小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
小説であり、実在の人物、書店が出てくるノンフィクション。
タイパ・コスパ・メリット・デメリットの世の中で忘れかけてた厚い人情の記録でもあり、骨太な小説としての面白さもしっかりあった。
いまの人間関係って、どうしても真っ先に損得の話になりがちじゃないですか。
「これをやったら自分にどんな得があるか」「誰と繋がっておくのがコスパいいか」。みんな頭のどこかでそういう計算をして動いている気がする。
でも、この作品が描いているのは、そういう計算とは真逆にある「人と人との繋がり」の話
主人公の理香の素直さと仕事に対する姿勢が本当に素敵。
自分がやらかした失敗をちゃんと受け止めて、それを引きずって終わるんじゃなくて、次の仕事にちゃんと活かして人間関係もきちんと構築していく。自分以外を巻き込んで作り出す成功に喜んだり、失敗しても腐らずに次はこうしようとか、泥臭く工夫して前に進んでいく姿がものすごくリアルで、どんなビジネス書や小手先の自己啓発本を読むよりも、ずっと「働くこと」の芯を突いている気がした。
帯にも書いてある通り、小林書店はもう閉店してしまっています。文庫版ではその閉店時の様子が載っていて、このシーンがまた本当にもうこみ上げてきてダメだった。
自分と、仕事とか自分に関わる人と真っ直ぐ向き合わなきゃって背筋が伸びる、じわじわと胸に熱が残る、作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ありがとう」と言われる仕事は多いけど、「おいしい」と言われる仕事は少ない
言われてみるとまさにそうである
人間にとって「食」ほど大事なものはない
30歳が近づくこの頃、強く感じる
仕事が忙しい、子育てが大変、生きているだけで精一杯
そんな中でも、おいしいものを食べる、その一瞬だけで心が救われる瞬間がある
不思議なもので、おいしいと感じるだけでなく、蓋をしていた、忘れていた、奥底にあった想い出まで蘇るのだ
家庭料理、外食、惣菜、ファストフード、その他全て、食に貴賤は一切ない
これからも私は、私の食べたいものを食べられるだけ、存分に作り、存分に食べて生きていく
生に必須の行為が、気持ちを、心を満たしてくれるなんて、人間はなんてラッキーなんだろう -
Posted by ブクログ
大好きな凪良ゆうさんの新刊!
凪良さんの作品は、現実を生きる人間が必ず直面する恋愛、結婚、仕事、家族…といったものへの向き合い方が繊細に描かれていて、自分と境遇は違うのに感情移入できる。本作もまさに、スッと入ってくる文章なのに軽くなくて、グサグサに心を抉られます。
短編集だけどひとつひとつの話の登場人物が大手食品会社勤務という共通項で繋がっているという設定も面白かった。
特に好きなのはBeautiful Dreamer
最初は花織に対してあまり良い感情を抱かなかったのに、物語終盤、福岡のお父さんと電話で話してるシーンで勝手に涙が溢れてきて、読み終わる頃には花織には絶対幸せになってほしい、という心の底から応援するような気持ちに変わっていた。アラサーの頃の自分自身に重なる部分も所々あって痛々しかったけど、、そこも含めてずっと心に残る作品。
他の物語も、懸命に自分の結婚や恋愛や仕事や家族と向き合って、色々なことに折り合いをつけつつ前向きに生きている主人公たちの姿に胸を打たれた。 -
Posted by ブクログ
めっちゃ良かったです!!
ファンタジーと聞いてたから、、子供が読むような話かと思ってたから、、と手に取ることはなかったですが、
もっと早く読むべき素晴らしい1冊でした…!
子供がいる私の視点では、
こころがお母さんと話す夏までの頃の
ため息をつくお母さん、子どもの返答を待たずして念押しするような話し方をするお母さんの姿に自分を重ねてしまいました。大人が正しいのよ、と子どもに押し付けている。昔は自分がそう思っていたはずなのにいつの間にか自身がそんな人になってるのでは?と気づかされました。
途中から気付く箇所は有りましたが、
最後のつながりまであっぱれ!賞をとったのも納得です。
子どもが大きくなったら読んでほしい1冊です -
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティの代表作『オリエント急行の殺人』に、いよいよ挑む気持ちでページを開いた。
乗客たちの証言をどれだけ丁寧に読み解いても、犯人の姿は容易には浮かび上がってこない。しかし、雪に阻まれて立ち往生した列車の中に、犯人は確実にいる——この閉塞感と緊張感が、物語を一気に引き込んでいく。
序盤のある場面から、すでにトリックの一端は推理することができた。にもかかわらず、最終的な結末はまったくの予想外だった。ただの謎解きを超えた深い余韻を残す結末。
改めて実感したのは、アガサ・クリスティのミステリーが、単なる巧みな論理の積み重ねではなく、極上のヒューマンドラマであるということだ。人間の心の機微や、正義と復讐の狭間で揺れる感情が、鮮やかに描き出されている。
読み終えた後も、その余韻が長く心に残る一冊だった。
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