あらすじ
避暑地の別荘で、事件は起こった。三十歳を間近に控え、久しぶりに顔を揃えた五人の男女。インターナショナルスクールで出会って以来二十年以上の付き合いになる重成、聡也、梨愛、夏澄、雛乃は、海外赴任が決まった重成の送別も兼ねて、葉山にある聡也の別荘で旧交を温めていた。ところが深夜、雛乃が頭から血を流した状態で死体となって発見される。続けて梨愛が「私が殺したの」と告げ、警察に連行されてしまう。五人の関係は、一夜にしてひとりが被害者に、ひとりが被疑者になる悲劇へ転じた。幼馴染みの面会も拒否し、殺害の動機を語ろうとしない被疑者。弁護士は、残された関係者三人の証言をあつめる。しかし、同じ出来事を語っていても、当事者たちの思惑は三者三様に異なり、証言を重ねるごとに人物像と関係性はめまぐるしく変貌していく。果たして五人の間には何があったのか。あの夜、なぜ事件は起きたのか。関係者の証言から展開される、息を呑む心理劇の結末は――。
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貫井徳郎うますぎる。殺人事件があって犯人は自首している。でも動機不明。ということで当時一緒にいた幼馴染の3人が、それぞれ証言していく。面白いのがその証言は「あくまでもその本人の主観によるもの」であること。だから都合の良い解釈や意図的なのか事実と違うんじゃないの?ということをそれぞれ話しているから、自分に都合悪いことは話さないばかりか証言の中には全然事件と関係ないようなこともあって、ミスリードさせられる。しかし!真相はしっかりと語られているし、伏線もしっかり張られていて最後には「さすが貫井徳郎!」となります
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人物像と関係性。
それぞれから語られる姿はひとつとして同じものはなく、そのことを改めてずしっと感じさせられる本でした。
とても読みやすく最後までどうなるのだろうとおもしろく読めました…!
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⭐︎3.4とあまり高くないんだなぁと思いつつ読み始めましたが、面白かったぁ!
最近、様々な理由で読書が捗らなかったのですが、一気読みでした。
まずは単純に私が貫井徳郎作品と相性が良いのだと思います。読みやすくて水が染み込むように、あるいは呼吸するように読めます。
この話は5人組の中で殺人事件が起き、そのことについて被害者と被疑者を除く3人が語る形式です。最後に被疑者が独白して終わりです。
驚くほど捉え方が違うのが面白いです。
意図的に話したり話さなかったりすることも加わるので、同じ出来事でも乱反射するように違う見え方をする。
貫井徳郎、あっぱれと言いたくなります笑
最後のリアの独白で、3人のリアに対する見解もかなりずれていることがわかります。
もうその人間模様を描いてくれただけで十分すぎるくらい面白いのに…
と意味深なところで終わらせておきます。
ちなみに一人自宅で読み終えましたが、思わずうわっと声をあげてから笑ってしまいました(*゚∀゚*)
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マレーシアのインターナショナルスクールで小学校時代同級生だった5人、重成、聡也、梨愛、夏澄、雛乃は日本に戻ってからもなんとなく仲良く、時々連絡取らない時期あってもまた集まるというような繋がりがあった。重成が出張でウガンダにいくというので、その前に30歳前の5人は聡也の家の別荘に集まる。そこで、雛乃が血塗れの死体となって発見され、梨愛が自首。残った3人に弁護士が一人ずつ話を聞くという呈で進行していく。
隠していることがあったりして、2回目はまた新しい人間関係が語られていく。とても淡々とした進捗だけど、流石に上手く、飽きさせずに読ませてくれた。本当に最後の最後で事実が明かされ、えっそういうことか(タイトルから一部予想済みでした。だってベクトルは不等辺とはいえ、ある程度平等に向かないとね)と思ってそのシーンに戻ってみたり…。
海外のインターナショナルに進学するという別世界観に加え、見た目も麗しい5人(聡也は普通らしいけど実家極太)の生活を体験する感じが楽しかったです。インターナショナルには2種類あるっていうのを知らなかったので勉強になりました。確かに国際バカロレア(IB)という語は、あそこのインターナショナルスクールの名前なんだっけ?とかで調べると、良くみかけるんですよ。はー、なるほど。ちなみに対になるのは英国式とかケンブリッジ式と云われるそう。
エログロは控えめだけど、読んでて楽しい人間関係ってかんじでもないので中学校以上。
