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「苛められ、暴力をふるわれ、なぜ僕はそれに従うことしかできないのだろう」 善悪の根源を問う、著者初の長編小説。
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Posted by ブクログ
小説の題材は「苛め」です。 これは社会で起きているであろう真実を、その当事者の思考や哲学を読み解きながら、問題提起している作品であると思います。 苛めをする側の独善的で倫理観の欠如した思考と、苛めを受ける側の苛めに耐えて受け入れていく人生哲学を、それぞれ登場人物に語らせることで、何が善(正義)で何...続きを読むが悪(不義)なのか、どちらが本当の強者でどちらが弱者なのか、を問うそんな内容でした。 物語は、斜視が原因でクラスの男子生徒から日常的に苛めを受けていた14歳の中学生である「僕」のもとに、「わたしたちは仲間です」という手紙が届くところから始まります。それは同じクラスの女子生徒「コジマ」からの手紙で、彼女もまたクラスの女子生徒からその容姿が原因で日常的に苛めを受けていました。 「僕」と「コジマ」は密かな手紙のやりとりをつうじて親交を深め、そのなかで「コジマ」は、苛めを受けている原因である自分が身なりを汚くしているのは「わざと」であり、離婚した父親を忘れないための「しるし」なのだと「僕」に打ち明けます。そして彼女は、いじめの原因である「僕」の斜視も、今の「僕」を構成している大切な「しるし」なのだと言い、「わたしは、君の目がとてもすき」と肯定します。 「僕」と「コジマ」は、心を通わせるようになり、暫くはお互いの存在が支えとなるような関係でいましたが、或る苛めにより「僕」が大怪我を負ったのを境に、「コジマ」の心境に変化が生じていきます。 それは、自分たちは「弱い」から苛められているのではなく、あえてそれを受け入れていることが「強さ」や「正しさ」なのだと述べるなど、苛めによる苦悩を、「意味のあるもの」と考えようとするようになります。切なく悲しい心の変化だと思います。 そしてある日、「僕」は怪我の診察にあたった医師から、斜視が手術で治る可能性があることを告げられます。「僕」は久々に「コジマ」に会い、斜視が治る可能性があることを伝えたところ、「僕」が手術によって大切な「しるし」を捨て、「強いやつら」の側に逃げようとしていると「コジマ」に非難され、一方的に決別を宣言されてしまいます。 つまり、「コジマ」にとって、自らの「身なりの汚さ」や「僕」の斜視は、自分たちを形づくるしるしであり、「意味のある弱さ」すなわち「人の痛みや気持ちがわかるという本当の強さ」示す象徴と考えていたのだと思います。 終盤、「コジマ」のこの心の変化(悲しい思い込み)は、まさに体を張ってまで「強さ」と「正しさ」を示すように「意味のある弱さ」を苛める側に見せつけるような行動に至ります。痛々しくもあり悲しくて切ない光景です。 この小説のタイトルですが、今は苦しくてもそれを乗り越えた先にある場所、それが「ヘヴン」というのが、「コジマ」が「僕」に語った思いでした。ヘブンでも天国でもなく、「コジマ」が拘り名付けて信じていたのが「ヘヴン」でした。 ただ、ヘヴンという言葉の本来の意味(天国)のイメージとは真反対の、次々と繰り出される陰湿で強烈な苛めの描写は、読んでいて本当に辛いものでした。 それでも最後まで読むことができたのは、僕とコジマがやり取りする手紙や会話から、心の動きや感情の変化を感じることができる、繊細な心理描写に引き込まれたからではないかと思います。 あらためて、「苛め」という加害行為と、それを行う者の独善的な価値観、他人の痛みに無関心な鈍感さに、強い憤りを感じました。 また独善的で相手の痛みに鈍感というのは、SNSで正義を振りかざす人たちも同じで、それも「苛め」と何ら変わらないものであると思いました。
リアリティないじめの描写。 いじめた側は、何もなかったように人生を過ごしていくんだろうな… いじめられた側は、死ぬまでその記憶は消えない。決して… コジマは、その後どのようになったのか?1か月前に読み終えたのにずっと頭のなかにこびりついています。苦しいが読むべき小説です。
百瀬の言うことも分かるし、コジマの言うことも分かる。全てのことに意味があると思いたかったが、案外そんなことはなく、全てが偶然の上に成り立っているのかもしれないと、最近は思っている。 苦しいばかりの世の中で、善悪を自分の中に宿すためのよすがを見つけるのはとても難しい。 「僕」は最後に、誰の言葉も介さな...続きを読むい、自分だけの世界を見たのかもしれない。
もう少し心の準備してから読めばよかった…と反省。 すごく心が痛いのと自分の人生の一部を見ているようでしんどいのだけど、 やはり文章のプロはそう思わせるだけではなく、細部にまで凝って最後まで読めるように導いてくれる。 これもまた心を落ち着かせて読み直したい。
ちょっと理解できるような、、
虐められる側の「受け入れる」と言う考え、たしかにそれは弱者ではなく勝者に感じた。
役立たないけれど、役立つこと達
