あらすじ
浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。
島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。
島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。
“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。
犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。
『方舟』夕木春央の傑作が待望の文庫化!週刊文春ミステリーベスト10(「週刊文春」2022年12月8日号)、国内部門&MRC大賞2022など4冠、累計40万部突破、、、、世の読書子を唸らせた『方舟』の衝撃が再び……!
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Posted by ブクログ
また騙されたという感じです(笑)
面白すぎました。方舟に続いてとんでもないお話。。
全てを知ってから読み返すと全く違う観点で読めて没頭して読んでしまいます。
前作方舟では予想もしなかった人物が犯人だったので、もう騙されるまい!と意気込んでいたこともあり、当初はひょっとして綾川さん犯人なのでは?と実は思っていました。
ただ、読み進めていく中でいやさすがに綾川さんがそんなことすると考えにくいなあ...なんて感じ、父を犯人だと予想しましたが、まんまとやられました(笑)
今思えば綾川さんのおかしな部分がたくさんあります。
例えば、11月で肌寒い時期なのに、朝起きた時に綾川さんが汗をかいたジャージを着替えているっておかしいなと今思えば感じます。。
また、十戒の八に、「他者の部屋を訪ねる際はノックを欠かしてはならない」とあるのにも関わらず後半、綾川さんが父の部屋に入るときに何の躊躇も無く、ノックもせずにドアを開けているのを見ると、犯人にしか出来ない行動だなと思い返されます。。
あとは、第3の殺人の後で犯人が里英ちゃんの部屋を優しく2回ノックしているところも綾川さんらしさを感じます。
他にも、ぞくりとするような囁き声とか、里英がここまで怯えているのが綾川さんが犯人だとしたらうなづける描写だと感じます。。
綾川さんが白々しく答えるとか、犯人がそんなことをするとは思いもよらなかったという調子を作ったとか、随所に綾川さんが犯人だということを示唆する部分があったのに最後まで気づけなかったことが悔しいです(笑)
綾川さんの最初の印象は入社間もない右も左もわからない控えめでおとなしそうな女性といった感じでした。。
全てを知った上で読み返すと、彼女の堂々たる立ち居振る舞いには本当に驚かされます。
どういう理由でも殺人は良くないことなのに魅力的に感じてしまう人物。
綾川さんは、殺人をする前から、よく人のことを見てるなと感じました。観察力と記憶力が高すぎて、日ごろからそうだからこそ、いざ殺人をしないといけないことになった時(そんな時無いw) とっさにロジックを組んでみんなをだませるだけの本当っぽい演説が出来るんだろうと思いました。。
短時間でここまでロジックを組んで、大胆な行動に出れる彼女の頭の良さと、肝の据り具合に驚くばかりです。
そして何より、最終的に明るみに出ることなく逃げ切り、最後の最後まで完璧にやりおおしたのも凄すぎて、怖すぎて、言葉が出ない。。
最終章も終わりそうなところで、里英が最初から犯人を分かっていたことも衝撃的過ぎて頭の整理が追い付かなかったです。
知った上で読み返してみると、綾川さんは常に里英の表情を窺ったり、里英もまた綾川さんの様子を窺ったり、お互いがお互いの様子を常に窺っているシーンが山ほどあり二人のヒリヒリした心理戦が想像できます。。。
犯人が綾川さんだと知りながらずっと知らないふりをしていた里英の心情を考えると本当に怖かっただろうなと感じます。。
読み返すと、「私もちろん自分も無事で帰りたいし、里英ちゃんにも無事でいてほしいんだ。だから、絶対に、無茶なことはしないでねって、それだけ言っておこうと思って」というセリフで、最初は優しいお姉さんの言葉に感じていましたが、バラしたら〇すよ?という何とも恐ろしいメッセージ性とばらすような真似したらどうなっても知らないよとよ~く釘を刺しているのが見て取れます。。。
里英に対してかなりの圧をかけ、相手が犯人だと知っていて犯人から目の前でこれを言われていると考えたら怖すぎて泣きそうです。
また、「(クロスボウが)ちゃんと当たって良かったな」とか、「みんなちゃんとやってくれて良かったな」とか彼女から出るセリフも、殺人をした人の話口調とはとても思えなくて怖い。普通のどこにでもいるような20代の女性がなんてことない内容の会話をのほほんとする感じのしゃべり口調で終始殺人の時のことについて里英に話していてとても怖い。。
