あらすじ
日米開戦前夜。平均年齢三十三歳、全国各地から集められた若手エリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでも日本が開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視して無謀な戦争に突入したプロセスを描き、日本的組織の構造的欠陥を暴く。
石破茂氏との対談、新版あとがきを収録。
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予言的
新版の終わりに収められている「我われの歴史意識が試されているー新版のあとがきにかえて」が秀逸だった。新型コロナウイルス感染症流行による小中学校の一斉休校に関する安倍政権の決定過程を斬った。それは新型コロナ感染症対策本部、関係閣僚・官僚による協議、首相秘書官兼補佐官官の首相への進言という三段構えから成り、日米開戦を決めた連絡会議と御前会議と同じく、きわめて不透明だった。
現在のコロナ対策は、これに分科会が加わり、首相の判断を判断を歪めている。
本書は、日米開戦時の東條英機首相を実直な官僚として描いた。開戦決断の責任は東條が負うが、実際の責任の所在が曖昧であった当時の風景と併せて。これは、実務能力の高さで首相に昇り詰めた菅氏とどこか重なる。今の日本の行く先が当時と同じく滅亡なのかと思うと、非常に暗い気持ちになる。
当時、国の若い精鋭を集めた「総合戦研究所」は、数字を積み上げたデータから日米開戦について「日本必敗」の結論を導き出した。政府は、東條を始め和平派・中間派の閣僚を抱えながら開戦を決断した。戦略物資などのデータを持っていながら、開戦に向かうようになぜか議論が進んだ。
データがあるのに、どうしてそういう解釈になるのか分からないような過程があり、政策が決まっている風景は、今と驚くほど似ている。本書は予言的であり、読んでいて引き込まれた。
Posted by ブクログ
なかなかショッキングなことだ、アメリカとの大戦を始めるよりも前にすでに、日本政府は日本必敗の結末を予想していたと知るのは。
アメリカとの開戦の狼煙になった真珠湾攻撃が昭和16年の12月なのだが、昭和16年の夏には、総力戦研究所という日本政府機関がすでに開戦の結末を予測していたらしい。軍事力ではなく、国力比較によるシミュレーションからかなり正確に日本がたどる道を予測し、政府に報告していた。にもかかわらず、日本は戦争に突き進んだ。
総力戦研究所のことを初めて知ったのは、小川哲の直木賞受賞作、地図と拳を読んだときだ。作品中に、満州に設立される架空の研究所があるのだが、それが総力戦研究所をモデルにした研究所だとあとから知った。その後、昨年の夏、NHKで本作が原作のドラマ兼ドキュメンタリーが放送され、それを見て俄然この本に興味を持った(ちなみに元都知事の猪瀬さん作)。
この研究所はなかなかユニークな手法でシミュレーションを行っていた。各省庁や民間から優秀な30代数十名をかき集め、模擬内閣を発足。様々な模擬大臣たちが、自らの出身機関の持つデータや情報や知見を集め合わせ、議論を進め、開戦した場合どのようなことが起こりどのような戦術をとるか、そのために国内はどう差配するか、物資は、輸送は、食料は、兵力は。模擬内閣はあらゆる角度から模擬戦争運営を実施。
そして出した答えは日本必敗。どうやってもアメリカには国力の差により敵わなかった。このシミュレーションの詳細や、その後の顛末、戦後の研究所員のその後を本書は追っている。
興味深いのは、この結果を受けてもなお戦争に突き進まざるを得なかった日本文化と意思決定機関のあり方だ。天皇は開戦を望まなかった。開戦派の東条は天皇に忠誠心が高い人間であったため、首相になったあとは逆に開戦を中止しようと頑張った。それでもなお日本が戦争に突き進むのを止められなかった。その様子が克明にかつ分かりやすく描かれていた。
翻って今の会社組織などの状況を考えてみると、データドリブン経営なんて言葉が飛び交う80年後のニッポンだが、その本質は昭和16年から何ら変わってない気もしてくるのが薄ら寒い… いやはや、なかなか興味深く一気に読んでしまった作品であった。
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なぜあの戦争を止めることができなかったのか。
