大好きな湊かなえさんの新刊!
こちらも待ってましたー‹‹⸜(*ˊᵕˋ* )⸝››‹⸜( *)⸝›‹‹⸜( *ˊᵕˋ*)⸝››
湊さんが、「これまでの作品のなかで、一番好きな作品になった」と仰っていたこともあり、読む前から期待値爆上がりでした!
フィクションとノンフィクション。
2つの物語がつながった時、見える景色とは…?
構成が独特。
なぜこの構成なのか…読後に改めて考えてみると、この構成にも湊さんの思いが込められていそうですね。(ネタバレになりそうで、詳しくは書けないですが)
読み始めて、あの事件を想起させる内容でめちゃくちゃ驚いた。
序盤は内容が内容なだけに、読みづらさがあり、なかなか進まなかったけれど、中盤くらいから、一気に加速した。
教団の内外の対比が印象的だった。
外側から見ると「なぜ抜けられないの?」と思うけれど、内側にいると「ここだけが自分の世界」になり、抜けられない。
宗教って、何かしらの事情を抱えて救いを求める人がのめり込みやすい物だと勝手に思い込んでいたけれど、ほんの些細な事から、知らず知らずのうちに巻き込まれてしまい、気付いたら渦中にいたっていうこともあるのだな、大人も子供も関係なく誰にでもその可能性があるのだな、と思わされた。
「自分は絶対に関わらない」と言い切れないリアルさが、怖かった。
ネタバレになりそうであまり書けないけれど…ラスト一行がずっと心に残っていて、忘れられない。
近年の湊さんの作品の中では一番好きだったし、過去の湊さんの作品の中でも、圧倒的に好きだった。
不動のお気に入りはやっぱり「告白」ですが…(*´-`)
これぞ、湊さんの新境地なのでは???
読み終えた人と、語り合いたくなる作品。
巻末に記載があり知ったことなのですが、湊さん初のオーディオファースト作品なんですね。
朗読されている声優さんが私の中では鬼アツなので、audibleでも聴いてみたい。
読後、カバーを外してみたら、とても素敵でした(*ˊ ˋ*)
✎︎____________
言葉には力がある。人間一人殺せるほどの。
だが、それはわずかでも受け止める意思のある者にのみ効果を発揮するのであって、そんな気がさらさらないヤツには、塵に等しい。
言葉こそが世界平和の唯一の手段、といった崇高な理念を掲げている相手であっても。あいつらは自分たちが言葉を発することにしか興味がない。結局、あいつらにとっての言葉は、支配のための武器であり、操るだけの道具でしかない。(p.49)
さて、命の値段はいくらだろう。二億円でギョッとした人も、愛する息子の命をその値で買えるなら、惜しくないと思える、ギリギリの金額だと思わないか。(p.63)
薬物やギャンブルが、最初は甘い蜜を吸わせ、底なし沼に嵌めてから金を奪うように、宗教だって、甘い蜜で誘導するヤツらがいる。
そいつらはこの国中に今も潜んでいる。
金で命を買ったんじゃない。金のために命を奪われたのだ。(p.80)
人間を二分割する項目の中に「想像力のある者とない者」が存在するのではないだろうか。子どもの読解力の低下に関する記事を読んだことがある。主人公のこの時の気持ちを答えなさい、という問いかけに、内面への想像が及ばない、目に見える事象についてのみ述べるのだという。
殴られて血を流している人間を見て、痛みや傷ついた心を想像するのではなく、血で床が汚れてきたない、と感じるということか。
まったく救いがない。だが、さらに絶望を覚えるのは、想像力の欠如した子どもに模範解答を押し付けるべきではないという見解だ。
教えてやってくれよ。想像できないのは仕方ない。だが、自分の想像力が欠けていることに気づければ、呼吸をするように他人を殴れるヤツらも、その行為が異常であることにくらい気づけるかもしれないじゃないか。やめられるかどうかは別として。(p.90)
あんたは、あんたの親があんたのことをどう思っているか、言葉や態度に出さないことまで知りたいと願ったことはあるか?
世の中には知らない方が幸せなこともある。そのうちの一つが、親の本心だ。(p.112)
胸の奥まで刺さる文章は、強く生きるために封印した感情を引き出してくれる。母は本心ではこんなふうに思ってくれていたんだ。『星の王子さま』の一節が、この喜びを与えてくれたのだ。本ってすごい。物語ってすごい。(p.211)
前を向いて生きていくために、人間の脳は無意識のうちに「忘却」という機能を発動するのではないだろうか。記憶は頭の外に放出されないと私は思っている。努力を重ねて取り入れたのにあっけなく出て行ってしまうのは知識の方で、記憶はそのベクトルを頭の奥へと向けている。忘却とは記憶を頭の奥深くに埋め込むこと。別の楽しかった記憶をかぶせ、誰の手も、自分の手すら届かないところに隠す。(p.237)
自分が失った幸せは、大切な人のところに行っている。そう考えれば悲しくない。(p.296)
夜明け前が一番暗い。だが、必ず日は昇る。そこには希望の星が輝いている。(p.298)
夜空に虹を探すのは、星を探すより難しい。そもそも、夜に虹が出ることも多くの人が知らない。だけど、見つけられる可能性は低くても、それが存在することを知っていれば、生きる目標へと変わる。夢は必ずしも叶えるためにあるんじゃない。生涯叶うことはなくとも、その存在が自分と同じ世界にあることを知るだけで、人はほんの少し強くなれる。(p.321)
多くの人が「愛」という言葉を複雑に捉えすぎている。もはや、呪いの言葉となりつつある。もっと、気軽に口にできれば、世の中はもう少し生きやすくなる(p.370)