【感想・ネタバレ】慈雨のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年03月28日

近年稀に見る傑作だった。

主人公の神場は警察官を退官し妻と二人で歩き遍路に挑んでいる。今まで関わった事件の被害者たちを弔うことが表向きの動機だが、長い期間後悔し続けているひとつの事件があった。

16年前に起こった幼女強姦事件。
一人の男が捜査線上に浮かび、少女の体内に残された犯人の体液と容疑者の...続きを読むDNAが一致したことから男は逮捕、起訴されて20年の実刑判決を受けた。しかし判決後にひょんなことから耳にした近隣住人の話から、冤罪ではないかと疑いを持つ。当時の上司とともに上層部に掛け合うも、警察の威信を傷付けまいとする流れに屈し、再捜査はしないという決断を受け入れることになった。

そして現在、16年前の事件と類似した幼女強姦事件が発生したことを受け、神場の中で大きな疑念が生まれる。
やはり16年前の事件は冤罪で、真犯人が再度同様の犯罪を犯したのではないか。となれば、冤罪という罪を犯したのみならず、いたいけな幼女という新たな被害者とその遺族を生み出したことになる。なんとしても、真相を究明しなければー。

すでに引退した身ではあるが、心は今も刑事。
信頼を寄せる現役刑事2人(うち1人は娘が付き合っており、父親として複雑な想いを抱く相手なのだが)と連絡を取り合い、捜査状況を知らせてもらいながら自身の推理を伝える。

刑事として、その前に1人の人間として、けじめをつけたいという真剣な想いに胸が熱くなる。
そんな神場に寄り添い、おおらかに温かく見守る妻の香代子にも頭が下がる想いだ。

どんな結末が待っていたとしても、自分自身を受け入れてくれる家族や、何より自分自身が、神場の人生を決して孤独なものにしないだろう。

自然と涙が溢れてくる作品。

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Posted by ブクログ 2020年03月27日

柚月作品は重い作品が多いが,今作はいつにも増して重すぎ。面白かったが疲れました。
あらすじ(背表紙より)
警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去...続きを読むの事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。

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Posted by ブクログ 2020年02月13日

本への偏見は自分を損にもさせる。
「にも」というのは実際に偏見通りのものもあるからなのだが......
柚月裕子さんの小説はいくらか読んだが刑事ものはハズレがない。分かっていた。だから間を開けていた。そして、作者の名前と作品が一致しないくらいに記憶が擦れたころに「慈雨」って書店の棚に目立つように並べ...続きを読むてあるなぁくらいの感覚で手にした。
読み始めて、あぁ柚月裕子さんの作品だって思った。
お遍路の巡礼期間に起こった事件、お遍路の経過と事件の経過が同時に流れてそして解決に、そして真相が、そして過去が明かされていくのは読んでいてゾクゾクする。
ラスト数ページがあたりの本を引いた時に起こる「ああ、もう終わるのか」と名残惜し気持ちと早くホシを上げて解決して欲しい気持ちがないまぜになる。
最後は主人公と同じく涙腺が決壊しそうになる。

それにしても、だ
幼児性犯罪許すまじ!ロリコンマジ死ね

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Posted by ブクログ 2020年05月03日

警察官を定年退職し、妻とともに四国遍路の旅をする神場には過去の事件に対する悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。極上のミステリーにして慟哭の人間ドラマ。
四国巡礼の旅の描写に人間の本質が随所に表れている。神場の警察官という職務は勿論、家族の一員としての罪に本作の重きが置...続きを読むかれている。

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Posted by ブクログ 2020年05月01日

全編を通して語られる責任と正義の力強さ。
次の世代へ繋ぐ想いをの大きさ。
これらがまるで少年マンガのように実直に
太く語られていく。
読後には本当に慈しみの雨が降ったかのよう。