かつて戦前に実在した「総力戦研究所」は、その名とは裏腹に「対米戦必敗」を予測したのである。
キャリア半ばの官僚が内外から、あるいは民間組織に従事するものまで、幅広く集められた研究員は机上演習の名の下で、実際の戦況予測に基づいてあらかたの予測をし、日本必敗を結論付けた。
蘭印に進出をし、石油を確保せざるを得ないこと、
俗に言うシーレーンの確保が求められる中で、石油を内地に送り込むことが難しくなるとの予測。
国力、資源量ともに数十倍とも言えた日米の差を彼らは見事に数値化し、あるいは際限まで予測を立てた。
それらの予測は文字通り見事なもので、歴史を知る我々、あるいは地政学の重要性がこれほどまでに謳われている現代でこれらを予測、理解、納得することとは訳が違うのである。
また何より特筆すべきは、その思想環境にある。
東條当時の陸相は、彼らの数値的意見をつっぱね、
日露戦争での輝かしい成果を掲げ、勝ちに不思議な勝ち有りと言わんばかりに、勝利を信じた。
しかしそんな彼もまた、この結果を予測した1人ではなかっただろうか。
多角度からの忠誠心により、いくつもの葛藤に戦前、戦中、戦後に渡り、直面し続けた彼も戦争の突入を回避させたかった。
「なぜ戦争を止めることができなかったのか」、
この問いに対し、構造的な問題があるのは当然のことだろう。石破前首相は戦後80年所感において、軍の統帥権が天皇大権であったこと、それが即ち御前会議という、ある種形骸化した式典により決定がなされ、責任の所在が不明瞭であり、またその意思決定が実質的には政府と軍部による連絡会議による協議の上であったこと。
こうした構造の点を第一に指摘をしていた。
政治家たるもの、この指摘は極めて重要だ。
しかし、石破氏は本作の著者猪瀬直樹氏との対談において、このように発言する。
「国を変えるのは、最後は世論ですからね、政治家は、フォロワーではなく、あくまでもリーダーとして、その世論に訴えかけていく必要がある。」
これもまたご指摘のとおりだ。
しかしこれが現代の危うさなのだ。
構造的問題として、あるいは組織的にNoを突きつけれぬ点、または不明瞭な責任の所在を利用し、理知的でない判断を取ること。これらは確かに組織側として明確な教訓だ。
しかし、国を変えるのは世論なのだ。
構造である程度の抑止が叶っても、最後に変えてしまうのは世論なのである。
熱狂方向にある世論は、当時の日本必敗予測に際して、冷静な受け止めをできるだろうか。
軍部にも軍部の求めるものがある、
それは陸軍も海軍も然り、彼らにも各々譲れぬ条件があり、それは戦争を回避することではないのだ。
これはもう間違えなくバカの壁、だ。
経済界から見れば確実なマイナス要素も、
軍部は失業する兵士や士気、などを考慮すればプラス要素となりたる。
熱狂という名の集団心理の表出を我々は単に安心と捉えるのではなく、数値、そして相手の視線を真剣に捉えること。それがなし得て、初めて強固な民主主義を育める。
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いろいろと話題になってしまったドラマの元となった本。
この夏に『日本のいちばん長い日』を読んだが、この本も私の「ちゃんと知ってなきゃいけない話リスト」に加わった。
"事実"を畏怖することと正反対の立場が、政治である。(p.256)
戦争後終わって80年経って、進歩があったのだろうか。
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おそらく10年ぶりくらいに再読、以前より戦前の官制や統帥部関係についての知識がついているのでより楽しく読めた。
この本の妙は総力戦研究所での論戦と実際の戦争への動きを見事にリンクさせている部分だと思う。陸軍省燃料課の石油確保をめぐる騒動と鈴木貞一による出来合わせの答弁、また実際に蘭印の石油を手に入れた後の顛末を研究所で論議の末両手を上げて降参のポーズをとる仕草に見事につなげている。ノンフィクションにも(むしろノンフィクションだからこそ?)文才が必要と分かる。
戦後80年、戦争前にこのような議論が行われていたこと、そして行われていながらなぜ戦争に突入してしまったのかは忘れてはならないと思う。
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最近読んだ2冊の本で取り上げられており、読んでみました。
