【感想・ネタバレ】ちぎれた鎖と光の切れ端のレビュー

あらすじ

江戸川乱歩賞受賞第一作
2022年のミステリーランキングを席巻したZ世代のアガサ・クリスティーが描く哀しき連鎖殺人

「私たちが絆を断った日、島は赤く染まった。」

復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。
さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる――。

2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。

そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった――。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

二部構成や、設定がクリスティのそして誰もいなくなった、オリエント急行殺人事件やABC殺人事件のよう。
人を殺そうと離島にやって来て、第一発見者が殺されるというストーリー

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2025年11月29日

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ネタバレ

凄く面白かったです。
一部のクローズドサークルで起きる事件はミステリファンからしたらワクワクしましたし、誰が誰を殺したのか犯人は一人なのか複数なのか、どうやって殺したのか、顔を潰した理由は何なのか考えながら読むと2時間3時間あっという間に経ってました。
二部は登場人物達が一部の誰と繋がっているのか考えながら読んでました。
作者さんの次回作、待ち望んでます。
ありがとうございました。

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2025年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前々からTikTokでの紹介動画を見て気になっていたので今回読んだ。
第一部の事件は最初犯人は2人いるんじゃないかなと思って読み進めていたけど、1人で全て犯行を実行していたと分かって悔しいけど、面白かった。
密室は仕方なくなってしまったのではないかという推理は当たっていたが、船を使っていたことには気づけなかった、、船を隠すところがあるという時点で考えるべきだった。服が違うのは人物が違うからという理由もわからず悔しい。

第2部の事件は第一部の真相をこっちが知っているからどんどん第一部の事件と繋がっていくのは怖かった。

やっぱり、警察が捜査する話よりは、事件に巻き込まれた人が捜査していく方が緊迫感もあって好みではあるので第一部の方が面白かった。

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2025年06月22日

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徒島という無人島での殺害計画を練っていた樋藤。だが樋藤が殺す前に次々と殺人が起こる。その死体は舌が切り取られていた。そして3年後再び舌が切り取られる殺人事件が起こる。
第一部を読んで、最近よくあるミステリだなと思っていたが、第二部の違う事件で深い背景までわかるというのが良かった。最後の方の推理がちょっと見事すぎるきらいはあるように思うが、面白いと思う。

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2025年06月16日

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これはいい。
前半での孤島連続殺人からの後半の事件からあるところでのぞくっと来る瞬間含めてよかった。

2890冊
今年118冊目

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2025年04月29日

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いやはや…もう、改めてすんごい才能を感じました!!
物語は二部構成になってます。
第一部は、ミステリで有りがちな「孤島での連続殺人」モノ的展開。ベタに始まりベタに終わり、「ん!?」と思った所で第二部へ。
第一部とは全く無関係な始まりながら、徐々に繋がりが見えてきて唖然…

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2024年12月03日

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初めて読む作家さんでしたが、とても面白かったです
二部構成になってましたが、私は二部の方が好みでした
キャラクターもよかったしストーリー展開も早くどんどん読み進めることが出来ました

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2024年11月12日

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最初はありがちな離島での連続殺人だと思って読み進めたが、事件後のその後の展開なども含めたストーリーとなっている。夜読んでいたこともあり、離島での殺人はリアルに怖さを感じた。
ただ、話がどんどん広がっており、どう伏線回収されるのか?が気になっていたが、最後はうまくまとめられていたと思う。面白かった。

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2025年11月09日

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孤島で次々に殺人事件が起こる。
仲間内で、人が殺されていく…緊張感でヒリヒリ。
段々と緊張感が高まり、意外な形で第一部の幕が下りる。

第二部は、数年後の話。
全く別の話のように切り替わりつつ
端々に過去の事件が見え隠れして、
隠れていた真実が見えてくる…

この二部構成は、なかなか面白かったです。
色々、グロい感じも、イヤな感じも、含んでいますが
ミステリーとしても人間の描写としても、力作だと感じました。(なんか偉そうかな?)

この作家さん、私はこれからも注目していきたいなと思います!

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2025年10月08日

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 これはスゴい!まるで2つの物語を読んでいるかのようだった。

 まずは徒島という離島で殺人事件が起こる。主人公(この時には主人公だと思っていた)の樋藤清嗣を含む男女8人の友人たちで泊まることになった海上コテージ。
 樋藤は、この仲間たちを殺そうと思ってこの旅行に参加した。翌朝、仲間のうちの1人が殺されていた。そして、また翌朝に1人。1人ずつ殺されていく。この殺し方が変わっていて、第一発見者が殺されるという法則性を持っていた。そして、死体は決まって舌を切られていた。
 ただ、一番の問題は、犯人であるべきの樋藤以外の人物が犯人だということ。

