小説・文芸の高評価レビュー
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面白かった!女性が主人公ということもあり、いつもの村上春樹テイストとは一風違う雰囲気を持った作品だと思った。新境地という感じだが、すごく良い。
現実か夢か、不思議な境界を越えてしまう主人公の夏帆だが、ストーリーが予測つかずぐいぐい惹き込まれた。
このストーリーの独創性というか、発想と読みやすさは本当にすごい。登場キャラクターも魅力的。ありくい、シロアリの女王、ジャガーなど。村上春樹が書くと、これらの不思議な生き物たちも違和感なく動き始め、武蔵境が舞台など絶妙にリアリティがあるのが本当に巧い。最後までこちらもドキドキハラハラして読んだ。ひょっとして村上春樹作品の中でも1、2くらいの完成度では。 -
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ネタバレ前作『優等生は探偵に向かない』から続けて一気に読みました。第一作の『自由研究には向かない殺人』をずいぶん前に読み「続編は一旦読まなくていいかなー」と思っていたのですが、特に最終作の本作の評価が高かったので読むことにしました。
『自由研究には〜』の内容はざっくり覚えていたので再読せず『優等生は〜』を読み始めたのですが、三部作と言いつつ大きな一つの物語なので一気に読んだ方が良いですね。
『自由研究には〜』はやや辛い結末ではあるものの、何となく明るい雰囲気があり、ピップも危ない目に遭うが大きな怪我などなく終わるところが印象的でした。『優等生は〜』と本作は明るい雰囲気は段々と影を潜め、ピップは心身の健康も蝕まれていくところがまず読んでいて辛い。 -
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悪い奴らがヤバいビジネスを始めて家族になる話。
普段選ばないジャンルの小説で、内容難しそうだし理解できるか不安だったけど、お、おもしろー!!!主要人物みんな特徴的なあだ名を持っていて、視点もコロコロ変わるので其々の心情が理解できて読みやすかった。そんな悪たちが運命の悪戯で数珠繋ぎに繋がって…。目を背けたくなるような暴力のオンパレードでありながら、まるで上質な海外ドラマを見てるような全く先の読めない展開が続き、緊張と高揚感が止まらない。序盤から中盤、そして終盤から結末に至るまで、余すことなく面白かった。
情報量が多いとは思ってたけど、今まで読んだ中でぶっちぎりの参考資料の量にびっくりしたし納得した。汗と血の結晶だし作者さんには脱帽しかない。正しく怪作。出会えて良かった。
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めちゃくちゃ面白かった。
できるだけ前知識を入れずに読んだ方がいい。あらすじや感想を詳しく調べず、何が起こるのか分からない状態で読んだ方が、この作品の驚きを一番楽しめると思う。
序盤から何度も予想を裏切られ、一気に物語へ引き込まれた。短い中に驚きが詰まっているのに、無理やりどんでん返しを入れている感じがなく、どれも自然なのがすごい。
設定がとても面白かった。
最初はかなり非現実的な設定に感じたけど、作品内でその仕組みが説明されることで、「この世界ではそういうものなのだ」とある程度納得しながら読み進めることができた。
もちろん細かく考えれば、「本当にそうなるのか?」と思う部分もある。
ただ、SFミステリーはそもそも現実には起こらないサイエンスフィクションを前提とした物語なので、提示されたルールを受け入れ、そのルールの中でどんな物語が作られるのかを楽しむのがいいのかもしれない。
特にすごかったのが、何度も「これが真相なのか」と思わされるところ。
一度納得したはずの推理や前提が次々とひっくり返され、そのたびに物語の見え方まで変わっていく。
ここまでどんでん返しが詰め込まれた小説は初めて読んだ。
エログロな描写がかなり多くて、人によっては苦手かもしれないけど、ただ刺激が強いだけではなくて、作品全体の不穏さや異常さをより強く感じさせる要素になっていた。自分はこういう要素のあるミステリーが好きなので、そこもかなり楽しめた。
『殺戮にいたる病』のような、一つの巨大などんでん返しによる衝撃とはまた違い、『エレファントヘッド』は何度も何度も読者の足場を崩してくるような面白さがある。
これだけ複雑な物語を破綻させず、一冊の小説としてまとめ上げているのが本当にすごい。
どうやったらこんなストーリーを思いつくのだろうか。
読み切った勢いのまま感想を書いてたら、思ったより長文になっちゃった -