対米戦前、若きエリートを緊急に招集し創設された「総力戦研究所」。そこでは開戦前に日本必敗を正確に分析していた。それでも、なぜ日本は開戦へと踏み切ったのか…
設立当初は分析結果を政府がどう活かすかという目的があったとは思うが、アメリカに石油を止められ「ジリ貧」に陥った政府はアメリカと戦うことが正当であるとする分析結果を求めるようになる。結論ありきと、それを正当化するための分析結果。結局、出所不明、計算方法不明、つじつま合わせの数字が開戦への正当な裏付けとして用いられた。あと、必敗という分析報告に対して東條英機の返答、ロシアにも勝てないと思っていたのに勝てただろ、ってのは読んで思わず頭を抱えてしまった。
開戦という国家の一大事、その意思決定の裏側を暴いた本。けれど、最近読んだ「サイエンスフィクション」という論文不正の本に、なんかよく似ているなあ、と思った。大なり小なり、どこの国、どの分野でも同じようなことが今も起きてるんでしょうね…
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若きエリートらがデータを元に日本必敗を予想した総力戦研究所に関する史実と取材をまとめた一冊。
以下の2点が特に面白かった。
①どういう経緯でデータは無視され開戦に突き進んで行ったのかがわかりやすく整理されている(文章そのものはとても読みづらいが)
②東條英機は学校や教科書で書かれているような独裁的な人物ではなく…という意外性
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こんな組織があったとは今のいままで知らなかった。「緒戦は優勢ながら徐々に米国との産業力、物量の差が顕在化し、やがてソ連が参戦して、開戦から三〜四年して日本が敗れる」原爆の投下以外見事に的中した総力戦研究所のこの予測が日本のその後の選択に活かされていたら一体どれだけの命が救われたことだろう。
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恥ずかしながら総力戦研究所の存在をこの本で初めて知った。
御前会議は決定事項を承認するだけのセレモニー、結果ありきでデータ収集…等、いまの日本社会に通ずる部分が多々あり身につまされる思いになった。
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1983年初刊のノンフィクション。
昭和16年、軍を含む官庁や民間から選りすぐりの若手人材が「総力戦研究所」に集められた。
彼らは、各方面から持ち寄ったデータをもとに、模擬内閣を組織して開戦後の経過をシミュレーション。
その結果は「日本必敗」というもの。
しかしながら、敗戦に至るまでの過程を、原爆投下以外ほぼ正確に予測したこのシミュレーションは、結局採り入れられることなく日米戦へ突入。
優れた分析がありながらも、開戦に至ってしまったプロセスは必読です。
データよりも結論ありきの空気が優先されてしまうのは、現代でも変わらぬとても重い教訓だと思います。
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今年(2026年)の夏、映画『開戦前夜』の原案となっているというので、映画の理解のために読んでおいた。 猪瀬直樹の著作など何十年ぶりだろう……。いや、名前は当然知っていたが、雑誌の中のコラムや論評を読んでも、書物としてまとまったものを読むのは、ひょっとしたら初かもしれない。
往年の読みなれた経済書、啓蒙書、ノンフィクションものの筆致、それこそ立花隆や、城山三郎らを彷彿させるようで、懐かしい気がした(奇をてらわないしっかりした文章、展開。安心して読める)。
それもそのはず。本書の初出は1983年だというから、そもそも昭和の作品だ。それが、2010年に改めて見直され、巻末に石破茂(当時自民党政調会長)との対談も掲載されている。防衛大臣歴任後、野に下ってからの立ち位置の石破だったが、防衛、安全保障オタクと評されていたので、その意味では本書の巻末対談としては適任だったろう。
というか、その2010年や、2020年に新版として再出版、そして2025年に映画原案として再注目されている経緯から、本書の存在価値を探ることができそうだ。