「崖の近くまで来た時に、ここなら殺すのにちょうどいいと思ったんだ」というセリフに、もうその時点で殺そうと思ってたんだということと、殺すことに躊躇が無いというのがダブルで怖かった。。なんなら、夜中に爆弾犯の行動に気づいて念のためクロスボウを持って追いかけたところからもう殺そうと思ってたのかなとか思うとかなり恐怖を感じます。。
ノコギリで死体の足を切断することをしたり、あんな優しいお姉さんだった綾川さんにそんなおぞましいことが出来ることと、その躊躇の無さに身震いしました。。
何より彼女は殺人をしたことへの罪悪感が清々しいほど無く、そこが最も縮み上がる。
殺人の前夜はたわいもない会話だったり、SNSで見つけた猫の動画を綾川さんに見せたりと、殺人とは遠く離れたほのぼのとした時間が流れていたのにこんな優しいお姉さんが実は殺人犯でしたという二面性も怖い。。
綾川さんの描写で、居心地悪そうに縮こまるように座っていたとか、保冷バックを重たそうに抱えているとか、要所要所に綾川さんがそんなことするわけないよなと思わせるような表現が詰め込まれていてやっぱり騙されてしまう。。
最後の、「じゃあ、さよなら」は方舟と同じセリフで締めくくられており、彼女の人への執着の無さみたいなのもすごく感じられました。
とにかく良い読書体験をさせてもらいました。至極のミステリーです。
Posted by ブクログ
これは方舟を読んでから本作を読んでほしいですね〜
次々と殺人が起こっても犯人を探してはダメだし、こっそりと探しているのがバレてもダメって
その他にもめんどくせぇ制約がたくさん!
自分だったら、無意識のうちに十戒の内容を忘れて破っちゃってボカンしそうで別の恐怖が笑
犯人は緻密な計画なのに衝動的かつ大胆によく色々と思いついて行動に移せるなと
自分が生き延びるための執着がすごい!
ラストを知った後にもう一度読みたくなりますね
Posted by ブクログ
感想なんぞ滅多に書かん私が、何でも良いから文章を残しておこうかな、と思わせてくれる程度に惹きこまれた作品。
著者の別作品である『方舟』を読んでいると、嗚呼、この作品はどんな結末を迎えるのだろうと半分ほど読み終えたところでソワソワし始めた。
小説全般に対して感じることは、その作品の内容は勿論のことだが、内容に対してどう感じたかさえも語れば語るほど、むしろこれからお読みになる方の楽しみを減らしていってしまう気がする。
是非ゼロベースで読んでいただきたい。
Posted by ブクログ
やられた~~!
こんな漢字の展開だろうし、犯人もきっとって思ってたのに最後の最後まで気が抜けず!!
じとっと暗くて嫌な感じは方舟から消えないまま、今回も読むスピードがどんどん上がっていくような作品でした!!
Posted by ブクログ
方舟からの十戒で、読み終わった後の余韻が抜けないというか、もう1回方舟も十戒も読まなければ!ってなった。2つの作品が繋がることは知ってたけど物語の状況が真逆すぎたからどこが繋がってるんだよ?って思ってたけどまさかのラストで圧巻。
エリちゃん目線での物語の流れだったから、今までは(〇〇さんはー)って書いてたのに終盤で急に(私は犯人に呼ばれた。)って書かれてたからそんな真犯人の伝え方ある??!!ってびっくりして何度もページを読み返した。夕木さんの違う作品を是非読みたい!
Posted by ブクログ
方舟とまた違ったクローズドサークルで、今度は犯人を特定してはいけない…と言う制約つき。
私もどうやって目を潜れば…と頭を捻らずにはいられませんでした。
事件の細部は全然分からなかったのですが、犯人は中盤辺りで察して来ちゃいますね…。
読者の頭に違うピースをはめて満足させてどんでん返し…と言う結末は少し分かりやすすぎたかなぁと思います。
やっぱりどんでん返し!とか痛撃の再帰!とか過度に広告をするのは良く無いかなぁと思いますね。
Posted by ブクログ
天才かっ!今回も良くできてた。解説読んで方舟まで本棚から引っ張り出した。犯人はこの人かもって思ってるそこのあなた…やられるよ笑。構成もロジックも面白い。心理的ロックはここまで人を操れるのか。
Posted by ブクログ
方舟ほどの絶望感や衝撃はなかったし、真犯人もこの人なんだろうなと予想がついていたが、最後の2ページにはなるほど!と膝を打った。ひとつエッセンスを加えるだけで、物語の見方がこんなに変わるとは。
Posted by ブクログ
おもしろい!!
方舟の次に出た作品とのことでハードル高かったけどしっかり面白い!
少し時間が経ったらぜっっったいに2回目を読む
解説ありきでよい!映画化したらいいなぁと思います!
