昭和16年夏の敗戦 新版

昭和16年夏の敗戦 新版

小説・文芸
990円 (税込)

4pt

日米開戦前夜。平均年齢三十三歳、全国各地から集められた若手エリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでも日本が開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視して無謀な戦争に突入したプロセスを描き、日本的組織の構造的欠陥を暴く。
石破茂氏との対談、新版あとがきを収録。

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  • ドラマ化

    「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」

    2025年8月~ NHK総合
    出演:池松壮亮

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昭和16年夏の敗戦 新版 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ・「空気を読む」ということがものすごく大事で、一つのスキルとして捉えられているのは、日本という国がずっと昔から空気に支配されてきた歴史があるからなのか、と妙に腑に落ちた。

    0
    2026年09月21日

    Posted by ブクログ

    壮大なスケールの「空気は読んでも流されない」です。どう伝えるのか、なぜその判断になるのか、空気とは何か、などなど多くの観点から読める一冊です。

    映画も見ました。良かったです。

    0
    2026年09月06日

    Posted by ブクログ

    予言的

    新版の終わりに収められている「我われの歴史意識が試されているー新版のあとがきにかえて」が秀逸だった。新型コロナウイルス感染症流行による小中学校の一斉休校に関する安倍政権の決定過程を斬った。それは新型コロナ感染症対策本部、関係閣僚・官僚による協議、首相秘書官兼補佐官官の首相への進言という三段構えから成り、日米開戦を決めた連絡会議と御前会議と同じく、きわめて不透明だった。
     現在のコロナ対策は、これに分科会が加わり、首相の判断を判断を歪めている。
     本書は、日米開戦時の東條英機首相を実直な官僚として描いた。開戦決断の責任は東條が負うが、実際の責任の所在が曖昧であった当時の風景と併せて。これは、実務能力の高さで首相に昇り詰めた菅氏とどこか重なる。今の日本の行く先が当時と同じく滅亡なのかと思うと、非常に暗い気持ちになる。
     当時、国の若い精鋭を集めた「総合戦研究所」は、数字を積み上げたデータから日米開戦について「日本必敗」の結論を導き出した。政府は、東條を始め和平派・中間派の閣僚を抱えながら開戦を決断した。戦略物資などのデータを持っていながら、開戦に向かうようになぜか議論が進んだ。
     データがあるのに、どうしてそういう解釈になるのか分からないような過程があり、政策が決まっている風景は、今と驚くほど似ている。本書は予言的であり、読んでいて引き込まれた。

    0
    2026年03月27日

    Posted by ブクログ

    なかなかショッキングなことだ、アメリカとの大戦を始めるよりも前にすでに、日本政府は日本必敗の結末を予想していたと知るのは。

    アメリカとの開戦の狼煙になった真珠湾攻撃が昭和16年の12月なのだが、昭和16年の夏には、総力戦研究所という日本政府機関がすでに開戦の結末を予測していたらしい。軍事力ではなく、国力比較によるシミュレーションからかなり正確に日本がたどる道を予測し、政府に報告していた。にもかかわらず、日本は戦争に突き進んだ。

    総力戦研究所のことを初めて知ったのは、小川哲の直木賞受賞作、地図と拳を読んだときだ。作品中に、満州に設立される架空の研究所があるのだが、それが総力戦研究所をモデルにした研究所だとあとから知った。その後、昨年の夏、NHKで本作が原作のドラマ兼ドキュメンタリーが放送され、それを見て俄然この本に興味を持った(ちなみに元都知事の猪瀬さん作)。

    この研究所はなかなかユニークな手法でシミュレーションを行っていた。各省庁や民間から優秀な30代数十名をかき集め、模擬内閣を発足。様々な模擬大臣たちが、自らの出身機関の持つデータや情報や知見を集め合わせ、議論を進め、開戦した場合どのようなことが起こりどのような戦術をとるか、そのために国内はどう差配するか、物資は、輸送は、食料は、兵力は。模擬内閣はあらゆる角度から模擬戦争運営を実施。

    そして出した答えは日本必敗。どうやってもアメリカには国力の差により敵わなかった。このシミュレーションの詳細や、その後の顛末、戦後の研究所員のその後を本書は追っている。

    興味深いのは、この結果を受けてもなお戦争に突き進まざるを得なかった日本文化と意思決定機関のあり方だ。天皇は開戦を望まなかった。開戦派の東条は天皇に忠誠心が高い人間であったため、首相になったあとは逆に開戦を中止しようと頑張った。それでもなお日本が戦争に突き進むのを止められなかった。その様子が克明にかつ分かりやすく描かれていた。

    翻って今の会社組織などの状況を考えてみると、データドリブン経営なんて言葉が飛び交う80年後のニッポンだが、その本質は昭和16年から何ら変わってない気もしてくるのが薄ら寒い… いやはや、なかなか興味深く一気に読んでしまった作品であった。

    0
    2026年03月10日

    Posted by ブクログ

    なぜあの戦争を止めることができなかったのか。

    かつて戦前に実在した「総力戦研究所」は、その名とは裏腹に「対米戦必敗」を予測したのである。

    キャリア半ばの官僚が内外から、あるいは民間組織に従事するものまで、幅広く集められた研究員は机上演習の名の下で、実際の戦況予測に基づいてあらかたの予測をし、日本必敗を結論付けた。

    蘭印に進出をし、石油を確保せざるを得ないこと、
    俗に言うシーレーンの確保が求められる中で、石油を内地に送り込むことが難しくなるとの予測。
    国力、資源量ともに数十倍とも言えた日米の差を彼らは見事に数値化し、あるいは際限まで予測を立てた。

