【感想・ネタバレ】廃用身のレビュー

あらすじ

廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない 衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

老人介護について憂いを持つ主人公の医師の前に現れたのは麻痺を患った90キロオーバーの男であった。男は麻痺の影響で皮膚に床ずれができており、治療も一向に進まない上にその体重からサービスを受けるのも一苦労で床ずれと家族の関係は悪化の一途を辿る。そんな中主人公はふと「四肢を切断する」という治療法を思いつくのであった。

そして恐ろしいことにこのストーリーはノンフィクションなのである。

言葉にできない拒絶感を抱きながらも医師目線でサクサク進むストーリーは軽快である。切断する必要のない四肢を切断するという行為をしながらである。患者の反応にも一切の嫌悪感を匂わせないのが逆に恐ろしいところである。

次第にエスカレートしていき、徘徊するから足を切断する。説得できないから誘導する。そうしていくうち唐突に話は記者視点に切り替わり、先ほどまでの文章が主人公の遺稿であることを知らされ、世間からの目へと切り替わっていく。そこで暴かれるのは暴力性や潔癖症的部分であり、人間の底知れない感情に打ちひしがれる。

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2023年03月16日

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