2010年は、自民党が野党に転落していた時期。まだ東日本大震災前ではあるが、民主党によるリーダーシップに国民が疑問を抱いていた時期だ。2020年は、いわずもがな、コロナ禍が世界を覆い、先の見通せない時代だった。
高度経済成長を経て、戦争が忘れられつつある時代に、組織論として太平洋戦争前夜を描いた著作が、民主党の決められない政治に異を唱えるように、意思決定のなんたるかを問う意味で見直され、そしてコロナ禍の2020年は、溢れるデータを活かせない現状と曖昧に責任の所在を明確にしない世相を糾弾する意味で、危機管理の観点から再注目されたのは非常に面白い。
そして、今。というか、昨年(2025年)に新版が出て、NHKでドラマ化される原案となり、そのドラマを劇場映画用にしたのが今年。戦後80年という記念の年だった昨年ということもあるが、いわずもがな地政学的な地球規模の俯瞰が改めて求められる時代に突入した今、世界を相手に戦った当時の日本の在り方を見直す意味で、本書に改めて脚光が当たっている、その構造が実に面白い。
ある意味、いくつ危機を経てこようとも、日本意思決定や危機管理のネイチャーは旧態依然で改善されておらず、いつまでたっても問題視されるのは、「正しい予測が存在したのに、なぜ組織はそれを採用できなかったのか」という点にあるという指摘か。
映画を観ての違和感は、その「なぜ」を、単に「空気」という曖昧なものに矮小化して伝えようとしていた点だった。猪瀬直樹の原案の書でも、そういう論考だったのかと思ったが、さにあらず。読んでよかったと思った。
NHKは、そうした安易な結論、というかフワッとした印象をを国民に植え付けておけば良いと考えたのか、実に底浅いドラマだった。それを映画に仕立てあげたところで、その本質は変わっておらず、その一歩先を突き詰めようという気概を削ぐような、お涙頂戴な物語にしているところに、逆に恐ろしさも感じるくらいだった。
それは、映画を観た自分の周りが、「空気」だ「同調圧力」だと、さも原因を特定できたかのように、腹落ちさせていることに危機感を感じるからだ。それこそ、そう理解しておくのが良いのだろうという空気を読んだ上での感想、レビューに過ぎず、まんまとNHKの大本営発表を鵜呑みにした思考停止の証左ではなかろうか。
本書にもある。
「決断の内容より”全員一致”のほうが大切だったとみるほかなく、これがいま欧米で注目されている日本的意思決定システムの内実であることを忘れてはならない。」
皆と同じ感想を述べる。これで良し、というところから、もう一歩踏み出さないとね。
映画及び原案の本書で得られた知識としては、東条英機の人物像の印象が塗り替わったことか。
本書の指摘にこうある。
「日米開戦の原因を「東條」という一人の悪玉に帰するのは、あまりに単純すぎる話である。しかし勧善懲悪の図式は、いまだにひとつの常識である。」
学びの多い一冊だった。
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やはり、最後はリーダーが全て責任を負って決めれる立場にないといけない。
そう言った意味で、東條英機はかわいそうである。
天皇の大命をそのまま実行できていれば、こんなことにならなかった。
緒戦にて、真珠湾成功させた時の、東條は絶頂しつつも、不安がずっと脳裏に焼き付いていただろうな。
やはり優秀な人材は東大に集まるな
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特に今のご時世、戦争やそれに至る政治プロセスといったものについて考えさせられる作品。
開戦に至る経緯について、世の中で言われる「常識」的なものとは異なる観点を与えてくれる。「軍部の暴走」「東條首相の判断」といった簡単な理由では片付けられない過程が見えてくる。昭和天皇の「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の判断や、東條首相就任前の閣議決定、形式だけの御前会議や統帥部と軍部の縦割りなど、これまであまり知らなかった事実もあり、大変勉強になった。世の中が全体的に開戦ありきという雰囲気だったのかと思っていたが、当然そんなこともなく、当時も様々な意見があったし、今回取り上げられている総力戦研究所のような取組もあったはずなのに、なぜああいった経緯を辿ったのか、これからも考えていく必要がある。
