あらすじ
大正15年の年の瀬、12月25日の午前1時過ぎ、陸軍省軍務局の少佐・竹田耕三のもとに、待ちに待った男子が誕生した。志郎と名付けられた子供は、その後、親である耕三と共に満州事変の調査の密命のため、不穏な空気の立ち込める中国大陸へ渡る。
一方そのころ北陸・金沢では、侠客一家・矢野辰一が、敵対する一家に落とし前をつけるため、組長宅に乗り込んだ。帰宅した矢野が目にしたのは、預かっていた哀れな女工の出産と、母親の死だった。矢野は生まれてきた孤児を四郎と名付け、自分の手元で育てることにする。
ところ変わって、東京神保町の出版社で進歩的な雑誌「群青」の編集者として働く森村タキは、社会運動家の夫との間に女の子を出産。イプセンの「人形の家」の主人公にあやかり、ノラと名付けたその子を、身勝手な夫と別れたあとシングルマザーとして育てていくことを決意する。
さらに、中国は大連のジャズマン・五十嵐譲二は、ジャズ楽団の年越しパーティの最中に生まれた子供を満と名付け、満と共に、開戦後の中国大陸を転々としながら、なんとか興業を続けていく。
大正天皇が崩御し、昭和天皇が即位した激動の瞬間に生まれた子供たちは、時代やそれぞれの親の影響を受けながら、政治、裏社会、婦人活動、興業と全く異なる世界で成長をし、数奇な出会いと別れを繰り返すなどしながら、戦争の時代から終戦を経て、高度経済成長期の昭和日本を精いっぱい生きていく。
昭和100年、戦後80年に生まれる、壮大な昭和史サーガ三部作。第一部は、親世代の視点を中心に、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦までを描く。
感情タグBEST3
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第二次世界大戦前の日本が、4人の視点から描かれる。戦争は誰もが望んでいたわけではなく、陸軍であっても全員が強硬派だったわけではない。しかし、時代の大きなうねりに日本はどんどん巻き込まれていく。
ファシズムや強引な共産主義など、今から振り返ると信じられないほど愚かに思える。取り返しのつかない多くの犠牲を払って、人類は本当に前進できたのだろうか。それとも、記憶の風化とともにまた同じ過ちを繰り返してしまうのだろうか。
第二次世界大戦を背景にした小説はこれまでにも数多く読んできたが、ここまで当時の空気感に思いを馳せられた作品は久しぶりだ。2巻もとても楽しみにしている。
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さすがの奥田さん。
昭和初期の様子をよくぞここまで描写できる。
参考文献もものすごい量だ。
めちゃくちゃ調べられてこれだけ書けたのだなぁ。
さすがです。
社会主義や共産主義など私には難しい部分も多かったけれど、女性運動など権利獲得のためにどれほどの努力と苦労があったのか、この時代のことを知れて、ありがたい。
現代の幸福がどれほどのことの上に成り立っているのか。知らしめてくれる本書が全く素晴らしい。
私はヤノタツが好きだった。
志郎と四郎も好きだ。
五十嵐、矢野、竹田、森村の4人が少しずつ絡まっていく様子が楽しみ。
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読み応えあり。
知ってるつもり…、で生きてきたけど、なんにも知らなかったな。
日本がどうやって今の日本になっていったのか、知らなくてはならない(今さら、で恥ずかしいのですが)。
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『普天を我が手に』第一部。
奥田英朗の久しぶりの本。
好きな作家の1人。
戦争初期の大衆の動きを知る良い機会になった。
今まで本や映画でバラバラに知ってたことが、
この本を読んで少しずつ線で繋がった感じがする。
軍部、政治、財閥、世論。
「あー、ここにつながるんか」ってのが結構ある。
一番良かったのは、
ピース大阪に行ったこと。
タイミング的にも終戦記念日前やし。
勉強になりました。
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映像で見てみたい。そんな本であった。
昭和元年に生まれた生まれた四人の運命が描かれている。
別々の地域で軍人、ヤクザ、左派系雑誌の編集者、ジャズトランペッターと
親の職業もそれぞれ。第一部では親の生い立ちや子の17歳までのストーリー
が描かれている。この4人の子がどう絡んでくるのかワクワクしながら読んでいた。
時代背景も取り入れながらのハラハラドキドキの読書であった。
とても面白く読み進めたが、15歳の子がこんな大人っぽい考え方する?思考が20歳の目線なのではと感じた。もうちょっと15歳という無邪気さがあっても良い気がした。
寝る間も惜しんで読みふけったが595pの大作。ページをめくってもめくっても最終ページに辿り付けなかったのが辛かった^^;
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わずか7日間だけだった昭和元年に4人の赤ん坊が生まれるところから物語が始まる。
軍人、ヤクザ、満州に渡ったジャズマン→興行師、婦人運動家
第一部は主に親であるこの4人の物語で構成されている。
いったいどうやって調べたの?てぐらい描写が細かくて、当時こんなふうにして過ごしていたのかーというのが脳内で再現される。
アメリカと戦争するなんてとんでもないと全力で阻止しようとする軍人もいたし、特高の威張り散らした態度には腹が立つし、昭和初期の人々のさまざまな熱気をプンプンと感じる。建国直後の満洲国にも興味津々。
あれ?そこでそこの子供と子供が出会ってる?ていうような会話があったり、続きが気になる作品!
