あらすじ
私は腐野花(くさりの・はな)。着慣れない安いスーツを身に纏ってもどこか優雅で惨めで、落ちぶれた貴族のようなこの男の名は淳悟(じゅんご)。私の男、そして私の養父だ。突然、孤児となった十歳の私を、二十五歳の淳悟が引き取り、海のみえる小さな街で私たちは親子となった。物語は、アルバムを逆からめくるように、花の結婚から二人の過去へと遡ってゆく。空虚を抱え、愛に飢えた親子が冒した禁忌、許されない愛と性の日々を、圧倒的な筆力で描く直木賞受賞作。
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2007年に直木賞を受賞し、2014年6月に待望の映画化となった本作。
大地震で家族を失くした10歳の花を、25歳の淳悟が引き取り、やがて二人は二人だけの幾つもの「秘密」を重ねていく。
この物語は、主人公の花の結婚から、徐々に過去へと遡っていきます。
パズルのピースをはめるように、お互いを求め続け、「父と娘」を超えた感情が渦巻いていく。
親子・恋人・究極の愛・殺人・渇き・匂い・グロテスク…
私は読みながらそんな言葉を思い浮かべました。
決して明るい作品ではありませんが、冒頭の数ページで、作品の世界観にすっと引き込まれます。
人によって、違った感想を持つ作品だと思います。気になった方は是非。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
親愛と性愛の重なり合い、言語化されるのが躊躇われるような情緒を、これ程に巧みに表現できるのは凄い。
しっかりと気持ち悪いが、花の気持ちに理解できる部分が多いのも、また歯痒くて悲しくて苦しい。
時を経ていくにつれ、純真でただ愛しかった互いの存在が、共依存のような退廃した関係性になっていくのがキツくてたまらない。
「生きている意味とは」を、ふっと考えさせられる作品。当たり前に生きることは、こうにも難しいのか。
桜庭一樹さんは、心理描写、情景描写ともに文章があまりにも上手すぎる。冒頭フィジーのエメラルドの海が、読み進めるほどに「中身のないバカみたいな美しさ」の対比を効かせてくる。
ああ、ふたりが出会った時から、誰も知り合いのいない場所で、静かにふたりきりで暮らせていたらよかったのにと思う。同時に、子どもが永遠に自分の元にいることなんて有り得ないと、覚悟して育てる勇気がいることもね。
家族って、血って、呪いだ。
だが間違いなく、他に変えようのない愛しい感情を教えてくれるのも、家族であり血であるとも思う。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作
『私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。‥‥傘盗人なのに、落ちぶれ貴族のようにどこか優雅だった』
40才になる腐野淳悟
結婚直前の養女、花
この2人には何かある
そう思わせる冒頭の文章
もうここから引き込まれていく
凄い話なのになんだか
美しささえ感じてしまう
以前「赤朽葉家の伝説」を読んで
すっかり好きになってしまった
桜庭一樹さん
でもこの小説はまた違った
魅力がある
最後まで謎があって
想像が止まらないのも良い
今後の2人がどうなるのかも
謎!
