【感想・ネタバレ】廃用身のレビュー

あらすじ

廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない 衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。

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Posted by ブクログ

内容の重さと文章量に圧倒されながらも面白くて手が止まらない本でした。

あらすじ

廃用身という言葉、すなわち麻痺したり事故や病気によって動かなくなった体に出会った漆原医師は、廃用身を切断し、残った人体で生きていく。そんな医療を考案して、自身が経営するデイサービスの患者に対して行っていた。しかし、その理屈を理解できない、またはその恐ろしさに狂乱するマスコミと大衆、漆原医師周辺の思惑によってどんどん自体は悪化していき。


廃用身という言葉自体も初めて聞きましたね。麻痺くらいで使うのかと思いきやもっと率直な意味、使い道のない体のパーツ、医療用語にはそういうものが多くあります。本当にその通りです。

読んでいて72歳死亡法案を思い出しました。割といい本だな、面白い案だなと思っていたこともあり、お年寄りと介護者、医療者全員が納得するのであれば切断するのも悪くないのだろうなとか考えていたら、漆原医師自身の話に変わっていくんですね。

政治やアイドルなんかでも思いますけど、私生活とビジネスを一緒の範囲で語りたがるのはどこも同じなんですね。公明正大で一つも汚点がないような医師だったらこの治療は受け入れられたのか、多分人間は感情的に自分が受け入れ難いと思ったものは何という理由をつけても拒否してしまうんだと思います。だから多分、一般的に受け入れ難い、その認識だけでそこまで狂乱してしまったのかな。

最初の方ではなく、後の方に漆原医師が治療範囲を広げるためにチーム分けたり、経験談話させたり、そういうのは少しずつん?って思っていましたがまさかのそれが伏線。

でも医療職だから言えるけど、本当に介護問題は身に染みて感じますよね。火葬代を安く済ませるために献体に登録する老人、相次ぐ老人虐待、家に帰ってくるなという介護者たち。なんと世知辛い世の中。早めに人生を終わりたいとすら思います。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

映画見る前に絶対に原作を読みたい!と思い、急いで読み始めたけど、面白すぎてすぐに読み切ってしまった。こんな面白い作品が20年近く前の作品なんて信じられない。もっと早く読みたかった!
物語として面白いのはもちろん、今現在の介護の状況にもリンクしていて、凄く考えさせられた。初めの方は四肢が欠けた老人の姿を想像して思わずゾッとしてしまい、流石にダメでしょ…なんて思っていたのに、読み進めるうちにだんだんとAケアの有効性や効果に気持ちが傾くのが自分でも分かって、なんともいえない気持ちに襲われた。
漆原医師の人間性についても凄く興味深くて自分なりに色々考えさせられた。確かに思うところは沢山あるけれど、漆原医師は、その腕も患者を思う気持ちも、医師としてはとても優れた人物だったんじゃないかなと。全体的に凄く面白くて映画も楽しみ!

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2026年06月19日

Posted by ブクログ

映画化を期に、原作ものだと知り手に取りました。2005年にこの作品が書かれていたことに、まず衝撃を受けました。2026年の今読むと、本作はより現実味を帯びて感じられます。

構成が非常に秀逸で、医療をテーマにした作品ならではの重さと恐ろしさがありました。きつい描写も多く、読み進めるのはかなり体力が必要でした。

久坂部さんの他の著書も読んでみたい気持ちはあるものの、またあの重さに向き合うには覚悟がいるため、なかなか重い腰が上がりません。読み続けたら精神を病みそうなので笑。

とはいえ、その他の著書も読破したい位面白い。

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2026年06月19日

Posted by ブクログ

介護の限界に挑んだ確固たる信念か、それとも四肢への異常な執着か。本書が描く医師の姿には、割り切れない闇が潜んでいます。綺麗事では済まない介護の過酷な現実と、歪んだ個人の性癖が、医療の論理によって奇妙に結びついてしまったかのような生々しさ。現実の人間が持つ複雑さと醜悪さが、小説を超えた圧倒的な衝撃として心に刺さります。

