小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
27歳独身関東圏OL実家暮らしの立場からすると、これからの人生考えることが多すぎて、途中、読みづらかったけど読んでよかった。
親も含めて、私の周りの結婚してる人たちって本当にすごいことなんだなって思ったし、日々の幸せを噛み締めたいと思った。
私が一番刺さったのは「Beautiful Dreamer」で、別れ際にの「初めて会った自分たちにまで全力で気に入られようとしてて、痛々しくて見てられなかった。ああいう子とつきあうなら、ちゃんと結婚するか早めにリリースするか決めるのが誠意だ」とのセリフ。香織ちゃんすごく頑張り屋さんなのにやるせないし、本音を隠して生きる自分と重なって痛い。
5話が絶妙にからみあっていて、感情の描写も、フェミニズム的な考え方もすごく好きで、ほかの作品も読みたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ舞台は戦後の日本。民主主義を教えてるため半年間住み込みで4人の女性と男性教師が共同生活をする笑いあり、涙ありのハートフルコメディ。
『民主主義』がテーマだけど、個性的なキャラ達の奇想天外な行動が面白く、笑える場面が多いのでとても読みやすかった。
産まれた時から民主主義だったので、学校で習った時も「当たり前のことが書かれている」としか思ったことがなかった。だけど、戦後の状況を知り、色んな権利が保証されているのは、当たり前ではなく当時の『新しい婦人』たちの努力のおかげなのだと、改めて感謝した。
孝子がマッカーサーに宛てた手紙に書いていた
「戦争に負けたのは、私達貧乏人だけだったのではないかしら」「もしかしたら、戦況がどれほど負けに転じても、一部の人達は勝ち続けていたのではないでせうか」
という言葉には、自分も当事者のような憤りを感じた。日本人の中でもそれぞれ別の戦争を体験してきたいう視点にとてもハッとなった。
だけど、例え被害の度合いは違えど、戦争で何も失わなかった人はいないのではないだろうか。別々の傷を負った4人が徐々に心を近づけていく様子に嬉しくなった。
後半、今まで謎に秘められていた美央子の心情が日記で語られる。彼女の胸に秘めた熱い気持ちに涙した。サクラギ先生に恋心を抱いていたのは意外で驚いた。孝子のために身を引くのも、邸を出る日の先生との別れ際に、唇を震わせ涙をこらえる場面もとても切なかった。
生徒だけでなく、先生も一緒に成長していく過程がすごくよかった。この本を通して、自分自身も価値観をアップデートすることができたような気がする。本作がよかったので、これから森絵都さんの本をもっと読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
とても良かった。
ここ数年読んだ小説の中で一番と思えるくらい、すごく良かった。
作中ドラえもんの秘密道具が重要なモチーフとしてずっと話題に出るのだが、ドラえもんの少し不思議で優しく、それでいて切なさやほんのりとした怖さもある世界観とこの物語を包む空気が非常に合っていて、物語に圧倒的な深みを与えている。
人と人との関わりの難しさ、愚かさ、一人でいることの寂しさ孤独、それでも誰かと関わりたいという思いを丁寧に、痛さも含んで描いていて、本当に凄かった。惹き込まれて、もう夢中になって読んだ。
最後に明かされる種明かしも、少し不思議なこの物語にふさわしく納得できた。
ドラえもんが無性に見たくなった!
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻で積み重ねられてきた違和感が、下巻に入って少しずつ形を持ち始める。
真犯人については、途中で凡そ目星がつく。
けれど、問題はそこではなかった。
「誰が」ではなく、「どうやって」。
その問いの答えが見えたとき、思わず唸り声が出た。
壮大で、狂気じみていて、それでいて作品の中ではきちんと成立している。
しかも、その仕掛けを隠しきろうとするのではなく、必要な情報はかなり早い段階からこちらに示されている。
読み返してみると、あれもこれも伏線だったのかと気づかされる。
実にフェアである。
だからこそ、「騙された」というより、「ここまで見せてもらっていたのに気づけなかった」という悔しさと爽快さが残った。
そして、この作品を読み終えた後に改めて考えたのが、「時間」というものは何によって決まるのか、ということだった。
時計が示すもの。
人が感じるもの。
皆が同じだと思い込んでいるもの。
その当たり前の感覚そのものを、ここまで大きな仕掛けに組み込んでしまうことに驚かされた。
館の内側と外側を追っていく構成も、最後まで読むとさらに意味を持って見えてくる。
真犯人そのものよりも、「どうやって」をここまで強烈に成立させる。
その発想と、それを支える緻密な叙述にただただ圧倒された。
面白すぎた。 -
Posted by ブクログ
館の内側と外側、それぞれの視点を追いながら進んでいく構成は、『十角館の殺人』を思い出させるものがあった。
閉ざされた時計館の中では、不可解な出来事が続き、犠牲者が一人、また一人と増えていく。一方、館の外でも別の人物たちが動き、それぞれの側から少しずつ事件の輪郭に近づいていく。
けれど、上巻を読み終えた段階では、まだ全貌はほとんど見えない。
誰が、何のために、どうやって。
分からないことばかりが積み上がっていくのに、犠牲者だけは確実に増えていく。その不均衡がなんとも不気味だった。
登場人物の中には怪しく見える者もいるし、犯人についても何となく目星がつきそうになる。けれど、それだけでは説明できない違和感が残る。
そして、何より上巻の終わり方が不穏だった。
ここまで来ても、まだ事件の底が見えない。
むしろ、ここからさらに深いところへ連れていかれるのではないかと思わされる。
館そのものが何かを隠しているような感覚を残したまま、下巻へ。 -
Posted by ブクログ
めっっっちゃ面白かった。これは迷わず★5!!
「今度こそ直木賞を獲れるのか!?」という期待と不安が入り混じる展開も、そしてあの終わり方もすごく良かった。読んでいて何度も手元がびくりと震えるほど、終始ゾクゾクワクワクしながら読んだ。
主人公の天羽カインは、かなり強烈な人物像。本を出せばたちまちベストセラー、本屋大賞受賞歴などがあり、すでに「成功者」であるにもかかわらず、何がなんでも「直木賞」という権威ある栄誉が欲しい、自分は一流の作家であると文壇に認めさせたいという獰猛で執念深き欲求がある。直木賞を逃すたびに次の作品ではさらに磨きをかけていく姿勢、そして読者や書店を何より大切にする気持ちと行動にものすごく惹かれた。
一方で、使用人や出版社の人間への威圧的・傍若無人な態度には、さすがに引いてしまう部分も。また、後半で冒頭部分だけ明かされる最新作「テセウスは歌う」では、いきなり女性同士の生々しい性愛描写が出てきたので、かなり面食らってしまった。
全体としては、文学賞の価値や位置づけ、選考の過程、作家と編集者の力関係などが詳しく描かれており、「出版業界ってこういう世界なのか」という社会見学的な面白さがあった。
読む前は「直木賞が欲しい人の話かぁ〜本屋大賞3位だし読んでみよ」くらいの軽い気持ちだったのに、読み終えた今は、本当に読んで良かったと思う。素直におすすめしたい一冊。
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