腐野 (くさりの)なんて名前も
ふざけてるし‥
『おまえが、濡れるといけないと思って。花』
このセリフにもう心は
持ってかれてます
Posted by ブクログ
個人的なフェチに刺さりまくり大好き……………………
理想とされる倫理感や正義感に責め立てられる苦しさ
正しさに見放された時寄り添ってくれる危うさの温かみ
1人で立つことができた時、自分を助けてくれてた不健全なものから巣立つ強さ
フェチすぎて最高だった…………良い悪いとかじゃなくとにかく本当にフェチ………
Posted by ブクログ
気持ちが悪い話だった。父と娘の共依存、殺人、北国、肉欲、潮の匂い。汗と欲望でむせ返る湿った敷布団の匂いが小説を読み終わった今でも何処かから漂ってくるみたいだ。淳悟は父であり、花は娘で、そして母なんだ。私はこの話を「近親相姦」だとか「タブー」といった薄っぺらい言葉で表現したくない。心理学的視点で言えば淳悟が幼い花から心を、血を身体を奪ったというのが正しいんだろうけど、多分2人は元から痩せ細った枯れ木だったのだと思う。作中にもあったように「2人とも乾いて痩せている」のだ。絡み合って、奪って、補っていかないと歩けない。そこには血があって、欠陥があって、2人があるのだ。説明はそれだけで十分な気がする。
花の結婚を機に2人の罪と共に淳悟は消える。そこでああ、淳悟は紛れもなく花の父なのだと思った。淳悟が北の海に帰ったのか、それとも何処かで1人煙草をふかしているのか、その後は一切書かれていない。しかし花の命が終わる時、病室のベッドの上で思い返すのは、あの落ちぶれた貴族のような、どこか気品があってだらしない、花が愛した男の顔と湿った雨の香りなのだろう。
Posted by ブクログ
2日で読み終え、そのあと二回読み返しました。
1回目はそのまま読み、2回目はもう一度初めから読み返し、3回目は最終章から前の章へ、時系列を逆にして、、、。それくらい衝撃的な話でした。自傷をするような感覚で読み返しました。
(以下自分語りになってしまいますが、、)
私も父子家庭、不完全なDV家庭で育ち(性的虐待はなかったが)歪んだ愛というものを痛いほど思い出しました。
日常的に手をあげていながら、機嫌のいい時には「お前は俺の嫁だよ」「お前のことは命に変えても守るからな」と言う父でした。覚醒剤依存で何度も捕まり、睡眠薬のオーバードーズで自殺未遂をするなど、不安定で依存しやすい性質の父を思い出し、なんとも言えない気持ちになりました。7年前に首を吊り、失敗して植物人間になり、5年前に息を引き取りました。
父と過ごした時間は辛く、苦しい時間でした。
しかし良いところもあり、誰よりもまっすぐでストレートに愛情表現をする人でした。愛情を感じていました。私は花のように、父親を最低で、最高だと思っていました。不安定で、不器用で、寂しがりやの父との記憶は、辛いのであまり思い出さないようにしていましたが、この作品を読んで思い出しました。
淳悟と花の間にも、歪んでいながらも確かにそこに互いへの愛情はあったのだと感じ切なくなりました。
花は、竹中の家では居場所がないことを子供ながら感じていて、一方淳悟は、父を失い、母が父の役割も担った時に、母を失った。2人とも家族に飢え、擁護者からの愛に飢えていた。互いが互いの傷を、寂しさを癒すような関係で、うまくピースがはまったのではないかと。
作品の感想を調べると皆さん賛否両論で、なんなら気持ち悪いという意見の方が多く見受けられましたが、私には2人の関係がとても美しく見えました。一章を除いて、終始物寂しく、仄暗い作品。2人の絆は血というとても深いところで繋がっているものの、儚く、今にも壊れてしまいそうな脆さも感じました。分身のような、鏡のような、一蓮托生のような関係が、花の結婚で壊れてしまうのは健全なはずなのに、なんだが残念に思ってしまいました。
こんなに思える、一心同体のような相手に出会うことってなかなかない。会えない人の方が多いであろうに、、と、、。
2人の生い立ち故の愛への渇望、共依存があってこそなのは分かっていますが、どうしても2人は歪んでいながらも本当に美しく、私は羨ましく感じてしまいました。
私は、淳悟を最初に癒したのは、竹中家の花の母親だと思っています。淳悟は竹中家で暮らしていたあの地域に関して「飽きた」という表現をしていましたが、地域ではなく、花の母親に母性は感じつつも、血縁でないから気持ちが冷めたのではないかと、、。
花を引き取る前までは、淳悟は明るかった。
きっと自分の傷から目を逸らし、周りの友人や多くの女たちと時間を共にしていたのではないかと思いました。