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2026年06月15日

Posted by ブクログ

ずいぶん興味をそそられる本を読んだ。
介護しやすいように、麻痺している手や足を切断するという「Aケア」という手法が、術後患者のメンタルや症状が回復するという事象が発生する。
いいこと尽くめのようなこの手法が、やはり受け入れられない自分がいる。
ただ、自分が患者の家族ではなく患者本人だったら…?
自分が当事者だったら受け入れるか否か、いつまでも答えが出なさそうだが介護の現場を見る機会があるたびにこの話を思い出すと思う。

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2026年06月13日

Posted by ブクログ

ノンフィクション気がして怖くなってしまい、何度もフィクションだよね?と思ってしまった・・・

倫理的に簡単に受け入れるのが難しいテーマなのに説得力がありすぎるし、とにかく様々な意味で凄い作品だった・・・

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2026年06月13日

Posted by ブクログ

すごいのを読んでしまった。

映画館が都心過ぎてビビってしまったので読み始め。
介護保険の始まりくらいの時期に書かれたから20年くらい前?の話のはずなのに。

重すぎて苦しくなる。なにも言葉が出てこない。
ただもしAケアを提案されたなら受けると思う。

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2026年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

>ぼくの親切の源は、圧倒的な優越感だった。

「親切」と評価されるわたしの行動、差し伸べている手は、本当に純粋に、相手のためを思ってのものなのか。
それとも、無意識のうちに「与える側」という特権的な立場や優越感をもち、与えることで相手に「親切な人だと思ってほしい」という自己の浅ましさから来るものなのだろうか。
そう思うと、漆原氏と同様、わたしの頭も廃用身なのかもしれないな、と、絶望に近い気持ちにもなる。

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2026年06月07日

Posted by ブクログ

映画化と聞いて、読んでみた作品。
これが2003年に書かれたとは思えないほど現在の高齢化社会とリンクしており、ゾッとした。
自分が高齢になった時にもあり得る話だと思い、とても考えさせられた。

また時間をあけて読みたいと思う。

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2026年06月02日

Posted by ブクログ

映画を観てから読んだ
映画も良かったし、映画みた後に本読んだ方が楽しめる。答え合わせ的な
介護の現場の過酷さ、人の内面の複雑さよ…
フィクションだけど現実的
人間を描くのが上手い!
Aケアについてはありだと思う

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2026年05月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画公開に伴い、原作から履修することにした。
とても読みやすい。
後半漆原の心の内に秘めた残虐性が目立ったが、老人デイケアの現状・本人の障害に対しては合理的な"ケア"にも思えてしまう。
これが約20年前執筆なのが驚きだが、超高齢化社会に拍車がかかるこれからを考えさせられる一冊だった。すき。

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2026年05月27日

購入済み

ドキュメンタリーかと思った

この作家の作品を初めて読んだせいもあって、前半部分は完全にドキュメンタリー 実話の手記かと思ってしまった。それほどのリアル感で描き出されている。現代の医療の仕組み 考え方 思想に、重たい指摘 課題を突きつけている作品である。

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2022年12月03日

Posted by ブクログ

映画化されて気になり読みました。テーマが医療であり、内容が難しくないか心配でしたが読みやすく話に引き込まれました。Aケアは見た目を言えばや気になるのもしれない。それって私たちからの見方で本人はどう捉えるか。関わる人の見方で偏見は変えられそうな。本人のQOLをどう満たすか、それが大切なのでは。世間から驚かれる方法かもしれないけどAケアについてケアされる人、する人の双方で話してみる問題だと思った。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

漆原先生は本当に患者と介護者のことを考えて、Aケアをやったんだと思う。でも生来の強い嗜虐性も本当なんだと思う。
現実ではAケアの話こそ聞かないものの、安楽死の合法化は期待されていると思うし、作中より少子高齢化からくる介護問題は大きくなっていると思う。日本はどうなっていくんだろう

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2026年06月18日

Posted by ブクログ

麻痺などで動かなくなった手足を切断するという、現代の医療ではありえない治療法を紹介しているが、そのメリットとして介護問題の解決や医学的な治療効果を具体的に挙げて説明されると、妙に納得させられてしまう。その治療法が本当に有効で近い将来標準治療となるのではないか、という気持ちにさせられてしまう、そんなリアリティを感じた。物語の展開についても、作中作であることをうまく利用し、二転三転と読者が驚くような構成になっており、読みやすい文体であることも併せて、あっという間に読み終わってしまった。

