小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
京都鷹ヶ峰の藤林御薬園の養女、元岡真葛の物語。
第1話 師の小野蘭山と上房総三州の薬草採取に行ってきた。京都に帰る日を前に、小石川の薬草園に。そこでお婆さんが倒れたので解放したのだが、元気になってから、痙攣して倒れた。
第2話 真葛は尾張の宮の渡しまで来ていたが、梅毒病みの女性を見つける。夫はお前にうつされたのだと大変冷たく、医師にもかかるのを禁じているという。
第3話 真葛と師のもとを辞した喜太郎は瀬田まで帰り来ていたところ、真葛を甥っ子が迎えに来てくれていた。一方で喜太郎には出迎えがなくて落ち込む。孫が来てくれていたとわかるのだが、その親でなくて落ち込む。が、喜太郎の娘夫婦はそのころ -
Posted by ブクログ
ネタバレ息をするのも苦しく、ページをめくる手が重いのに、救いを求めて次の文を読むような、崖のギリギリで続く物語に胸を握られ続ける話。
両親が居なくなって、窮屈で自分が殺されていく生活から救い出してくれた文。しかしそれは、外から見れば、女児を誘拐したという拭いきれない事実しか残さなかった。やがて大人になった更紗も、唯一の理解者であり唯一の安息地である文を求めてしまう。
そして、物語も中盤。文と出会い、今までの「普通になりきった自分」を捨ててかつての自由に踏み込む勇気、覚悟。
そしてそれを阻む世界。これがあまりに絶望的で苦しくなる。
2人の自由を壊すのは、少しの悪意と、多くの同情、偏見、そして優しさ -
Posted by ブクログ
『一私小説書きの日乗』がとてもよかったので手にとってみると、あまりにその延長線上にあるので驚いた。私小説とはそんなものなのかもしれないが、”貫太”と”賢太”の距離は想像以上に近かった。
『日乗』と相も変わらず、貫太の鬱屈とした日々がたんたんと綴られるだけではあるが、短編としての完成度の高さにこれまた驚かされた。私小説というからには順番に読まなければいけないのではと不安だったが、まったく問題なく、だらだらと続いていく人生のうちのほんの一場面をこんなにも上手く切り取れるものかと思った。またその構成もよく練られており、展開が気になるようなトピックを提示しておきつつ、最後にはそれに絡めたカタルシスがき