小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
オーディブル1.5倍速で家事などしてる間に聞き終わった。展開が読める部分はあるものの、良い話。ジワっと何度か涙が出た。読書感想文の課題図書だったようで、確かに思春期の子供達に読んで欲しい本であるし、また幼い子供を育てる世代にも刺さると思う。
「人と人と出会ってそこから何も得るものがないなんてことはないでしょ?」「平等って全員に同じことをしてあげることじゃないと思う。一人一人その子にとって本当に必要なことをしてあげる、それでいいと思う」(園長先生)「いたずらも悪さもしょっちゅうしていたけどどんなに怒られても嫌われることはないと分かってた。だからなんだってできた。みんなそうだと思ってた。」(フウタ)
シオンくんのことは気になるが、とても良い先生方のいる保育園に通えていることは幸運であり、きっと大丈夫だと感じる。
話は本筋から逸れるが子供を持って感じる、保育園の先生方には感謝しかない。もっと良い給与体系にしてほしい。
フウタの進路選択にこの1週間の職業体験がどう影響を与えるのか、その後が気になる。 -
Posted by ブクログ
近所の古本屋で、表紙と帯のあらすじに惹かれて購入。読み始めたら雰囲気が好きすぎて、一気に半分くらいまで読んでしまった。
近未来チックな設定で淡々とした語り口ながらも、娘への思いや記憶を辿っていく描写は静謐な美しさがあった。
揺らぎと淡いきらめきと仄暗さ。悲しみと愛と罪悪感。そんなものがないまぜになった、まさにカバーデザインのような雰囲気。私が映画監督だったら映像化したい。
名前は記憶の杭になる、というのが新しい感覚で印象に残った。「記憶の海に潜る」みたいなことをよく言うけど、この作者にとっての記憶は森林のようなものなのかもしれない(一緒に収録されている短編での描写もふまえて)。
余命宣告をされた母目線の話なので、死期が間近に迫る感覚というのも疑似体験できた。
いつか来る自分の母との最期の時間もこんな感じになるんだろうか。私はそのとき母にどんなことを聞くだろうか。読みながらふとそんなことも考えていた。
逆に、自分の死期が迫った時に読んでみるとより深く刺さるものがあるのかもしれない。
曇り空や雨の日に静かに本を読みたい人、派手さはなくとも心に染み入る話が読みたい人におすすめしたい。
特に女性は共感しやすいと思うけど、内容が内容なだけにむやみに勧められないのが惜しい。 -
Posted by ブクログ
久々に、読んでいて終わってほしくないと思える小説だった!まず登場人物が少ないのでミステリーに慣れていなくてもストーリーを追いやすい。また純文学的な丁寧な情景描写が少なく、どんどんストーリーが進んでいくので、スラスラ読めた。時には恋愛要素もあったり女同士の嫉妬もあったり、盛り沢山なのに構成としては超シンプル。著者の世代と近いからかユーモアも受け入れやすかったし、何よりあまりクセのない文体で読みやすかった。
途中で展開に気づいた人も多いみたいだけど、普段ミステリーを読み慣れてない自分はまんまと騙されて驚かされた。
どんでん返し後も、なるほど、それならあり得たかも、、と思わせてしまう違和感のない展開が上手いなあと思った。
著者が脳外科医というのにも驚き。たまに作家もしてる医者の方っているけど、できる方って何でもできるんだな、、と思った。
映画化されそうと思っていたらちょうど今年の秋に公開されるらしい。結末を知らないからこそ楽しめる作品ではあるけど、一応チェックしたい。 -
Posted by ブクログ
過去にも後にもこんな復讐方法あったか!っていうような復讐劇で初めて読んだ時にびっくりしたのを今でも覚えてる。初めて読んだ時より沢山の作品を読んだり映画を観たりしてきたけれど、再読した今でも1番後味悪いし一生忘れられない復讐劇だなと思う。
監督のインタビューに書いてあったように、何が真実で何が嘘か分からないからこそ余韻があって面白い作品だと思う。初めて読んだ時はそれぞれ一つのことに夢中になって周りが見えなくなり自己中心なんだなと思ったけれど、あくまで書いてあることをそのまま信じて受け取った結果。嘘や真実を考慮したらそれぞれの人物に対する印象や感想もきっと変わる。いろんな印象や感想を抱ける余白があって面白いというのは凄く納得した!
