あらすじ
娘を殺した男がすぐ目の前にいる。贖罪や反省の思いなど微塵も窺えないふてぶてしい態度で。
東京に住む保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。動機なき殺人の闇に迫る、重厚な人間ドラマの書き手・薬丸岳の新たな到達点。
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最期に罵詈雑言などを伝えて心を閉ざして亡くなるよりも、純粋な心で生きたいと思って亡くなることの方が酷な死に方なのかな。
主人公も、結局言えなかったという葛藤を持ったまま生きていくことになったから、死ぬまで赦されたという感情は湧かないんだろう。
物語の最後の方は本当に読んでていて辛いし、色々な思いが逡巡した。
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オーディブルにて
死刑の描写が生々しくてしんどすぎた。
関わる人たちの精神的負担がはんぱなくて、全部機械でオートメーション化できたらいいのにと思ってしまった。
石原の最期は被害者家族が望むようなものだったけど、保阪が最後の最後で許すと言ったのが少しもやもやした。
無理でしょ、許せるわけないじゃん。
私だったら、自分が被害者の親だと言って絶望させると思う。
神に使える牧師ならではの気持ちなんだろうか。
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神の子、天使のナイフと、続けて読んで、とても面白かった、ファンになったけど、けど、とても重くて脳が疲れた。それで休憩思ってたけれど。ついつい、やはり、薬丸岳さんを読んでしまった。最後の祈り。やはり、すごい。読ませる、止まらない。面白いのだ、重いけど。残酷な描写もあったし。心の闇がっ。キツイ。ほんっとに、疲れた。重い。しばらく、薬丸岳さんは休憩、ほのぼの系が読みたいけど、薬丸さんの本は、全部、読んでみたい❣️
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やっぱりキツいし、重いわ〜
薬丸岳さん
教誨師か…
中山七里さんの作品で、知ったけど、まぁ、凄い職業やわ!
復讐か…
それも死刑囚相手に…
死ぬの確定やから、それ以外の手で…
死ぬのを何とも思っないから、何とも思うように…
自身に経験ないから、分からんと言えば分からんのやけど、死刑が決まって、死刑執行されても、被害者としては、まだまだ悔しいんやろな。
そういう対象(死刑囚)が、いなくなったら(死刑執行)、どこにぶつけるんやろ。
犯人死刑されたから、ハイ!おしまい!ってならんやろうしな。
最後に死刑囚に贖罪の想いはあったけど…
執行前に、話した殺された娘の隠されていた言葉…
私なら、数分後に執行されるにしても、聞いた瞬間に自身の手でって思ってしまいそう…
はぁ…
ポキッ!(心折れる音)
お腹いっぱいや!_| ̄|○
薬丸岳さん、後単行本1冊、文庫1冊で制覇やったかな。
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娘が殺される描写が苦しすぎて辛かったし、後半で知る娘の死に際で更に苦しくなった。
むごい、むごい
血も涙もない、勝手な殺人犯に腹が立つ。死刑なんて当たり前!死んでも許せない、絶対許せない。
なのにページ数が少なくなるほど石井はもうすぐ死刑になるんだと思うと、言葉にならない気持ちになる。
なんで、、、そういう作品だった。
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こんなにも読み進めたいと思った小説は久しぶりだった。プロローグを読んだ瞬間、なんだこれは・・・と恐る恐る惹きこまれた。主人公である保坂は過去に大切な人を失い、その後、教誨師となった。そしてさらに結婚を控えた娘を残虐死で失う。犯人の死刑囚と教誨師として関わりあうことで生きる希望を与えることが復讐に繋がると考えた。重くて深い小説でした。
Posted by ブクログ
特に何も考えず、薬丸さんの他の作品も読んで見ようと手にしたのだが、やはり重厚だった。
牧師であり教誨師でもあった保坂が娘を暴力的に奪われる。しかも娘を奪った犯人には全く反省の色が見られない。
訳有りの親子だった為に保坂の苦しみは増すばかりだ。
赦しを選ぶのか、復讐を選ぶのか、だが復讐を選んだとしても出来る事は限られる。
相変わらず登場人物の心理描写が非常に丁寧なので読んでいるこちらも心を掻き乱される。ただ保坂がどういう結末を選ぶか見守るだけだ。
その決断に大きな衝撃を受けた。
だが、これは別の視点から考えてみると犯人は救われた事になるのかも知れない。読み手に寄っては色々な解釈も出来るだろう。
今回も深い余韻を残してくれる作品だった。薬丸さんは恐らく作家人生が続く限り罪と向き合うのだろう。
凄い作家だ。
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人間模様がすごくよかった。刑務官の人の心の動きなども丁寧に表現されていた。途中からマリアの描写が少なくなったのが残念。最後の言葉がないのか?!と思ったら、エピローグのオチも良かった!
