小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
篠田節子さんの小説を久しぶりに読みました。今回も期待通りの面白さでした。
同時に、さりげなく現代社会の問題にも言及していて、今まで自分が知らなかった世界のことを垣間見れたような気がします。
主人公の香織さんの住むマンションお話。
自殺者が出た隣の部屋にヤクザが出入りしたり、香織さんが強盗に襲われたり、色々な事件が勃発します。怖い出来事なのに、篠田節子さんの爽快な筆致に思わず笑ってしまう場面もあり、スイスイ読み進めていけました。
管理組合の理事長になってしまった香織さんと、副理事長になった遠藤さんが、力を合わせてマンションの建設会社の手抜き工事を見破り住民たちと力を合わせて闘うところは、手に汗握る展開でした。
管理室の石山さんや、掃除婦の老女・タケコさんの人柄も魅力的でした。
香織さんと遠藤さんの、その後が気になりつつ、物語は終わりました。
もっと読んでいたいなあ・・・と思いながら本を閉じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネズミと紫苑との感情の細かな描写は、毎回とても読み応えがある。
紫苑の心の中に潜む何かについて、ネズミと同様に紫苑自身も恐れていた。
自分が作ったNo.6を愛せるか、とネズミに問われ、紫苑は少しずつ自分の気持ちを吐露し、自身に向き合っていく。
ネズミにそばにいる、と言ってもらえたことで、ネズミとの関係がまた少し近づいた。
No.6の話は現実の世界なのではないかと思うことがたくさんある。
人々は本当に平和を望んでいるのか、今の世の中でも戦争はどこかしらで起きており、無惨に人が殺されていく。
一部の権力者が人々を支配し世の中を思うままにしていく。
支配される人々の中でもさらに弱い者へと差別、搾取が行われる。
物語の中だけの話ではないなと感じる。
新たな登場人物も加わって、これから物語も進んでいきそうだ。
碧石の似顔絵を描く場面は面白かった。
最後はとても気になるところで終わったので、早く続きが読みたい。
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おもいっきり作者の罠にはまってしまった。
久しぶりに推理小説のトリックに驚きました、若かりし頃読んだクリスティのアクロイド殺しやオリエント急行殺人事件を読んだ時いらいかもしれません。最近は推理小説をよんでも謎解きにこだわらず、物語を楽しむようにしていたので余計にそう感じていたのかもしれません。
探偵役のロンバートが歌手のメンドーサには下手から、ケティーシャには上手から攻略します。私は彼の成長を楽しく読んでいたのですが、その頃には作者にとって理想的な読者になっていたのです。
幻の女に対する幻想が読んでいくうちにどんどん変化して、最後には予想もしない本性をあらわします。一気読みしてしまう面白さがある上に、こころの中に濃い満足感がのこる小説です。 -
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戦国最大のミステリー、本能寺の変。信長は本当に自害したのか?抜け道から脱出したのか?
秀吉からの命令で探偵、刑事役となり関係者に事情聴取していく八右衛門。時代物だけど現代的読み物としても入りやすかった。
とにかく本能寺でのやり取り、戦いが真に迫ってくる。映画やドラマでは炎の中で信長が寝間着姿で追い詰められてくシーンしか思い出せないが、小姓衆、女房達が奮戦しているのがリアルに感じれる。
聞き取りの場面でも章を追うごとに真実に迫っていきその人物のドラマも相まって深くなっていく。
遠距離恋愛を思わせる章が如何にも現代風で楽しめたかも知れない。
トリックについては何となく思い付いた案の通りだっだので、やっぱりかとなったがそれでも思いの伝承の場面は来るものがあった。
一つの解釈として存分に楽しめた。 -
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ネタバレママ友同士のいざこざを通し、「息子はなんていい子なんだろう」と読者に愛着を持たせた上で「返してほしい」という事件を持ってくるあたり、一枚上手だ。ついつい、感情移入してしまう。