第二部からは太平洋戦争に突入、辛い時代だがしっかり読むよー
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昭和元年からの歴史小説。第一部は日支戦争〜太平洋戦争開戦までが描かれています。
すごく面白い❗️
4人の主役たちから構成されるお話です。
軍人の耕三、やくざの組長辰一、女性編集者のタキ、満州に渡った興行師の譲二とバラエティ豊かなキャラクターに引き込まれます。
この後、子どもたちが繋がっていくのでしょうけど、どんな展開となるか第二部が楽しみです。歴史好きにはオススメです❗️
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昭和元年に生まれた4人の子どもたちと、その親たちの生き様を、太平洋戦争開戦までの約15年間にわたって描いた物語。
奥田英朗さんらしい読みやすい文章のおかげで、膨大な情報も自然と頭に入ってきた。
博徒の矢野辰一、陸軍中佐の竹田耕三、婦人運動家で雑誌『群青』の編集者・森村タキ、大連で米国ジャズのダンスホールを営む五十嵐譲二。まったく異なる世界に生きる4人の視点から昭和初期の日本が描かれる構成がとても面白い。
特に印象に残ったのは、女性の社会的地位や婦人運動が丁寧に描かれていたこと。女性の基本的権利を訴えるだけでもソ連共産主義者や非国民と見なされた時代の中で、堂々と信念を貫くタキと、母の生き方を尊重する娘・ノラが魅力的だった。
また、関東軍と政府のコミュ力の悪さ、限られた国内情報だけに頼ることで、人々が洗脳されていく恐ろしさにも考えさせられた。
昭和元年生まれの4人の子どもたちが、太平洋戦争という激動の時代をどう生き抜くのか。第二部が楽しみだ。
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昭和元年に生まれた4人の子供、それぞれの家庭の物語と昭和という時代のうねりを地域、職業、思想などがバラバラな4つの立場から描写されており、わくわくして面白い。
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同時代を生きる立場が全く異なる4人の主人公達の物語。本当に少しずつ時代が進んでいく。
その土地のその時代の雰囲気をとても解りやすく想像させてくれるため、没入して読みました!
特に、4人のうちの金沢と満州を舞台とする主人公達のストーリーについて、当時の現地の様子や発展具合が想像を掻き立てられたため、好きでした。
また、第1部ではほぼ全くと言って良いくらいに、それぞれの登場人物が交錯する場面はありませんでしたが、第2部以降ではどうなるのか。
大ボリュームの壮大な物語。第2部が楽しみです!
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歴史の面白さ。こんな風に様々な立場の人の生活、視点、感情が知れてとにかく面白い。右派左派、世界での日本の立ち位置、登場人物が少しずつ繋がって行くのもまさに大好物。やっぱりワクワクさせてくれる奥田英朗さん。オーディブルでとびとびで聴いたけど、紙でどっぷり集中してまた読みたい!そして続きを読みたい!
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本当に読んでよかった!…ただ日本近代史の知識がないと、なかなか大変。スマホで調べたり、詳しい人に聞いて学びながら読み進めた。
向学心のない学生時代だったせいもあるだろうけれど、近代史って習うのが学年末近くだからなんだか適当に教科書を読んで終わりって感じだった記憶。
詳しく説明されるのは原爆と東京大空襲くらい。
これってどうなんだろう。
そんな授業だったから【日本=被害者】っていうイメージでいた。
だけど読んでみたら、客観視できていない外交と、うまく言えないけれど他国に対してあまりに偉そうな態度で、引き返すチャンスなんてこんなにたくさんあったのかと驚きしかない。
登場人物はみんな一般庶民からかけ離れている人だから感情移入はしにくいけれど、時代の流れの真ん中にいる人たちだから世の中が進んでいく怖さを感じられた。
自分がこの時代に生きていたらどうしたかなーと考えて見たけれど、“群青”をコソコソ読みつつも、モンペ履いて防空訓練に真面目に出ていそうだなと思った。
反戦の気持ちがあっても、私にはタキの勇ましさは信じられない。
第二部に向けてまたエネルギーをためておこう!