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とんでもな設定だし、なんか先わかるし、北斗の拳かよってかんじだし、主人公もあんま共感できないけど、ラスト泣いてしまった。どっちかっていうと自分は死刑囚の方に自分を重ねてしまった。
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薬丸岳氏の作品は被害者の身内と加害者が軸になるものが多いのだけど、この作品はその集大成にも個人的には思えた。
教誨師として、自分の娘を無残に殺した死刑囚石原と対話するというなんとも残酷な話。
人も3人も殺し、人生に投げやりでふてぶてしい態度だった石原が教誨師の宗佑と対話していくうちに少しづつ心が変化していく過程が丁寧に描かれていた。
ニュースなどで死刑執行されたとか聞いたり、酷い罪を犯したニュースを聞くと死刑になればいいと簡単に思ったりしたけれど、それを執行する刑務官の精神的苦痛の大きさに気付かされた。
すごく苦しい作品だったけれど、読んでよかった。
Posted by ブクログ
妊娠中の娘を快楽殺人犯に殺された牧師が、復讐のために教誨師として死刑囚となった犯人と交流する話。
非常に重い内容だった。
いわゆる「無敵の人」と言われる凶悪犯罪者にも人の心はあるはず。という薬丸岳さんの祈りも含まれた作品だという。
最初はこの犯人への嫌悪や憎しみが溢れ出してきた。だが、読み進めてこの男の育ってきた環境や、幼少期からの性質が変化してきた要因を知り、死刑執行を待つ彼に同情心も芽生える。でも、だからといって人を殺して良い理由などない。死刑になるのは致し方ないのだ。被害者の無念を忘れてはならないという気持ち。
様々な感情が心を巡り、何度も涙した。
主人公の最後の選択には、なんとも言えない複雑な気持ちになった。ぜひ、色々な方に読んで欲しい作品。
そして死刑囚と日々接し、執行しなくてはならない刑務官の心理的負担を目の当たりにすると、死刑の存在に対しても複雑な感情を抱く。
よくネットなどで『こんなヤツ死刑になれば良いのに』『どんどん死刑執行しろ』なんて言葉を目にすることもあるが、そんなこと誰も軽々しく思ってはならないことだと思った。
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第一章は辛過ぎて読むのを止めたくなりましたが、必死に己の罪と向き合う宗佑と共に何とか読み進めることが出来ました。「殺されてしまったことは、伝えたかったことを伝えることが出来ない」 だからこそ殺人という罪は最も重いのだと思いました。牧師としての務めと被害者の父としての立場で揺れ動く宗佑の心情がとてもリアルに描かれていて、自分ならやっぱり石原を許せないだろうなと感じました。また、刑務官の苦悩も小泉を通して、痛いほど伝わってきました。本当に辛いお仕事だと思います。日本において死刑囚が2度と生まれない社会であってほしいと心から願わずにはいられません。そのためには、すべての子供達がしっかりと親の愛情を受けて育つことのできる環境を整えなければいけないのだと思います。
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「人間が人間を殺すというのはとても辛くて苦しいことだ」
許すことで救われる。
自身を凶行に走らせた心に巣食う瘴気を探り、向き合い、消化することで、囚われていた心が解放される。そしてそれができて初めて自分の罪と向き合うことができるのだろう。その過程に寄り添い、死刑囚を鬼畜から人間に戻すことが教誨師の役割であるならば、死刑執行は人間が人間を殺す行為となり、自らも含めそれに携わる者に、大きな罪の意識を植え付けることになる。なんと因果な役割だろう。体を蝕まれながらも一時もお酒を手放すことができない教誨師、死刑執行に携わり精神を病んで退職する刑務官。その精神的苦痛は甚大この上ない。いっそ鬼畜を鬼畜のまま死刑台に送るほうがずっとその苦痛は軽減されるに違いない。
世論調査では、死刑制度を「やむを得ない」と答える人が8割にのぼるそう。これまでは、再犯率の高さや被害者遺族の感情を思えば、当然やむなし、ある程度の抑止力としても機能すると考えていた。ただ冤罪の問題や、近年、死刑になるためにあえて、より重罪を犯す、という抑止力どころか助長してしまうケースも増えていることに加え、執行にかかわる人々の苦悩と精神的負担をここまでまざまざと見せつけられると、少なくとも現行制度に関しては、その是非が判らなくなってきている。
