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仙台留学時代の若き日の魯迅と日本人学生とのこころ暖まる交遊の描写を通して、日中戦争という暗く不幸な時代に日中相互理解を訴えた表題作。“アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ”敗戦へとひた走る時代風潮に対する芸術家としての自己の魂を、若き頃からの理想像、源実朝に託して謳う『右大臣実朝』。太宰文学の中期を代表する2編を収める。(解説・奥野健男)
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Posted by ブクログ
魯迅「藤野先生」をベースに書かれています 「惜別」は、魯迅との別れに渡した写真の裏に書かれた言葉です 魯迅と太宰治がモデルと思われる二人を中心として話が展開されます 太宰の方言に対する劣等感が素直に書かれ、魯迅との関係性で伸び伸びとして太宰の持つ明るさや人間性が伝わってくる秀作だと思います 魯迅「藤...続きを読む野先生」太宰治「惜別」等をもっと多くの日本人に読んでもらいたいです 魯迅「故郷」は中学校の教科書に50年以上掲載され続けているのに、藤野先生の知名度は余りに低いと思われます とても良い作品なので多くの人に読んで欲しいと心から思います
太宰が書く実朝と魯迅。間接的に、言葉少なに語られる実朝と、なまなましく描写される公暁の対比が強烈な『右大臣実朝』。若者の熱気、自意識、めまぐるしく移り変わる内面の機微を太宰らしくみずみずしく描いた『惜別』。どちらの作品も登場人物たちが目の前にありありと浮かび飲み込まれます。
ふるさと文学全集の宮城編で読んだ。魯迅の藤野先生の日本語版である。魯迅のオリジナルよりもはるかに丁寧に書いている。どこまで取材したのかがよくわからないが、より詳細により分量も多く書いているので、読みごたえがある。魯迅のオリジナルと一緒に東北大学に行く前に読むとよい。高橋源一郎の紹介である。
吾妻鏡における鎌倉第三代将軍実朝の生涯を太宰なりに解釈し、近習に語らせる形で詳述した『右大臣実朝』は、尊敬語、謙譲語、丁寧語の文が格調高く。 武家ながら雅な性質を帯びた実朝の行状に、やがて公暁に暗殺されるといった、危うさ、滅びを仄めかせる文章が巧み。 魯迅の仙台留学時代を、その友人であった同窓生の回...続きを読む想で描く『惜別』は、太宰作品で一番好きかも。 支那の革命のためには洋学が必要で、それを厳選して受け入れている日本に留学し、医学を身に付け、病気を治せるようにし、人民に希望を持たせ、その後に精神の教化を、と目論んでいた魯迅が、日露戦争で日本が勝ったことで変わっていく。 明治維新の源流が国学にあり、洋学はその路傍に咲いた珍花に過ぎず、日本には国体の実力というものがある。だから、医学という遠回りをせずに、著述で直接に人民を教化しようという風に。 かなり日本に都合よく書かれているきらいはあれど、それは内閣情報局と文学報国会から太宰が依頼を受けて書いた国策小説だからとのこと。 それを差し引いても、魯迅とその同窓生たち、そして恩師である藤野先生との交流は暖かく、青春小説としても楽しめた。
「右大臣実朝」 源実朝は、鎌倉幕府三代目の将軍である まつりごとに対しては常にあざやかな采配をふるい 風流人にして、その短い生涯のうちに「金槐和歌集」を編んだ才人でもある 鷹揚な性格で、多くの人に愛されたが 海外に旅立つ夢だけはかなえられず 最後は甥の公暁に暗殺された 実朝は、幕府と朝廷の結びつきを...続きを読む深めることで 権力の一極集中を進めようとしていたから それに危機感を抱く人々が公暁をそそのかしたのだ、とも言われる ……「右大臣実朝」は昭和18年の作品 太平洋戦争に敗色の濃くなってきた時期であるが それを踏まえるならば、これは近衛文麿への皮肉ともとれるだろう 進歩主義を唱えながら、結局は開戦に加担する形となった そんな近衛には殺す価値もない、そういうことではないだろうか 近衛文麿は「大政翼賛会」というものの創設に携わったことでも知られている 「右翼も左翼も日本を思う心において同じ」という思想のもとに すべての政党勢力を統合しようとする、大連立構想で作られた組織である それはつまり、理想主義者が臭いものに蓋をしただけの おためごかしの平和にすぎないが 国民向けのプロパガンダとしては強い魅力を放っていた …「大東亜共栄圏」は、その延長線上にあったスローガンである 「惜別」 大政翼賛会の下部組織にあたる「文学報国会」からの依頼によって書かれた作品 大東亜共同宣言をたたえる小説を書きなさい、ってなことで 魯迅の日本留学時代をネタにしている 魯迅は、「狂人日記」「阿Q正伝」などで知られる近代中国の大作家なんだけど 中国共産党からどういう評価を受けているかは知らん 同胞の死をあざ笑う中国人の姿に衝撃を受けて 孫文の民族主義に追随したと言われるが 太宰ならではの視点で、これに異を唱える内容となっている その要点は、やはり「理想を一途に追い求める人々」の欺瞞性だ つまりこの作品は いわば「大きな物語」を欲してやまない人々に対する 痛烈なアンチテーゼなのである こんなもの採用した報国会こそいい面の皮、であると同時に ここでは、晩年の「如是我聞」につながっていく 太宰文学の最終的なテーマをも見て取ることができる