花を引き取り、血の人形と感じるほどの血縁というある種呪いのような繋がりを目の当たりにして、閉じ込めていた暗い感情が溢れることを止められなくなってしまったのではないかと思いました。(花の前だけで)
花は花で、今までになかった家族に必要とされること、その安心感を知り、共依存の沼に2人は沈んでいってしまったのではないかと、、、。
余韻を残すのも小説の良いところだと知っていながらも、一章の後、淳悟は死んだのか、花とは会えるのかどうかが気になりました。
柴田淳さんの曲を聴きながら読んでいました。
「愛をする人」がまるで小町さんの心をそのまま歌っているようで、切ない。
「雪の音」は淳悟視点かなぁ、と、、、
もし良かったら聞いてみてほしいです、
冬のオホーツク海、2人が暮らしていたあの街がよく合う曲です、
Posted by ブクログ
最っ高に気持ち悪いけど、創作だからこそできることなので私は大好きな小説。不穏、夏の湿度、冬の海の冷たさが文から伝わってくる。ひらがなが甘ったるさと嫌な湿度を助長してて日本語の妙を感じる。現代(結末)から過去(初まり)に遡るので、幼少期のはなが語り手である最終章は最後はああなっちゃうのにね...と泣きながら読んだ思い出。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作。淳悟は花の養父。津波で孤児になった9歳の花を25歳だった淳悟が引き取り親子となった。花の結婚式から物語は遡る。愛に植えた二人の関係が切ない。長身で細身で目の下にしわがある煙草を吸う淳悟がある人のイメージでよけい感情移入してしまった。
Posted by ブクログ
お互いがお互いを求め合っていて、淳悟も花も寂しい2人だなと思った。
花の人に影響を受けやすいところとか遅刻しやすいところとか淳悟の育て方がよくなかったんじゃないかと思うけど、多分違くて淳悟の影響を受けたところはあるだろうけど、花の影響を淳悟が受けたところもあるだろうなって思って、花の元々の本質なんだろうなと思う。
淳悟はいったいどこにいったんだろう。花はなぜ結婚したんだろう。いつまでも2人でいてほしかったけど、2人がずっと一緒にいたら死んでしまったろうなとも思う。
Posted by ブクログ
最大の愛を解くと、共犯である。というところに落ち着くような作品だった。
世間一般的な安心、安全、快適、健全というような生活が彼らにとって不健康で、退廃的な健康な生活を送っている様が美しかった。
Posted by ブクログ
桜庭一樹さん、ずっと読みたくて、ようやくこの作品で触れることができた。これが文章力、筆力というものかと圧倒された。何度も涙がこぼれた。素晴らしい作品。読む前はずっと男性だと勝手に思い込んでいたのだが、読んでてまさかこれを男性が書いてる?女性では、と思ってしまうような書き口が多々あり…。流石に女の方だったので納得。
養父の淳悟と震災孤児である花の倒錯的で必然的ともいえる性愛の軌跡を、遡るように辿っていく物語。描写力、造形力もさることながら、その緻密に計算された全体の構成と随所に散りばめられたピースにあっぱれとしか言いようがない。ぐんぐん引き込まれて、もっと続きが読みたいのに、でも何度も何度も最初に戻って読み返したくなった。結婚と別離、それも花が望んで淳悟の元から逃げるという未来が分かっているから、二人が分かり合うシーン、愛し合うシーン、すべてが本当に苦しい。登場人物のうち誰とも全く共通点がないのに、こんなにも感情移入ができるのは何故なのだろうか。
解説にて知ったことだが、どうやら著者は本作に至るまでにだいぶ作風の変化があったようなので、他の作品も読んでみようと思う。ひとまず気になっているのは『少女には向かない職業』。
Posted by ブクログ
すごかった。何かが違う何かが漂ってるような雰囲気が終始あった気がする。こんな愛の形が存在するのか、そう思わせてくれた小説だった。ずっと暗い雰囲気で私の好きなタイプの本だった。再読1年ぶりにした。1回目では理解できなかった表現が理解でき、またこの素晴らしい作品にどっぷり浸れた。花の感情はたくさん描かれてるのに淳吾の感情の表現は避けられてるっていう説明を最後解説で読んで、それでも、伝わってくるこの違和感、禁忌桜庭先生の力を感じた。何回でも読み返したい。
過去に遡る技法で読者に明かされていく。二人とも重い罪を背負っており、いつしか濃密な情愛関係を築くことになるが、それは、決して、いやらしさもなく自然な形で描写されているのは、作者の筆力所以だろう。
本当に後味サイアクな作品です。
ここ最近で読んだ中で一番強烈な本です。舞台となっている千住や紋別の暗い町のイメージと相まって、とにかくいやな気持ちになります。救いがありません。でもそれがすごい好き!
