【感想・ネタバレ】青い壺のレビュー

あらすじ

読めばハマる有吉佐和子。幻の名作長篇
無名の陶芸家が生んだ青磁の壺が売られ贈られ盗まれ、十余年後に作者と再会した時。人生の数奇な断面を描き出す名作、復刊!

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Posted by ブクログ

 ひとりの陶芸家が焼き上げた美しい「青い壺」をめぐる連作短編集でした。
 半世紀も前に書かれたのに、そこに描かれている人間模様や人生の悲哀・裏表などが、今の時代にも当てはまることばかり(いわゆる「あるある!」)で、全然古臭さ感じさせない小説でした。今でも広く読みつがれていることに納得です。
 この美しい青い壺は、人間世界の様々なドラマを目の当たりにし、登場人物たちのささやかな幸福に寄り添って、何を感じていたのかなあと思わずにはいられなかったです。
 有吉佐和子さんの作品に出会えて感謝しています。他の作品も読みたいです。

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2025年12月12日

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各所で評判になっているし、期待値Max!
無駄な言葉や説明がひとつも無いのに、時代の雰囲気やひとりひとりの心情がありありと浮かぶこと、端々から覗くその博識に「さすが!有吉佐和子!」と何度唸らされたことか!
「味覚というのは教養だからね」本当にもう、仰る通り!期待値を軽々超えて、おもしろかった。

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2025年12月01日

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有吉氏による2025年上半期文庫本売上1位の作品。
とある青い壺の旅を巡る13編の物語。

時に贈られ、時に盗まれ様々な形で人々の手を流転していく壺とそれを背景に映し出される人間社会の密度が素晴らしい作品。

有吉氏が戦時中の経験者ということもあり、戦時中から高度経済成長期の時代背景の解像度が非常に高く、自分がもち得ない価値観を得た気がする。

また、その時代から見た「現代」というのも巧みに表現されていて読む世代によって様々な見方ができると感じた。

この作品から何を感じ、どんな感想が生まれるのか。
是非様々な異なるバックボーンをもつ人たちに聞いてみたいと思えるようなそんな作品でした。

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2025年11月30日

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50年も前の作品なのに現代の心情に共通するものあり。青い壺の行方も興味深く、読後は、どれも晴れやかな気分になるかな。

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2025年11月28日

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ネタバレ

(2025.11再読)
昭和50年頃の話。ちょうど今から50年前。終戦から30年ばかり。
40代以上は、戦争経験者であったり、戦争の記憶があったり、というところだろうか。
ちびまる子ちゃんと同じくらいの年代。もちろんスマホなどない時代だが、ちびまる子ちゃんを観ている時と同じで、それほど古さは感じない。古いというより懐かしいという感じ。
むしろ、シングルマザーや、マンションを持っている独身キャリアウーマンがさらっと登場し、意外に現代的で驚いてしまった。

作中で、印象に残った石田先生のお母さんのセリフ。
「戦争に敗けて、何もかも根こそぎ変ってしまった」「世の中は、私の生きている間だけでも千変万化しましたよ、本当に」

私は戦争経験はしていないが、2つめのセリフには、とても共感してしまった。レベルは全く違うかもしれないが、戦争経験がなくとも、子どもの頃からは信じられないような、ほぼSFのように進化した技術や、アップデートされていく価値観に、私も時々、そのように感じているからだ。

本作では、戦争を経た時代の変化(法律、高層建築や集合住宅などの住環境、社会制度など)を意識的に描いていると思われる。十三話あるので一つ一つの話は決して長くはないのだが、語られない部分の余白があり、社会の変化をさりげなく盛り込みながら、一人の人間の人生という歴史の意外な長さと奥行きを感じさせる。人の人生って、歴史なんだなぁ。さらに同時代に生きている人の間でのジェネレーションギャップも描かれているのがまた面白い。

美術品であり、贈答品であり、花器や花瓶などとしての実用品でもある。実は無名の作家が作ってたまたまうまくできてしまった、という作品であるのだが、時に貴重な骨董品だと思われたり、見い出す価値や評価もバラバラで、人それぞれ。そんな壺をキーアイテムにしたのは非常に見事。青い壺は、様々な家庭を渡っていきながら、様々な人生の厚みと奥行きを垣間見せてくれた。「思い込み」が人生のスパイスであるということも。

今回初めて気づいたが、表紙の円筒形のシルエットが壺の形!?

