あらすじ
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない 衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
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Posted by ブクログ
久坂部羊氏の鮮烈なデビュー作。
後半視点が複数になるあたりからの怒涛の登場人物印象ひっくり返し、何度読み返してもいい。
一つの視点にとらわれる危うさ、行動を突き動かす信念はどこからくるのか、など思うことは多い。
ぶっちゃけ、大好きです。
Posted by ブクログ
何かのWebサイトでおすすめされていたのを目にして前々から興味があり読んでみました。どんな内容かは一切知らなかったので、最初は「医師が書く医療の自伝かー、麻痺した腕や脚を切断する手術なんてあるんだなぁ」ってゆったり読み進めてました。
矢倉氏の記事まできて、「あれ?もしかして廃用身って架空の医療なのかな。」って疑問をここで抱きました。
そこからはのめり込むように読みました。
本当に遠くない未来にあり得そうな話だなあと読んでて思いました。
今後も日本の少子化が止まることはないだろうし、自分もdinksのような生き方を理想としてる部分もあります。
もう少し年齢を重ねて余裕ができたら老後の問題にも真剣に考えたいと思います。
ドキュメンタリーかと思った
この作家の作品を初めて読んだせいもあって、前半部分は完全にドキュメンタリー 実話の手記かと思ってしまった。それほどのリアル感で描き出されている。現代の医療の仕組み 考え方 思想に、重たい指摘 課題を突きつけている作品である。
Posted by ブクログ
すごいインパクト!
最初、書き方の感じからして、「これはノンフィクションだ」と思っていたけど、え?こんなことあったっけか?
えーっ?
って思って、調べてみたり、最後の方を読んだりして、、、混乱してしまいました(笑)
すごいわー。
こんなやり口、なかなか思いつかないですよね!
実際、「それもアリなんじゃない?」などと思ってしまったんですけど・・・(汗)
ほんと、引き込まれて読みました!
どんどん久坂部羊読もう!読もう!
Posted by ブクログ
凄まじすぎた…ウチの大好物なグロテスク系がこんな形で書かれているのは初めて。
最初はほんまに現実にあった話やと思ってた…だから更に怖かった…怖いけど納得は出来る。ウチは漆原先生にめちゃくちゃ同意!
Posted by ブクログ
書き手が変わってく感じが面白かった。
私は母親が祖父母を自宅介護していて。色々と考えさせられた。
実際に介護する側だったら?受ける側だったら?
Aケアすれば実際介護する側は楽になるだろうな。
Posted by ブクログ
フィクションなのにすごくリアル
今後の高齢化社会を考えさせられた、と
読み物として読み応えあった
実際に介護が必要な高齢者の方が読まれた時に
どんな気持ちになるのか気になる
ネット小説『CUC』に関しては
ふざけすぎの気もするが
初版発行から約20年経過の今、
高齢化社会は本当に深刻で
フィクションながら本当にリアルを感じました
Posted by ブクログ
老人介護について憂いを持つ主人公の医師の前に現れたのは麻痺を患った90キロオーバーの男であった。男は麻痺の影響で皮膚に床ずれができており、治療も一向に進まない上にその体重からサービスを受けるのも一苦労で床ずれと家族の関係は悪化の一途を辿る。そんな中主人公はふと「四肢を切断する」という治療法を思いつくのであった。
そして恐ろしいことにこのストーリーはノンフィクションなのである。
言葉にできない拒絶感を抱きながらも医師目線でサクサク進むストーリーは軽快である。切断する必要のない四肢を切断するという行為をしながらである。患者の反応にも一切の嫌悪感を匂わせないのが逆に恐ろしいところである。
次第にエスカレートしていき、徘徊するから足を切断する。説得できないから誘導する。そうしていくうち唐突に話は記者視点に切り替わり、先ほどまでの文章が主人公の遺稿であることを知らされ、世間からの目へと切り替わっていく。そこで暴かれるのは暴力性や潔癖症的部分であり、人間の底知れない感情に打ちひしがれる。
Posted by ブクログ
どのみち、足手まといの重荷なんだから軽くなってくれ。
これからの若い世代に何を背負わせなければいけないのか。経済活動、出産育児、高齢介護。これらをやってもらわないといけないと考えたとき、何を軽くするか。考えさせられた一冊です。
でも、アリじゃないの?とも思いました。
悪趣味な考え方をすると、五体満足な高齢者は、手厚い介護を受けれている目印になる日が来るのでしょうか。
私?
