あらすじ
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない 衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
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Posted by ブクログ
老人介護をクローズアップした話だが、脳卒中による麻痺は老人に限った話ではない。明日は我が身かも知れない。動かなくなった体を切除出来るか、その時にしたいと思うかどうかは色んな観点から考えることが出来そうだ。
自身は数年前に交通事故に巻き込まれ、既に義足の身体障害者の身だが、幻肢痛は無くなったものの断端の痺れはあるし、身体のアンバランスさは感じるし、実際身体のラインにも表れている。普段は義足なので一見健常に見えるが、風呂の姿見で全身を確認すると未だにぎょっとすることもある。やはり視覚的なインパクトは大きい。とある義手の女性は義肢製作所なんていう特殊な場所で出会したにも関わらず、目立たないように隠していた。そういうことを踏まえると切断を簡単に選択するのは難しい気もする。それとも憎ささえ覚える廃用身なら違うのだろうか。
ただ本書を読んで思ったのは世間の流れの力が大きいということだ。デイケアの面々が次々とAケアを受けるからそういう空気に流された女性。マスコミに叩かれ、友人に異常を指摘され自身を見失った漆原医師。どちらも構造的には大差ない。周囲の空気や世論ひとつで感情も決断も簡単に揺れ動きそうだ。本当に重要な情報は何だろう。漆原医師も気の毒なくらい編集に全てをぶち撒けられていたが、不要な情報も多かったように思う。何をどう受け止め感じて判断するか、試されているなと感じた。
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めちゃくちゃ面白かった。
前半で漆原先生の原稿、後半で編集者の注という構成にまず驚いた。そして作品全体に常に漂う気味の悪さ。
テーマとなっているAケア自体の不気味さ。閉鎖環境で患者やデイケア施設の関係者がある種ハイになっているような状況の不気味さ。事情を曲解して関係者を追い詰めるマスコミのグロテスクさ。漆原先生の本当の目的がわからない怖さ。。
老人の手足を切断するという非常にショッキングな術式をテーマにしているが、著者が医者ということもあってか、作中での漆原先生の説明は非常に合理的で、現実でもそのうち実現するのではないかと思わせる説得力が作品を身近に感じさせ、より薄気味悪い。
しかし構成や文章が上手く、一気読みしてしまった。他の作品にも期待。
Posted by ブクログ
怖いと聞いていたがさほど怖さや後味の悪さはなかった。
出来事自体は仄暗いものばかりだが、どれも理路整然としており、なるようになっただけであるように感じた。心理や情景などあらゆるものがシームレスに描かれ、とても読みやすく自然であった。
記者よ、なぜ気付けなかった。
Posted by ブクログ
ノンフィクションかと思って読み進めると
違うことに気づきながらも、馴染みの場所が出てくると妙にリアルで、あとがきに辿り着いてもどちらかわからなくなるほど、凄かった。こういう手法の本に出会ったのは初めて。
この考え方も一理あるなとか、なるほどと思う部分も多々あったけど、自分が介護する立場だとAケアはありがたいけど、される側になった時どんな判断をするのか答えはまだ見つからない。
5月に映画が公開されるので見たいと思う。
Posted by ブクログ
麻痺で動かなくなった手足を切断する「療法」を考案した医師の語りから始まる。過度な医療や延命に関しての議論はあちこちでされているけど、この切り口は新鮮。前半は、介護現場の描き方が生々しすぎるうえにややあくどい表現でウッ…となる。自分の経験と重なるのに捉え方が違うせいで、そんなふうに書くのやめてよーみたいな気持ちに、つい。
ただ、この書き出しは介護保険制度の始まる1年前から始まっている。1999~2000年代だと、今よりも介護の過酷さに焦点が当たっていたような記憶があるので、このネガティブな描き方がまさに!という感じもある。
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単行本でも何度も読んでいるが医師ならではの衝撃的な作品。ずっと好きで追っている作家だけどこれがデビュー作ってすばらしい。動かなくなった四肢を切断するAケア、他にも考えるべきことは多いがメリットも多いと感じてしまう。行く先は四肢切断された老人がカプセルに入った工場…いつか日本の未来はこうなるのではないかと思うほどリアル。政治家がこれを読んだら何というのか聞いてみたい。
初期の頃の作品が好きで繰り返し読みたい。
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映画化を予告で見て興味をもったので読んでみた。とんでもない作品を知ってしまったという感じ。本の中でひとつの本が再現されているという、入れ子構造も面白い。単にグロテスクであるというだけでは済まされない、介護や医療といったものの本質を皮肉的に実直に描いている怪作という印象。なぜ今までこれを読んでいなかったのか。
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発売まもない頃に読んだわ、なんだか急に話題なのね?