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返却日が3日もオーバー、急いで読めなくもないが、それじゃあ筋を追うだけになってしまう。仕方なく332Pまで読んだ時点で一旦返却することにした。後にまだ2部と3部が待っているのだから・・・
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昭和元年に生まれた全く立場の違う子供たち4人。昭和100年を描く三部作の壮大な物語の第一巻は、彼らの親世代の話。
そのテーマと本の分厚さから手に取るのを躊躇していたが、読み始めたら止まらない。奥田英朗ならではの軽妙なテンポが、次々と視点の変わるメリハリの良さも相まって、文章なのにスピード感が凄い。
次巻からいよいよ子供世代の話になると思うが、数奇な運命が絡み合う伏線は既に張られているので、否が応でも期待が高まる!!
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「昭和百年」とも言われていた2025年の夏過ぎ、書店で平積みにされている派手めな表紙の本を見かけた。
なかなかのぶ厚さだ。著者名を見ると奥田英朗。
『イン・ザ・プール』を始めとする伊良部シリーズ、ディープな犯罪小説『最悪』、長編家族物語?『サウスバウンド』など大好物作家の一人だ
お!こんな長編出したのか…。
昭和元年生まれの4人が主人公らしい。「『昭和百年』に読むにはふさわしそうだ」と、脳内にメモした。
が、そのまま年を越えてしまった。
「昭和101年」の4月、オーディブル化されていることを知る。ボリュームを考慮するとオーディブルで聴くのはいい選択だと考え、聴き始めた。
大正が幕を引く。昭和元年生まれの子を持つ親たちの物語をメインとして始まった。親たちの職業は軍人、編集者、ヤクザ、興行主。それぞれの立場の描き方、絡ませ方が絶妙だ。ナレーションも素晴らしい。
昭和が動き出す。大陸に進出する日本の姿は力強い。やがて、満州国が成立し、太平洋戦争に向かっていく。エネルギッシュな昭和初期の日本の姿は、現在の日本と異なるようでどこか似ている(と感じつつ、気持ちがザラリとする)。
このまま一気に昭和百年まで聴こうと思っていた。
昭和元年生まれの子どもたちの登場がなかなか増えない。「親」編が長すぎないか?と感じていると、太平洋戦争突入というところで終わってしまった。
オーディブル化は第一部のみだったのだ。
もう気持ちが止められない…。
なので、急ぎ第二部、第三部を書籍で購入した。
これから活字で昭和をさらに進んでいきます。
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昭和元年から16年12月の太平洋戦争開戦までの日々の庶民や軍部・官僚・警察など、様々な立場の人たちの視点を通じ、単なる教科書的な知識ではない、よりリアルな感覚が伝わってきて、読み応えがあり、存分に楽しめました。順番を間違えましたが、これから第3部を楽しみたいと思います。
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高校で日本史を取っているということで、全体の雰囲気を掴むためになにかフィクションで読みたいなと思っていた時に見つけた一冊。3部構成ととても長く、読み応え抜群。だんだんと主人公たちの間に繋がりが出来ていくところが心地よい。授業で戦時のことを詳しく学んだ今また読み返したい本。
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大好きな奥田先生の長編小説三部作の第一部
昭和元年陸軍少佐竹田幸三の長男「志郎」が誕生、一方同じころ婦人運動活動家で女性の参政権を目指す「群青」を執筆する森村タキも私生児「ノラ」を出産した。また金沢で博打を生業とする矢野辰一は紡績工場の社長の妾が産んだ男児「四郎」を自分の第四子として預かる。
また、ジャズに夢中になる五十嵐譲二はトランペット奏者として南満州、大連に移り住み、後妻との間に「満」をもうける。
第一部ではこの四人が、昭和元年にそれぞれ親となり真珠湾攻撃までの間、当時に生きる人々の思想及び社会情勢が満州に住む人々とともに描かれている。
巻末のに主要参考文献が掲載されているがその量が膨大であり、緻密な調査と当時の細かな出来事と4人の登場人物の行動をすり合わせる丁寧さがうかがえる。
奥田先生の今までの作品に散りばめられている戦争に対する思いが感じられる超大作なので、今後の展開が非常に楽しみである。
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ああ、幸せ!奥田さんの文章にこんなに長い間浸れるなんて。
陸軍少尉と金沢の大親分と婦人運動に励む女性と満州で興行する男。この4人が昭和元年に生まれた子供を育てながら激動の時代を生きていきます。読みやすいのは、それぞれを描いているのに時間がかぶらず時代の流れを実感できるからでしょうか。
それにしてもうまい。史実通りの人物も登場させながら、フィクションとして成り立っている。しかも現在の不穏な空気と重なるところが多く、絶対に同じ過ちを犯してはならないという決意のようなものも伝わります。
第二部も手元にありますが、もったいなくてまだ手を付けておりません。間にいろいろ読んでもすぐあの場所に戻っていけることは間違いないですから。
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昭和史。第一部は昭和になったその日から真珠湾攻撃による開戦まで。
今まで戦時中の民間人に焦点を当てた話は読んでも、大きな流れとしての昭和は知らなかったので新鮮。
昭和元年には満州は既にあったのか!
