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Posted by ブクログ
かつてこれほどまでに読者の心を掴む小説の「要素」をふんだんに詰め込んだミステリがあっただろうか。
単なるミステリの枠を超えた上質な読書体験を味わうことができた。
まず、ミステリが人を惹きつける取っ掛かり。それは舞台設定の巧妙さであろう。
この小説は地下で身動きが取れなくなった「見えない・聞こえない・話せない」の三重障がいを抱えた女性をドローンを使って救出するというあらすじ。ここですでに読者の心は鷲掴みにされる。
そんなことは果たして可能なのか?ページを開いて答えを確認したくなる。
つぎにここでもミステリやサスペンスでの王道といえる要素、時間制限である。
読者は時間や環境に追われ、リミットがありその制限内にミッションを終わらせようと奮闘する主人公に感情移入をし、応援する。
太古の昔から使われてきた手法ではあるが、わかりやすく読者の心を惹きつけるのだ。
そして、この小説の最も重要な要素。それが最高級の人間ドラマである。
文庫の解説を担当されている「けんご」さんが指摘されたように、健常者も障がい者も平等に暮らせるようにと作られた地下施設では様々なハイテク技術が登場する。しかし、地下に置かれた彼女を、そして読者を最終的に救ったのは間違いなく、人の心であった。
ぜひ、本文を読んでその体験に出会ってほしい。
Posted by ブクログ
極限状態に置かれた人たちが、限られた情報と時間の中で懸命に生きようとする姿に、ぐっと引き込まれる。
特に心に残ったのは、「見えること」がすべてを知ることではなく、見えないものを想像し、誰かの言葉を信じることにも大きな意味があるということ。
緊迫した展開にページを繰る手が止まらない一方で、物語の奥には、人を思いやる気持ちや、誰かを信じることの尊さが描かれている。
普段当たり前のように使っている「声を聞く」「見る」「伝える」という行為も、この物語を通すと少し違ったものに思えてくる。
目に見えないものに耳を澄まし、相手を想像すること。
人と人とのつながりの大切さを、感じた。
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