【感想・ネタバレ】青い壺のレビュー

あらすじ

読めばハマる有吉佐和子。幻の名作長篇
無名の陶芸家が生んだ青磁の壺が売られ贈られ盗まれ、十余年後に作者と再会した時。人生の数奇な断面を描き出す名作、復刊!

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

青磁の経管が作り手の手元を離れ、様々な人の手に行き来する。壺の持ち主を通じて読者は、他者との交流の中で、共感したり反発したり、必ずしも綺麗ではない真実が露わになる様を目の当たりにする。劇的なドラマがあるわけではない。それでも、青い壺のような美術品が時を経て残り続けるように、今ここに在る人がここまで生きてこれたということは奇跡であると思わせてくれる。

真実であることと美しいことは独立である。どんな人にも出来事にも光と影がある。修道院でのエピソードは、人と人が喋ることで「やさしさ」や「思いやり」が表出する場合もあれば、知らなくてよかった「分かりあえなさ」に気づいてしまうことも露わにする。

このような真実の美しさと醜さが横糸だとすると、「人間万事塞翁が馬」のような時間の流れに対する無常観が縦糸かもしれない。青い壺は始まりから奇跡だった。作り手の想定外の美しさ。他方、同時に焼き上がった2点は気に入られず叩き割られる。戦争や疫病や偶然によって家族や友人が亡くなったり、家が途絶えたり、文化が失われたりする。その中で残った者たちの遺伝的・文化的系譜によって社会が構成される。あるものは失ったものを嘆き、あるものは「足るを知る」。残ったもの一部には「美しさ」が含まれるし、知らなくてよかったことも含まれる。

会話の中に「教養」や「礼儀」といった種類の「美しさ」が失われつつことへの著者の危機感を随所に散りばめているようにも見える。それは翻って、痴呆性になった夫が会社に赴くこと、旅行時に髪の毛を整える様子、シスターの服装の変化についての描写に表れる、「老いの醜さ」を世間へ見せることへの抵抗感にも通じる。

0
2026年08月15日

ネタバレ

牧田がデパートに売りわたした壺と骨董品鑑定家園田の邸で再会したのが1977年1月、巳年だった。

第12.話は前年、1976年終わり頃、園田は入院中、同じ病院のやはり特別室に第9話の京都旅行の主人公弓香が入院していた。

第9話の京都旅行は1974年または1975年、
9月の弘法市で弓香さんが壺を3000円で買って
新米栄養士の孫娘に、
そして孫娘の上司の修道女がスペインに一時帰国するときの餞別として贈られる。

海を渡った青い壺はどういう経緯でスペインの
骨董品店に並ぶのか?

また、第8話で空き巣に盗まれた壺が京都の弘法市に並ぶまでの経緯も興味がある、

#癒やされる

0
2025年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。時代も話の運び方も好き。
青い壺が手を離れて違う形で自分の元に戻ってくる、でももう手の届かない形を変えることができないエンディングは、自分が話した噂が全く意図しない話になって帰ってきて、修整したくてもできない状態のようにも思えた。

0
2026年08月29日

「小説」ランキング