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三度めの春を迎える恋なればシチューを煮こむような火加減――恋。そして4年間教師をした高校の教え子たちとの別れ。『サラダ記念日』刊行後の激動の24歳から28歳までをうたう第二歌集。 本書は1991年4月17日初版発行の新装版です。
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Posted by ブクログ
天才歌人、俵万智さんの第二歌集。 24歳の早春から28歳の冬の終わりまでの四百七十余首だそうです。 その四年間は俵さんにとってかなり起伏の大きい四年間だったそうです。 まる四年間勤めた橋本高校を退職されたことはあとがき「心が鳴る」に書かれていますが、この歌集で気になるのは第一歌集『サラダ記念日』では...続きを読む、もう幸せいっぱいとしかいえなかった万智さんの恋の行方でした。 なんだか、淋しい方向に進んでいるみたいで胸が痛くなる歌が多かったです。 タイトルの『かぜのてのひら』は ○四万十に光の粒をまきながら川面をなでる風の手のひら からとられています。 この歌集は、恋の歌以外も色々載っていますが、やっぱり気になる恋の歌中心に以下に載せます。 ○「おまえとは結婚できないよ」と言われやっぱり食べている朝ごはん ○かつて我が夫に立候補せし人の婚の知らせを聞く十二月 ○「たすけて」と言えばあなたは会いに来てくれるだろうかくれぬだろうか ○君の子として生まれきしみどりごを花より早く知るこの四月 ○君の子を生める女人のほほえみの眉毛も唇も三日月の夜 ○チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月 ○三度目の春を迎える恋なればシチューを煮こむような火加減 ○今日からは妻と呼ばれる友がいてはにかむような桜のつぼみ ○来年のことは言わない原っぱに菜の花色の時限爆弾 ○さみどりの葉をはがしゆくはつなつのキャベツのしんのしんまでひとり ○六月になれば心をよぎる人夢の中にてすずらんを振る ○花ことば「さびしい」という青い花一輪胸に咲かせて眠る ○「斜陽館」にて更ける夜は思いきり一人よがりの日記を書かん ○はなむけの言葉を生徒に求められ「出会い」と書けり別れてぞゆく ○選択をするなら誰にも憎まれぬ国より一人に愛される国 ○「もし」という言葉のうつろな人生はあなたに一度わたしに一度
「サラダ記念日」のピュアな恋のうたとは少し変わって、教師としての目線や、過去の恋愛を顧みるような目線、本気で相手を想えない葛藤など、時の流れを感じれた 自転車を漕いで初めて会いにゆきし日のスピードを思いつつ漕ぐ
特別でない路傍の石がかくも煌めいてみえるなら、忙殺による暗雲は風に攫われる。思考の整理が追いつかなくて不安でも、まだ目が輝いている。まだ心は鳴る。それがどんなに私を。
第二歌集。 教師を辞め、歌人として行きていくことを決めた頃。 学校生活が懐かしく、そして去る寂しさが印象深かった。 手紙やワープロなど時代も感じた。今とは違う世相が歌に残っていて昔を思い出した。
24から28歳までの歌をまとめた第二歌集 心が鳴る、と感じられたことが、見事に現代語で短歌に歌われていく。 高校を退職していくときのおもいも貴重。
映像が思い浮かんで楽しい
タイトルになっている短歌と、教え子の生徒さん達を詠んだ歌が大好きで、電子書籍になっているのを見つけて改めて買いました。 読むと、見知らぬ生徒さんたちなのに、顔が思い浮かぶような気がします。 もう一度読んで、やっぱり好きだなあと思いました。
特に好きな歌。 ◇母と娘のあやとり続くを見ておりぬ「川」 から「川」へめぐるやさしさ ◇泣きじゃくるチア・リーダーよこんなにも悔しいことがあるということ ◇読み終えてしまった推理小説のように男に抱かれておりぬ ◇渡されし缶コーヒーは生ぬるくあなたをかばうように飲みほす ひらがなとカタカナを...続きを読む意識しながら読んだ。
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