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2026年8月18日、アメリカのトランプ政権が、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長と、検察局のアブドゥライェ・セエ上級公判弁護士の2人を、新たに制裁の対象に指定すると発表してから、SNSで「この本を買って読んだ」という人を良く見かけるようになり、気になっていた本。
本書は「語り下ろしの本」だと買ってから知った。本人の言葉そのままを期待している人にとっては、もしかしたら少し期待はずれの本なのかもしれない。しかし、国際刑事裁判所(ICC)という組織について、全く知らない私からすれば、この本は良い意味で熱が入りすぎておらず、要点がかいつまんであってとても読みやすかった。編集部が作成したという「コラム ICCが捜査・訴追した事案」など、本文の内容を補填する資料が間に挟み込まれているのも良い。「語り下ろし」という形の本を私は今回初めて読んだけれど、入門書としてはとても良い形態の一つなのかもしれない。
2026年8月18日にアメリカからの制裁が大きく報じられたのを機に話題になったこの本の初版は2025年5月20日。一時、どこの本屋でも売り切れになってしまい、私が買えたのは2026年9月5日の第5刷の版のものだった。
冒頭は2023年夏、当時ICCの裁判官だった著者が、日本へ一時帰国していた際、NHKの速報で自身がロシアから指名手配されたということを知ったという話から始まる。そこから、自分の仕事がどういうものかについて、戦争犯罪とは何を指すのか、国際刑事裁判所の成り立ち・その存在意義、自分の生い立ちから現在の社会への問題提起、未来への希望などが綴られている。
>法律の専門書のような硬い内容とするつもりはありません。そのため法律的にはやや不正確な部分も残ってしまうかもしれないと思います。
(赤根智子・著『戦争犯罪と闘う 国際刑事裁判所は屈しない』p.27~p.28)
著者自身がこのように書いているように、とても取っつきやすい内容の本となっていた。
しかし、ロシアから直接スパイが送り込まれてきたり、さらにはアメリカからの厳しい制裁で電子システムが思うように使用できず、限りある人的資源が紙での書類仕事に忙殺されたりしているという現状だとさらっと書かれているのを読むと、自分の日常とはあまりにも違っていて目を見張ってしまう。国際刑事裁判所がそんな風に常に存続の危機にさらされている場所だとは全く知らなかった。
日々のニュースを聞いていると今もジワジワと状況は悪くなっている部分があるのかもしれない。先日、国連では深刻な資金不足に見舞われていて、ボロボロのイスに座っているというニュースを耳にした。自国の景気が悪い時に国際秩序に使える予算は無いと、強国がどんどん国連機関から足抜けをしている風潮を感じている。ICCもまたそうした流れの中で支えを失いつつある。
このような小さい話に落とし込んでいいものか、すこし気が引けるけれど、ふだん払っている町内会費に意味があるのかと問いたくなることはある。しかし、実際にそれが「役に立ったな」と実感するのは災害等の有事に私が見舞われた時だろう。
政治的意図に左右されない公正な裁判が虐殺の抑止力となること。国際秩序に貢献するということは、あきらめることなく、地道な活動を続けることがまず第一歩なのだと思った。私は国際秩序に貢献できるようなスキルを何も持ち合わせていないけれど、せめてそういう世論の一端を担っていたいな、と思わせる一冊だった。
様々な困難に対する赤根さんの不屈で前向きな姿勢にも大いに励まされる本でもある。内容的に高校生ぐらいの学生さんにもおすすめできる一冊なのではないかと思う。 -
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ネタバレとても面白くて一晩で読み終わってしまいました。蘭花と茂実の恋が始まるシーンはとてもキラキラしていて心が弾むのですが、ある出来事から状況が一変し、絶望的な関係に変わります。このシーンは訳がわからず血の気が引きました。客観的に考えればすぐに別れれば良いものの蘭花は別れず、ダラダラとどうしようもない関係が続きます。この時の蘭花はドーパミン中毒、刺激中毒のような感じで、不幸な状況をジェットコースターのように楽しんでいるようにも感じられました。個人的には若い時の恋愛ってこんな感じだったなぁと懐かしくなりました。
ただ、最後のオチは予想できない内容でとても驚きました。おすすめの1冊です。 -
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ネタバレ2作品目もめちゃくちゃ面白い!!
