小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
韓国に住んでいる筆者により、韓国民の日常がどのようなものか伝えてくれています。この本の最初に記載されているセウォル号事件は私にとってもショッキングな事件でした。(13P)多くの高校生が船に閉じ込められて亡くなるという事故は非常に悲しく、また、早々と船長が避難していたことも驚きでした。それに関して紫雲丸事故について記載があります。(22P)紫雲丸事故は、瀬戸内海で紫雲丸という連絡船と貨物船が衝突して、修学旅行中の小学生を含め168名が亡くなるという痛ましい事故でした。
映画「パラサイト」の記事もあります。(174P)その中で筆者が部屋を探していた際、不動産屋さんに地下に住むことに関して言われた -
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Posted by ブクログ
三四郎の心模様が、静かで落ち着いた文章の中に流れていました。色で言えばグレーに近い感じです。それは悪い意味ではありません。心というものの描き方が上手い、それにつきるのだと思います。
東京帝大入学のため、熊本から上京途中の三四郎は、汽車の中で、ある女性に出会います。その女性とひょんなことから、同室で一泊することになります。読んでいる方がハラハラして、“三四郎、今後、女性と付き合えなくなるのではないか”と気を揉んでしまいました。「あなたは余っ程 度胸のない方ですね」なんて言われたら一生トラウマになってしまう。この女性、悪魔みたい。「度胸がない」という言葉は、三四郎のお母さんの手紙の中にもありま -
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シャールさん、ジャダ、さくらが、台湾を旅する話。個性際立つ2人のドラァグクイーンに、台湾で知り合ったこれまた個性的で愛すべき面々。
面白くないわけがない。
台湾グルメ、名所観光も交えながら、親日と思われている台湾の、複雑な歴史をさりげなく教えてくれる。←とても勉強になった!
悩めるライター、さくらの気づきや成長もあり、留守番組の真奈の葛藤あり、盛りだくさんだけど、短編仕様になっているので読みやすい。
周囲の人間に多大な影響を与えているシャールさんでさえ、まだまだだ、と考えさせられる場面もある。人生、死ぬまで修行なのかもしれない。
何気にいいキャラだなーと思うのが、ドラァグクイーンとしてのシ -
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生きてることがつまらない。相手が殺しにかかってくる空では、こちらが先に堕とさなければ、生き残れない。そういう極限にいる。それ以外はただの待機時間であって、その待機時間ほどつまらないものはない。
その感覚って、ゲームのネット対戦で、対戦相手を待っているときの時間を無駄な時間だと思ってる時と似てるのかもしれない。確かにただ待つだけの時間は退屈だ。戦いが終わったらすぐに次に行かなければいけない。
このシリーズは、見えている景色が夢なのか現実なのかはさておき、「僕」から観察できる世界のみを記述したものだ。それ以外は徹底して描かれない。
もう折り返しに来てしまった。結末を知っているのだ。
全然関係ない -
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ああわかる、わかるの嵐
著者さんのように最初から虚弱に苦しんだわけではないけど、私はわりかし早いうちに虚弱に転落した民
遊ぶを精一杯やるための時間のゆとり、準備、前後の休み方、とにかく健康を維持したり自分の体を保つためにはこれしかないというやり方、共感だらけで笑ったりほろりとしたり
健康寿命が保てないなら早死に希望ですといつも色んな人に話してるけど、健康のありがたみはいつだって噛み締めている、心身ともに
虚弱だと予定も減るから世の中にはアクティブの方が目に見えやすいけど、こんな風に虚弱で悩んだり対策して頑張ってる人がたくさんいるんだと思うと嬉しいかぎりです。
世の中の虚弱民みなさん、健康に生 -
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私は今、凄まじいものを読んだ。最終ページ、そこにははっきりと稀代の女形花井半二郎がいた。読後、熱いものが胸に込み上げるような感覚があった。
歌舞伎を愛し、歌舞伎に生きた天才半二郎の一生を圧倒的な熱量で描き切った本作。
一つの道を究めるために、すべてを懸け、命を燃やす。その真摯な生き様は、読む者の胸を強く打つ。
普段あまり人間ドラマを描いた作品を読まない私だが、本書には大変満足できた。正直、ドラマやアニメ、バラエティのような分かりやすい楽しさや面白さのある作品とはいえないかもしれない。しかし、彼の人生を密着したまるで2時間の上質なドキュメンタリーを見ているようで、読後には理由を超えた大きな -
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500ページ以上ある作品ですが、一気読みでした!海外作品なのに文章がとっても分かりやすくて、登場人物も多くないので読みやすい!!
序盤の違和感が中盤以降、伏線として次々に回収されていき、面白すぎて読む手が止まりませんでした
ハウスメイドとして働くことになったミリー、雇い主のニーナとその夫のアンドリュー、娘のセシリア、庭師のエンツォ。
読み始めと読後では、全員の印象が変わっていると思います
一度のどんでん返しだけでは終わらず、何度も驚きな展開があり、最後まで大満足な小説でした!ずっと飽きることがない
続編もあるようなので、読もうと思います
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ネタバレチャットGPTに私の好きなタイプの本を伝えておおすめしてもらったこの本。笑
全然知らなかったが、作者の安部工房は、ノーベル文学賞に1番近かった日本人らしい。
相当有名な作家だったんだろう。
ただ珍しい虫探しをしにきただけなのに、砂の街の砂の穴に突如囚われ、そこで見知らぬ女と生活させられる男。
その姿は現代にも通じる。息苦しく生活しにくい社会やシステムを変えたいと思って行動したとしても、それを跳ね除けようと何度も何度も頑張っても、結局は無駄。最後には、もうすっかり諦めて、そちら側の人間に落ちてしまう。そして、骨抜きにされたかのようにただ生きていくだけ。
そんな、悲しいけど、なんだか共感で