特別養子縁組の説明会での団体代表・浅見さんの言葉には、一つ一つ心がこもっていた。ただの物々交換のように捉えさせず、勧めるわけでもなく、「よく考えてほしい」というニュアンスを丁寧に伝え、その熱意がしっかりと伝わってきた。「皆さん普通の子が欲しいと言いますが、普通の子は普通の家庭に行くんです」という言葉も強く心に刺さった。
脅迫してきた相手に対し「朝斗のお母さんではないですよね?」とはっきりと伝えた場面では、本当にその通りなのだろうと思った。根拠に信憑性があり、まだ何も知らない段階でも「産みの母親はきっと素敵な人なのだろう」と感じさせた。
ところが、これが本当に片倉ひかり本人だったのだから驚いた。
しかし、その後語られる産みの親・片倉ひかり視点での物語は残酷で衝撃的なものだった。大好きな彼氏との間に子どもができ、親同士に引き離され、出産後に久しぶりに会った彼は今までの優しさが嘘のように冷たい態度をとってくる。
ただでさえ苦しい状況の中、本当の地獄はここからだった。珍しく心を開けた同僚に借金の保証人にされ、借金取りから逃げ回る日々。助けを求めようにも頼れる人はおらず、実家にも居場所はない。そうして「赤ちゃんを返せ」と脅迫するに至る。彼女はただただ、お金が必要だったのだ。
ところが、「あなたはこの子のお母さんとは別人だ」と言われ、信じてもらえない。なんて苦しいのだろう。最後の最後、報われたと言っていいのかは分からないけれど、少し救われる終わり方で良かった。
苦しい展開も多かったけれど、それが私にとっては引き込まれる面白さがあり、読んでいて楽しかった。やっぱり辻村さんはいい本を書くなあ〜 -
Posted by ブクログ
前作も読んだ人、ドラマも見たので新刊発売にすごい期待してた。ドラマの配役で読みながら脳内再生してたけど、面白かったー!これ、ドラマ化か映画化しないかなあ。
ハヤブサ地区での根のついた暮らしや、序盤の選挙戦の一幕、中盤の文学賞レースといった見せ場が随所にあるし、謎を解く展開もすごくスムーズで無理がない。
たまーに行く東京での居酒屋より、サンカクのカウンターや停電中の自宅飲みの方がずっと魅力的に見えるのもいい。
ハヤブサ地区で太郎くんがますます馴染んでいるのをみると楽しいし、文学賞にノミネートされるくらい実績と能力があるのがまた田舎暮らしと侮られない強さも見られて嬉しかった。
シリーズ化してくれたら次も読みたい。 -
Posted by ブクログ
オーディブルで聴いた。ナレーターが俳優の眞島さんで聴き心地よく、吉田さんのビジュアルを思い浮かべながら車の中でクスクス笑った。仕事で疲れた帰り道、軽く聴ける内容。ANAの飛行機によく乗るので『翼の王国』で吉田さんのエッセイは読んでいたけど、知らないエピソードばかりで新鮮だった。『悪人』を姉に勧められて初めて吉田修一さんの文章を読んで、まるで映画を見ているような解像度を感じた記憶。エッセイも臨場感がある。李監督とのエピソードは原作者と映画監督のやりとりとしてとてもインパクトあった。ラストのお話の電車の中は吉田さんの様子が見えて可笑しくて可笑しくて…『作家と一日』を読んでいても感じるのが、吉田さんの人柄と自分自身をとことん客観的に見る視点。恥ずかしい失敗をたくさんシェアしてくれて有難い。締め切りのあるお仕事。字数を稼ぐ吉田さんの心模様まで想像できておもしろい。これであんな本を書くのか…と不思議でしょうがない。
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Posted by ブクログ
ネタバレ再読。
「荒木公平の人生は、〜」で、辞書に魅せられた荒木公平の物語かなぁと思って、読み進めていくと馬締光也の登場。西岡さんや佐々木さん、松本先生など個性豊かなキャラクターが登場する。そして、読み進めていくうちに「主人公(中心)は辞書である」ということに気づかされる。
私自身、辞書に強く思い入れがあるわけでは無いし、最後に触ったのは中学生ぐらいだったような気がする。そんな私に、辞書の面白さを伝えてくれるような本だった。知らない言葉に出会った時、知ってる言葉を確認したい時、「辞書を使って調べてみるのもありかもしれない。」と思わせてくれた。
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