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またまた愚行録を思い出した。このパターン2回目。作者のフォーマット?視点が変わればそこになにがあるかは変わる、というのはよくわかりました。ラスト、じっくり考えればそうなのかもしれないけど、ここまで引っ張ってきてちょっと弱くない?とはおもいましたね。
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序盤は読むのが疲れるぐらいだったが、後半は一気に面白くなり最後はえぇ〜誰々?って序盤の振り返りをする事になった(笑
誰?の仮説を立ててはみたが、正解ならば
ちょっと、そこまで想いを寄せる事あるかなあの人?と思った点が星5つにいけない理由です。貫井作品では『乱反射』もかなり好きな作品だったけど、この作品もかなり面白かった。
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とちゅうで止めることができず、ほぼ一気読み。最後まで犯人はあかされず、一気読みしないと、真相(多分)は思いつかなかったので、良かった。
それぞれの独白は、本当に人の話を聞いてるみたいで、流れるように次から次へと流れていって、途中でやめられない。あっちいってこっちいってさせられるんだけど、迷子にはならない流れに関心。
弁護士の見解にはなんか意味あるのかなあ、わからなかった。他にも見過ごしてるものがいっぱいある気がする。
もう一度読み直したい気持ちもありつつ、読み疲れた感もあり…
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・面白かった!読みやすく、サクサク読める。
・一人一人の証言を順番に聞いていく形式で、その人が実際に思っていることと人からの見え方とは違うということが分かっていく。
・タイトルが秀逸。
・ラスト、本当に犯人は気付いていないのか?気付いていて嘘をついているのか?私には分からなかった。
・最後まで読むと、もう一度読み返したくなる。人にオススメしたい一冊。
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久しぶりに貫井徳郎さんの作品を読みました。
過去には『慟哭』や『愚行録』も読みましたが、今回も事件の真相へと導く巧みな構成や、視点の切り替えの妙に感嘆しました。
本書の紹介文にあるように、「同じ出来事を語っていても、当事者たちの思惑は三者三様に異なり、証言を重ねるごとに人物像と関係性はめまぐるしく変貌していく」。まさにその言葉どおりで、読み進めるうちに私の推測も二転三転し、なかなか真相に近づけずもどかしい思いをしました。
しかし、そのもどかしさこそが、貫井徳郎作品の醍醐味なのだと改めて感じます。
このもどかしさをもう一度味わいたくて、また貫井徳郎さんの本を手に取りたいと思いました。
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★4.5
羅生門形式ってワードを初めて知ったけど、言い得て妙なり。
人の語りのみで綴られる物語。幼馴染5人のうち、1人がもう1人を殺害。残る3人によって語られるそれぞれの人物像が重なりつつも一致しない。これって実生活でもある。人によって見せる顔は違うし、見たいように相手をフィルターかけて見ることある。そういう人間心理を突いている。
殺人事件の結末ははっきりとは明記されていないけど、ここに至るまでの瑣末な思い出の中にちゃんとヒントがあり、ものすごくフェアでミステリーとしてもまとまりよし。
語りのみで深まるタイプは、私好みドストライク良作だった。
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幼馴染の男女5人の中で起きた殺人事件
被害者を除く4人の証言で進む心理劇のミステリー
読みながら犯人を探していったり、それぞれの証言の矛盾とか嘘とかあるんかな?とか思いました読んでました
ただ、読み終わってから「そういうことやったんか!」ってスッキリすることはなくて、「ん?どういうこと?」と思いながら再度読み返しすまでがこの作品の味わい方かなって思います
というのも、本当の真相は明らかにならないんですよ
ただ、現実世界でもこんな事件ってあるんじゃないかなって思う
犯人は真実をはっきり口にしないし、証言者も全員本当のこと言ってるわけではない
それぞれの証言から得られる情報を取捨選択して、真実に辿り着くのが推理なんでしょうね
この作品を読んで、みんなが同じ思い出を共有していて、それぞれの感じ方とか捉え方、物の見え方って全然違うんやなと思わされました
一人にとっては他愛のないことでも、他の人にとっては人生に関わるようなことだったりする
そんないろんな物事の連続がこの事件を引き起こしたんやなと思いました
