小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった!
最初から先が気になってどんどん読み進めた。
藩札掛として貧乏藩を立て直す話だったんだけど、主人公の聡明さと覚悟が伝わって来て痛快だった。
殺陣の描写もあって楽しかった。
清明の人生どうなっちゃうの〜って気になってたら、最後はああやっぱりね……でもどうすんの……って終わり方だった。
そしたら主人公が全く私と同じ気持ちで終わってて、すげ〜ってなった。
すげ〜ってのは、私は小説を読んでて登場人物に感情移入したことがほぼ無いんだけど、これは人が人に向ける感情において、私の気持ちと差異がないのがすごいなって思った。
私が青山文平を読んでる理由はそこだな。
前読んだ『乳付け』でもそ -
Posted by ブクログ
最も敬愛する作家の一人、故津原泰水氏の手になる珠玉の連作短編集。本当は一冊読めば、また一冊津原氏の未読の本が減る、それが寂しくて手を出すのを躊躇していたが、やはり繙いてしまう。創元のこととて、帯に「ミステリ連作集」とあるが違う。これは津原氏の人形愛から紡ぎ出された人形を巡る短編集。もちろんミステリの味つけのものもあるが、風変わりな恋愛譚、幻想譚、芸術家の凄みを表した芸術小説、職人の人生を描いた短編という多彩なもの。やはりどれも津原節が横溢。読み進めるに従ってたまさか人形堂が、登場人物たちが好きになるので、最終話、寂しくなるが、最後にほっとして、次作への期待が脹らむ。読んでよかった!
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Posted by ブクログ
シチュエーションが素晴らしいですね。
所々で語られる言葉。
『無理だと思ったら、そこが限界だ。』
巨大地震により、地下5階に閉じ込められた女性。
彼女は、見えない、聞こえない、話せないと言う3つの障害を抱えていた。
そして、彼女を救うため、頼みの綱は一台のドローン。そして、操縦士のハルオ。
果たして、彼女を安全地帯まで、誘導出来るのか?
猶予は6時間。迫り来る様々な障害。
そして、噂される彼女の障害とは本当なのか?
最後の最後に、あっと驚くどんでん返しが。
障害がうそと思われたのは、そう言うことなんですね。これは大いなる伏線ですね。
人の生きる力を信じたいと思わせる一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私は今までほぼ漫画しか読んでこなくて、最近小説にハマった人間なため、漫画の銀の匙の林業バージョンみたいな話だ!と思って読み始めました。
読み終わった後、今までと山の見え方が変わりました。木は自然にただ勝手に生えているものとばかり思っていた、いや、考えてすらいなかった。それがこのように手を加える方たちがいて成り立っていたなんて…ところどころ想像しきれない林業用語はYouTubeでも調べたりしながら読みました。
今まで考えたこともない世界に触れて、考えるきっかけになり、また伸び伸びした神去村の面々の同行に触れ心温まる気持ちにもなりました。
読書でこそできる体験だなと思わせてくれました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ長崎から棕櫚が消えた。何かが起こっている。冒頭の不気味さ。その棕櫚のすだれに隠された港で造られていたものは。。。
いやあ、もう悔しいというか怒りというか、時代遅れの巨大戦艦を造るまでの異常なまでの秘密主義に翻弄された人々と、ほとんど成果を上げることなくあえなく海中に沈んだ戦艦の乗組員たちが哀れでなりません。
それにしても淡々と事実を積み上げてその狂気を描く吉村氏にはますます敬意を払いたい。素晴らしい作家です。現代でこのようなことができるのは。。。。小川哲さんぐらいでしょうか。まだ吉村氏の読んでない作品がたくさんあるので、これからも読んでいきたいです。