私たちが社会に役に立つものを求めるとき、 私たちも役に立つものであることを求められる。 これはきわめて当然だけれど、 私たちは役に立つものばかりから できているわけではない。 私は私自身の役に立たない部分を かえって私のアイデンティティを 表すものとして、「最後まで」 愛することがで...続きを読むきるだろうか。 また、私は、私だけで私であるわけではない。 私を生み出してくれた者たちも 私の一部である。 私は、私の一部が不完全であっても かえってそれを愛せるだろうか。 〇〇は、後ろめたくて 自分に大きな穴ができたように感じる行為 かもしれないが、意外と戦略的で 原罪とも呼ばれるものの暴発を回避して 守るべきものを守る強い力になりうるもの かもしれない。 〇〇が怪我をして血を流すのを読んだとき、 読者としての私は、主人公に復讐や逆襲を そそのかしたい気持ちを冷まされた。 突発的な凶事も、ないに越したことはないが、 もっと大きな取り返しのつかないことから 自分たちを守ってくれるものとなってくれる こともあるようだ。 〇〇の凶事や、〇〇に芽生えた強さが、 勇気を持ち始めた主人公のその勇気の、さらに 先にある何かを示しているようだ。 私たちは交流する間に、たとえ 強く幸せに結びつくことができなくても ばらばらでいるのに、それぞれが成長して 違っているのに、それぞれの成長を なんとなく感じて安心できることが あるように感じる。 役に立たなさそうでいて、 役に立つこともあるようですね。
#ハッピー #切ない #ダーク
_好きなシーン ・"みんな好き勝手言うけど、あなたの話しか聞かないから" 安心感 抱擁感 安堵感 信頼感 ・"言いたいことがあれば何でも言って、言いたくないことは言わなくていい。" 普段から母親に感謝の気持ちがあるのに、昔から上手く親とコミュニケーション...続きを読むが取れない自分の申し訳なさと不甲斐なさ、情けなさが込み上げた。 頭の中で感謝と情けなさを伝えたら号泣した。進路のことだって一緒に考えてくれる姿勢にじんわりした。就職を決めないといけない自分の心の柔らかい所がお湯に包まれた感覚になった。 最後のくじら公園のシーンは斜視による幻覚を見てるのか、寝てしまってそのまま夢を見ているのか分からず、惨すぎて夢であって欲しいと思いながら読んだが現実だった。直前のマスターベーションのような内面の変化を受け止めきれず狂った夢を見ているのかと思った。途中までコジマの存在も精神を追い込まれた僕の幻だったのではとすら思った。 生きてる意味はないから何か意味を作ってようやく生きている。どう生きるかが明確なら、どんなふうにも生きられる(夜と霧)に通ずるものをコジマに感じた。 コジマはどうなったんだろう。 苛め含め、"したいし出来ることをやってるだけ"という百瀬の論は否定したくてもできないように思った。 理性のないようである理論だった。 百瀬もコジマも自分を貫く存在であったが僕はただ状況に服従していた。だから貫く自分を持てない僕は段々とコジマが遠い存在になり、最後は百瀬と重なった。斜視も僕の意思ではなく仕方ないからそのままだっただけで、コジマのように弱者の強さを表すものでは決してなかった。 それでも治したい意思はあり、決められずにいたが手術を選んだことで初めて僕は自分の輪郭を自分で作ったかもしれない。自分を貫いたかもしれない。自分で選んだ世界の美しさに涙した。コジマへの依存の決別にも取れた。でもコジマに言われた好きだよも関係性も忘れたくなくて、「手術したら斜視だったことも忘れる」に引っかかったのだろう。 結局ヘヴンはどんな絵なのか、自分で選んだ世界のことなのか。 親が離婚したあと、母親と一緒になれただろうか。 コジマと僕のエネルギー量が保存されているようにも映った。コジマがちからを持ち、弱々しさが薄れるに連れて僕はエネルギーを奪われる描写。僕が斜視の手術に希望を感じるに連れてコジマは絶望する。 くじら公園のコジマはギリギリの状態で、じゃあ斜視を手術した後コジマは本当に壊れたのだろうか。
・まずはしんどい。年末年始でないと読めない本。 ・いじめる側もいじめられる側も考え方は人によって違う。 ・辛いことからは逃げるが正解だと思うけれど、逃げ方を知っておくことが重要。
確かな表現力とテンポよく読ませる文章で構成された一冊でした。この要素だけでも充分に読んでよかったと思えるのですが、登場人物たちが考える哲学や主人公の逡巡も大変面白かったです。 我々が俗に言うところの「ちょっとヤバい(考え方を持った)人」って、まさにコジマのように自分のなかで成立している論理を、特に...続きを読む強く真だと思い込んでしまうところがあるのだと思います。 その点主人公は、コジマだけでなく、血は繋がっていないけれども自分の側で目線を合わせてくれる母親や、いじめの加害者側である百瀬とも自ら話し合い、その時その時で揺らいでいくだけの強さや環境が整っていたのが印象的でした。 とはいえ、頭ではそんなふうに認識していたとしても、それが出来るかどうかはまた別問題なんですよね…。主人公とコジマには作品で描かれた選択しか出来なかったようにも思いました。
平易でリズム感もあるとても読みやすい文体で、あっという間に読めました。10代の人達に読んでほしい。内面の葛藤や苦悩と世界の理不尽さ。エンタメ小説とは一線を画す小説でした。
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