Posted by ブクログ
大人の男の人を表す描写力がすごい。
女の人と父親の関係性って、確かに恋人みたいに見えたりするときある。
フィクションであればどんな禁忌の関係性の恋愛でも楽しく読めるタイプなので、魂で繋がりあう二人の間に誰も入れないこの特殊な環境を楽しんで読むことができた。
おとうさんを表す擬音がカサカサカサ…なのちょっと面白い。
Posted by ブクログ
初めての桜庭一樹。かなり繊細ながら読みやすい文章を書く方だと思った。親子の関係性の逆転が非常に巧みで、読めば読むほど、この歪んだ関係性に吸い込まれていった。また津波に飲み込まれていく人々の描写はかなり印象に残る。過去のあらゆる残酷さとそれを覆い隠す程の禁忌は、まさに直木賞に相応しいと思った。
Posted by ブクログ
倫理観という軸で語れば最悪の物語のはずなのに引き込まれる圧倒的な文章だった。それぞれの視点で描かれ、さらに時系列を遡って行くだけのそれが魅力的なでしかない。すごい。
Posted by ブクログ
とても長い月日をかけて少しずつ読み続けた本。
章が変わるごとに年代が変わり その前の伏線を回収して ああそういう事か!と理解していく。
最後は一気に読み上げたが 1章での大人になって嫁ぐ娘と父親の 切ない愛情を最後になってより感じ切なく心配になった。
いろいろともっと掘り下げたい事がたくさん残った 初めて読む感じの感情を覚えた内容だった。
Posted by ブクログ
良い意味で気持ち悪い小説。淳吾やばすぎと思いながらページを捲っていくと花の不気味さがどんどん浮かび上がってくる。2人とも気持ち悪すぎる。続きが気になる。
伏線の回収の仕方が上手い。どんどん読みいってしまった。
Posted by ブクログ
どんどん物語に引き込まれて、すぐ読み終えてしまった。決して共感はできない、2人にしか理解出来ない関係性。お互いがお互いを必要としすぎるあまり、犠牲も大きい。
好きな作品だけど人には勧められない、、、
Posted by ブクログ
10年ほど前に読んだ小説だがいまだに内容を覚えており、かなり引き込まれた作品だった。
好き嫌いが分かれると思うが、個人的には気味の悪さも含めて好きな部類。
Posted by ブクログ
この本のような親子の関係がフィクションでも、どうしても許容できない人は読まない方が良い。
私もそう言った内容が決して好きではないし、読んでいて嫌悪感が芽生えそうな場面はすごく多いのだが、桜庭一樹さんの小説だと私は全くそういうことを感じなかった。
花と淳悟の関係が、唯一無二の悲しいけれど美しい愛の形であるとさえも思えたし、好きな小説、好きな作者さんだと思った。
花の結婚から始まり淳悟との出会いで終わる、過去を遡る構成にもすごく引き込まれた。
Posted by ブクログ
作者の方も作品も全然知らなくて前情報なしで、友達に面白かったからと貸してもらって読んだ
個人的にすごく好きだった
どんどん過去に遡っていくのも面白かったし、殺人事件に重きを置いていない所も面白い
変わった親子関係でも、ゆっくりと生活が進んでいく様子がとても心地いい
Posted by ブクログ
仄暗く重たい中での純愛。お互いがどうしようもなくお互いを求める。寂しい二人が縋るように愛し合う。気持ち悪さと、でもどこかそんな存在といられる二人がとても美しくも思える。不思議。不思議。
花が大塩の親父さんを流氷に突き落とすところ、何故かとても好きだった。こんな死に際を想像したのは初めてだった。しかも、親父さんは自分の命よりも花への忠告を叫び続ける。どんな気持ちでシャッターを切ったのか。
特に、花が雪の中淳悟を待った後のシーンが好き。とろとろになっていく花の欲情が、すごく美しい描かれ方をしていると感じてしまった。