この作品読んだらしばらく牛乳は飲めなくなる、飲みたくなくなるので読む人はご注意を!!笑
それにしても森口先生の冷酷であるが人間味も感じさせられるようなところに恐ろしさを感じた。1番最後は読んだ人に委ねられる感じであるけれど、森口先生らしさが出た復讐劇だったと思う。 -
Posted by ブクログ
物語全体を通して、自分の中に渦巻いていた熱。
これ、‘‘すごく面白いのに世間的にはそこまで知れ渡っていない少年(青年)漫画を知って夢中で読んでいる時’’の高揚感だ……(青天は既にベストセラーだが)。
アメフトの細かいルールが全く分からなくても試合の臨場感やイメージがありありと浮かんできたし、物語終盤の池ノ上戦では異常な速度でページを捲って展開を追っていた。
絵や動きで伝わるような瞬間的、爆発的な熱量って小説で得られるものなんだという久しい衝撃があった。
あと何というか、フィクションらしい王道要素と「そこはままならないんだな……」というリアルな無情さのバランスが絶妙なラインを攻めているなと感じる。それはストーリーだけの話でなく、主人公アリの人物像にも現れていると思う。
ステータス的には凡庸な選手であるけども、競技の本質を理解するにあたっての目の付け所やマインドに鋭さがある。学校という社会においてはどちらかと言うと劣等生寄り。しかしながら、そんな自分の現状と胸の内に燻るフラストレーションを常に客観視しており、内省を繰り返して自らを律していく。
チームメイトの河瀬はそんなアリだからこそ元々一目を置いていたのだろうし、一方でその自己対話に重きを置く姿勢が今後枷になるケースも出てくると踏んでいたのだろう。
また、アリは中盤で「言葉では無理だし、話し合いも意味がない」と言って行動と結果で仲間に示す方針を取ろうとするのだけれども、それ以降の彼の言葉には却って重みと責任が宿り、思いや考えを他人に伝える事を大切にするようになっていくところが好きだ。元々アリの音楽への拘りがリリックに向いていることは随所からも伝わるし、本当は誰よりも「言葉」の力と可能性を糧にして生きてきた人なんじゃないかと思っている。
「素行が良い」「人間性に優れている」とはお世辞にも言い難いキャラクターの一人称視点で語られることで、アメフトという競技の奥深さやそれに対する等身大のリスペクトが真実味を持って伝わってくる作品。つらつらと書いてしまったけれど、シンプルに面白かった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ既視感溢れる事件だなあと思った。
どこぞかの首相が、宗教団体絡みで恨まれて暗殺された。あの事件を彷彿とさせた。
ただ、読み進めていくにつれて、愛の物語が見えてきた。主人公の手記では一切触れられなかった「星」の存在。まさかそういった背景があったなんて…。いつの間にかラブストーリーを読んでいるようだった。「宗教」は人一人を、家庭まるごとを変えてしまう恐ろしい力を持っている。信仰の自由が認められている中での「宗教二世」の問題。現代社会においても、あの事件をきっかけに大きく取り上げられ世間の目に晒されたことで事の重大さがようやく可視化された。その宗教をきっかけに惹かれあった2人。恨み、疎むだけでない一面もある。しかしそれをきっかけにした愛が社会を大きく変える出来事を起こしてしまう。「愛の物語」で終わるのではなく、現代と照らし合わせて向き合うべき課題なのだと感じた。
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