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何故か薬丸岳さん、横山秀夫さんの文章はある程度時間が経過すると恋しくなる。あたまの悪い自分でもとても読みやすく、文章から想像がつきやすいので毎度どっぷり本の世界へ引き込まれる。今作はなんとも切ないストーリー。
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罪を死をもって償う死刑は、それに携わる者に心身ともに大きな負担が伴う。こんな刑罰が必要なのかと思ってしまった
復讐を果たすより許してしまう心情がなんとなくわかる気がする
Posted by ブクログ
うーむ。
石原が唯一 心開いた教誨師が復讐のために近づいてきたのは、かわいそうすぎる。
確かに、許せない鬼畜だけど、たった1人親愛の情をもてた人と思うとやるせない。
Posted by ブクログ
自分の娘を殺した死刑囚と向き合う教誨師の物語。壮絶な内容ですが、「罪」や「許し」というテーマは非常に興味深く、一気に読み進めてしまいました。
一番良かったところは主人公がただ死刑囚を断罪するだけの正義マンではなく、彼自身もとても深い、許されない罪を背負っている点です。この設定のおかげで人間味があり、共感を持てるキャラクターになっていました。
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「死刑になりたいから人を殺した」
「誰でもいいから人を殺したかった」
快楽殺人で4人の女性を惨殺した凶悪犯。
死刑判決に「サンキュー」と高笑いする、そういう無敵な死刑囚には本当に心がないのか。
死刑執行前には、「死にたくない」「死ぬのが怖い」と思うのか。
妊娠中の娘を殺された父の保阪は、牧師になり受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対峙する。
煩悶する保阪と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の当日、何が起きるのか。
すごく重苦しい内容であったけれど、難しい題材に加えて、登場人物設定も凝っており、最後まで納得のいくストーリーに仕上がっていた。
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付き合っている人のお姉さんを初めて見て恋に陥ってしまうということは、あり得ないことではない。だが、その女性がそのことで離れていって、その後実は自分の子供を残して自殺するということになるとかなりショッキングなことである。そしてその子はお姉さんの養子として育て、その子の父親とは名乗れずに、親切なおじさんとして頼りにされているという関係となると滅多にあることではない。そしてさらにショックなことはその子が身籠った子供と一緒に殺されてしまう。
この主人公は牧師としてこの犯人の教誨をするのであるが…
という展開なので、結構引き込まれる。オーディブルで聴いたのだが、集中できた。
Posted by ブクログ
ものすごく重い内容で、最初から最後まで心が苦しい。人を殺した者は、被害者の苦しみ以上の苦しみを持って処刑されればいい。人の命を奪ったのだからそれは当たり前のことだと思っていた。その気持ちを完全に覆されたわけではないけれど、大きく揺らいだことは間違いない。
目の前に自分の家族を殺した犯人がいる。まさしく今、刑の執行を受けようとしている。果たして自分はどんな言葉を投げかけるのか。この物語の主人公の言葉は正しかったのか。
死刑囚と接する仕事をする人たち、刑の執行に関わる人たち、どういう気持ちで死刑囚の死に向き合うのか。たいへん重苦しく、考えさせられた。
Posted by ブクログ
死刑に向き合わなければならない人達の
それぞれの視点で、殺人犯達の罪と許しを
手探りで探していきます
凶悪犯と呼ばれる者達は人の心を持つことはないのだろうか?
教誨師として死刑囚に贖罪の心を持たせることができるのか?