前半後半で流れというか、雰囲気がガラッと変わるお話だったように記憶してる。前半は一見、すごくいい話風なんだけど…みたいな。後半は結構衝撃。
20代で読んだからなのかな、結構記憶に残ってる。映画で観るか、再読しようか悩むわ。
Posted by ブクログ
久坂部羊氏の鮮烈なデビュー作。
後半視点が複数になるあたりからの怒涛の登場人物印象ひっくり返し、何度読み返してもいい。
一つの視点にとらわれる危うさ、行動を突き動かす信念はどこからくるのか、など思うことは多い。
ぶっちゃけ、大好きです。
ドキュメンタリーかと思った
この作家の作品を初めて読んだせいもあって、前半部分は完全にドキュメンタリー 実話の手記かと思ってしまった。それほどのリアル感で描き出されている。現代の医療の仕組み 考え方 思想に、重たい指摘 課題を突きつけている作品である。
Posted by ブクログ
Aケアの該当者の年齢の年寄りなので、これはこれでいいかもと途中まで思った
ボケずに元気に暮らすのがこの年代の一番の課題なので
でも、これバックアップ体制が充実してないと無理だとも思う。
ノンフィクションのような気持ちで最後まで読んでしまった
Posted by ブクログ
しばらく前に電子書籍で購入後放置。年明けからぼちぼち読み始め、だんだん面白くなってきた。最後の結末はちょっと嫌いな片付け方だったけど、ああこれミステリー小説だもんなって思うことにした。漆原の心情はなんとなく推測できるけど、奥さんの菊子の気持ちはよく分からない。
でもトータルでみるとすごく面白かった。一昨日読み終わって、こんな面白い本なんで知らなかったんだ、じつは何かの賞をとってるのかと調べてみたら映画化決定していると知ってタイムリーでびっくりした。内容的に映画にしたら視覚化されてキツイな。
Posted by ブクログ
現実的には理解されないだろうね。四肢欠損の視線に対するサポートと、それを上回る科学的根拠が必要。
実際、介護する側にとっては視覚的な違和感はあるが、楽になるのは確実。 考えさせられる小説でした。
Posted by ブクログ
映画化されるとの事で、CMを偶然見て衝撃を受ける。
翌日すぐに本屋さんへ。
書き方、あまりにもリアリティー。
半分くらいで え、もう終わり?と思ってからが本番。
介護を生業としている側としては、いらんやろこの手足!と思う事は毎日あるんだけど実際入院して「Aケア」された人を見ると知っててもギョッとするし話題にしていいかめちゃくちゃ気を遣う。
知り合った頃から無ければ気にならないけど、知った仲になってから手足を切ってしまうとなかなか。
いやー、面白かったけどこれどんな気持ちで今から寝ればいいの?
Posted by ブクログ
書き手が変わってく感じが面白かった。
私は母親が祖父母を自宅介護していて。色々と考えさせられた。
実際に介護する側だったら?受ける側だったら?
