小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
中編二本セット。
一つ目はなんでも直してくれる森奥の老人、玩具修理者に誤って死なせてしまった弟を担ぎ込む姉の話。
こちらはわかりやすくグロテスクで常識のギリギリを攻める。モノと人間の境目とは?面白いのだが…精巧な話に対してグロが露骨でどこか冷めてしまうような思いにもなった。
二つ目の酔歩する男は白眉。
とある脳の実験に成功してしまった男の話。
論理的に組み立てられた作者の理論により、恐ろしい結論に達するSFホラー。
SFホラーといえばエイリアンや物体Xなど、建て付けがSFであるホラーを連想することが多い。
しかしこの短編はSF的な「説明」によって恐怖を覚えさせるものである。
いうなれば「この世界は基本的に不確定で、量子的に考えるとあなたの見ていない間、月は存在しないんですよ」といった、存在論的な恐怖に近い。
読者の足元を直接攻撃してくる稀有なホラー
すごい -
Posted by ブクログ
ネタバレ南京事件について丁寧に事実を検証し関係者からの証言を聞いて書かれている本。読んでよかった。
南京事件を始め、戦争中に日本人が加害者となった事件も被害者となった事件も両方書かれている。
これだけ日本人からも中国人からも矛盾のない証言が出てて、日本軍が捕虜や民間人を大量に殺害した理由も南京市民が日本軍を歓迎している写真が残っている理由も明らかなのに「南京事件はなかった」と言い続けてる人は一体なんなんだろう…
自国の被害ばかりでなく加害の歴史にも目を向けるべきなのはその通りだけど、それは日本だけでなく中国含め大抵の国でもできてないので、どこの国の権力者にとっても都合の悪いことなんだろうなと思った。
短く慰安婦問題で韓国に補償を行ったことも書かれてたけど、自国の女性たちには謝罪も補償もしていないことにも触れて欲しかった。日本は他国の人だけじゃなく自国民に対しても残酷だった。
戦争で一番被害を被るのは弱い立場の一般市民。
権力者が戦争したがっても絶対にNOと言い続けなきゃいけないと改めて感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ちびた鉛筆でメモを書いて、身体に貼っている時の博士を見ると、僕はいつも泣きたくなるんだ」
受け入れ難いハンデを抱えながら懸命に生きている様はとても強く見えるけど、やっぱり辛い。強さと切なさが両立している。その中で博士の謙虚さと、愛がすごく尊い。記憶がもたない博士にとっては、数学が博士と人とを繋ぐ道具にもなっていた、だからこそ博士は数式を愛していた。でもそれは博士が元々「人」「子供」を無条件に愛していたということが前提になる。記憶が無くなってからも、同様にルートを愛していたように、だからこそ博士の偉大さが分かる。博士、ルート、「私」みんなの優しさに心温まる作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学生の時に初めて呼んで、初めて感動して泣いた本。
愛は利他的でないといけないのかという問題提起なのか。罪と罰の話もあるけど、自分は愛とはなんだいうほうに目がいった。
ふみちゃんが傷つけられて本当に悔しかったんだと思う。大事な人を傷つけられて、やり返すことをあなたのための復讐だと言われ、じゃあこの気持ちは自分のためなのかと思い詰める。
ふみちゃんを大事に思う気持ちは偽物なのかという苦悩から、人のために泣くことができないって本当かという問いかけが出てくることが主人公の気持ちが痛いほど伝わってきて、読み進めるのが辛かった。
愛とは純粋な自己犠牲ではないこと。
利己的か利他的かという二択ではなく、「他人の存在が自分の感情の一部になってしまうこと」
ゆえに自分が傷つく可能性を引き受けることでもある。
エゴもある。執着もある。自分勝手さもある。相手が必要だから苦しい。相手が傷つくと自分が苦しい。
そんな不純なもの全部込みで、
「それでも、その人が大切なのであれば、それ愛と呼んでもいいのではないか」いう優しい答えなのかな。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。