とても面白かった。作者のほかの作品も読んでみたい。

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2026年06月13日

Posted by ブクログ

いろんな意味でグロい
高齢者や子ども、障がい者といった立場の弱い人を、本当に対等な存在として、人として見ることができているのか
立場が「弱い」っていうのもなぁ

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2026年06月10日

Posted by ブクログ

Aケア、画期的なようにも思えるけど、患者の同意が「同調圧力や強制力の働かない、完全な本人の意思による同意」なのかどうかを見分けるのが難しい以上、安易に進めるべきではなかったんだろうな……。

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2026年06月10日

Posted by ブクログ

職場の人からこの作品を教えてもらい、興味を惹かれて原作ゲット。そして一気読み。
長年「高齢者介護」に携わってきた者として、とてもショッキング&目から鱗なお話だった。
この作品が描かれて20年ちょっと経つのに、いまだ「Aケア」が実現化されていないのが不思議…って思ってしまうのがこわい。
フィクションなはずなのに妙に現実味があるのは、作者さんが医師だからなのかな。とにかく現場の声がすごくリアル。
今まで一生懸命、麻痺側をおそるおそる守ってきたけど「確かに切っちゃえばお互い(本人も職員も)楽だよね」って…なんなら「なんで今まで気付かなかったんだろう」って視界がひらけた気さえする。
介護に携わる人、一切関わったことがない人、いろんな人に読んでもらいたい。そしてAケアに対する賛否の統計を取りたい(笑)

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2026年06月09日

Posted by ブクログ

おもしろい
Aケアの有用性には2026年に読んでも説得力がある
前例が無いものに対して何を正しいとするのか
マスコミや人々の証言なども何が正しいのか
人間の感情や心理を客観的に見ることの難しさ
色々考えられる作品

こういう脳みその知らない部分を触られるような本を探している

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2026年06月07日

Posted by ブクログ

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この楽園は
異常
ですか?
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インスタ?か何かで見て気になってたら、
いつも行く書店に映画化ということで面陳されてました。

すごかったです…

廃用身とは、
梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。

老人医療にあたる医師の漆原は、
患者の廃用身を切断していく。

次々に四肢を切断していく漆原に
マスコミが騒ぎ立てる。

一番最初の感想は、
「これは小説…?」でした。

前半は医師の漆原が執筆した原稿、
後半は漆原の原稿を世に出そうとする編集者の原稿。
ミステリーではないけど、湊かなえさんの「人間標本」を思い出しました。

読みやすい文章、文体ですが、
作品全体を覆う空気は、
奇妙に落ち着いていてどこか歪んでます。

読書を心から楽しめないし笑えない。

それは本書が取り上げている介護が、
私たちが老人になる頃には
笑えない状態になってるかもしれないと思うから。

しかもこの文庫は2005年初版で、
今でも時代を感じずに読めることが
驚きだし、それだけ変わっておらず、
むしろ悪化してるんだろうなと。

最後の方は怖いしぞわぞわするけど、
読まずにはいられませんでした。

これ、どうやって映像になったんだろう。

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画を観たので再読。非常にシビアで現実的な高齢化社会に対する予測、介護の今後、老人虐待問題などで何が善とも悪とも言い切れない重い内容になっている。がまあ普通にマスコミは一意にカス
「自分が本当は心底で何を思っていたか」なんて自分にも理解し得ない。それを周囲に誘導されてしまった面も否めず、「頭はわたしの廃用身」という遺書がとても悲しい。自分の頭、考えることを廃用身と言えてしまうほどの悲しみはない。反面まあ「不要だから取った方がマシなのでは」から実際に切断まで行けてしまう人間は全然怖い
割合で言うと「良くなった」と感じている老人の方が多く、しかし悪い例が凄惨すぎて単純には肯定できない難しさがある。因果関係も否定しきれないわけだし。ただ「四肢のいずれかがないことが当たり前」になった時代にここまでの反発が起きるかと言うと……。人間は結局社会の価値観に動かされている面もあるよなあ、と感じさせられる名作だった。