Aケアすれば実際介護する側は楽になるだろうな。
Posted by ブクログ
フィクションなのにすごくリアル
今後の高齢化社会を考えさせられた、と
読み物として読み応えあった
実際に介護が必要な高齢者の方が読まれた時に
どんな気持ちになるのか気になる
ネット小説『CUC』に関しては
ふざけすぎの気もするが
初版発行から約20年経過の今、
高齢化社会は本当に深刻で
フィクションながら本当にリアルを感じました
Posted by ブクログ
【背表紙】
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
現代の介護問題が生生しく書かれる。
マスコミの醜悪さが非常に気になった。
メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』読んでみようかな。
とにかく衝撃的な一冊でした。
Posted by ブクログ
身近に半身不随の人がいたので介護の大変さも、もう自分の体が動くことはないことの悲しみや憎しみも痛いほどよくわかった。廃用身であることは間違いないがじゃあそれを失ってもいいのか、切断したほうが心も身体も自由になれるのか、フィクションなのにノンフィクションを読んでいるかのようだった。
映画が気になってたので原作をと思って手に取ったが、映画見るの厳しいかな。読んでて気分は良くならないが、いま健康で生きている人たちもいつか必ずは親の介護をしたり、自分が病気になって介護を受けることになる。人生100年ずっと健康で生きられるならまだしも。
漆原が医者として患者のためを思ってAケアをしてきたことは間違いないけれど、そこに個人の欲求みたいなものが含まれていたのか定かではないが自分の頭が廃用身だとする最期は少し悲しすぎるかなと思った。個人的にはAケアの良さもあると思ってしまった。もう動くことはない身体のことを自分のものだと思えるのか。
Posted by ブクログ
これ2003年の作品ってのが凄い…まさに迫り来る問題すぎて結構心身にずっしりとくる。現場の実際と世論と登場人物それぞれの視点が時間の経過による変化も含めて絡む絡む。それなのにバラバラせずすっと読まされちゃう。しかしこの問題本当に正解が分からない…
Posted by ブクログ
久坂部さん、こんな著作があったとは。
廃用身という言葉があるかどうか定かじゃないけど、どうせ動かないのならという割り切りもあるのかもしれないけど、自分だったら自分の家族だったら、なかなか割り切れないだろうなぁ。
これが治療で行われるAケア。
ある意味衝撃的でした。
Posted by ブクログ
実写の予告で気になって、この本を手に取った。予告は不気味でホラーチックな雰囲気だったから、怖い場面がいつ来るかと警戒しながら読み進めてた。
だけど、予想に反して前半は恐ろしさを全く感じなかった。廃用身を切り落とすと聞いて、残虐な場面や患者の悲痛な声を想像していたから驚いた。
後半から語り手にが変わって漆原を客観的な視点でみるようになる。ここで物語の印象、すなわち漆原の印象が何度もひっくり返り始める。
私は頭の中で漆原が本当は善人か悪人か何度も考えていた。だけど、最後まで読むとそこに答えがないことに気が付く。人間は善人と悪人の二種類に単純に分類することはできない。
「漆原が嗜虐的な一面を持ち合わせていたとしても、Aケアが悪ということにはならない。施術と人間性は別問題」というような語りがこの本の1番本質をついていると思った。
Posted by ブクログ
タイトルが気になり手にとった。
初めは本物の医師によるAケアと呼ばれる介護医療界における新たな治療法の話かと思われたが、中盤からその様相を変える。
あらゆる視点から漆原医師の人間性が語られるが、そこには真面目で、礼儀正しく、完璧を求め、失敗を知らない姿と嗜虐性があり、冷徹で、弱者に優位性をもつ姿があった。
彼の本当の姿はなんなのか。Aケアは本当に有用なのか。今の時代にこそ問われる介護社会への課題が描かれていた。
Posted by ブクログ
回復が見込めず、かえって負担を敷いている部位を切断するという治療方法に戸惑いを感じていたのに、読み進めていくと、自分がその立場だったら選択するのかとも考えていた。後半からガラッと様相を変えてきて、ホラー感が強くなる。
Posted by ブクログ
ある医者が考えた心身の不自由な患者の画期的治療法。それは廃用身の切断であった…
あらすじだけ読むとホラー?と思ってしまうが新書の様な平易な文体での介護現場のリアル。
少子高齢化社会が更に進んだ現代にこの作品の重みが増していく。