十中八九切断されているんでしょうね。
Posted by ブクログ
26 久坂部羊さんのデビュー作。非常に良くできているが、衝撃的で後味も悪いので、強いてお勧めはしません。廃用身とは、脳梗塞等の麻痺で動かず回復しない手足のことで、2050年には、80歳以上が15%になること。他人事とは思えず読みました。
Posted by ブクログ
他校の高校生がビブリオバトルで紹介していた本です。「老乱」をはじめ、老人問題や介護問題に言及する医療系の小説の多い作者の、これもまた衝撃的な作品でした。
脳梗塞などで身体に麻痺のある要介護老人たち。
彼等のQOLや介護者の負担を減らすため、動かない手足を切断するという「治療法」を開発した医師と、彼を巡る社会の混乱を描いた作品です。
一概にフィクションと言いきれないようなディテールの細さに加え、実際問題としてこれからの超高齢社会における「不安」を示している点など、読んでいて「ザワザワ」させられます。
理想に燃える主人公と彼に賛同するスタッフ、一方で彼の独善だと批判するメディア双方の在り方が描かれていて、ただのヒーロー物になっていないところも、小説としての完成度を感じます。
決して綺麗事だけでは解決しない、根深い社会の課題にどうとりくんでいくのか、目をそらさずに考えなくてはならないのだと、改めて感じます。
Posted by ブクログ
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していくー。
Posted by ブクログ
最初ノンフィクションだと思ってた!
小説として面白かっただけじゃなく、リアル世界でこれからどんどん増える介護の問題を考えさせられた。
ほんとにこの治療法、ありえるんじゃないか、と。
Posted by ブクログ
今まで何冊と小説を読んできたつもりだが、この小説のような感覚は今までなかった。と言うのも、おかしな話だが、途中で小説と気付いたのだ。それまで、介護医療に関するルポルタージュだと思っていた。中盤で気づき、ハッとした。凄い小説である。
Posted by ブクログ
ある医者が考えた心身の不自由な患者の画期的治療法。それは廃用身の切断であった…
あらすじだけ読むとホラー?と思ってしまうが新書の様な平易な文体での介護現場のリアル。
少子高齢化社会が更に進んだ現代にこの作品の重みが増していく。
Posted by ブクログ
珍しい展開の小説(ドキュメンタリー?)でした。久坂部先生の考えの土台となる作品と思います、自分が将来このようなシチュエーションになったら、どうするか?考えさせられました
Posted by ブクログ
感想を一言で述べるとしたら、衝撃的。
ある医師が描いた老人介護に関わる医療方法。
また話の構成に、ノンフィクションのような錯覚に何度も陥った。
それだけ内容もリアリティーがある。
この作品が書かれてから、また更に時代は進んだ。
ますます、介護時代は加速して、これからも留まるかとはないだろう。
そうなると、またこの小説も現実に近付いてくるのてはないかと思う。
恐怖を感じる部分もあるが、完全否定も出来ないと思う…
2021.4.11
Posted by ブクログ
廃用身という言葉を初めて知った。
Aケアという療法についても興味深かった。
終始重い話で目を背けたくなるような描写もあったけどイッキ読み。
うーモヤモヤ。。
慎くんに鳥肌が立った。。
読後感は悪い。。
でも読んでおいて損は無い。
Posted by ブクログ
「医学」が科学であることは認めます。しかし、「医療」は科学ではありません。
「医学」は科学的になればなるほど、「医療」から遠ざかります。すなわち、患者には直接関係のない研究者の趣味になるのです。
(P.173)
Posted by ブクログ
2月-19。3.5点。
高齢者の、麻痺して動かない部分を「廃用身」という。
動かない四肢を切断するという、医師の物語。
結構リアルな話。あっという間に読める。
Posted by ブクログ
廃用身、なんと冷たい悲しい言葉だろう。
読み始めは、こんな冷たい言葉が実際の医療現場で存在しているのかと思ったが、
どうやらこの作品がフィクションであると同様に、作品の中での言葉らしい。
実際の介護の現場では、私のような甘ちゃんの感情は通用しないのだろう。
考えさせられることだらけの作品で力作だと思うが、読んでいてとにかく寒くてたまらなかった。簡単に身体を切り落とす、理屈ではなく怖かった。
★は4に近い3
Posted by ブクログ
前半は医師の考え方に納得させられてた気がしていたが、やはり外からこのような施設の状態を見たら異常なことだろう
介護問題は切実で何が本当に本人と家族にとって良いかわからなくなる。
Posted by ブクログ
拘縮し使うことができなくなった四肢(廃用身)を切断する「Aケア」と呼ばれる治療?!が行われるデイケア。さらにAケアの血流再配分により認知症が改善する可能性に気づく。様々な実用と倫理の狭間に揺れる現代医療を象徴する小説で非常に考えさせられる。