Posted by 読むコレ
結末の曖昧な物語は葉巻に似ていると感じました。
肺に入れずに味と香りだけを愉しむんだと言われても、煙草との根本的な愉しみ方の違いに戸惑うばかり。
それ自体は嫌なものでもないのだけれど、煙草吸いには芯の所で相容れない、満足できない、そんな感覚。
グロテスクだけど純粋な性愛、現在から過去へと遡っていく形式、秘められた謎。
綺麗な文体とも相まって先へ先へと読ませてくれたのですが、やはり人が一般的な概念から道を外すにはそれなりの理由、つまり結論が欲しくなってしまう。
嫌いではないが吸った気もしない。
そんな感じの物語でした。
私は大好きです
なんとも言えない寂しさが物語全体を通して伝わってきて、むしろ心地よいです。タブーと知りつつも、流されてしまう人間の哀しさですかね?因みに私は3回読み返しました。
Posted by ブクログ
腐野淳悟
ひょろりと痩せて、背ばかり高い。どうしようもない無職の男。花の養父。紋別では海上保安官だった。東京てはバイク便ライダーの仕事をしている。
腐野花
淳悟の養子。小学四年生で震災により家族をなくし、遠縁の淳悟に引き取られた。短大卒業後派遣社員になる。派遣先の社員である美郎と結婚する。時間にはルーズ。
尾崎美郎
花の婚約者。親が重役として働いている子会社で働いている。
大塩小町
ふるくからの知り合い。東京に逃げてくる前の花と淳悟のことを、唯一、よく知っている。北海道拓殖銀行の紋別支店に勤めていた。淳悟の元恋人。花のことを嫌っている。
安田玲子
美郎の上司。課長。美郎の七つ上。
菜穂子
美郎と大学時代からつきあっている。
田岡
紋別警察署の刑事。ずんぐりした体格で、額に黒子がある。
章子
花の友人。家は酪農家。
大塩暁
花の男友達で、大塩の孫。
大塩
紋別の辺りだけではなく、札幌の方でも土地持ちの裕福な一家。札幌と旭川に飲食店をいくつも持っていたが、北海道柘植銀行の破綻で北海道全体が活気をなくしたころに、お店を全部手放した。
Posted by ブクログ
2人の傍から見ると歪な関係にゾワッとしたり、花にイラッとしたり最後にもモヤッとが残る話でした。
淳悟と花それぞれが埋まらなかった家族の愛をお互いに埋めていく感じがした。
花は幼いながら変わった形の愛を受け取ったことで、少し世間からズレていっている。。
大人になって結婚した相手ができた時はびっくりしたし、父としてのケジメを淳悟がもったことにも驚いた。
大塩さんや田岡さんをしなせてでも守る秘密と絆が重くて苦しい。
きっとこの先も見えない深い繋がりが続いていきそう。
Posted by ブクログ
父親と娘の歪んだ愛♡血の繋がりが引き付け合うものがあるのかなぁ〜???共依存な関係であまりよいとは言えないけど、似た境遇で、お互いを慰め合って生きていたのね。結婚したあとが気になる…
Posted by ブクログ
現代から過去に遡っていくので、登場人物が持っている想い、それに至る背景などを考えながら読めるので、面白かった。ただ、内容がセンシティブで、すべてが明らかにされるわけではなく、その先は各自の想像によるので、スッキリしない人もいるかと思う。
Posted by ブクログ
孤児となった少女と引き取って育てた親戚の男の物語
以下、公式のあらすじ
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落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く。
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冒頭、二人の関係性と結婚のエピソードから入るので