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

映画を見る前に小説からということで購入。
介護の現場がとてもリアルに描かれていて、超高齢化社会の本当の恐ろしさをまじまじと感じた。ずっと介護の現場は人手不足と聞いているが、国が総力を上げて対策をしていかないと、マジやばくないか、と恐ろしくなった。Aケア、もしかしたら実現してしまうのではと思ったり。自分の親が高齢者になる頃の日本はどうなっているのだろう、(今親は50代だからあと20〜30年後か、、、)

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2026年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画の予告で見かけ、ショックを受け、
映画は気になるけど視覚的に辛そうだからとりあえず原作を…と手に取りました。

あの映像を見てショックを受けたので
私もきっとAケアで手足を取ってしまったらショックを受ける側の人間なんだろうなって思う。

でも実際話の前半で展開された漆原先生のAケアについての文章を読んでいると
「悪くないかも…」と思ってしまいました。
いつか自分が麻痺とか硬直で苦しむのであれば、苦しみからの解放に望みをかけたくなるかも。

漆原先生も、奥さんも、マスコミにリークする人にもみんな表と裏があり
それを面白半分に切り貼りして、燃やすだけ燃やして重要な部分には目を向けないしマスコミの罪は本当に重たい…。フィクションだとは分かりつつもマスコミへの怒りだけはしっかり刻まれました。笑

あと、奥付けページでフィクションかどうか分からなくなる感覚にドキッとさせられました。
こういう部分にまでこだわられているのはとても良いです。

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2026年05月30日

Posted by ブクログ

映画は公開日に観に行ってかなり好きだったので
原作も読んだ。
先に映像で観てる分わかりやすく、かなり読みやすかった。でもこんなにマスコミの報道がひどいとは思ってなかった。

久坂部羊さんが末期医療を現場で見ている医師なので、ただのフィクションとは片付けられない妙なリアルさとメッセージ性を感じる。
齢化や介護の問題が深刻化している今、Aケアは悪魔の治療だとは到底言い切れない段階まで来ている。

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2026年05月26日

Posted by ブクログ

面白かったです。どうやって映画にするのかは本当にわからないけど、映画にする価値の高い物語であることは間違いないです。
生きていれば人は忘れるし、嘘をつくし、性格や考えが変わることもあるし、悪意がある人に傷つけられればやり返したくなることだってあるな、と思いました。
とにかくマスコミがサイテーな感じに描かれてますが、テレビや週刊誌が威力を失いつつある現実の世界では、報道の信憑性はどうなのかな、と思いました。SNSなんて素人記事ばかりなのだから、もっと嘘だらけなんでしょうね。

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2026年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「廃用身」という言葉を初めて知りました、と書いたらこれ造語なんですね。
字面からショッキングで引き込まれます。映画化してて気になって読みました。
作者が医師なだけあって老人医療の描写が生々しく、現実味を感じました。
この作品が書かれてから20年、いつかは誰しも老いるとなると目を背けてはいられない問題です。

わたしも、例えばこの腕動かないしそれなのに痛いし、苛々するし落ち込むから邪魔でしかない…と思うと、思い切って切ってほしい!と言い出すかもしれません。ありがたいことに今現在は不自由なく動かせてるってだけで…
自分だけでもそう思うのに、周りの人にも迷惑をかけてるだろうと思い詰めてしまうともうダメ。
漆原先生がたとえ支配者感を内に秘めて勧めてきてても、良いかも…となりそう。

「患者さんからの同意がないと絶対にしない」と仰ってはいたけれど、同調圧力を感じなくもないです。「迷ってるくらいならやりなよ。絶対良いって〜!」みたいなものではあるけれど。

安楽死の是非よりは、このAケアのほうが議論しやすそうな感じはします。
見た目がショックなら、それこそ義手義足もあるし…江戸川乱歩の「芋虫」を思い出しちゃった。
ある程度の年齢の人は、「攻殻機動隊」の義体になれるかも!と思ったらむしろ高まりそう。
でもまぁ、この国では同調圧力の問題を解決しないとAケアも安楽死も議論できないな、と思います。

マスコミの偏向報道の醜さを感じました。
カストリ雑誌のごとく、衝撃的に歪めて解釈したものしか報道せず…
でも、それも前半の、漆原先生の手記を読んでいるからそう思えるだけなのかもしれません。報道しか知らなかったら「え?なにそれ…」ってなりそう。