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2025年11月24日

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夏頃に話題になっていた有吉佐和子の作品。
美しい青い壺が多くの人の手を渡り歩く物語で、登場人物は10数人ほどとかなり多い。
その壺を手にした人々の生活ぶりがとても興味深く、裕福な人、貧しい人、高齢の人、若い人…立場も背景もさまざまだった。
それぞれが抱える人生の課題の中で、青い壺はただそっとそこにあるだけのようでいて、圧倒的な存在感を放っていた。
時代設定は戦後の高度経済成長期であったが、姑との関係、老後、介護といった話題はいつの時代も大きな関心で、共感できることもあって楽しく読むことができた。

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2025年11月20日

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50年前の小説がリバイバルヒット中ということで、有吉佐和子さんの『青い壺』を読みました。

ひとつの青磁の壺の10年にわたる数奇な巡り合わせを描いた連作小説。(私は映画『レッド・バイオリン』を思い出しました。他にも類似の構成の作品は複数あったかと思います)

壺を介して浮かびあがる登場人物たちの生きざま、老いざま、家族のありかた……どれもが生々しく、濃密で、圧倒された。むせかえるような昭和のにおいが心地よいと同時に、令和のいま読むからこそ深く共感できる普遍性も感じました。

すべてのエピソードが印象深く、登場人物ひとりひとりが愛おしいのですが、とりわけ心に残ったのはスペイン系ミッションスクールが舞台となる章。(有吉さんと同じ母校だったので…)在りし日の校長様のお声や、シスター方のたたずまいが、ついよみがえってきてしまいました。

有吉さんの小説やエッセイなど、お恥ずかしくも未読のものがあと数冊あり年内中に読みたいなと思います。(と言いつつ、久々に猛烈に『悪女について』を読み返したくなっている!)

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2025年11月28日

ネタバレ

牧田がデパートに売りわたした壺と骨董品鑑定家園田の邸で再会したのが1977年1月、巳年だった。

第12.話は前年、1976年終わり頃、園田は入院中、同じ病院のやはり特別室に第9話の京都旅行の主人公弓香が入院していた。

第9話の京都旅行は1974年または1975年、
9月の弘法市で弓香さんが壺を3000円で買って
新米栄養士の孫娘に、
そして孫娘の上司の修道女がスペインに一時帰国するときの餞別として贈られる。

海を渡った青い壺はどういう経緯でスペインの
骨董品店に並ぶのか?

また、第8話で空き巣に盗まれた壺が京都の弘法市に並ぶまでの経緯も興味がある、

#癒やされる

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2025年01月16日

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有吉佐和子さんの本は初めてでした。
なんでもない話のようで、何だかやめられない本。壺が主役で、色んな人の手に渡っていく。壺からしたら、色んな人間模様が見られ、さぞかし有意義だったでしょう。
面白かったです。

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2025年12月15日

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ある一つのアイテムを介して物語が紡がれていく系の中でも崇高な気配がする作品。
青い壺にまつわる短編のそこかしこで青磁の魅力を常に感じる。
その魅力は青い壺がどんな時を過ごすかを切り取ることによりさらに増していくし、青い壺が過ごすその時間が物語をぐっと深めている。
古き良き時代に生きる人たちの強さ、逞しさ、大切にしている考えを青い壺が紡いでいく。
この作者は初めて読んだけど、NHKで話題になったのも納得。

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2025年12月15日

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ネタバレ

青い壺がめぐる十三の連作短編集。それぞれの話は短いからサクッと読めると思ったが、そうならなかった。それぞれの話に出てくるそれぞれの人の人生の片鱗のようなものが重く感じられ一気読みできず、途中で休みを入れないと読めなかった。
最後の省造の話は省造にとって辛い面が強いと思った。でも、解説の「さいごに省造が思いいたる心境に、人間の執念や美意識にたいする救いがもたらされる」を読み、タクシー運転手の唐突な語りの意味がわかった。辛さを越える心境に至れ、「喜ぶべき」となれたのだろう。
帯の爆笑問題 太田コメント「信じられないくらいに面白い!」は感じられなかったけれど、後からじわじわ来そう。

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2025年12月14日

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青い壺を巡る13の物語りで、“有吉文学の傑作”。
初出は昭和51年。文庫新装版は平成23年で今年(令和7)第42刷で上半期文庫ランキング第1位とのこと。爆笑問題 太田光さんの「信じられないくらいに面白い!」ほどではないが、“小説の醍醐味”を感じた。今の時代に支持されているのは、メディアの影響もあるんだろうが、各話に登場する人物に美しい昭和を感じられるからかもしれないと思った。