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幼少期に海外で共に過ごして以来二十年以上の付き合いのある男女五人の幼馴染。海外赴任になる重成の送別会を兼ねて聡也の別荘で過ごした夜、事件が起きる。雛乃が頭から血を流した状態で死亡していたのだ。自分が殺したと自白した梨愛は警察に連行されるが犯行動機には口を閉ざす。梨愛の弁護士は残る三人に話を聞いていくが、それぞれの証言は微妙に食い違っていて…
え!?どうゆうこと?
読み終えた瞬間、この本の装丁のように頭が真っ白になる。。。
パラパラと読み返して、ようやく真相らしきものが腑に落ちる。いやしかしメダパニった。
一つの出来事を複数の登場人物がそれぞれの視点から語ることで、物語が多層的に展開していく構成を取っている。このような構成を「羅生門形式」と呼ぶそうだ。
章ごとに入れ代わる主観人物。同じ時を過ごしているはずのになぜか食い違う証言。いびつな五角関係。一体誰が正直者で誰が嘘つきなのか?終始混乱しながら読み進めた。現実的にはここまでないにしても、人間の主観ってその人の生い立ちや趣向によって少なからず違ってくるものなんだなあと、しみじみ。
本書のように突如梯子を外されて唖然とさせられる系の本格ミステリは、好みは分かれそうだが個人的には好き。
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最後のページ。
犯人が、わかれば全てがつながる。
以下真犯人ネタバレ
雛乃を殺したのは夏澄。
P23で、梨愛のリュックに着いた蜘蛛を夏澄が取ってあげた。
同頁、「私もあのときは度胸があったのね。今だったら、絶対見捨てる」夏澄は露悪的なことを言って、みんなを笑わせました。
伏線として梨愛の情状酌量をずっと発言していたこと、隣の部屋なのに梨愛と雛乃の言い争いを聞いていないことで納得。彼女が犯人なのだから。
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成長と共に、関係性が崩れ始めた5人の幼馴染。内、拗らせ女子の雛乃が殺害され、犯人探しが始まるのだが…《相手を理解している》つもりの思い込みには気をつけたい。梨愛にとって、ソフィーから受けた影響は大きかったのだろう。ヒントも散りばめられており『あの人』も判明。読みやすい。
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登場人物それぞれの証言の告白の形で物語がすすんでいき、伏線もはられていて読みやすくはあった。
ただ、回収された伏線もオチも予想を超えたものではなかったし、犯行に及んだ理由も少し弱すぎるように感じた。
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5人の幼なじみ。別荘で旧交を温めた夜、一人の女が一人の女を撲殺し、その罪を告白する。後日弁護士が残された2名の男と1名の女に真相を知るためインタビューする、その書き起こしという体裁のミステリー。
3名とも加害者は5人の中で最も殺人を起こすような人物ではないと語り、幼なじみ同士恋愛関係はないと語るがしかし…。
てっきり当夜何が起きたのかを検討して事件の真相を明らかにする展開になるのかと思ったら、始終グループ内の相関関係が二転三転明らかにされていくという展開だった。タイトル通り、5人相互の不当辺な距離感の関係が描かれてました。
ところで犯人の女性は父権主義など旧弊な価値観を嫌っていて、昔なじみの異性の友人の言動を望まれて注意するんだけど、友人は性格が素直だから言動を反省して改める、というのはいいなぁと思った。友人の助言を素直に聞くって中々出来る人少ないと思う。
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ミステリーとしては変わった面白い手法だけど、あまりにグルグル、延々とそれぞれの独白。いったい、謎解きはどうなってるのかと焦れ始めた頃に、本人の懐古独白…。うーむ。自分の思いと相手の思いは一致しないという当たり前の帰結。それは不等辺でしょう。
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タイトルが絶妙でした。
同じ出来事に対して、人によって捉え方が異なることもあるし一致していることもある。同じ理解ができていても他人に話す時にはどうしても主観や無意識の意図が介入してしまう。
そういう、当たり前と言えば当たり前だけど、普段意識していない人間らしい行いを客観視できるのが面白かった。
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え!??