硫化水素が死香を消してしまうことや風間さんの下の名前が明かされたり、風間さんの妹が登場するなど前作に劣らず新たな情報が加わり一層楽しさが倍増しました。
特に風間さんがバレンタインの日にチョコ(の香り成分がするもの)を桜庭くんに渡したのが個人的にお気に入りです。
あんな堅物そうな人がスイーツを作ってると思うと思わず笑みがこぼれてしまいます。
新たな宿敵も登場し、今後も目が離せられませんね。
もし、風間さんが桜庭くんよりも先に月森と出会っていたら…
桜庭くんが風間さんと出会わなかったら…
お互い大事に思い正しい道へと導いてくれる存在。
この2人がパートナーで本当に良かったと思います。
しかしながら桜庭くんがお米も小麦類も食べれなくなってしまったのが可愛そうで…
主食はじゃがいもとかになるんでしょうか…?
風間さん、科学の力で助けてあげてください。
今後に期待です。 -
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綾辻行人さん著者、『迷路館の殺人』。
『十角館の殺人』『水車館の殺人』に続く「館シリーズ」第三作。地下の迷宮を舞台にした連続殺人と、作中作を取り入れたミステリー作品。
【あらすじ】
複雑な迷路を内部に抱える地下の館「迷路館」に、4人の推理作家が招かれる。彼らは多額の賞金を懸け、この館を舞台とした推理小説の競作を始めることになる。
しかし、小説を書き始めた直後、館の中で現実の殺人事件が発生する。外部との連絡が困難な地下の館は密室と化し、さらに見立て殺人を思わせる不可解な事件が続いていく。
作中で描かれる事件と、その事件をもとに書かれた小説。作中作という構成の中で、迷路館で起きた連続殺人の真相が明らかになっていく本格ミステリー。
【感想】
作中作という設定そのものが、「この物語には、事実とは異なる情報や嘘が紛れているのではないか」という疑心を抱かせる。そうした疑いを持ちながら読み進めていたにもかかわらず、後半で明らかになる真相によって、さらに認識を覆されていく構成に唸らされた。
特に印象に残ったのは、叙述ミステリーとしての仕掛けが幾重にも張り巡らされている点である。一つの真相が明らかになったと思えば、そこからさらに別の事実が浮かび上がり、後半の真相解明では何度も驚かされた。
事件のトリックについては、読みながらある程度の考察が当たり、宣伝文句にある「それでも読者は騙される!?」という言葉も、大げさなものだと思っていたのだが、最後の展開で見事にその言葉通りに嵌められてしまった。驚きの瞬間だけでなく、その余韻まで含めて読書体験そのものの面白さを味わえる作品。
また、事件の真相には「館シリーズ」ならではの館のギミックが組み込まれており、単に犯人や動機を明らかにするだけでは終わらず、迷路館という舞台そのものが事件の謎と結びつくことで、多面的に事件を楽しめる点も本作の魅力の一つだと感じた。
作中作、叙述トリック、館のギミックを幾重にも組み合わせ、読者が「真相を見抜いた」と思ったところから、さらに認識を覆してくる本格ミステリー。まさに、「それでも読者は騙される!?」という言葉が魅力的に思える作品としておすすめしたい。
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