「そして、バトンは渡された」みたいなものかな?と少しでも思った自分を殴ってやりたい
お前が読んでいるのは桜庭一樹だぞ……
第一章で既に二人の関係性の怪しさを感じる
そして過去に人を殺した事があるという仄めかし
二章でその疑惑が益々黒くなり
三章ではほぼ確信に変わる
それでも最後には救いがあるかもと希望を持って読み進めていたが、結局読者としての絶望しかなかった
やはり、桜庭一樹、恐るべし
赤朽葉家の伝説を読んで油断していた……
禁忌の種類としては近親相姦とかインセスト・タブーと呼ばれるものが主なのだろうけど
この場合はさらにグルーミングだし、ロリコンでもあるし、母性を重ね合わせているというマザコンでもあるので相当やべぇ
花の方も満更でもなさそうなあたり、共依存の関係性でヤバさが何倍にもなってる
そりゃぁ小町さんもドン引きでしょうねぇ
大塩のおじさんはいつからどこまで知ってたんだろ?
淳悟を花の両親の下から戻したのも、察したからだよな?
それでいて震災の後に淳悟が花を引き取る事を許容するのは流石に……
終始気持ち悪さを感じる小説だったなぁ
タブーを敢えて描くというのが文学なのはわかるが
これに賞を与えて万人に広く知らしめるというのはなぁ……
しかも直木賞であり、本屋大賞のノミネート作でしょ
表現や描写は文学として評価する
冒頭の「私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた」という書き出しから既にそのセンスが抜群なのはわかる
わかるんだけど、やはり私は内容がまったく理解できないし嫌悪感しか残らなかったな……
直木賞の選考委員とか、これに票を投じた書店員はどう考えてたんだろうな?
選考委員の中で林真理子は批判している
「私には“わたし”と“私の男”が、禁断の快楽をわかち合う神話のような二人、とはどうしても思えず、ただの薄汚ない結婚詐欺の父娘にしか思えない。」
この論評に私は完全に同意
物語の中でも、整合性の取れていない部分や、細部のリアリティのなさを感じる設定が所々にあるし
まったく、世間で評価される作品と自分の感性のズレを感じる作品だった
Posted by ブクログ
読み切るのに、ほんとうに時間が掛かった。
文章が読みにくいとかそういう事ではない、
全編に漂う不穏な空気がそうさせる。
まるで土砂にまみれた重たい汚れた身体を
引きずるような気持ちで読んだ。
現在から過去に遡り、語り手を様々な人物に替えながら進んでいく。
何気無い一言にゾッとしながら
また気持ち悪さも感じながら
冬の、鬱々とした情景にひやりとする。
最後の章では花とおとうさんの始まりが描かれていて、その先にある出来事を事前に知ってしまっているが為に、胸がいっぱいになった。
現在から過去へと読ませる意図は
こういうところにあるのだろうか。
最後まで読んで、冒頭の章に戻る。
意味や深さが変わっていく。
そこに、希望は無い。
Posted by ブクログ
第138回直木賞受賞作。『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』読後、ふしぎな感覚をもった。星4つでわたしの評価は高い。こちら『私の男』も、またダークな世界を描いたものだと感想を述べるにも、その闇が深すぎて手に負えない。花村萬月や村上龍よりは同じ女性作家の真梨幸子や沼田まほかるに通じるねちっこさが溢れている。それは男がしらない女性だけがもつ感覚というものなのか。
好きではありません
何とか読み終わりましたが、どうしても好きになれませんでした。吐きそうになる気持ち悪さとの戦いでした。作者は何を伝えたかったのか分からないままです。