現行の死刑制度の中で 教誨師の役割、死刑執行する刑務官らの苦悩
そして 被害者家族の痛み、加害者家族の懺悔
薬丸さんはどうしたら、どのようにしたら、
人を許せるかを提示し続けていると思う
その中でどんな罪でも許される時があるということを認められない被害者が居てもそれは許されるはずと私は思っているのです
Posted by ブクログ
愛する人を殺された牧師が、死刑囚の教誨師となり犯人に復讐を試みる話。
死刑囚の教誨師となるのは簡単ではないし、復讐には刑務官の協力も得る必要があるのだが、その過程を丁寧に描いていて引き込まれた。と言っても無駄な描写があるわけではないので納得のボリューム感。
主人公の教誨師は、愛する人を殺した死刑囚を目の前にして苦しいながらも平静を保っているのがすごすぎる。相当な人格者だと感じた。全ての死刑囚がそうではないだろうが、自分の罪を認めて被害者への贖罪の気持ちを持って罪を償って欲しいと思う。
死刑執行には刑務官の相当な心理的負担があることも分かった。それまでの関係性もあるので情が移ると苦しいのだろうと想像できた。実際のところは不明だが、本書では死刑執行者が次々に病んでいくので、こんなやり方では成り立たないのではないかと思えてくる。
どんなに重い罪を犯した人に対しても「死刑でいいだろこんな奴」とか軽々しく言えないなと思った。
Posted by ブクログ
娘を殺された男が教誨師として、娘を殺した死刑囚に復讐を果たそうとする物語。
罪人であっても1人の人間の命を絶つ死刑の重さ、そして罪を許すこと、自分を許すことの途方もない難しさが丁寧にどっしりと描かれていて、考えさせられたし、感動した。
一言では言い表せない一冊だった。
☆3.8
Posted by ブクログ
被害者遺族の宗佑が教誨師(もともと牧師ではあるので強引すぎる設定ではないとは思うが。)になり、犯人への復讐を企てる。
非常に重く苦しいストーリーだが、そもそも宗佑が牧師になるための理由が取ってつけた感があり、被害者の育ての母なる人物も自分本位すぎて共感できなかった。
作中において主役ではないが、重要なポジションである刑務官の仕事は同等以上だと思う。
執行の立ち会い勤務を経験すると打ちのめされたメンタルからの回復が思うようにできない人も珍しくないだろう。
刑務官の描写に苦しくなる。
執行される時の場所の雰囲気、立ち会いの雰囲気、死刑囚がどのようにうながされ最後の瞬間を迎えるまで(物理的に)どういう状態にされるのか。
執行時の刑務官の立ち会い、凡人の自分には想像もできないが、本当に苦しいだろう。支えるご家族には頭が下がる。
この瞬間に限って言えば、若干のお話をして(基本的には)執行前に退室する教誨師より刑務官の方がしんどいだろう。
無知な自分は、刑務官の仕事はスイッチを何名かで同時にオンするぐらいしか思っていなかったが
そりゃそうだ。それだけではない。
胸が詰まる場面だった。
全ての刑務官の皆さまが心安らかになれるように願ってやまない。
Posted by ブクログ
罪を悔い、死刑になりたくないと泣き叫びながら恐怖の真っ只中で死刑に処される。
大切な人を殺された者にとって、死刑に求めるものはこれですよね。
とても重いテーマですし、色々考えさせられたけれど、今ひとつ感情移入して読めなかったです。
そもそも、「悔い改めれば、罪は神に許される」というキリスト教の教えが私の中でしっくりこなくて。人には許されなくても、神様が許してくれるならいいの?神様に許されて天国に行けるならそれでいいの?そもそも、神様ってなんなんだろうな…
Posted by ブクログ
教誨師、という言葉を初めて知ったのは、
堀川恵子さんのノンフィクションでだったと思う。
小学校のPTA図書で借りたと記憶しているけど、
記憶違いかも。これほど重い本が並んでるとは思えないし。読後、夜中に目が覚めてしまう程に引きずった覚えがある。
エネルギーの総量が同じであるなら、事件を起こしてからではなく、事件の前に同じくらいに話を聞いてあげられていたなら、悲しい思いをする人がいなかったはずなのに、と思うとやりきれない。
被害者、遺族、加害者、その家族、刑務官、誰もが苦しんで、こちらまで苦しくなる。
聞いてもらえないから悲惨な事件が後を絶たないのだろうけれど。誰でもよかった、分かってもらいたかった、そうやって無敵の人の事件やテロが発生してしまうんだろうか。