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Posted by ブクログ 2020年04月14日

「慈雨/柚月裕子」
☆☆☆☆
ため息のでるよな見事な人間模様。
妻を伴い四国巡礼の旅をする元刑事、神場。
後悔のない人生などない。
それでも生涯かけて消えないほどの後悔を抱える人はそう多くはない。と思う。
己の過去の過ち、妻や娘への想い。家族の絆。
退職してもなお、追い詰められたように犯人を追いかけ...続きを読むようとする夫にいつも明るく寄り添う妻、香代子。
愛する娘、幸知の恋人は、信頼できる部下でもある緒方。
幸知と緒方の交際を受け入れられない神場の父親として夫として苦悩する本当の理由とは。
神場だけでなく、幾人かの人生がきちんと描かれていて、それぞれが生きてきた人生の虚しさややりきれなさ、哀しみ、絶望…そこで生まれてしまった犯罪など、いろんな角度から事件と言うものを考えさせられました。
ただひとつの事件を一心不乱に追うだけではなく、しっかりリューマン。ちゃんとミステリー。
許せないこと、決して許してはいけないことはあるけど、許すことが許されることもあると思う。
自分を許す。
そのために人はお遍路さんとなるのかもしれない。
今年の11冊目
2020.4.14

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Posted by ブクログ 2020年04月12日

刑事という仕事は人の生死や、罪と罰ということについて深くかかわる職業なのだと感じた。刑事以外にも消防士、医師、看護師、介護士、などの職業が生死に深くかかわり、それがまたその人自身の人生観に大きく影響を与えるのだと思う。
人の死にかかわると、「あの時こうしていれば」「自分がこの時こうしなかったら」結果...続きを読むは変わっていたのではないかと思うことが多い。周りの人が後悔しない死なんてないのではないかとさえ思う。刑事は犯人を捕まえることで、次の被害者を防ぐことができる。それが刑事の使命とも言える。それを果たせないのでは刑事としての存在価値はなくなってしまう。主人公の神場が刑事として定年を迎えてもなお、刑事としての使命を全うしたいと行動してしまうのはなんだかわかる気がした。もつれあった糸が絶対にほどけそうになかったのに、ふと引っ張ったらするするすると一気にほどけたような感触のラスト。これぞ推理小説!

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Posted by ブクログ 2020年04月04日

だいたい、若い時に思っていたほど、自分はカッコよくない。

若いときには、四国四十八か所遍路の旅について、特別な思いは抱かない。
ところがある年齢に達すると、突如として「歩き」たくなる。
弘法大師の功績もさることながら、そもそもは、人生の終盤を迎えるにあたって、自分の足跡を振り返って確かめたくなる。...続きを読む
だから、「お遍路」というイベントは、長く「歩く」という行為により、より「振り返る」という思考がシンクロして、いかなる人にも感慨深い出来事になる。

これまでのおこない
やり残したこと
後悔していること

夫婦として暮らしてきたパートナーのこと

そしてこれからどう生きるか。

気の遠くなるほどまえから、数え切れないほどの人が色々な人生を背負って、同じ場所で手を合わせ、歩く。

主人公には、自分が果たせなかったことを、現実に浄化してもらえる後輩がいる。
だから、あとは自分の決断。

歩きながら、過去の自分をただす気持ち、その結果がもたらす影響。
これまで共に歩んできた人への思いと、これからすることへの葛藤に、揺れ動く。

番所ごとに、また、道中での出会いごとに、祈る人の想いと見守る人の「慈しみ」が、柔らかな「雨」として優しく降り注ぐ。

「カッコよさ」とはどんなことか、ストレートに表現されていて、かえって気持ちよく落涙できる。

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Posted by ブクログ 2020年03月30日

面白かった。帯には慟哭とか書いてあるけど、きちんとしたヒューマンドラマという感じで、良質のミステリーというところかな。途中で主人公がウダウダし過ぎ、というか自分勝手過ぎとも思えたが、本の良さを損なう物では全くなく、良い感じで終わった。強いて言うなら、事件のその後もちゃんと書いてもらいたかった。その辺...続きを読むりが書かれていると、本は長くなるけど、もっとリアルになると思う。

