あらすじ
ロンドンのケアホームで暮らす80歳のエディス。ここにエディスを押し込んだ娘クリオとは、当然ながらうまくいっていないものの、介護スタッフで18歳のペイシェンスとは、世代はちがえど友情を築いている。そして、ペイシェンスも、一緒に暮らしていた母親と喧嘩して家出してきた身であった。そんなある日、エディスがホームから失踪。時を同じくして施設の所長の奇妙な死体が発見されて……。冒頭から企みが始まる、母と娘をめぐる傑作サスペンス! 『彼と彼女の衝撃の瞬間』『彼は彼女の顔が見えない』のどんでん返しの女王が見せる新境地!/解説=古山裕樹
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Posted by ブクログ
娘と不仲で老人ホームに入所させられた老婆、母親と喧嘩して家出した老人ホーム女性スタッフ、ベビーカーから赤ちゃんをさらわれた女性、娘との不仲を嘆く女性刑務所図書室職員…と、「母と娘」という人間関係に問題と悩みを抱える女性たちにまつわるミステリ小説。
一応、老人ホームの女性所長の他殺死体が発見されるが、その件についてはあっさり語られるだけで、トリックの解明や犯人探しが本書のメイン素材ではない。
ラストに向けて女性たちの複雑な人間関係が明らかになるのが読みどころで、ハッピーエンドと言える結末なので読後感は良い。
Posted by ブクログ
★5 世の中の母と娘のために…そして彼女たちを幸せにする男たちへのテーゼ #グッド・バッド・ガール
■あらすじ
老人介護施設で暮らしているエディスは、介護士の少女ペイシェンスと仲が良かった。しかしエディスは娘のクリオと折り合い悪く、顔を合わせるたびに喧嘩ばかりしていた。一方でペイシェンスも母親と仲たがいをしており、家を飛び出していたのだ。
ある日エディスは施設から失踪してしまう。しかも施設の所長が殺害されてしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろいわー。脳みそと感情の揺さぶりが半端ねぇよ。さすがアリス・フィーニー、期待通りでしたね。
正直このレベルのトンデモ&エンタメ展開は、国内ミステリーではなかなかお目にかかれない。捻りに捻ったプロットに何度もあごが外れかけましたよ、戻すのが大変。
しかも心情を深堀って描くのが国内作品のように上手だし、文学的で表現も豊潤なの。そして肝心なことは書かずに、興味を引くような情報をチラ見せするテクニックが鬼なんです。何度も何度もフィーニーの釣り餌にひっかかっちゃう。
今回も人物表がありません。海外ミステリーならあって当たり前なのに、あえて用意されてないでしょう。より一層楽しむために、ノートに人間関係図を書いていくことをオススメします。誰と誰が親子で、友人で、仲が悪くて…とか、線でつないだりメモに残しておきましょう。読んでいくうち関係性が見えてきて、理解もしやすくなります。
さて本作は母親と娘の関係性がテーマです。登場人物はほとんど女性。序盤…というか、ほぼ全編にわたって、いがみ合いや利の奪い合いが繰り広げられる。親や子に対して、それは絶対言っちゃいかんだろってことすら軽く吐き出されるんです。もうヒドイの。
本作の主なキャラは四人。老人介護施設に勤務する少女ペイシェンス、その施設に入居しているエディスとその娘クリオ、刑務所司書のフランキー。
どんな関係性なのか、過去のどんな背景があったのか。過酷な渦に巻き込まれてしまった彼女のたちの運命に魂を掴まれます。
親が悪いのか、娘が悪いのか、最低な女、不幸な女、卑劣な女とネガティブ満載で、読んでると言いたいことがいっぱいある。あまりの思いやりのなさに、何度も気分が悪くなったりもしました。でも…じっくり読み進めてください。実はどこにでもいる愛情に溢れる女性なんです。
ちなみにもう一人、とある場所で登場するリバティという女性がいます。雰囲気は思いっきりギャル。でも最後にすんげぇ重みのあるセリフを言うのです、マジ泣きそうになったわ。
騙し捻りのテクニックはもちろん、人の絆を肌で感じられる素敵な作品でした。もう7月になり次々と傑作が発売されますね、本作も今年を代表するサスペンスミステリーの一冊だと思いました。
■ぜっさん推しポイント
現代の日本に生きている多くの女性たちも、懸命に仕事をしながら、妻としても母親としても役割を全うし、日々の家事もこなしていく。夢や希望を抱きながらも、自分らしく生きることの難しさを痛感しているのではないでしょうか。
本作では随所で母親の叫び、娘の苦悩、女性の憤りが吐き出されます。男どもはしっかりと受け止めなければいけません(私も含め)。
子どもの頃、母に言われた言葉を思い出してしまいました。
人を幸せにしたいなら、まず自分が幸せになれ。辛いことを乗り越えるための努力は、自分のためではなく、人のためなのだと。