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2025年12月13日

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とても良質な文章を読ませていただいた気分です
人と人とのあり方が丁寧だった時代に生きる人々の人生観を学ばせてもらいました
親の老い、自分自身の老いが現実味を帯びている私には少し虚しさを覚えてしまう作品でした。でも、それはきっと私の読み方が下手くそだったせいだと思います
むしろきっと生きる素晴らしさを見出せる作品なのだと思います

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2025年12月12日

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青い壺を巡る十三話
ちょっと創作し過ぎ感はあったが、人間を知るということでは流石作家有吉佐和子だ
十一話の結末が私にとっては謎だった

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2025年12月06日

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1977年初版。NHKの番組で紹介されるや大ベストセラー。著者の作品は初めて読みました。偶然に近く出来上がった青磁の壺が、購入されたり贈られたり盗まれたりしながら持ち主を変えていく。持ち主のいろんな人生を13の短編で綴られます。微妙に繋がる各エピソード。描かれている時代は、かなり昔になりますが現在に繋がる部分もあるようで、面白い。めぐるめぐる運命の面白さ。秀逸だと思います。

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2025年12月01日

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13話を通して様々な人間模様を垣間見せてくれる。欲、老い、矜持。一方、無名の陶芸家により偶然の出来栄えで生まれた青い壺は、勝手な評価をされ、また持主の都合に利用され、壊れもせず、人の手に渡っていく。あたかも慌ただしい人生を淡白に冷徹に見ているようだ。2025.11.28

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2025年11月28日

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最初の和歌山で青磁の壺を焼き上げた瞬間から物語が始まる。このスタートはすごく晴れやかで、その一方で価値を見出した人から古色をつけるように言われる職人の衝撃を追体験し、デパートに流れるまでを鮮やかに描いている。ここでもうこの作品にしっかりと絡め取られてる。

そして話はどんどんと主人を変えて進んでいく。退職した夫の家での所在なさや、バァの女性の話や貴婦人だったおばあちゃんの戦争中の工夫されたディナーの話など、現代にも通じる瑞々しさがあって面白い。
目の見えなくなった老婆が娘に引き取られて、新たに医者にかかったら手術で目が見えるようになり、医療費が市の助成によりタダで済んだことを知ったときの反応がすごくよかった。怒るんだよね、そこで。昔の人間だから、そんなの受け入れられないって。その気持ちがもうなんだかすごく心を打たれる。

その後に出てくる、弓香おばあちゃんの話もすごく面白かった。長い時間を生きた女性の逞しさや強かさってこういうことなんだなぁ。

そして、ラストの批評家と陶芸家が青磁の壺を巡って話をするところも、アーティストの成果物への対価や価値を軽視される風潮を想起させた。物の価値、ことに芸術品の価値を見極めるということはほんとに難しい。青磁の壺が持つ数奇な運命が壺に風格を持たせたのか?といったSFみたいな雰囲気も醸しててそれも興味深い。
読み終わった後に、たくさんの想像をさせてくれる素晴らしい本。解釈をめぐって様々な人の意見を聞きたい。

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2025年11月27日

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作陶家が作った渾身の青い壺が、日本の色々な街で見たであろう家族の日々を描いている。
時代設定が戦後何年かの時期から新幹線が開通した頃までなので、生活様式など戸惑うけど(女性の扱いの酷さも)家族の会話は今とほぼ変わらず面白い。青い壺の美しさが印象的で、良くも悪くも家族の象徴の様。旅した後に作陶家の元に返ってくるのもほっこりした。

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2025年11月23日

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一つの青い壺に纏わるお話し。時代背景は戦後間もない昭和30-40年代といった頃か。
それぞれの登場人物が、この壺だけで繋がっているという設定も面白く、それぞれの個性が際立っている作品である。傑作といわれるのも頷ける。

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2025年11月22日

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青い壺を取り巻く人たちの人間模様が描かれていて、いろいろな立場のいろいろな環境に生きる人たちの心の動きをすごく繊細に描いていて面白かったです。

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2025年11月21日

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色々な人の手に渡って最後は作者の元へ。
章ごとに違う作品なのかと思ってしまうような、でも青い壺がそこにいる。
不思議な感覚になる一冊だった。

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2025年12月13日

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一つの壺を巡った13の連作短編集。
価値観が一緒の人なんて一人もいないのだと、
改めて気付かされた。
それは家族であっても同然。
みんな何かしら我慢して、
毎日を送ってるんだろうな。

自分だったら、
青い壺にどのような値をつけるだろうか。
そんなことを読後に考えていました。

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2025年12月10日

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話題作だか自分に合わなかった…かな。
著者にはもっとすごい作品がある。
ので、あれれ?と少々期待外れな感じ。
ページをめくる手が止まらない!というほど引き込まれるものがなく、読み終わるのにだいぶ時間がかかってしまった。

