【感想・ネタバレ】廃用身のレビュー

あらすじ

廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない 衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

単行本でも何度も読んでいるが医師ならではの衝撃的な作品。ずっと好きで追っている作家だけどこれがデビュー作ってすばらしい。動かなくなった四肢を切断するAケア、他にも考えるべきことは多いがメリットも多いと感じてしまう。行く先は四肢切断された老人がカプセルに入った工場…いつか日本の未来はこうなるのではないかと思うほどリアル。政治家がこれを読んだら何というのか聞いてみたい。
初期の頃の作品が好きで繰り返し読みたい。

0
2026年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老人介護について憂いを持つ主人公の医師の前に現れたのは麻痺を患った90キロオーバーの男であった。男は麻痺の影響で皮膚に床ずれができており、治療も一向に進まない上にその体重からサービスを受けるのも一苦労で床ずれと家族の関係は悪化の一途を辿る。そんな中主人公はふと「四肢を切断する」という治療法を思いつくのであった。

そして恐ろしいことにこのストーリーはノンフィクションなのである。

言葉にできない拒絶感を抱きながらも医師目線でサクサク進むストーリーは軽快である。切断する必要のない四肢を切断するという行為をしながらである。患者の反応にも一切の嫌悪感を匂わせないのが逆に恐ろしいところである。

次第にエスカレートしていき、徘徊するから足を切断する。説得できないから誘導する。そうしていくうち唐突に話は記者視点に切り替わり、先ほどまでの文章が主人公の遺稿であることを知らされ、世間からの目へと切り替わっていく。そこで暴かれるのは暴力性や潔癖症的部分であり、人間の底知れない感情に打ちひしがれる。

0
2023年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実写の予告で気になって、この本を手に取った。予告は不気味でホラーチックな雰囲気だったから、怖い場面がいつ来るかと警戒しながら読み進めてた。

だけど、予想に反して前半は恐ろしさを全く感じなかった。廃用身を切り落とすと聞いて、残虐な場面や患者の悲痛な声を想像していたから驚いた。


後半から語り手にが変わって漆原を客観的な視点でみるようになる。ここで物語の印象、すなわち漆原の印象が何度もひっくり返り始める。

私は頭の中で漆原が本当は善人か悪人か何度も考えていた。だけど、最後まで読むとそこに答えがないことに気が付く。人間は善人と悪人の二種類に単純に分類することはできない。

「漆原が嗜虐的な一面を持ち合わせていたとしても、Aケアが悪ということにはならない。施術と人間性は別問題」というような語りがこの本の1番本質をついていると思った。

0
2026年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルが気になり手にとった。
初めは本物の医師によるAケアと呼ばれる介護医療界における新たな治療法の話かと思われたが、中盤からその様相を変える。
あらゆる視点から漆原医師の人間性が語られるが、そこには真面目で、礼儀正しく、完璧を求め、失敗を知らない姿と嗜虐性があり、冷徹で、弱者に優位性をもつ姿があった。
彼の本当の姿はなんなのか。Aケアは本当に有用なのか。今の時代にこそ問われる介護社会への課題が描かれていた。

0
2026年01月27日

「小説」ランキング