あらすじ
北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
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Posted by ブクログ
筒井康隆といえば…であがる作品って
どれなんだろう。
わたしは、
・時をかける少女
・パプリカ
・家族八景
・残像に口紅を
くらいしか読んだことなかったから
筒井康隆には そういうイメージがあった。
現代文とは少し離れていて 一見すると読み難さみたいな雰囲気があるのに 気付いたら夢中で読まされていて、
夢で見るような抽象的な思想や思考を文体化、
半ばから後半にかけて熱量をしっかりあげてくるのに 決して大多数が望むだろうと思われる終わり方はしてくれない…。
そういうイメージ。
本書も例にもれず ぐんぐん読まされて
久々に 小説・文学を読んでる! と思わされた。
けれど筒井康隆の作品だから
果たしてどんな風に終わるのか…と思っていたら…
良いとか悪いとかいう感想は含めず、
わたしのイメージしていた筒井康隆の締め方ではないように感じて、
「この人、こういう書き方もするんだ…」
と思った。
改めて、筒井康隆の作品を調べて
最高傑作らしい作品が別にあったので
またそれも読みたい。
上記であげた著書は有名どころだから
読んだ人も多いだろうけれど
もしその辺りで読み止めている人がいたら
ぜひ旅のラゴスは読んでみてほしい。
わたしは家族八景の4作目で 筒井康隆からしばらく離れていたけれど、
上記著書で筒井康隆をイメージづけてしまうのははやかったなと思った。
Posted by ブクログ
1つの別世界を立ち上げる程の壮大なSFでありながらも、その現実との距離感が絶妙で、ラゴスの世界に集中できた。
特にその地で得たかけがえのないもの、それを大切にしたいという気持ちは偽りなくあるが、旅を続けるしかない。そこに人生の意味を見出だすラゴスの姿勢には一歩退いて読むことができないほど惹き付けられた。
人の世界には、社会がある。社会には人間関係があって、そこには責任があって、皆日々その中で悩みながら生きている……そういった場所から1度ゼロになって飛び出してみる。そうして見えた世界をこの物語は見せてくれた。
日々の生活に風穴をあけるような、そんな痛快な旅の楽しさが良く感じられる読書の時間だった。
Posted by ブクログ
旅を続けないといけない人っていうのは、こういう人なんだと思った。
いろんな分野の本を読みたくなった。読むだけで終わるんじゃなくて、実践することに価値があるとも思った。実践する人がいないと技術は失われてしまうから。知識があるだけの人にはならないようにしようと思う。
Posted by ブクログ
読書好きSNS界隈で何度も見かけるので、初めましての筒井康隆作品。結論、とても面白かった。
SFだからかもしれないけど、昭和61年に刊行されたとは思えない、古さを感じない文章だった。
風景描写が鮮明で、人間模様も細かく描かれてるので、SFは日頃全く読まない私でもすっと馴染めた。
七瀬シリーズにも手を出そうか検討中。
Posted by ブクログ
SF小説でもなく、かと言ってファンタジーでもなく、しいて言えば最上級のなろう小説。子供の頃から神話の英雄譚や冒険小説に憧れ、長じてもなお、ビルドゥングスロマンを求めてなろう小説を読み漁るぼくに刺さらない訳もなく。
最大の賞賛を込めて言うが、高校生の頃に夏休みを丸ごと捧げて、昼も夜もなく夢中でなろうの超巨編を読み通した時のあの感動を思い出した。しかもたった250ページで。久方ぶりの満足感。
Posted by ブクログ
「旅することが人生に与えられた役目」
現代文明滅後、人類は古い時代に逆戻りした不便さを超能力でカバー。小説は遊牧民の生活と集団転移から始まる。「王国への道」ラゴスは廃宇宙船の本を収めたポロ盆地で本を読破。故郷に帰り叡智を人々に授けた後も旅は続く。愛蔵書。
Posted by ブクログ
初めて筒井作品を読んでみたが、不思議な小説だった。
SFと呼ばれてはいるが、本作はどちらかと言うとファンタジー。マテ茶が出てくるのでおそらく南米あたりで、時代的には高度文明が滅びた後の、風の谷のナウシカのような、電気が発明される以前の頃という設定だ。
不思議だったのは、物語ではラゴスが一番最初に好かれたデーデという少女に、ラストにわざわざ会いにいくというエンディング。色々成し遂げて、歳もとり、もはや教祖にもなり得るような偉大な存在になっていたラゴスが、最終的に求めたのは少女デーデ。これが何を意味するのか、正直分からなかった。よく分からなかったが、氷の女王となった彼女は、ラゴスをおそらく待ち続けている。
Posted by ブクログ