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2025年12月08日

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原田ひ香さんのおすすめとあり読んでみました。
文章も上手く物語も良くて楽しめました。
昭和の夫婦と現在の夫婦は全然違うなと思いながら読みました。

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2025年12月08日

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青い壺の誕生から始まり、その後、さまざまな人の手に渡っていく。
関連した人々の日常が描かれており、壺そのものが物語の中心というよりは、生活の中にふと姿を見せる存在として扱われている。
13の連作短編を通して、高齢者の在り方や、高齢者と子ども、孫世代、兄嫁といった家族の関係性が一つのテーマになっているように感じた。
どの話も淡々と日常が進んでいくが、そのなかで家族の摩擦や、本音を飲み込んだ距離感、年齢を重ねることへの諦めや執着が静かに浮かび上がってくる。
壺が、登場人物それぞれの心情や関係性の揺らぎを照らし出すきっかけになっているのが印象的だった。

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2025年12月08日

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人を魅了する美しい青色の壺。いろんなひとの手に渡り手にした人の生活を垣間見る。13の短編。
壺は物語の中心にあるわけではないけれどいいアクセントとなっているのが面白い。

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2025年12月07日

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昭和51年から52年にかけて発表された作品。時代背景は昭和の後半。時々戦時中の思い出話も混じる。家族のあり方や夫婦の会話に古さを感じ、なぜこの作品が今読まれるのか不思議であった。が、最後まで読むと、タイトルでもある青い壺に関わった人々の人生を覗き見たような、登場人物たちの価値観を突きつけられたような感覚が起こった。人の評価と自分自身の評価は一致せず、思いもかけない出来事が起こることもあれば、ささやかな毎日が幸せをつれてくることもある。でも、生きていると、心の中にコブや穴をつくり、それを削ったり埋めたりしていくんだなあと思った。なにで埋めるかはその人次第、削るかさらに増やすかも。割り切れない、そんなところを描き出すのは、やっぱりすごい。
この作品は、読み始めたら最後まで読んで欲しい。

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2025年12月06日

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2025年上半期文語ランキング1位。有吉佐和子さんが書かれ話題になっている本ということで(帯のコメントにもひかれ)購入。
青い壺ををめぐって短編の物語が繋がっていくのだが、「いつか盛り上がるぞ~」と期待をし過ぎたのがよくなかったのか。勝手な決めつけなしに読んだほうがよかったかも。
小説なので、もちろん”青”の色は映像化されてはいないのだが、読者それぞれ読む人の中に広がるであろうその”青”の輝きが何ともいえず美しく思える。青色が大好きな私としては、自分の頭の中で「青い壺」をイメージし、物語を通して堪能できたことは良かったかなと思う。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

一人の陶芸家が焼きあげた青磁の壺、その壺がデパートに並べられ、買われたり、贈られたり、盗まれたりしながらいろいろな人たちの手に渡っていく
壺を手にした人たちの、家族との会話、友達との会話、いろんな生活が垣間見えておもしろかったです。

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2025年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

青い壺がさまざまな人の手に渡って最後に作者の前に現れる。
50年前の作品との事で戦後間もない話や戦時中の話なども出てきた。
嫁姑問題、遺産相続、退職後の話など現在にもつながる話が多い。中高年の世代が読むと頷く所も多いのだろうけど、会話がやや冗長で読んでいて親戚のおばさんの悪口をひたすら聞かされているような心境になり読後のすっきり感はあまりなく、自分が読むにはまだ早かったか。

陶芸家が作った作品を10年の時を経て目の前に現れた時、古美術の鑑定家が12世紀の中国の代物だと勘違い?で絶賛する。生涯の最高傑作な訳なのだが、逆にこの10年はそれを越える作品はできないのかと思うと、経験を積んで徐々に熟練の域に達するというのとも違うのだなと芸術家の難しさを感じた。
後書きにも書いてあったが、その最高傑作であっても3千円程度で売られていたり二束三文で譲り渡されたりと持つ人によってその物の価値というのは委ねられるものなのだとも感じた。

ラストで陶芸家が決意したこと、往時の陶芸家と同じように自分の作品に名を彫らないこと。印象的だった。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

時代を超えて人の手を渡っていく青い壺に関わるお話。時代・人によってそれぞれ扱い方が違う。年齢重ねたらまた読みたいけど今の自分には早かったかな...

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2025年11月23日

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