無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで203万冊以上配信中!
ちっぽけな人間が大きな自然や運命に抗して生き抜く姿を描く、著者渾身の長編。
十勝岳大噴火によって、祖父母、姉、妹と家田畑を失った拓一・耕作兄弟。流木と泥だらけの地の再興を決意し、懸命に働くが……。ちっぽけな存在である人間を苦もなく押しつぶしてしまう猛々しい自然。過酷な運命や自然に抗して、人間としての存在を守ろうと生き抜く姿を描く長編。
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」、日新尋常小学校に立つ記念碑の写真を収録!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
三浦綾子さん著「続•泥流地帯」
「泥流地帯」の続編、下巻にあたる。
「泥流地帯」のレビューにも書いたが35年振りの再読となる。
感想を先に書いてしまえば物語としては著者の作品「氷点」や「塩狩峠」「銃口」の方が登場人物達の描かれ方や描かれていくその人生等を含めれば濃厚で面白いかもしれないと感じた。
今回の「泥流地帯」、素晴らしいのが作品の持つストーリーテリング。
人間の人生において考えがちな「善因善果と悪因悪果」に焦点を合わせて描かれている物語。
このテーマをこの様な物語として描いた著者の力量は流石としかいいようがない。
「善因善果」「悪因悪果」
これって仏教系の教えの一種なのだろう。
善い行いを行えば現世もしくは来世で善い結果が生まれ、悪い事を行えばその逆になるという教え。
日本人の道徳心の中に自ずと潜んでいるこの考え方は世界の中ではかなり独特なものなのかもしれないと感じさせられる。
考え方に良い悪いはあるだろうが、自分はこの独特な道徳感が好きだ。
考え方として結果先行では決してないのだが、人とのコミュニケーションや社会の中では全てが「自因自果」、ならば「善因善果」こそが望まれる「因果応報」だろう。
著者はこれをクリスチャン独特の解釈を持って一石を投じてきている。
決して否定している訳ではなく、神の前では人間は不完全でそう考えることこそ人間の愚かさの一つなのだというメッセージに感じられた。
確かにそういう視点で見てみればそうなのかもしれない...
人間は不完全だからこそそういった考え方をしてしまう気もする。
だけれども「善因善果」「悪因悪果」のその考え方を否定できない。
自分はこの作品を読んでなお、それらは道徳心として素晴らしいものだと感じてしまう。
先程も書いたが日本人の持ち合わせている一つの美徳のような気がしていて誇らしくも感じている。
物語以上に考えさせられる作品だった。
これって答えがないもの。果てしなく考えられるもの。
各々の宗教の始まりってこういった答えのない「問」からはじまっていったのではないだろうか?って感じられる。
昨日、今日、明日、明後日と毎日のように考えればその時その時で考えが変わっていきそう。それくらい曖昧で毎日のように「問」にはなるがその「答」は実体をもたずそれがまた「問」になる無限のループなのだろう。
人間はそう考えればやっぱり不完全だろう。そういった意味では人間は愚かだが、その愚かさもまた人間の持つ愛すべき一つの持ち味だとも思う。
当然AIもこの件に関しては不完全。
そうなるとやはりこれらの「問」こそきっと人外の領域なのだろう?と感じられた。
Posted by ブクログ
耕作が悩みながらひとつひとつ乗り越えて成長するさまがいい。兄の拓一は命懸けで大切な人、大切なものを守ろうとする言わば理想の人だ。泥流地帯の不毛な土地を復興させようと、挫けずにポジティブに汗を流し続ける。暴漢に襲われた弟耕作の代わりに大怪我をしても。
正しいことをして報いはなくても、試練と受け止めて生きる拓一。そんな兄を尊敬し、精神的な成長を遂げていく耕作。
この兄弟が泥流地帯を開拓するように、未来を切り拓いていく。
私が好きな場面は、節子の真実を耕作が受け止める場面。姉のために家族のために中学進学を諦めた耕作を思い、人知れず泣いた節子。それが耕作の胸に届いてよかった。
福子の幸せをみんなで祈るところにも感動をおぼえる。
希望と勇気が湧いてくる作品だった。
三浦綾子さん、ありがとうございます。
Posted by ブクログ
もう、何と言うか…圧巻でした。
拓一、耕作兄弟こそ在るべき兄弟の姿なのでしょう。
そう育ったのも父母や祖父母の教えや優しさが、きちんと伝わった証。
自分に厳しく、人に優しく。
これができる人間もそうはいないだろう。
何を言われようとも、されようとも、挫けず未来を見据え前進する素晴らしさ、しかも逆境のもとからの再スタート。
それらを耐え抜いたからこそ、翌年には稲が根付き青々としてくれた。
信心深くはないおっちゃんですが、見ている人はちゃんと見ている。日々の頑張りは決して無駄にはならない。これらを両親から聞かされ大きくなりました。
たとえ良い結果にならなくとも、頑張りは人生の糧になるものと信じたい次第です。
拓一と耕作。両者は泥流にのまれてしまった百十数名に代わって、その後の人生を助け合い、慈しみながら過ごしてもらいたい、おっちゃんは素直にそう思いました。
ラストのシーン、白いハンケチが見えた瞬間、汽車とその風景、周囲の人々の表情が目に浮かぶようでした。
三浦綾子様。素晴らしい作品を拝見しました。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
真面目に、正しく一生懸命に生きている者に、どうして苦難が降りかかるのか --- 「泥流地帯」では示されなかったこの問題に対する著者の回答が本書で示される。著者は聖書のヨブ記を引き合いに出して、善因善果、悪因悪果は人間の理想であって現実はそうではないと主張する。人は、良い行ないをした者には良い報いが、悪い行ないをした者には悪い報いがあって欲しいという願いから、いいことが起こった時には日頃の心がけが良かったからだとか、悪いことが起こった時には先祖や神様の祟りだとか考えようとするが、悪い行いをしたものが幸せになったり、良い行いをしたものに災いが起こったりするのも現実なのである。
前作では、登場人物らの幼少期の純粋な目を通して描かれた北海道の大自然の美しさと、真面目に正しく生きていく姿の美しさが相俟って、読むたびに心が洗われるような、純粋な気持ちになれる。
本作では、善因善果、悪因悪果は理想に過ぎないという、ともすると生きていくことに絶望するような結論を導き出しながらも、生きていくことを勇気づけてくれるフレーズを随所に散りばめ、励ましてくれているように思える。読み終えた後に「よし、がんばろう」と力が湧いてくる。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小学館電子全集 特別限定無料版 『三浦綾子 電子全集 塩狩峠』
試し読み
小説・文芸
小学館電子全集 特別限定無料版 『三浦綾子 電子全集 氷点』
試し読み
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