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優秀な青年で構成された総合戦研究所では、日本の敗戦は予測されていた。勝てないと分かっていたにも関わらず戦争に突入していく日本。何が正しいか、あるべき姿か、大局観に立ち、考え、勇気を持って意見を述べていく事が大切だ。哲学がないと周りの空気にのまれていく。
難しい言葉や文章があり読みにくかった。
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独り歩きする軍部のまとめ役として、そして天皇への忠誠心の強さ故に戦争を阻止することを期待され、突如総理に任命された東条英機。ここら辺は全く知らないくだりだったので勉強になった。
結局、総力戦研究所の導き出した結論「日米戦びおける日本必敗」はあくまで仮説でありやってみなければ分からないと一蹴され、結局シナリオ通りに負けた日本。満州絡みで世界各国から非難され始めた辺りから既にこの運命が定まっていたように思えるので、必敗シナリオが出ていたところでどうにもならなかった気もする。では戦う前に満州を捨てて降伏していたらよりよい未来が訪れていたのか?は正直誰にも分からないし、微妙なラインだとも思う。
極東軍事裁判は知ってはいたが、話の噛み合わなさやアメリカ側の思惑が興味深かった。やはり見せしめ裁判だと思った。敗戦国に口無し。
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シミュレーション以外にも満洲や南方
既に撤退すべきと
更に
石油タンク船の台数の極端の少なさ
戦争に向かう前、日露、日中戦争や旧藩(長州藩)との確執など歴史を遡ってみたくなる
きっかけの一冊
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ドラマを見てから原作も読みました。
アメリカと戦争をするにあたり、どのような経緯や判断があったのか。総力戦研究所で模擬内閣の出した答えは日本必敗。
それでも無謀な開戦をしてしまう当時の日本。当時の組織構造の問題がよく理解できました。東條英機が開戦を阻止するべく動いていた事は知らなかった。
Posted by ブクログ
これまでの昭和歴史認識を覆すほど、インパクトのある一冊だ。
これまで散々日本がなぜ日米開戦に至ったのか? 当時の政府、軍、国民は何を感じ、何に向かっていたのか? について語られる機会、書籍はあった。
しかし、猪瀬直樹氏の分析力、調査力、表現力は我々の認識に向かって破壊力を持っていた。
まさにそこが本書の醍醐味である。
「日本は必ず敗ける」、「それは机上の空論でしかない」
そう言って我が国は米英との全面戦争に突入した。
昭和16年の夏にあらゆる分野から専門知識を持った30歳代の若者「総力戦研究所」という組織が政府直轄で招集されていた事実にまず驚く。
そしてもし米英と戦争に陥ったら? の仮設で「総力戦とは何であるか?」 それは武力戦、経済戦、思想戦を含めた全ての情報からシナリオを描き、昭和16年夏の時点で「日本必敗」の結論が既に出ていた。
「総力戦研究所」の詳細な分析に驚く。(猪瀬氏の調査も詳細だ)
それでも日本は米英との戦争に突入した(突入に誘導されたのを止められなかった)のである。
「あの戦争における犠牲は何だったのか?」と改めて考える機会になった。
巻末の「昭和16年夏の敗戦の教訓」だけでも読む価値がある
著者の猪瀬氏と自民党石破内閣総理大臣(当時防衛大臣)との対談である。
「なぜ失敗が起きるのか?」の本質がこの本から十分に読み解くことができる、貴重な本だと思う。
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日本が戦争に突入したのは、無思考・無情報で雰囲気に流されたものと勘違いしていたが、実際は緻密なデータや優秀な企画人員が論議していたにもかかわらず、①組織構造上対等な力関係がなかった(軍部が統帥権を盾に押し切れる構造だった)、②データ(戦争有無別の石油持続力)の背景にある前提や粒度を確認せずに結論だけをベースに議論を進めた、ことなどで悲劇が生じたものだと感じた。
昔の人々も極めて優秀で合理的であろうとしていた、そうした観点から、歴史を驕りなく素直に学び反省することは、いまに生きる教訓になるのだと感じた。