多くを語ったら野暮かなと思うので方舟からぜひ!読んでほしい!
Posted by ブクログ
星4.0
・作品概要
夕木春央のミステリー小説
デビュー作の方舟から1年後の2023発刊
・あらすじ
伯父の訃報を受け、主人公は父と業者に同行し、伯父が所有していた無人島へ向かう。
島内を調査・散策している最中、爆弾が見つかり、やがて殺人事件が発生。状況が混乱するなか、犯人は“十戒”になぞらえた厳しい規律を一方的に突きつけ、島の人間を支配していく。
閉ざされた無人島で、主人公たちはルールに縛られながらも犯人の正体を探り、脱出への道を模索する――。
Posted by ブクログ
クローズド・サークル形式の犯人を絶対見つけてはならないという斬新な今作
方舟の衝撃を思い返して慎重に読み進めていったのですが、やはり今回もうっすら犯人の気配は感じつつそういう真相だったのかとあっと言わされました
方舟はもう人としての怖さとラストに戦慄してましたが、最後の最後、解説で全ての合点がいって方舟と連続で読み進めるべきはこういうことかと膝を打ちましち
確かに、犯人の行動と冷静である意味冷酷な立ち回りと瞬間的な頭の回転
やけに手馴れてるなと思ったけど、そりゃあ犯人はあれだけのことを経験してるからそうなるよねとしか…
確かに旧姓は明かされてなかったし、解説を読めばラストの彼女の身の上話もセリフも全て紛れもなく例の彼女で…
彼女の人生というか、考えというか、どうなっていくのか知りたくないけど知りたいようなむず痒い気持ちにさせられました
Posted by ブクログ
無人島のリゾート化計画のため下見に訪れた男女9人。
そこで待ち受ける連続殺人事件。
無人島に取り付けられた爆弾と犯人からの「十戒」により、スマホも使えいつでも船や警察を呼べる環境下でも、脱出や犯人の捜索を禁じられる。
この「犯人を知ろうとしてはならない」という戒律により生じた人間関係と犯人の真相を知った後、必ずはじめから読み返したくなる。
もしかしたら2周目の方が面白いかも?と思わせてくれる唯一無二の作品。
そしてラスト2行で衝撃の事実が明らかになる。
※本作を読む前に必ず「方舟」を先に読んだほうが良い。
Posted by ブクログ
『方舟』であっと驚かされたのでこちらも拝読。
瞬間的な衝撃度で言うと『方舟』が上で、本作は読み終わった後にじわじわと真相が効いてくる感じ。
今作もオーソドックスなクローズドサークルものにスパイスがひとつまみ足されている。期限まで犯人探しをしてはいけないという制約が、容疑者が絞られている状況を複雑で混沌とさせていく。
最後まで読むと、些か心を預けるのが早くない?という主人公の心情への違和感など納得できる点が多い。
某金田一少年の犯人ばりに忙しいし、生き残るために超合理的だし、胆力のある犯人だな〜と既視感を覚えていたら、まさかのあの人⁉︎
凄くさりげなくそう察せられる情報が開示されて、唸らされた。(こういう女性キャラが筆者の好みなのかなと思ってすみませんでした)
Posted by ブクログ
引き込まれて一気読みしました。
すごく面白かったし是非再読もしたいけど
「方舟」の衝撃と比べてしまうと…
そのくらい「方舟」が良すぎたということで。
星4というよりは4.5な感じで。
Posted by ブクログ
今回は最初から犯人わかっちゃったなぁ。
と、思ったら、方舟の!繋がりがあったのか!?
と。
なるほど、だから、連続で読んだらわかってしまうのかも。
同じような調子でつづくもんなぁ。
うまいことやるなぁ。
犯罪者を逆にやっつけたうえで、罪まで被すように立ち回る。
今回のひっ!っていうのは、
あーそうか、この子ずっと知っててこれだったのね。よくぞ顔に出なかったなぁ。っていう。
女同士の腹の探り合いがヒーッだったかもなぁ。
ただ、女同士の腹探りヒーッに関しては、湊かなえの右に出るもんはいないのよ。
やっぱり内面をもう少し深く抉らせて欲しかった気もするけど、上手くまとめてるー!
と、思った一冊でした。
まだ未読の4冊も続けて読みたくなっちゃう!!!!!