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Posted by ブクログ 2020年03月25日

幼児殺害犯を
冤罪かもしれないと知りつつ
自分では何も出来ず
苦しみながら定年迎えた刑事
16年後に
類似した事件が起こる…

人生には悪人も善人も
いろんな人との巡り合いがある
善人の中にも悪を持たないと
行けない選択を選ばされた時
悪人となってしまう
悪人となった自分を
背負いきれないのが
善人...続きを読むなんだろうなと思う



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Posted by ブクログ 2020年03月24日

元刑事とその妻が巡る「お遍路さん」。初見のテーマだったが、情景描写や人物の心情について比較的詳細に書き記されているため読み易い。二つの幼女誘拐殺人事件と”刑事”という職業からくる葛藤、夫婦のもどかしくも深い愛情など、それなりに重たい要素が積み重なっており、読み応えがある。あともう少し、と文字を追い続...続きを読むけたくなる感覚を久々に味わった。

主人公・神場があまり器用なタイプではないというのも、同じ職場に娘の彼氏がいるという状況も新鮮。普段はミステリーに恋愛要素が絡むと途端に醒めてしまうが、珍しく登場人物全員に好意を抱けた。神場をはじめ、不確かなDNA鑑定に向き合わず冤罪の可能性を隠蔽した国分、公私混同気味の後輩・緒方等、皆「欠陥」を明記されているからかもしれない。

敢えて言うとするならば、上述したように重いテーマが複数扱われている分、一つ一つのウェイトが軽めであった印象もある。事件解決に先走る中、市民の”命”と警察の”信頼”を天秤に掛ける場面など、もう少し人道的な観点からの描写にページを割いても飽きなかったのかなと思う。同じように、夫婦・親子の家族愛もかなりシンプルに書かれていた。あっさりしていて読み易いが、その分物足りなさも覚えた。あまり書きすぎるとくどいとは思うが。

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Posted by ブクログ 2020年03月11日

刑事ものミステリーというよりは、定年を迎えた元刑事の心の葛藤を描いたドラマといえる小説。
夢、雨、苦悩について指摘する松本大介さんの解説が素晴らしい。

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Posted by ブクログ 2020年03月07日

人間の弱さや脆さ、それを乗り越える強さを丁寧に書き切っている。刑事物でミステリーっぽさや謎解き要素は無いけど、重いテーマを余韻を持たせながら読ませてくれる良作だった。

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Posted by ブクログ 2020年03月04日

警察官を定年退職し、妻と2人で四国遍路に出る神場。
穏やかな老後になるはずが、旅先で知った少女誘拐事件に心がざわつく。
16年前に自ら捜査した事件に酷似している。
あの時の捜査への悔恨から、今のこの事件を無視できない神場。
やっと手に入れた定年後の穏やかな日々を感じながら大切にしたいと思いながらも、...続きを読む徐々に事件に心を奪われてしまう元刑事の習性。
そんな神場はやがて、あってはならない真実にたどり着く不安を抱え、悩み、そしてある決断をする。

犯罪というジャンルではあるが、神場の生き様や人間性も細かく描写されていて、読み応えがある。

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Posted by ブクログ 2020年02月20日

いわゆる刑事ものとは違って、新しい切り口で人間ドラマが紡がれていく。定年を迎えた刑事とその妻の関係性が丁寧に描かれた良作。

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Posted by ブクログ 2020年02月14日

定年退職した刑事が妻とともに四国八十八か所のお遍路巡りをしながら、自分がかかわった過去の事件、その事件を彷彿とさせる今起きている事件を、現役の刑事と連絡を取りつつ、過去を思い出しつつ、必死に真犯人を見つけようとしていく。
なぜ、彼はそんなにも過去の事件の悪夢にうなされるのか。
なぜ、彼は娘の恋愛を応...続きを読む援できないのか。
刑事というさだめ、組織の一員という息苦しさ、過去の事件の知られざる側面、現在の事件へのヒント、そんな刑事の夫を黙ってあたたかく包み込む妻。

