?
実際に様々な界隈で推し活している人や運営、アイドルに話を聞いて書かれた本書は興味深かった。
推し活という風潮、構造がもたらす歪みの一端を見た気がする。
界隈ごとに推しに対する考えは全然違うし、出てきたのは一例で個々人でもスタンスは違うだろうと思う。だけど、お金を使うことは善みたいな風潮はなんとなく全体的に感じている。
まさに神様がいない時代の宗教みたいになっている。
宗教はなんとなく嫌がられているけれど、推し活においては宗教用語が用いられたりしているという話もなるほどなあと読んだ。
何事もそうだけど、節度をもつことは大事だなと思った。