とか、地方と都心の貧富の差が社会主義体制への憧れに繋がっていたり、日本も明治の開国後様々な海外の情報、思想が入ってきて、国家として錯綜してた事も伺える。
その中で、天皇を祭り上げながら、自らの主張を貫こうとする輩は、明治の官軍側のようで、やはり明治維新から50年ほどでは、人間の気質もあまり変化はないのかなと思わされる一面もあった。
それぞれがそれぞれに日本を憂い、守るために活動しているのに、何故日本は戦争へと突き進むのか。内閣がためだからか、陸軍の短気が問題か。そこを詰めて理解するのは、この本でも難しい。
ただ、現在の日本の閉塞感、内閣の動きや情報統制、そして世界情勢全てが、昭和初期に似ていて、未来が怖くなった。
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昭和の時代が始まり、日本という国が戦争に向かっていく中で、立場の異なる主人公たちが何を感じどう生きたか。
浮き立つ陸軍の中で現実派の竹田耕三、石川のヤクザの親分やのたつ、女性の立場向上のために編集者として働く森村タキ、そして満州で一旗あげようと渡った五十嵐譲二。
日本が、日本国民が戦争に向かって興奮状態になっていく中で、それぞれ戦争を望んでいないが、争うには力不足。こうやって始まっていくのかと背中が寒くなる。
「日本国民」とひとくくりにできるほど単純ではなく、それぞれに考えていたこともあったのだろうが時代のうねりの中翻弄されていったのだろう。
戦前という一つの時代が終わり、ついに真珠湾攻撃で日米戦争が始まったところで一部は終わる。
二部はいよいよ戦時。続きは読みたいが憂鬱だ。
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余り詳しく無かった近代史を学べる本で続編へ続く読み応えが有る本。昭和初期の日清/日露/第一次世界大戦後の戦勝国の時代から米国との第二次世界大戦の真珠湾への開戦までの時代を綴る。内容は、其々の立場、場所、環境で生きる4人の主人公を混沌とする時代背景のもと時系列に同時進行で描かれており4人其々信念を持った生き方が面白く読めた。
竹田耕三: 岩崎財閥家出身の陸軍省のエリート軍人で力を付ける右極化軍閥の中で米国との戦争回避に向け奮闘する。広島への左遷人事で飛ばされた後、米国大使として長男志郎を連れて渡米し和平に向けロビー活動に奮闘するも講和締結に至らず開戦を迎える。
矢野辰一:北陸能登のやくざ一家の親分で左翼組合活動の阻止をして名を上げ、本望でない全国右翼組織の会長に担ぎ上げられる。知人社長の妾子四郎を我が子に加え見込みがあるので後継と考え会長職として東京にも連れて行く。念願の組織会長職辞して地元能登に戻るも戦争間近でシノギが厳しくなり、缶詰商いを立ち上げる中、昔イザコザで腕を落とした元敵対ヤクザ親分の報復を受け死す。
五十嵐譲二:慶應卒元商社マンで夢を追いバンドマンとして満洲国大連に渡りトランペット吹きのバンドマスターから子満を授け満州鉄道/関東軍との人脈繋がりで興行主→不動産を営み成り上がる。そんな中、数度の興行で信頼を得た米国ジャズバンドを満州に迎え入れる手前で日米開戦の報を受け興行は中止となる。
森村タキ:女性の社会向上を目指す左翼運動家で同じ運動家との間に子を授る。夫は能登の会社組合活動の応援で会社側に立つ矢野辰一に片腕を落とされ自暴自棄となるも後に復讐で辰一を襲撃するも辰一は死なず、逃げた満州の地で辰一の刺客に殺される。タキは、1人子ノラを育てるも左翼雑誌「群青」出版の仕事と両立は出来ず妹夫妻に一時ノラを預けるも、神父と再婚し編集長として3人で暮らす。警察、憲兵からの監視の中、信念に従い開戦後戦争反対のビラを撒きどうなるか??