    それらの予測は文字通り見事なもので、歴史を知る我々、あるいは地政学の重要性がこれほどまでに謳われている現代でこれらを予測、理解、納得することとは訳が違うのである。

    また何より特筆すべきは、その思想環境にある。

    東條当時の陸相は、彼らの数値的意見をつっぱね、
    日露戦争での輝かしい成果を掲げ、勝ちに不思議な勝ち有りと言わんばかりに、勝利を信じた。

    しかしそんな彼もまた、この結果を予測した1人ではなかっただろうか。

    多角度からの忠誠心により、いくつもの葛藤に戦前、戦中、戦後に渡り、直面し続けた彼も戦争の突入を回避させたかった。

    「なぜ戦争を止めることができなかったのか」、
    この問いに対し、構造的な問題があるのは当然のことだろう。石破前首相は戦後80年所感において、軍の統帥権が天皇大権であったこと、それが即ち御前会議という、ある種形骸化した式典により決定がなされ、責任の所在が不明瞭であり、またその意思決定が実質的には政府と軍部による連絡会議による協議の上であったこと。
    こうした構造の点を第一に指摘をしていた。

    政治家たるもの、この指摘は極めて重要だ。
    しかし、石破氏は本作の著者猪瀬直樹氏との対談において、このように発言する。

    「国を変えるのは、最後は世論ですからね、政治家は、フォロワーではなく、あくまでもリーダーとして、その世論に訴えかけていく必要がある。」

    これもまたご指摘のとおりだ。
    しかしこれが現代の危うさなのだ。

    構造的問題として、あるいは組織的にNoを突きつけれぬ点、または不明瞭な責任の所在を利用し、理知的でない判断を取ること。これらは確かに組織側として明確な教訓だ。

    しかし、国を変えるのは世論なのだ。
    構造である程度の抑止が叶っても、最後に変えてしまうのは世論なのである。

    熱狂方向にある世論は、当時の日本必敗予測に際して、冷静な受け止めをできるだろうか。


    軍部にも軍部の求めるものがある、
    それは陸軍も海軍も然り、彼らにも各々譲れぬ条件があり、それは戦争を回避することではないのだ。

    これはもう間違えなくバカの壁、だ。
    経済界から見れば確実なマイナス要素も、
    軍部は失業する兵士や士気、などを考慮すればプラス要素となりたる。

    熱狂という名の集団心理の表出を我々は単に安心と捉えるのではなく、数値、そして相手の視線を真剣に捉えること。それがなし得て、初めて強固な民主主義を育める。

    0
    2026年02月10日

    Posted by ブクログ

    おそらく10年ぶりくらいに再読、以前より戦前の官制や統帥部関係についての知識がついているのでより楽しく読めた。
    この本の妙は総力戦研究所での論戦と実際の戦争への動きを見事にリンクさせている部分だと思う。陸軍省燃料課の石油確保をめぐる騒動と鈴木貞一による出来合わせの答弁、また実際に蘭印の石油を手に入れた後の顛末を研究所で論議の末両手を上げて降参のポーズをとる仕草に見事につなげている。ノンフィクションにも(むしろノンフィクションだからこそ?)文才が必要と分かる。
    戦後80年、戦争前にこのような議論が行われていたこと、そして行われていながらなぜ戦争に突入してしまったのかは忘れてはならないと思う。

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    2025年10月12日

    Posted by ブクログ

    最近読んだ2冊の本で取り上げられており、読んでみました。

    対米戦前、若きエリートを緊急に招集し創設された「総力戦研究所」。そこでは開戦前に日本必敗を正確に分析していた。それでも、なぜ日本は開戦へと踏み切ったのか…

    設立当初は分析結果を政府がどう活かすかという目的があったとは思うが、アメリカに石油を止められ「ジリ貧」に陥った政府はアメリカと戦うことが正当であるとする分析結果を求めるようになる。結論ありきと、それを正当化するための分析結果。結局、出所不明、計算方法不明、つじつま合わせの数字が開戦への正当な裏付けとして用いられた。あと、必敗という分析報告に対して東條英機の返答、ロシアにも勝てないと思っていたのに勝てただろ、ってのは読んで思わず頭を抱えてしまった。

    開戦という国家の一大事、その意思決定の裏側を暴いた本。けれど、最近読んだ「サイエンスフィクション」という論文不正の本に、なんかよく似ているなあ、と思った。大なり小なり、どこの国、どの分野でも同じようなことが今も起きてるんでしょうね…

    0
    2025年09月26日

    Posted by ブクログ

    若きエリートらがデータを元に日本必敗を予想した総力戦研究所に関する史実と取材をまとめた一冊。
    以下の2点が特に面白かった。
    ①どういう経緯でデータは無視され開戦に突き進んで行ったのかがわかりやすく整理されている(文章そのものはとても読みづらいが)
    ②東條英機は学校や教科書で書かれているような独裁的な人物ではなく…という意外性

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    2025年08月31日

    Posted by ブクログ

    こんな組織があったとは今のいままで知らなかった。「緒戦は優勢ながら徐々に米国との産業力、物量の差が顕在化し、やがてソ連が参戦して、開戦から三〜四年して日本が敗れる」原爆の投下以外見事に的中した総力戦研究所のこの予測が日本のその後の選択に活かされていたら一体どれだけの命が救われたことだろう。

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    2025年08月23日

    Posted by ブクログ

    想像してたよりかなり硬い内容でしたが面白かったです。戦争直前の世の中の空気感が伝わってきました。また、この本がきっかけで、日本が日清戦争〜太平洋戦争に向かう歴史にも興味を持ちました。

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    2026年09月23日

昭和16年夏の敗戦 新版 の詳細情報

  • ドラマ化

    「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」

    2025年8月~ NHK総合
    出演:池松壮亮

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