ミステリーではあるけれど、これは犯人探しはあくまでおまけにすぎず、ひとりの刑事のプライドと意地が描かれていた。事件の詳細、さまざまな家庭内のできごとが、章を追うごとに少しずつ見えてつながってくる。気持ちの描写が痛々しいほどで、読者であるわたしも、ある種プロフェッショナルな「刑事の妻」に癒された。被害者や遺族の苦しみを背負う刑事の仕事って本当に心身消耗しそう。

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Posted by ブクログ 2020年02月02日

刑事を定年退職した主人公・一緒にお遍路まわりをする妻。
そんななか、幼女殺害事件のニュースが入り、16年前の事件が思い起こされる。
主人公の心の傷となり、今でも悪夢にうなされる原因となった事件...。

過去と現在の凄惨な事件や、夜長瀬での集落特有の人の心の狭さなど胸が痛くなる描写も多いが、それ以上...続きを読むに主人公のまっすぐさ、奥さんの懐の深さや愛情深さ、娘の素直さ、刑事たちの誠実さや誇りなど、人の暖かさにも心を打たれる作品。

犯罪系の小説は、人の怖さや闇に落ち込むことも多いけれども、人は本来強くて優しいものなんだとも思わせてくれる。

四国の人たちも温かかったなー。
何より奥さんが素敵すぎる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月13日

読み終えて本書が評価されている意味がよくわかった。

主人公は警察官を定年退職した神場。

その神場は在職中に自身が捜査に加わった殺人事件の真相に疑問を感じ、その事件の謎を解き明かそうとする。

ここまではよくある警察小説であり、ミステリー小説。

しかし、描かれた世界はそのどちらのジャンルにもおさ...続きを読むまらず、人間の真相を描いたヒューマン小説との表現の方がしっくりくる。

そして本書に引き込まれたもう一つの要因は色の描写の旨さだろう。

物語の世界は決して幸せな世界ではなく、人の後悔や苦悩を描いた作品で、そこには白黒の世界観で描かれた絵が浮かびあがる。

辛く苦しい感情を、内面だけでなく周囲の背景も含めた色をあわせて描写された世界に自分自身が見事に引き込まれていった。

苦しんでいる(きた)神場の人生にただ一つ優しい色を添えてきたのは、養女である幸知の存在で、幸知が描かれる時だけピンク色等の優しく温もりのある色が登場する。

根っからの刑事である神場をもっとも近くで見守ってきたのは、根っからの刑事の妻である香代子。

そんな香代子の存在なくしては、きっと神場は自身が苦しみ続けてきた過去に立ち向かうことは出来なかった。

そして、幸知の恋人であり神場の後輩でもある緒方の弱さと強さ。

物語のラストはハッピーエンドではなく、晴れた空から優しく降り注ぐ慈しみの雨。

『慈雨』がお遍路の旅と本書を結ぶ最後に最も相応しい情景であり、個々の登場人物の心理描写とそれぞれの関係性の深さを見事に描ききった本作は壮大なヒューマンドラマであった。



説明
内容紹介
極上のミステリーにして慟哭の人間ドラマ!!
引退し、お遍路を旅する元警官が少女誘拐事件の発生を知る。難航する捜査、渦巻く悔恨と葛藤。
時間と空間を超えたドラマは、驚きと感動の結末へ──! 待望の文庫化

警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。
内容(「BOOK」データベースより)
警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。 

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Posted by ブクログ 2020年05月24日

3.5★
ミステリーっぽくなかったかなという感想です。
正義感、家族や同僚の人間関係にウルっとしました
人は様々な苦しみを抱えて生きているのかもしれない…
いろいろと考えさせられる作品でした

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Posted by ブクログ 2020年05月04日

退職した刑事と現役の刑事が、犯人を追う。

四国巡礼って詳しくなかったので新鮮。
ミステリー的にはそこそこ・・・?
どちらかというと人間ドラマですね。

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