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昭和元年、4人の赤ん坊が生まれるところから物語は始まる。
第一部は、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦まで。
軍人、ヤクザ、女性活動家、満州の実業家。
誰か1人が主役ではなく、全員が主人公。
著者の思想を押し付けずにすべてがフラットに提示されるので、奥田さんの作品はいつも安心して読める。
教科書ではたった一行の出来事だけど、そこに生きた人々の目線を通すと、自分のことのように迫ってくる。劇的に煽るのではなく、淡々と描かれていてる。
戦争の始まりを知らせるラジオが流れていても、街ではいつもと変わらない日常が続いていたりもする。その空気感が妙にリアルで不気味に感じた。
誰もが戦争を望んでいたわけではないのに、じわじわと引き返せない方向へ動いていく。
正直なところ、個人的にヤクザの辰一に興味が持てなかったのと、女性活動家のタキはどこか身勝手さを感じてしまい、いつもの奥田作品ほど登場人物に入り込めなかった。
偶然にも同じ時代を描いた『カフェーの帰り道』を同時に読んでいて、そちらの登場人物には自然と惹かれていたこともあり、どうしても比較してしまう部分はあった。
でもまだ第1部。
第2部で、4人の子どもたちが過酷な時代をどう生きるのか。
ここから戦争の話に入っていくのは辛いけど、奥田さん作品ならこの先も安心して読み進められる。
第2部のAudible配信はいつなのかわからないけど待ち遠しい。
Audibleにて。
Posted by ブクログ
昭和年間(元年〜64年)に亘る大河小説。
全3巻1700ページ超の大作。
大正15年の年の瀬に大正天皇が崩御し1週間しかなかった昭和元年に、財閥・華族を背景に持つ陸軍少佐竹田耕三、金沢の侠客矢野辰一、文芸誌編集者森村タキ、大連の興行師五十嵐譲二らそれぞれに志郎、四郎、ノラ、満が誕生するところから第1巻は始まり、真珠湾攻撃で終わる。
張作霖爆殺事件、満洲国設立、2.26事件、支那事変と軍国主義が国内で台頭していく中、良識派として対米開戦回避に動く耕三、有力代議士野口徳三郎の後押しを得て右翼の大立者となっていく辰一、コミンテルンとも関係しながら女性解放運動を進めるタキ、満鉄の謀略と絡みながら満州でのビジネスを拡大する譲二たちの動き(や、子供たちの成長)から、世情や時代背景、各勢力の複雑な動きを重層的に描き出す。
どこか楽観的で諧謔味を含む語り口もあって、過度に悲観的なトーンに陥ることなく、当時の状況を現実味をもって感じられる。
ページ数は多いが、平易な表現や生き生きとした登場人物たちのおかげで全く苦にならない。
主人公は親の世代だが、第2世代たちの人生も所々で交差するのが面白い。
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昭和元年から戦争開始までのお話。陸軍、警察、右翼、左翼、満州などなど盛りだくさんの内容で、それぞれの人物が絡み合って時代が進んでいく。今からたった100年前の話だというのも信じられない。自分にとっては曽祖父母や祖父母が生きていた時代でもあり興味深かった。第二部以降は順番待ち。
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三部作の一部でこのボリュームと迫力。
昭和元年から太平洋戦争までの日本が徐々に確実に戦争に向かう中で奥田英朗の真骨頂の群像劇が展開される。
国民性というものは簡単に変わるわけではなく、
我々日本人が当時と今と何ら変わらない事にもっと自覚的で無ければならない。
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『危険なのは全員が同じ方向を向くことである』耕三
「関係あるか。おのれが香林坊をしめるんじゃ」矢野辰