ラゴスという人物について、この人はすごく頭がいい印象を受けた。自分のことを俯瞰してみることができて、周囲の人の人間関係も割と注意深く観察して、人となりを自分の中で落とし込んでいた。奴隷になりながらも、その中で自身のできることを発揮して、監視からある程度の信頼を得るのもこの人の知識があったからこそ。「知識」に対しては貪欲で、それを追い求めて旅を続けてきた。帰郷してからも、自分が学んだことを故郷や人のために教え、広めていた。基本的には、書物を読んでいただけなのに、医学や歴史、経済、政治と幅広い分野で知識を身につけている様子だったから、これもある種ラゴスの超能力なのかと思った。知ることには貪欲だったけど、好奇心が暴走することはなくて、社会への影響を考えながら改革を進める冷静な一面も見られた。発電機の発明は、「よく、あそこで止めることができたな」と思った。
最後はデーデに会えただろうか。
Posted by ブクログ
旅人ラゴスの一生を描いたSF作品。
SFなのに妙に現実世界に寄せて描かれており、世界には色々な環境があり、考え方があることを考えさせられる。
終始一貫してラゴスの旅には目的と呼べるものがなく、旅に対しての結論も出ないまま終わるため、小説にエンタメ性を求めている層には刺さらないと思うが、
人生というのは答えのない旅で、自分がどうありたいかを常に模索しつつ、その過程をどう楽しむのが大事ということを学べる作品だった。
Posted by ブクログ
ラゴスの生涯をかけたひとり旅。
ラゴスの何事にも囚われず自由な生き方、好奇心の探求は誰もが羨ましく感じるのでないだろうか。
そんな自分の心に正直に生きたラゴスの半自叙伝的な物語。
物語は突然高度な文明を失った代償として、人々が超能力を獲得しだした世界。
ラゴスの生涯をかけた旅の目的はなにか?という話。
旅先での出会いや別れ、特別な体験は退屈な日常から解放されスリリングで魅力的だ。
二度も奴隷になったり、一国の王様になったりと波瀾万丈でジェットコースターのよう。
羨ましいことに行く先々で女性から好意を寄せられる。奴隷は羨ましくないけれど。
旅先での面白いというか哀れなエピソードは壁抜けの能力を持った男の話だ。
女性の部屋に忍び込もうとした男が全裸のまま壁と同化したままになってしまうなんとも滑稽で想像すると思わず笑ってしまう。
いろいろな能力がでてくるのも楽しみのひとつ。
ラゴスの凄いところは、自分の好奇心のためなら王様の地位を躊躇いもなく捨ててしまうところ。
私だったら、間違いなく綺麗な嫁二人もいて、贅沢が出来て、将来が安定している王様をとるだろう。
そしてラストははっきり描かれていない。
なぜなら、ラゴスの旅は続く、ラゴスは自由だから。
誰もが会社や家庭、お金という見えない鎖に繋がれている。
ラゴスの自由な人生には正直憧れてしまう一面がある。
でもその自由な生き方の裏には残された家族や子供の犠牲がある。
ラゴスの生き方はこんな自由な生き方もあるよとifの世界を見せてくれる。
まぁ好きな事をして生活できれば一番良いのだけれど、なかなか難しい。
現実味はないけれど、特に月曜日の朝は満員電車に揺られながら「このまま旅にでてしまおうか」なんて心のなかで呟くのだろう。
Posted by ブクログ
最終章まで読み進め、読み終わる=旅が終わるのを寂しく思った。
世界について多くは語られていないところがよい。想像の余地があり、広がりがある。
スカシウマが崖から〇〇する章が一番ワクワクした。
転移、動物と心を通わせる、といった力が出てくるが、魔法のようではなく、一種の得意分野のように描かれているのが印象的。
過酷だが美しいのだろうな、と思われる世界。読み耽った。
Posted by ブクログ
最初は掴みにくい話だとと思ったが、話が進むにつれ一気に読めた。
巨大な宇宙船がある町に辿り着いてからが面白くなった。
時代もあるのかもしれないが、ラゴスの女性遍歴がちょっと気になった。
Posted by ブクログ
SFファンタジー面白かったー!
主人公が万能すぎかつモテまくってるところはなんかこう…なろう系に近いものを感じたけど
でも想像力を掻き立てられてワクワクする世界観で面白かった!
Posted by ブクログ
まず人物描写がうまい。
ラゴスが旅人であることを利用し、その者(その一族)の体臭も人物描写として用いている。
また一人の人物でなく、二人の人物間の描写も優れている。
例えば中年の奴隷商人と奴隷だが、関係はもちろん商人が上なのだが、若い奴隷が優位に立っているような印象を受ける、とラゴスが感じる。
単純にSF小説としても面白いのだが、同じストーリーを凡人が書いたら、ここまでにならなかったのかも。私はSFには詳しくないが、他の方が「SFとして使い古された物語」と指摘されていた。そういう点もあるのかもしれない。だからこそ、創作者・文学者としての筒井康隆の力量がやっぱりすごい、と感じてしまう。
Posted by ブクログ
旅している気分 読んでいる人や年齢によっても、どこに感銘を受けるかが変わりそうな印象。変わらないのは、自分も旅をしているような気分になることかな?