Posted by ブクログ
方舟に続く、十戒。
なんとなく真犯人は、、、と1周目に予測は立てつつも、最後の最後で明かされるトリック、完全犯罪の成立に納得させられ、その場のひとりであったら犯人を藤原に思ってしまう。そして解説を呼んで、最後の考察を呼んで鳥肌がたった。
真犯人の思考、やり方はまさしく方舟の彼女そのものであり、また彼女に出会えたことにどこか喜びも感じていた。
これからまた2周目を読むところではあるが、様変わりする文章が非常に楽しみである。
また彼女に会えることを楽しみに思う。
Posted by ブクログ
ミステリなのに“推理しちゃダメ”っていう逆転ルールがまず面白くて、そこから一気に引き込まれました。読めば読むほど雰囲気が不気味になっていく感じが最高。
孤島の閉鎖空間での疑心暗鬼とか、誰も本音を言えない気味悪さがじわじわ効いてきて、ページめくる手が止まらなかった…! 「次どうなるの?」って不安とワクワクがずっと混ざってる感じ。
そしてラストはやっぱり夕木春央、さすがでした。最後までハラハラして、めちゃ面白かったです。
Posted by ブクログ
亡くなった伯父が所有していた無人島に観光開発のために生前関係(不動産屋、建築会社、友人など)があった9名が殺人事件に巻き込まれる。
聖書の十戒のように犯人からルールが決められる。
犯人やどんでん返し、伏線を楽しめ一気読み。
再読2周目こそ真犯人の挙動や意味ありげな文章の発見が醍醐味で面白い。
やっぱり最後の大暴露が秀逸。
感心したし、見抜けなかった自分が悔しい。
Posted by ブクログ
電子書籍にて。
方舟が面白かったから続いてこちらも読みだしてみたら、続きが気になりすぎて一気読みだった!
もうちょっと各人の人柄がわかってから事件が盛り上がるとよかったかも。
Posted by ブクログ
とにかく不純物が少ないミステリー
前作同様訳あって閉じ込められた場所で殺人事件が起こるフォーマット。(クローズドサークルというらしい)
前作にあった誰が殺されるかわからないみたいなヒリヒリ感はなくて、殺されそうなやつが順当に殺されただけなのは残念だったけど、そこ以外は大満足
前作はホームズが犯人ではなかったというのもあり、主人公と一緒にいて唯一アリバイがある綾川を全然疑ってなかった。
登場人物の整理ができるまで丁寧に誰がどこの人かを書いてくれており、スラスラ読めるような気遣いも手厚い
2度目が美味しい具合で言うとこっちが上だと思うので2回目読んだら⭐︎5になるかも
Posted by ブクログ
サクサクよめる!
クローズドサークルもののミステリーって、
良い意味で型にはまって読みやすい!!
遺産相続により、叔父の所有する無人島の開発、
調査にきた9名の男女。
そこで、起きた殺人?そして、とある理由から、その殺人犯人を暴いてはいけないという状況。
果たして、彼彼女らの運命はいかに!?
といったあらすじ。
ミステリーは何がネタバレになるかわからないから感想を言いづらい。
ただ、前作の方舟と比較して読んでしまうのは、
しょうがないのか。。。
なんか、2つに共通する点で、探偵役の推理って、
雑くね?と思ってしまった、、、、
Posted by ブクログ
『方舟』を読んでからこちらを手に取りました。
『方舟』では、ストーリー成立のために設定に少し無理があると感じつつも、ラストの想像を絶する展開に圧倒され、結果として面白さが上回った感覚がありました。
『十戒』にも同様の展開を勝手に期待していたのですが、個人的には今回も設定に飲み込みづらさを感じてしまいました。さらに、『方舟』の経験から身構えて読んでしまったせいか、手法までは分からずとも犯人の予想がついてしまい、『方舟』ほどの衝撃は得られなかったためこの評価としました。
Posted by ブクログ
『方舟』を読んだ後だいぶ経ってから、こちらを読みました。そのためか、「最後の二ページの衝撃」(解説より)も分からずポカーンとしてしまいました(^_^;)
だいぶ変わったクローズドサークル、物理的にも心理的にも閉ざされた環境で起きた事件のおどろおどろしさは楽しめましたが、『方舟』の記憶が薄れる前に読んでしまえばよかったと後悔するばかり。
もう一度『方舟』→本作の順に間を空けずに読み、「二周目の読者」として挑もうと思います。
まだまだ楽しみは尽きません。
Posted by ブクログ
ある無人島に行った先で殺人事件が起きる。そこで見つかった紙片には島に残された者たちに課せられた十戒が書かれていた。「殺人犯を見つけてはならない」と。
途中から犯人が(動機やトリックまで細かいことは分からずとも)分かってしまったので面白みに欠けた。
『方舟』ほどの衝撃はなかった。