『譲二は覚悟を決めた。この男たちに逆らえば、自分は満州では生きていけない』
「みなさん、戦争に反対しましょう!」タキは第一声を発した。「戦争は外交の放棄です!」
たった7日しかなかった昭和元年に生まれた四郎、志郎、満、ノラの四人の親たちの世代
どんどん戦争へと向かっていく。わかっているけれど読み進めるのがつらかった
でも香林坊に開店したパチンコ店、愛宕の話など、金沢の昔の話も多く、よかった
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感想
昔の時代は、共産主義はどうかと思うが、警察も資本家側に立って腐敗してるから結構めちゃくちゃだな。
どこかのアジアの国みたい。。。
絶頂期から転落へ。激動の時代は何が起こるか分からない。
最初は登場人物が多いから、読むのに苦労したが、これだけ壮大な物語でそれを交錯させていく構成力がすごいな。
あらすじ
大正天皇が崩御し、昭和が始まる頃、男子が生まれなかった竹田家に志郎が生まれる。同じ頃、ヤクザの矢野家に四男の四郎が、森村家にノラが生まれる。
竹田耕三は陸軍で少佐をやっており、軍部内の争いの予感を感じていた。金沢のヤクザである矢野は市議会議員選で相手候補を蹴落とし、応援者を当選させる。森村タキは、群青という雑誌で編集者をやり、女性の参政権獲得に向けて活動していた。大連ではバンドマンの譲二は黒人のジャズバンドを呼び、興行を成功させる。
耕三は陸軍省中佐として奉天の張作霖爆破事件を調査しに行く。関東軍の自作自演だったが、軍は不問とすることに疑問を抱く。矢野は金沢で起きた工場労働者のストを抑えるべく、ストを扇動していたものを懲らしめて、ストを抑える。タキは金沢のストに失敗した加代を住まわせ、その後も自分の稼ぎ目当てに寄生する者が増えてイラついていた。女性を応援する議員の山本に傾倒するも山本は右翼の者に殺害される。ストレスが溜まり、妹に相談してノラを里子に出す。
耕三は陸軍省の一朝会が右翼とクーデターを目論んでいる情報を掴み、上層部に報告するが揉み消される。矢野は衆議院に頼まれて労働組合の解体を請け負っていた。小作農の組合解体を頼まれて出向く。タキはロシアから金を受け取り、モスクワを目指して旅をする。途中、奉天で譲二に救われる。そのうち柳条湖事件が起こり、関東軍が勝手に暴走し始める。譲二の商売は上がったりになるかと思われたが、満鉄の平山から溥儀を紹介される。
耕三は一朝会に対抗すべく、五日会を作り、賛同者を集める。タツイチは、政治家に頼まれて気付けば大日本菊友会の支部理事となる。タキは、共産主義として特高にマークされていた。教会の牧師と知り合う。譲二はダンスホールを経営し、上手く行っていたがアメリカから呼び寄せた楽団にスパイが混じっており、興行が失敗する。
耕三はアメリカから来た記者に嵌められ、憲兵に捕まる。ヤノタツは、北陸で頼られる存在になったが、タキの夫の安治に銃で撃たれる。タキは安治と別れて、牧師の池辺と結婚する。譲二は平山から満州の良さを伝える映画の依頼を受けて、人々の暮らしを撮影する。
耕三は一時的に広島に左遷される。その時、二二六事件が起きて騒然とする。その後、東京へ戻るが軍国化が進んでいた。ヤノタツは、あれよという間に菊友会の会長になり、東京に移り住む。タキは軍国化が進中で、加代が法を犯し、その連座で逮捕される。譲二は平山に従って阿片密輸の片棒を担がされていた。
耕三は国家総動員法が可決され、閑職へ追いやられる。中国との戦争を止めるため、フリーメイソンの伝手をたどる。タキは、加代に手を貸したとして収監されるが、匿名の夫人の働きにより釈放される。
耕三はワシントンで日米の戦争回避に動くが、日本が真珠湾を攻撃したと聞いてびっくりする。ヤノタツは金沢に帰り、朝鮮村の出先でヤクザの宮田に襲われて命を落とす。タキは、平穏に暮らしていたが、加代が反戦を訴えて逮捕されると、自分も反戦を訴えて逮捕される。譲二は、戦争が始まり、締め付けが厳しくなってきたことにウンザリしつつ、会社の存続に力を注ぐ。