結局誰や!?
と、読み直す。
まぁ展開は予想通りなんだけど
実際に起こりそうな事件かもしれないなぁ
価値基準の背景が複雑に入り乱れて面白かった
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なんちゅーあっけない結末。面白かったんだけど、本の構成から『愚行録』みたいなのを期待してたんだけど、なんか違う。自分の友達が自分の友達を殺したら、あなたはどちらの味方をしますか?的なストーリー。5人の幼馴染の男女の間で殺人事件が起こった。加害者は罪を認めて自首しているが、そんなことをする人だとは思えないのよねぇ。それよりも被害者が結構イヤな奴でねェ...。みたいな流れは愚行録っぽくて面白かったが、ミステリー要素が弱すぎる。ヌックンならもっと凝ってほしかった。ゴシップ風の語り口はグイグイ読めてよかった。
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「慟哭」「乱反射」以来の貫井徳郎さん。
関係者の証言から殺人事件の真相に迫るホワイダニット(なぜ犯行に至ったか?動機は?)の作品。マレーシアのインターナショナルスクールで出会った幼馴染の五人の内の被害者以外の四人が弁護士に証言していくという羅生門形式で物語は進む。
一見すると五人の関係は、仲良しグループとして平穏な均衡を保っているようで、タイトル通りに「見事なまでのすれ違い。五人の距離は、ひとつとして等間隔ではない。いびつな五角関係。」ということが次第に明らかになっていく。
その過程でのエピソードが、個人間の愛憎劇よりも帰国子女という背景からか?日本の伝統的な家族観や人間関係とリベラルで個人主義的な価値観や同性婚や変化する現代社会での多様な生き方についてなどについて語られている。(これも重要な伏線となっている)
ラストのどんでん返しではその一文を確かめるべくページを遡ると犯人があの人を…
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仲の良かったはずの幼馴染の5人。一人が殺される一人が犯人。その動機と真相が弁護士への語りの中で明らかになっていく。友情と愛情の拗れた関係とその修復の行き着いた先の物語。
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事件が起こり、被害者も加害者も明確。
動機だけが謎で、彼等と関係の深い幼なじみたちがそれぞれ語る。
究極の愛、というのだろうか。しかし、加害者には、それほどまでに自分の肉親が憎かったのか、と思ってしまう。理解も納得もできてしまうけれども。
Posted by ブクログ
5人の幼なじみ。ひとりが被害者、もうひとりが加害者。残り3名の独白が2巡。こんなにいろいろ考えて友だち付き合いしてるんだ。友だち不信になりそうだ。最後は加害者の独白。意外とあっさりめ。
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2025/06/22予約
インターナショナルスクールで一緒に育った5人組。その中で殺人事件が起こり最初から梨愛が雛乃を殺した、と名乗り出る。それぞれが弁護士に違うことを話す。犯人の独白、梨愛の愛してる人ってソフィ?まさか夏澄?読解力の無い私には不完全燃焼気味。