Posted by ブクログ
本の読み方に影響を受けた。 これを読んだ後、人類の歴史を追体験しようと思った。そこだ、歴史小説を読んで時代の雰囲気を感じ、その当時にどんな発明・発見があったのか確認して次の時代に進むという時間旅行的な読み方をするようになった。
Posted by ブクログ
文明を失った世界でラゴスは旅をする。文明を失った替わりに超能力を得た世界でラゴスと言う名の男が旅をします。読みやすい文章ですが、旅先で会う人々との会話がとても考えさせらる内容でした。特に文明の急速な発展が人類に負の遺産を残すというラゴスの考えは、科学技術が進歩している現代を示唆しているような気持ちになりました。 余談ですが、作中にマテ茶が何度も出てきて飲みたくなります。
Posted by ブクログ
ファンタジーっぽく始まって、突然のSF展開も!?
1986年に刊行された筒井康隆の連作長編。
舞台は地球人が辿り着いたどこかの星なのか、はたまたずっと未来の地球なのか。
過去には高度な文明があって栄えていたようだけど、今はそれを覚えている人すらおらず。
そのかわり人々は超能力を使えるようになってます。これは便利!
そんな世界を旅するフーテンのラゴス。目的はそのつどあるにはあるけど、ウズウズしてすべてをほっぽってすぐ旅に出てしまう。こりゃ一つの場所に落ち着けないタイプかな。
結構なピンチとか危険な目にも遭うのですが、あまり動じず知的で飄々としてて、でも情にもろいところもあって…そりゃみんな好きになっちゃうわ。
とにかくラゴス、男女問わずモテモテすぎ!もうこれに尽きる。
Posted by ブクログ
文明が発達しすぎた故に崩壊し、その代わりに超能力を得た人類...というポストアポカリプス的な設定に惹かれて読んだのだけれども、
とにかく主人公が万能すぎ。奴隷に一度堕とされるけど、そこでもあっという間に出世し、ずっと神やら王やら持て囃され、女性にもモテモテ。
痛快で楽しく読めますが、重厚なSFというよりかはライトノベル風味。そこが少し拍子抜け。
Posted by ブクログ
中学生の頃すごく好きで何度も読んだ本だけど、今読むと好きにはなれないというか、鼻につく部分がある。
でも、感動するところは同じ。
変わったようで変わっていないな〜
Posted by ブクログ
過去に高度な文明を失ってしまった
不思議な能力の存在する世界
その世界を人生をかけて旅するラゴスのお話
そこまでのいい人、魅力的な人には思えなかったが
旅の行程で出会う人に好かれ頼られ行かないでくれと
しょっちゅう言われるラゴス
でもラゴスは自分のやりたい事以外には
さほど情や思い入れが湧かないタイプの男子のようで
旅情に誘われ旅をする
物語は淡々と紡がれリフレイン的な盛りあがりや
一転二転するような展開は少ないが
飽きずにページが進みます
結局ラゴスさんは一箇所にはとどまれない
旅の刺激や冒険に取り憑かれてしまった
ロマン大好き男子なんでしょうね
彼が羨ましい人は現代にだって
多いのだろうと思いました
Posted by ブクログ
知らない土地の風景を見る。知らない土地の風俗を体験する。そして知らない文化で育った未知の人と交流をする。旅は擦り切れた日常をアップデートする有効な手段のひとつだ。ラゴスはそんなつもりで旅に出たわけではないかもしれないけど、もしかしたら何かを変えること、何かが変わることを求めて旅に出たのかもしれない。
もし退屈さやかわり映えのなさが日常の主導権を握っていたら、ひとは旅の途中で目にするひとつひとつ光景に驚いたり心を動かされることに懐かしさや新鮮さを感じるのかもしれない。振幅が大きいほど、これまでの埃をかぶっていた日常が綺麗に磨かれる気がするものだ。もしラゴスにインタビューする機会があれば、是非そのへんの本音を聞きたいものです。って小説の内容に関係ないことばかりベラベラ喋ってしまいました。すいません。
そういえば前半部分は、なんだかガルシア・マルケスの『百年の孤独』に似たマジックリアリズムを感じていた。少なからず影響を受けてこの小説世界を作り上げたのかもしれない、と思いながら読んでいたが、後半になるにつれて雰囲気が変わってしまった。意図的なのか、それとも知らずに本道を逸れてしまったのか。真意は分からないが、だんだん私の興味が薄れていったと言わないわけにはいかない。出会い、別れ、愛情、友情、怒り、惑いなど、人の本性についてはよく描かれているとは思ったが、冗漫な部分もあり読み進めるのが億劫になった。
最後までマジックリアリズムを押し通す力技を見たかったというのが本音。だが作者は一本調子になることを避けたかったのかもしれないとも思う。何が正解かは分からない。きっと正解なんてないんだとも言えそうだ。いつか近いうちに(いや、そのうちに)違う作品も読んでみよう。