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スマホとネットが日常の一部となり、顔の見えない人ともコミュニケーションできる現代社会は、便利な反面、やっかいでもある。言葉の力が生きる力とも言える時代に、日本語の足腰をどう鍛えるか、大切なことは何か――恋愛、子育て、ドラマ、歌会、SNS、AIなど、様々なシーンでの言葉のつかい方を、歌人ならではの視点で、実体験をふまえて考察する。
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Posted by ブクログ
言葉のプロによる言葉の使い方についての書。 SNSやラップやAIについての考察が大変興味深い。 言葉の不思議さと魅力を再認識。
読みながら、言葉というものの面白さ、使い方の奥行きをいろいろ感じた。 言葉の受け取り方に「差」があることに気づかされる。 同じ文章を読んでも、ただ読み流すのではなく、「ちょっと考えてみようかな」と立ち止まる回数が増えた。言葉をきっかけに、物事の考え方が少し深くなる感覚がある。 印象的だったのは短歌...続きを読むの話だ。 短歌を読んで、その作者が「この句はこんなイメージです」「私はこういうふうに考えました」と語ると、ついそれが“正解”のように思えてしまう。けれど、決してそうではない、と本は教えてくれる。 同じ言葉を見ても、作者が見ている景色と、作者以外の人が見ている景色は違う。言葉は一つでも、景色は一つではない。そこに言葉の豊かさがある。 また、「賢い人?」という話も心に残った。 そこでは、笑顔であること、幸せであること、正直であること、誇りを持つこと、といった言葉が挙げられていて、なるほどと思った。知識の量や口のうまさだけではなく、在り方としての賢さがあるのだろう。 そしてもう一つ、テストの100点の話。 俵万智の父が、100点のテストを見せられたときに「100点というのは、自分のわかっていることしか出なかったということだ。100点はあまり嬉しくなかったなあ」と言った、というくだりがあった(この感覚がいい)。 自分が理解できなかった10点、20点――そこが明らかになるほうが、学びとしては価値がある。そう考えられると、勉強や仕事に対する姿勢も変わってくる気がする。 それぞれの言葉に対する気持ちを丁寧に文章にしてくれていて、それを読んで、こちらも「言葉とどう付き合っていこうかな」と考えさせられた。 そして、言葉をそのまま受け取らずに、一度“疑ってみる”という態度――否定ではなく、深く見るための疑い――もやってみたくなった。 言葉は、世界を切り取る。同時に、世界を広げる。 そんな一冊だった。
うわーー良すぎるー!!俵万智、近頃私にとってかなり大きな存在になりつつあるひと。効果的に挟まれる大阪弁も心地良い。短歌を詠みたくなったし、大学に通い直したくなったし、子育てがしたくなった。 どれもこれも大好きな文章ばかりだけど、特に6の「子どもの真っすぐな問いに答える」は、我知らず涙があふれて止ま...続きを読むらなくなってしまった。あとがきの谷川俊太郎のところまで繰り返し登場する、「言葉の限界」「言葉の不完全さ」の話。ずっとずっと思ってたことをまんまと言い当てられて、目の前でほらと差し出されたような感じ。うん、あらためて、心から世界と言葉を愛おしいと感じる。
「サラダ記念日」で一世を風靡した歌人、俵万智さんが「言葉」を語る。 私もなんだかんだ「言葉」にこだわりがある。 ブログを始めてなんだかんだもうすぐ20年になる。 監査なんていう仕事をしているんで、証憑をどう読み、どう理論づけるかで、 不備があるかどうかを評価する。最後は言葉が決め手になる。 そしてそ...続きを読むれを報告書にまとめる。経営者に伝わりやすいよう、言葉を探す。選ぶ。 さらに部下。コミュニケーションに難のある部下と、どうすれば向き合えるか、 彼の言葉から彼の特性と癖を探し出し、受け入れるべきものと修正していくべきものを見極める。 長年寄りそう妻ともそうだ。40年以上、何かにつけ話し合う。 いやまあ話し合う、なんてのは気取った言い方で、言い合う、のほうが正しいか。 いずれにしても「言葉」は大切。 これは誰もが同意してくれることではなかろうか。 (今の政治が言葉を蔑ろにしている、という思いはあるが今はやめておく) 万智さんはご自分の体験談をベースに、言葉について軽妙に語る。 結婚はせずに高齢出産で設けたお子さんとのやり取りは格別に楽しい。 短歌にまつわる話はいわでもがな。 ヒコロヒーさんの著作に対する感想、 故谷川俊太郎さんに「現代詩の敵」と絶賛されたエピソードも楽しい。 しまいにはAIによる短歌づくりにも挑戦。どん欲だ。 ・・・AI。万能ではない。AIに間違った「言葉」を吹き込めば、間違った答えしか 帰ってこない。AIはすごい知能を持ってはいるが、実は馬鹿だ。 我々に寄り添うことはできても、言葉にできていない心中を察することはできない。 ただのコンピュータだ。万智さんもアイデア出しに使っているに過ぎない。 いい新書。 