あらすじ
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない 衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
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Posted by ブクログ
医療従事者として、最初からAケア賛成派で読ませていただきました。実際に、発行当時よりも高齢化は深刻化しており、家族や職員への介護負担はかなり大きいものです。そうしたところに思い切った一筋の光。当人と周りの気持ちの差にはリアリティを感じます。そして、社会的に知れ渡った瞬間の周囲の反応の変化、マスコミの執着、後から知る当事者の想い、全てがリアルでゾッとします。まるで、実際の話しを聞いてるかのような、、そんな感覚にさせられる1冊です。複雑な個性を持つ医師の新しい試みが、いつか新しい医療として役立つことを祈っております 。
Posted by ブクログ
解説でも賞賛されていた通り、とっても読みやすい
確かにこれを映画化するのは困難だと言われた理由が分かるくらいに救いようがなく、グロテスクだった。
実話だと思うようなリアリティと小説の書き方もあって、医療系の本だけどとても読みやすく、引き込まれた。
映画と違うのは、結末。映画では漆原氏だけが無くなるが、本では奥さんも亡くなること。
中の細かい所などがちょいちょい違った。
漆原氏が自殺に追い込まれたという遺書の存在や
一人一人の事例が細かくかかれていたような気がした(半年前に映画鑑賞したので間違っているかも)
本も映画もどっちもおもしろかったーჱ̒˶ー̀֊ー́ )✧︎
Posted by ブクログ
(ネタバレを含みます)
リハビリに親しみのある医療従事者の立場から、麻痺した四肢の切断というテーマにとても興味が出て読みました。
ストーリー自体、何度も「事実なのか、創作なのか」と検索してしまいました笑
切断を最良の治療と信じていた医師の心境は、最後までよく分かりませんでした。
私の考えですが、本当に切断は良い結果ばかりだったのか。
悪い作用は、患者のバックグラウンドをきっかけに精神面にのみ現れてしまうのか?
ストーリーの中では、オペ後の経過を追っているのはせいぜい1〜2年ほどでした。
「審美性」という言葉があります。
医療の中でもよく使われる言葉みたいです。(私も使います。)
機能しなくても、外見に重きを置いて整えたり、補填することを優先したりしますよね。
(義眼とか、義肢とか。)
そういう点からすると、めちゃくちゃ人の心ないな……と思いました。
作者は医師で、実際に患者から「麻痺して動かないなら切ってしまいたい」という愚痴を聞いていたらしいです。
果たして本当に切断が治療の選択肢に入った時、切断を希望する人はどれだけいるんだろう。
そんなことを考えてしまいました。
ストーリーでも、麻痺側を切断していることが社会に露見した際、反対意見がわんさか出るし、医師への誹謗中傷もたくさん出ました。
医師がどう対応するのかも結構見もので、「どう動く?」と、続きを焦ってしまうほどのめり込みました。
想像力が豊かな人だと、少しエグい描写もあり、気分が悪くなる場合があるかもしれませんが、機会があればぜひ読んでほしいです!
Posted by ブクログ
前半は、健康法で自費出版してそうな医療エッセイを読んでる気になってしまった。
持論と経緯、そして改善した実例。
通販の医学博士がおすすめするような胡散臭さが漂っていて、繰り返すことで洗脳されるような怖さ。
後半はその原稿の編集者による取材で、一つの事実と二つの考え(漆原/マスコミと漆原へ悪意を持つ者)が解説される。
時折身体に痺れや可動域が狭くなっている自身の老化が進んで、麻痺して、自身の部位の不自由さに苦しめられる未来は確実にやってくる。
その時、切断して身が軽くなり晴々とした人が現れたら、私もそうなりたいと願ってしまう…
五体不満足(乙武洋匡)を参考文献に挙げて、無くなれば有るものを活かす方へ気が向くことでQOLが上がるというのを、他人には肯定するが自身では受け入れるだろうかと自問して、答えが出ない。
デビュー作だからすごいのか、この作家の他の作品も読もうと思う。
Posted by ブクログ
読み始めた瞬間から、本作が「小説」であることを忘れ、最後のページに辿り着くまでずっと現実に起きた話だと思っていました。それほどまでに日付や登場人物の設定が細かく、読み終えた後も「これはフィクションだったの?本当に?」と疑っていました。
本編の衝撃的な展開も去ることながら、個人的は介護業界が抱えている闇や、人知れない苦労の方がグロテスクだと感じました。私の両親も近いうちに介護対象の年齢になりますし、私だっていずれはなります。そのとき、自分はそのグロテスクな存在になるべくなりたくないと誰もが考えると思いますが、ではそのために自分には何が選択肢として残されているのでしょうか?
映画化されることを機に作品を知り、読み終えた頃には映画の上映期間が調度終わってしまっておりましたが、読んですぐに映画を見に行きたかったと後悔しました。大満足の作品です。
Posted by ブクログ
『廃用身』って言葉自体初めて聞いた。
これを映画化?