Posted by ブクログ
いやー、素晴らしい。翻訳者の手腕もあるとは思いますが、惹きつけてやまないこの展開。行き着く先はありがちかもしれないけれど、この語り口に取り憑かれ、一気読みになだれ込まずにはいられませんでした。今回も大満足です。私も母であり娘でもあります。「世の母親と娘たちに」という冒頭に、自分の物語として読むことができました。またシニアに傾く世代でもあるので、エディスの言葉が沁みます。メモしちゃいました。
Posted by ブクログ
『彼と彼女の衝撃の瞬間』、『彼は彼女の顔が見えない』のアリス・フィーニー。
まさにこの著者が得意とする思わせぶりな記述、秘められた真実に翻弄されらるサスペンス。
今回のモチーフは母と娘。
今回は4人もの母または(かつ)娘の視点がひしめき合うので、今まで読んできた2作品を上回る交錯っぷり。
お互いの関係性が全っ然掴めない。
表面上の関係はともかく、「実は彼女がそうでないことを知っている」とか「彼女に本当のことを言えなくて申し訳ない」的なことがあちらこちらで出てくるもんだから、「え〜何を企んでるのー」が終始続く。
とある母の日にスーパーマーケットで赤ちゃんが連れ去られる事件が発生した記述から始まる。
女性は半ばパニック。ちょっと目を離した隙に。連れ去った女の姿も防犯カメラには映っていたが。。。
うって変わって現在の母の日、高齢者ケアホームに不服ながら入所させられている老女、そこで働く18歳の家出少女、老女を見舞うが険悪な仲の娘。
そして1人場面を離れ、刑務所の図書室に勤務するも、今日でここも最後とばかりに何やら企てごとを秘めた女。
程なくして老女の脱走とケアホーム所長が殺される事案が発生する。
誰が何をした?4人の関係性は?過去の事件との繋がりは?
事件を捜査するチャップマン刑事(耳には大量のピアス、髪にはピンクのハイライト入)が老女の娘に放った言葉、「ここには三人の容疑者とふたつの殺人事件、それに被害者がひとりいるようです。あなたは現在のところ、ひとり目の容疑者です」が物語をぐっと引き締める。
何それ、数、ちょっと合わなくない?
いやー、よくもまぁここまでもつれ合った物語を、事実を語るのを抑えに抑え、引っ張りに引っ張って紡ぎ上げたものだ。
得体の知れない緊迫感が続くものだから、終盤霧が晴れたときはふぅーと長い息止めが終わったかのような感覚になった。
個人的には不遜でキレっキレのチャップマンの活躍をもう少し楽しみたかったな。
直近2作はこのミスとかでも評判も良く、サスペンスとどんでん返しの次世代女王の座につくかと思いきや、本作はそこまでの評判でもなくちょっと下火に。
でも凄く緊迫感あって面白いし、そんなにマイナス要素ないと思うけど。
込み入り過ぎてリアルさに欠けるのと、あんまり同じ作風が続くのもってとこなのかな。
最新作『Beautiful Ugly』の邦訳望みます。
Posted by ブクログ
安定の面白さのアリスフィーニー。今回は前作前々作とちょっと毛色が違って2組の母娘のお話。謎解きに関してはそもそもぼかして書いてるので分かるわけないw
勘のいい人なら分かるオチなのかもだけど私は全く予想してませんでした。まあ確かに言われてみればヒントは所々にあったけど。
どっちかと言うとメインは物語の方。ハッピーエンドで良かったですね。
Posted by ブクログ
6ヶ月の赤ちゃんの誘拐事件が発端のミステリー。作者の過去作品ではドンデン返しで気持ち良く騙された記憶があるので期待も大きかったが。今回はミステリより家族とか人間関係に重きを置いたよう。とても切なく、哀しい作品だった。
Posted by ブクログ
CL 2024.11.28-2024.11.30
母親と娘、母親と娘。
主要な登場人物、4人の女性たちがどんな人生を送ってきて、どんなふうに繋がっていくのかが読みどころ。わかるようでわからないように語られるそれぞれの事情が終盤で見事に繋がって面白かった。
Posted by ブクログ
・あらすじ
イギリス ロンドンが舞台。
ケアホームで起こった殺人事件と入居者失踪事件。
ケアホームに入所するエディス。エディスの娘でカウンセラーのクリオ。
ケアホームの従業員のペイシェンス。ペイシェンスの母親のフランキー。
4者の視点で綴られる母と娘の物語。
・感想
「母と娘に…」と冒頭に書かれてあったし、プロローグから4人の関係性がすぐにぴんときたし大体予想通りだった。
「いい子も悪いことをしなければならない」などと同様の文章が何回も登場するし、この作品のキーワードなんだろうとは思うけどイマイチよくわからなかったな…。
キャラの設定も色んな要素がハマらずにバラけてた印象があった。
ケアホームでの殺人事件もあんな雑な方法でよくバレなかったな?!