はじめに 1 「コミュ力」という教科はない ヘレン・ケラーの「WATER」 絵本は生身のコミュニケーションツール 自然の中で「めいっぱい遊ぶ」 山奥の全寮制中学 過不足なく気持ちを伝える 言葉の力を鍛えてくれるもの 渋柿を甘くする知恵 スマホなしの中高時代 「みんな仲良く」と言われ続けて 【コラム】10才のひとり旅 2 ダイアローグとモノローグ 「それはでも、あれじゃないか」 つかこうへいさんの稽古場 野田秀樹さんの稽古場 同じ言葉を違う文脈で 「愛の不時着」リ・ジョンヒョクの言葉 【コラム】心の中の音楽を 3 気分のアガる表現 ラップも短歌も言葉のアート 夢中・得意・努力 息子との様々な言葉遊び 相手へのリスペクト 日本語ラップの独自の土壌 句またがり的韻踏み 日本語をリズミカルにする魔法 【コラム】川原繁人先生との出会い 4 言葉が拒まれるとき 思いがけない反応 クソリプに学ぶ しゃべる家電たち 【コラム】詩が日常にある国 5 言い切りは優しくないのか 何でもハラスメント マルで終わる日本語 「曖昧表現が好き」という感覚 いろいろな「界隈」 言葉の輪郭を曖昧にする「も」 【コラム】流行語の難しさ 6 子どもの真っすぐな問いに答える 本質を突いてくる質問 【なんで悲しいときに涙が出るの?】【説明できないわからない気持ちがあるのはなんで?】【人間はどうして勉強しなきゃいけないの?】他 【コラム】賢い人って、どういう人? 7 恋する心の言語化、読者への意識 ヒコロヒー『黙って喋って』の魅力 塩梅が大事 どういう状況で読まれるか 言葉のマジック 【コラム】河野裕子の恋の歌 8 言葉がどう伝わるかを目撃するとき 歌会のススメ 読者が参加して完成する 歌うに値する体験 【コラム】「夜の街」から生まれた『ホスト万葉集』 9 和歌ならではの凝縮力と喚起力 最重要のコミュニケーションツール 一生かけての答え合わせ 『枕草子』にみる美意識 『源氏物語』という装置 和泉式部、尋常でない言葉のセンス 「宿ってしまった歌」とは 道長の「あの一首」 【コラム】短歌の現場、言葉探しの旅 10 そこに「心」の種はあるか 1から100より0から1を 万智さんAI AIの優しさにグッときて やるじゃないか、AI 作品の価値を決めるもの 11 言葉は疑うに値する 「贅沢」を感じられる言葉遣い 谷川俊太郎さんのこと おわりに
子育てから、世相から、恋愛から、ラップから、果てはクソリプ話 (笑える) まで話が上手い。背景から例えを交えながら、一語一語が適切で無駄がなく(何と言うか語彙表現のピッタリ感)、しかもいろんな視点で語られて論理的で分かりやすい(それでいて優しさがあり)。ずっと心地良く読んでいられる。特に後半/最後は...続きを読むホントに言葉を大切にしているのだなが伝わる。 真髄はもちろん短歌/和歌の解説。スキルのない自分は歌だけでは理解が難しいが、簡潔に今風のカジュアルな言葉で解釈を披露されると、あー、そう読むのかと感心することしきり。伝えたいことをどう表現するかはもちろんだが、31音という少ないリソースにどう収めるかのパズル感もあるのかと奥深さを感じ。一方で(たとえ作者がどう思っていようと)解釈は一つでなくてよいという大らかな世界。 学生時代に感じられたら、もう少し国語を好きになっていただろうに。今からでも遅くないか。
間違えて乗った汽車が時には目的地に連れて行ってくれる 笑顔であること 幸せであること 正直であること 誇りを持つこと
さすが、言葉のプロ、というのか、長文がスラスラと頭に入る。 活字の並びによどみなく、過不足なく、読み手に対しての愛情を感じる。 そういえば、著者は元国語の先生。こんな先生だったらもっと私は活字にぬまっていたかもしれない。 私は文字を読む時、頭のなかで朗読する声が聴こえるタイプなのだが、今作は、先日...続きを読むあちこちオードリーに出ていらした著者の声を聞いたばかりということもあり、終始彼女の声で再生された。 彼女の声がすごく好みだったので、読書中、すごく心地よかった。
久々に一気読み。面白かったし、自分の日常を振り返る機会になった。短歌って面白いんだなぁ。あー今、国語の授業また受け直したい。
俵万智さんの書籍はこれが初 とても言葉の使い方がさすがで、面白くもあり、とてもファンになりました。 日本語って素敵な言語だと改めて感じた書籍でした。 言葉って生きるうえで大切な道具であるから、たくさん使って自分の道具をこれからどんどん増やしていけたらいいなと思います。
言葉というものは、どんな人が、どんな状況で、どうやって使うのかで、こんなにも様々な効果を発揮するのだなと、改めて言葉の力に感心した。そして、著者が鮮やかに言葉を使いこなす様に圧倒される。 個人的にホスト歌会の話が斬新で興味深かった。なんとなく暴力的で、搾取的なイメージから、なんとなく敬遠していた世界...続きを読むだが、短歌の大会に向けて切磋琢磨するホストたちの様子を想像すると、イメージとのギャップが凄まじくかつ微笑ましく思う。 「光る君へ」に登場する短歌の新しい解釈も面白かった。 とにかくエピソードひとつひとつが面白く、丁寧に描かれている。 俵万智さんの息子さんの目の付け所や、聡い感じ、言語化能力が凄まじく、きちんと親の血を継いでいるなというところも感じられる。
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