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対米戦争は必敗である。結論が出ていたのに戦争に突き進んでしまう。その根は日清日都露戦争に、もしかしたら明治維新まで遡ることが出来るのかもしれない。
子供のころ、大正生まれの祖母はあの戦争は負けてよかった。だからこその今の平和がある。と言っていた事を思い出します。
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毎年夏、終戦記念日が近くなると、日本国が主体的に関わった戦争に関する書籍を読むことにしています。今年は、本書を手に取りました。私の購入した文庫本には、現在の首相である石破茂氏と著者の猪瀬直樹氏の対談(2010年10月号「中央公論」)も掲載されており、日本の政治が戦後どう変容してきたのかも垣間見ることができます。
『昭和23年冬の暗号』も読みつもりです。
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虎に翼にでてきた総力戦研究所のお話
歴史のイメージがガラッと変わりました。東條英機は戦争を回避しょうとしていたとか、開戦前から必敗という分析結果があったのに戦争に突撃したとか、ビックリすることばかり。
登場する人が多く、古い言葉遣いがでてくるので読みやすくはないですが、頑張って読んでみることをすすめます。
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どこで紹介されていたのか忘れてしまいましたが、気になった本(2023年2月7日に「読みたい」として登録した本)ということもあり、読んでみました。
ちなみに、猪瀬直樹氏の著書を読んだのは、おそらくこれが初めて。
第二次世界大戦の終戦を日本が迎えたのは昭和20年8月15日。
それから遡ること4年、昭和16年8月に、「日本必敗」との結論が、内閣直轄の研究所である総力戦研究所から出ていました。
その結論に至る過程を描いたのが本書。
昭和16年当時、戦争をするにも、経済の発展にも、石油が大きな要素だったわけですが、同年にアメリカからの石油の輸入が断たれた日本は、石油獲得のための新たなルートの確保が必要になりました。
が、新たなルートの候補は一択(インドネシアからの輸入)。
それでも、このルートを確保できれば、日本は戦争ができる、と日本は考えていました。
しかし、アメリカは、その状況を把握していました(むしろ、インドネシアルートに誘導したともいえます)。
つまり、アメリカとしては、インドネシアルートを断ちさえすれば、日本を石油枯渇に追い込み、戦争に勝てる、とわかっていたわけです。
しかも、アメリカは圧倒的な国力をもつので、時間さえかければ(数年程度)、いずれはルートを抑えられます。
というわけで、「日本必敗」は避けられないわけですが、残念ながら、日本は昭和16年12月8日に戦争に突入。
そして昭和20年8月15日に、想定通り(しかも、たくさんの犠牲者を出して)、敗戦を迎えたわけです。
ちなみに、開戦当時の首相である東條英機も、昭和天皇も、開戦には反対で、東條英機(元陸軍大臣)については、軍部の暴走を抑えることで戦争を回避する役割を期待されていたのですね。
結果的には、軍部の暴走を抑えきれず、開戦してしまったわけですが…。
個人も組織も、「どうすべきだったか」と「実際の行動」には、違いがあることが多いですが、日本(日本政府)という組織にとって、この違いが過去最大だった出来事が第二次世界大戦、と言えるように思います。
そのことを改めて心に刻むにあたり、戦後80年となる今年は、よいタイミングだと思います。
なお、巻末に、石破茂氏(現在の総理大臣)と猪瀬氏の対談がありますが、戦後80年を石破首相で迎えることに、何ともいえない因縁を感じるのは、私だけでしょうか。
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総力戦研究所の若手エリートたちが導き出した「日本必敗」のシミュレーション。歴史のIFを描くノンフィクション。いかんせん文章が読みづらいが、その内容の重要性は圧倒的。組織が不都合な真実をどう葬るのか。当時すでに敗北の結論が出ていながら、なぜ破滅的戦争へ進んだのか。昭和の失敗の本質。その構造は現代にも通じる教訓に満ちている。