「右大臣実朝」を読みたくて求めた一冊だけど、表題作の「惜別」も実朝に勝るとも劣らぬ充実感、540円でこれだけのものが読める幸せ。 どちらも第二次大戦末期の言論統制下で書かれただけあって、いかにもそれらしい表現にしばしば出会う。そこはそれとして、両作に共通するのは、太宰の実朝・魯迅への思い入れの深さ...続きを読む。これが読者を引き込む力になっているんだと思う。
『阿Q正伝』『狂人日記』を書いた魯迅が、なぜ医学から文学へと転向するに至ったか、を書いた作品。 とりあえず阿Q正伝の読後にこれを読むことをお勧めする。理解度が全く違ってくる。 愛国と文学について考えさせられる作品である。 阿Q正伝を読んだ後、果たして魯迅の望んだ「文学による精神の変革」は叶った...続きを読むのか?・・・いや叶ってないよな、と考えていた私が恥ずかしく思えた。 「文章の本質は、個人および邦国の存立とは係属するところなく、実利はあらず、究理また存せず。故にその効たるや、智を増すことは史乗に如かず、人を誡むるは格言に如かず、富を致すは工商に如かず、功名を得るは卒業の券に如かざるなり。ただ世に文章ありて人すなわち以て具足するに幾し。厳冬永く留り、春気至らず、躯殻生くるも精魂は死するが如きは、生くると雖も人の生くべき道は失われたるなり。文章無用の用は其れ斯に在らん乎」 文中にある、魯迅が書いたとされるこの言葉を読んで、彼が文学を志す理由が分かった気がする。 私もその仕事に就きたいと思う。 とても面白いです。激しくお勧めです。
「右大臣実朝」と留学時代の魯迅を主人公にした「惜別」がカップリングされた文庫。 太宰の中期の中編とのことだ。 自分にとって何が感慨深いかというと、「右大臣実朝」を初めて最後まで読み切ったということ。 「吾妻鑑」やら「増鏡」、「承久軍物語」がちりばめられたこの作品、読みづらいのは当たり前だが…。 十...続きを読む代の頃、ちくま文庫版の全集で通読していって、実朝で挫折。 文学部の学生となってから再チャレンジし、少しは読み進めるも、鎌倉幕府の御家人たちの人間関係が頭に入らず、挫折。 (「鎌倉殿の十三人」でも観ていたら、また違っていただろうか?) 四半世紀近く経っての再チャレンジで、ようやく最後のページまで到達。 十二歳から実朝に仕えてきた近習が、実朝の死後数十年経ってから、往時を問われて語る体裁の小説。 この語り手のうさん臭さといったら! 尼御台(政子)や、相模守(北条義時)と実朝の意思が衝突する場面が何度も描かれるのだが、世人の想像するような確執などなかった、などと再三語られると、だんだん却って疑わしくなってくる。 この語り手が作り上げていく理想化された実朝像にどこまで共感できるかによって、好き嫌いは分かれるのかもしれない。 一方、鴨長明や公暁はあくの強い人物として描かれ、彼らが出てくる場面は妙に生々しく記憶に残る。 「惜別」も、老境に至った語り手が若いころを思い出して語る(こちらは手記の形)点で、同じ趣向。 仙台医専を出て、医者になった書き手。 彼が田舎から仙台へ出てきて、初めて得た友がのちの魯迅となる、周樹人青年だった。 自分が田舎者で言葉が違うということをコンプレックスにしていた語り手は、それゆえに周くんとの距離を縮めていく。 どういうわけか、こちらの語り手には割と嫌味を感じない。 というより、藤野先生、同級生の津田、「汝、悔い改めよ」の矢島なども含め、みな根の部分はいい人なのだ。 当時の仙台の街の様子も生き生きと描かれ(そのころにはすでにドライクリーニング店もあったというのが驚きである)、下宿や食べ物屋の様子もわかる。 また、日露戦のころの熱気を帯びた社会の雰囲気も。 周青年が医学から政治、そして文学へと移っていく内面の激動が、状況の中に描かれると腑に落ちやすい。 たとえば、魯迅の「藤野先生」でも出てくる幻燈事件も、「藤野先生」で読むより納得できる。 どんなにすばらしいと思う考えでも、みんながわあわあと言っていると、冷めてしまうというのが、なんとなく自分にもわかる気持ちがしたせいもあるのかなあ。
両作品とも読み切るのきつかった。これは時間に余裕のある時でなければ読めない。 右大臣実朝の物語が頭になかなか入ってこなかったのは登場人物の数が多いのと登場人物の呼称が一貫してないためだった。wikiであらすじ、登場人物表見ながら読んだ。ここで古典の苦手意識が再起されるとは。ただたまにはこういう文章も...続きを読む読みたくなる。 惜別も解説で言われていたが文章に勢いがなく読むのがキツかった。ただ一文一文は面白い。魯迅著の藤野先生、故郷を読みたい
右大臣実朝、惜別の2篇。右大臣実朝はあまりハマらず。鎌倉幕府3代将軍源実朝が公暁に殺されるまでの話を実朝に心酔する第三者目線で語る。惜別は良かった。学生時代の魯迅。文学に転身するまで。日露戦争頃のシナ人に対する意識、露人の葛藤など。時代の雰囲気を感じられる。
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