春日武彦先生の解説も面白かったです。
グロテスクは、グロそのものではなく、それを発する・接する側の鈍感さと無自覚さ。
グロテスクは精神性だとぼんやり思ってたのが言語化されている、さすが!と思ってしまいました。


そういえば、作品群にグロテスクを感じている小川洋子さんの、「薬指の標本」思い出させる描写があってあぁ…となりました。
小川さんに関しては、鈍感でも無自覚でもなく“全てを平等に見つめる目線の冷徹さ”にグロテスクを感じて温度が下がります。
誰かに肩入れするのではなく、平等に観察してる感じ。小川さんはこの冷静さがたまらなく好きです。

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2026年05月25日

Posted by ブクログ

なんとも言えない後味の悪さ。
最初から引き込まれて一気に読みました。高齢者でもう決して動かない手足を切断するAケア。
おぞましい、でも介護の側からしたらさもありなんと言う考え方。読んでいくうちにそういう治療?もありかもと思ってしまう自分がいる。う〜む、となりました。

マスコミが酷すぎてめちゃくちゃ憤ってしまった。
なんだか感想が書きにくいなと。

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2026年05月20日

Posted by ブクログ

オーディブルで。廃用身とは、脳梗塞などで麻痺して回復の見込みが亡くなった四肢のこと。介護の邪魔になるそれを切り落とすことで、患者が明るくなった、認知症から回復した、という漆原医師の報告書が第一部。漆原医師の勤務する施設ではそれをAケアと呼び、もちろん、患者の意思が第一であるけれども、推奨している。しかしそれが出版されることはなかった。その理由が第二部、出版編集者の語りによって明かされる。羽を切り落とし、胴体だけにした蝶を喜んで見せてきたという、少年時代が語られることにより、一部で見せられていた、朗らかで、希望の光がさしていた介護の光景がひっくり返る。四肢を切断することで、確かに介護は楽になった。感謝している患者も多くいる。だけど、漆原医師に、四肢のない肉体に対する偏向の疑いが。そして、その行きつく末は、まるで老人農場のよう? グロテスク? 仕方ない? きわどい問題だった。けれど、今後、ますます進む少子高齢化した社会において、人間らしさとか、尊厳とか、そういう概念をぶっ壊す決断をしなければ、全員が苦しいという状態から脱することができないのでは、と思ったりもした。

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2026年06月12日

Posted by ブクログ

介護の実情がリアルに表記されていて、医師の視点からはケアの必要性を、マスコミの視点からは異常性を伝える。読み終わった後、虚無感とともに、物語の終わりでは無く、リアルな場として始まりを感じ、より虚無感に襲われる。臨場感としてはものすごい作品。

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

映画をみてから読み始めました。
肉付けになるかと思ったのですが、うまく削ぎ落とされていて観やすかったのだと実感。

構えていたけれども読みやすかった。
リアリティのある仕掛けもあってか、Aケアについても考えてしまう。
漆原の情報が多すぎてしまったので、あの遺書の悲しさが映画ほど効いてこなかったかな。
岩上にしても、です。
慎くんのラストがね、
すごーーーくイヤでたまらなかった。
現実感が強くて苦しいのかもしれませんね。

それにしてもこれ20年前の作品ってのは驚きですね

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

麻痺して動かなくなった手足を根本からバッサリ切ってしまう。
確かにやり過ぎで倫理的にもアウトだろう。
だから、この小説が書かれて20年経った今も、Aケア的な治療法は確立されていないわけで。

高齢者施設で15年働いている。
オムツ交換時、足がねじれるように拘縮していると足の間をオムツがうまく通らず、きれいに当たらないことで漏れてしまうことが多々ある。 
その都度、更衣が必要となり、本人も介助者もどちらとも負担が大きい。

ねじれる足、脇に内出血が出来るほど硬く閉じている腕。
本人に痛みの訴えはあったが、切ってしまいたい程かどうかは分からない。
でも私には、あの腕や足が無かったら、どれだけ介助が楽だろう…という気持ちがある。
倫理的にアウトでも完全にあるのだ。
悪魔の所業かもしれないAケアを私は望んでいるのだな…と、しっかり認識してしまった。

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2026年05月24日

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