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今年の夏の『開戦前夜』という映画の公開に合わせてパッケージがリニューされ、本屋の店頭にあった。
著者は作家であり、政治家でもある猪瀬直樹。
著者が政治家の視点で書いたのか、作家の視点で書いたのかはわからないが、取材と古文書からできるだけ事実に沿って描かれている。
日米開戦の前に、「総力戦研究所」というものが設立され、模擬内閣により戦争のシュミレーションが行われたことは知っていた。
官界、軍、民間から36人の優秀な人材が集められ、彼らは戦後の社会の中でも枢要なポストにつくことになる。
言い換えれば、当時の叡智が集められ、戦争の帰趨について分析することが目的だった。
結論は、日本必敗。どうやっても勝てない。現代から考えれば負けるのは自明の理。
国力の大きく劣位した国が何故戦争へと進んだのか、読後もよくわからなかった。そのことを示すことが趣旨ではないのかもしれないが。
研究所が何をなしたのかが述べられているだけだった。
満州国を手放すことができなかった陸軍は開戦を望み、政府や海軍は開戦を止められなかったのは、何故か?
フラストレーションが残った。
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総力戦研究所のことは去年島田荘司の「天使の名前」を読んで初めて知ったんだけど、こんなことを今まで知らなかったなんて恥ずかしかったかもしれないなと思ったが、石破茂さんも知らずに防衛庁長官をしてたとのことだったのでそんなことはなかった。
上記「天使の名前」やNHK朝ドラ「虎に翼」などでは元研究員の苦悩が描かれたりしていたが、本書はそういったドラマ性はなく、客観的な事実が淡々と書き綴られている。
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昭和16年に模擬内閣によるシミュレーションで日米戦争の結果が日本必敗との結論が導き出されていた、とのふれこみのノンフィクション。この結論に至るまでの喧々諤々の議論が描かれると期待したが、このあたりの描写は肩透かし。内閣総力戦研究所が設立されるまでの経緯や開戦当時の総理大臣東条英機の内面に重きを置いた感じ。後者については特に目新しさは感じず。研究所の存在を知らなかったため、設置経緯等は興味を持てた。
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慣れない単語が多く読みづらい部分はあったが、それでも良かった。
総合戦研究所の報告には敗戦必須と出ているのに、どうして戦争に突入したのかよくわかった。
仮説を立てて物事を進めることと、結論ありきで物事を進めることには大きな隔たりがあるはずなのに、区別できていないように思える。しかも時の首相が。
そして、今の日本でもこれと同等のことが起きるんじゃないか不安に感じる。声が多ければ根拠がなくてもその主張が通ってしまいかねないのが現状。直近ではJICAの交流強化事業撤回がそうだ。いま一度歴史に真正面から向き合っていきたい。
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昭和16年、政府は総力戦研究所を立ち上げ、各省庁や軍から30代前半の精鋭を集めた。課題として模擬内閣を作り、日米開戦をシミュレーションした結果、「緒戦は優勢ながら、徐々に米国との産業力、物流力の差が顕在化し、やがてソ連が参戦して、開戦から3〜4年で日本が敗れる」という結論に至る。インドネシアの油田を手に入れても、輸送船が米国に撃沈され石油が手に入らなくなる、というシミュレーションは軍の側でも予測されており、この研究所のメンバーで出した結論が殊更優れていたとは思えない。当時機密とされていた各種数字を見れば、優秀な官僚なら辿り着ける結論である。それでも開戦を回避できなかったという時代が恐ろしい。開戦の4ヶ月前に総戦力研究所が東條内閣へ研究成果として、日本必敗を発表したが、開戦回避を模索していた東條英機でも抑えられる状況ではなかった。統帥を抑制できない憲法の欠陥が戦争を招いたとも言える。東京裁判の様子も描かれているが、改めて日米開戦の「戦犯」は誰(何)なのかを考えさせられた。