観たいような、怖すぎるような。
人の決意や感情はその時々で揺らいで、結果オーライもあれば後悔もあり。
事前に丁寧に説明しても、同意のサインがあっても「誘導された」と後出しジャンケンのように告白されたらキツいなぁ。
漆原先生の周囲の人の様々な証言があっても、一貫して応援したい気持ちだったから結果は残念。
葬儀の場面で先生に感謝している人が描かれていた事、「究極のAケア」が身を結んだ事が救い。
Posted by ブクログ
ノンフィクションかと思って読み進めていたけど、最後まで読んで『あ、そーゆーことか』と納得。
社会的問題への切り口として、小説としてこれはすごい。
色々考えさせられるし、実際考える。
医療従事者の友人にも勧めたい1冊。
Posted by ブクログ
半分くらいまで、ヤバい新興宗教の本読まされてるみたいでしんどかった。喜びも笑顔も1面でしかなく、「本当はどうなの?」と思いながら読み進める。最後の1行じゃないけど、終盤に声の出てしまう部分があって、一義的に理があってもやはりそれは全てでは無いのだよなと思わされた。この本を読んで欲しいと言ってきた人と感想を話していたのだが、そこに「良い面があるな」と思ってしまったことが怖いねと。先日、介護職の方が「被介護者には痩せて欲しい」と言っていたのを見てしまってリアリティが増して、
多分これ、一生忘れないし、一生怖い
Posted by ブクログ
映画化されていることは知っていたので、本屋で見かけて何気なく手に取ってみました。
想像以上に内容が重いことにビックリしながら読み進めましたが、難しい医学的用語やわかりづらい表現がなかったためか、非常に読みやすかったです!
当方老人介護に少し関わりある仕事をしているため、老人虐待や介護負担の問題など、勉強になることが多く、自分の学びにもなりました。
漆原先生の視点で読むと「善良な」行動や考えでも、
読んで行くうちに色々な人の視点で見ると「嗜虐的」「グロテスク」だとか、、善悪が単純に決められないが故に、ラストの展開は少し悲しい気持ちになってしまいます。
漆原先生の
「自分の知らない自分がいた」というセリフは、とても印象に残りました。
Posted by ブクログ
この話はノンフィクション?フィクション?どっちだろう。リアリティがありすぎることに驚き、深く考えさせられる小説だった。※小説なのだが、研究発表のような形でストーリーが進むので、一見リアルな話かと思ってしまう。
『廃用身』とは…脳梗塞などで身体が麻痺し、回復する見込みがない手足のことを言うらしい。
小説の中で漆原(うるしばら)医師が提案する『Aケア』というものは、廃用身を切断し、介護する者の手助けをするもの。
(『切断』=アンピュテーションということから)
介護の現場は本当に大変だと思う。小柄な女性ならまだしも、体重が80キロ、90キロあるような方の介護をするのは想像するだけでキツイと思う。動かなくなった四肢を切断することで体重が軽くなれば介護側の負担が減る…小説とはいえ、本当にショッキングだった。(物語では廃用身を切断した老人が性格も明るくなったと書いてある)
しかし現実の介護問題とリンクしているように感じ、とても他人事に思えない。
というのは、うちの母親は昨年脳梗塞になり、右の手足が麻痺し、リハビリしても動かない状態だ。もし動かない手足があることで、本人がうつ状態になったり、床ずれが治らないとして、本人から『Aケアしてほしい』と言われたら、複雑な想いをするだろう。
介護問題の深刻化がこの作品を通して残酷に突きつけてくるようだった。将来に向けて、実際に起こりうるケースであることを作者の久坂部羊さんが語っているネット記事も読んだ。ただ久坂部さんは医者の肩書もお持ちだからこそわかるのだろう。小説の中で漆原医師は週刊誌のスクープでバッシングされる。それほど手足を切断するという『Aケア』は、一歩間違えば残虐非道な猟奇的な虐待であると捉えられてしまうと予想しているのだ。
この小説はつい最近だが染谷将太主演で映画にもなった。(問題作すぎて鑑賞は見送った)小説を読んだ今なら、観てみたかったと思う。配信になるのを待とう。
Posted by ブクログ
実話でもおかしくないほどのリアリティで、読みやすかった。
今まで介護にあまり触れてきたことがないから、新鮮だったな〜。
Aケア仲間が周りにいれば容姿も気にならなさそうだし、そこからどんどんAケアが広がっていってほしいなあって思ってた。
Posted by ブクログ
胸糞シーンがあるので通勤中オーディブルには向いてなかった、、(T . T)
リアリティがあって、どこまでノーフィクションなの!?と思いながら聞いてた。たしかに合理的だよな〜と思ってしまう部分と、想像するとやっぱり受け入れられなさそうだなと思う部分と。。。
ドクターと家族の結末は痛ましかったな。。
自分が老人の立場だったら切って清々するだろうなとは思う。
Posted by ブクログ
実写の予告で気になって、この本を手に取った。予告は不気味でホラーチックな雰囲気だったから、怖い場面がいつ来るかと警戒しながら読み進めてた。
だけど、予想に反して前半は恐ろしさを全く感じなかった。廃用身を切り落とすと聞いて、残虐な場面や患者の悲痛な声を想像していたから驚いた。
後半から語り手にが変わって漆原を客観的な視点でみるようになる。ここで物語の印象、すなわち漆原の印象が何度もひっくり返り始める。
私は頭の中で漆原が本当は善人か悪人か何度も考えていた。だけど、最後まで読むとそこに答えがないことに気が付く。人間は善人と悪人の二種類に単純に分類できるものではない。
「漆原が嗜虐的な一面を持ち合わせていたとしても、Aケアが悪ということにはならない。施術と人間性は別問題」というような語りが、この本の1番本質をついていると思った。