 誰が殺したんだ?と思っているうちに、最後の1人になってしまう樋藤。そこで、真の犯人と対峙する。

 次の章。これまた連続殺人事件が起こる。やはり、第一発見者が殺害され、3番目の被害者の第一発見者となった真莉愛には、新田と瀬名という刑事の護衛がつく。この事件は過去に起きた樋藤事件(1章の事件)を彷彿とさせられ、過去の事件を追っていくうちに、悲しい事実が突きつけられる。
 そして、ラストはこれだけ悲惨な物語に関わらず、なんとも爽やか。清々しい気持ちで本を閉じることができた。

 私としては、1章と2章では、だいぶ雰囲気というか、レベルが全く違って感じた。正直1章は、そんな理由で人を殺そうと思うだろうか?また、殺人があまりにもチープというか、簡単に行われていって、もう少し人の内面や苦しさを描いて行った方がいいんじゃないかと思って読んだ。
 ところが、2章になると、文章が急にイキイキとし出したように感じた。そして、登場人物の内面もしっかりと描かれていて、本当に同じ作者が描いたのか?と思わされたほど。トータルしたらめっちゃ面白い作品が出来上がったわけだが、1章がもっと丁寧に描けていればさらに良い作品になったんじゃないかと思えてならない。

 それにしても、なんとも悲しい物語なんだろう。そのくせラストは前向きになれるんだから、ズルい。

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2025年07月09日

Posted by ブクログ

☆4.0

第一部ではクローズドサークルでの息詰まるサスペンス、第二部では連続殺人に巻き込まれた!?から始まる捜査行。
豪華二本立て!と囃し立てたくなっちゃうくらい盛り盛り。
第二部は特に読者が想像しながら読む楽しみが強く感じられて良きでした。

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2025年06月13日

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まさかの二部構成。
第一部は孤島での連続殺人。これは本格推理として成り立っている。その連続殺人を引き継ぐのが第二部。共通するのは第一発見者が次の殺人事件の被害者になってしまうこと。
第一部は「そして誰もいなくなった」のような展開。もっともらしい推理がひっくり返ったりと面白い。
第二部はそこまでスリリングではないが狙われているという緊迫感と犯人に迫っていく推理が楽しい。
二部にする必要性は微妙ではあるが面白かったよ

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第一部
無人島である徒島の海上コテージに遊びに来た7人の男女と管理人。
そこで起こる連続殺人事件。しかも、殺されるのは、前の殺人の第一発見者。そして被害者は舌を切り取られていた。
第二部
徒島での連続殺人事件から数年後、大阪で連続殺人事件が起こる。しかも、また前の殺人の第一発見者が次の被害者に。

第一部で次々と起こる殺人の不可解さとスピードにハラハラし、ラストの展開に驚く。その余韻を残したまま、また二部の不可解な連続殺人の謎にのめり込んでいく。
どんどんページをめくりたくなります。
二部での登場人物達の切ない心情を知るほどに一部での謎も解けていく感じでした。
思いの届かなさが特に切ない。
そして、二部のラストにはほんの少しでも幸せをと祈りたくなりました。

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2025年02月09日

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誰が犯人なのかハラハラしながら一気に読みました。
でも設定に無理があるというか…テラスで次々と人を殺したのならテラスが血だらけになるだろうし、和実も血が付着しているんじゃ?犯行現場を誰か見ているんじゃ?
人間の憎悪と友情の間の葛藤や人殺しへの戸惑いなどの描写は面白かったです。
九州の南部は(田舎)今でも男尊女卑なのでしょうか。
最後にタイトルの意味が分かります。

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

まず初めに前作と比べてめちゃめちゃ腕を上げた印象!
2部構成となっており、1部では大学生集団の中でロッジでの連続殺人、2部では時が経った後1部に関連する殺人事件が再び、、といった感じ。
展開が早く非常に先が気になり読みやすいです。
復讐の連鎖というか、読み終わった後の哀愁が素晴らしい。

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2024年12月08日

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 読者の予想を上手く利用し、少し先にいかせながら、置いていかない程度に話を展開させていて、ミステリーの面白さを味わった。

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2024年11月17日

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二部構成。一部は孤島で起こるクローズドサークルの殺人というありきたりな設定。一部で疑問を残して、一部から数年後の二部の話となる。どちらも第一発見者が殺されるという設定。犯人がかなり異常で動機が薄いのに関係ない人を殺しすぎで、少々強引な印象。

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2024年11月13日

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2部構成。第二部のほうが感情移入できておもしろかった。
特に如子さんは、冷静で、人の気持ちもわかって素敵な人だった。
もうちょい短くしてもらえたらな〜。

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2025年11月10日

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一部と二部に話が分かれているので、ゆっくり進むのかな?と思いきや、かなりサクサク話が展開していきます。細かい推理は、情報が足りないからできないですが、誰が犯人かは推理しなくてもわかるくらい、怪しい人物がいました。

もやっとした気持ちを残して、一部が終了。

二部が、その後の顛末の話。もう少し人間関係が、複雑になってくるかと思いきや、それほどでもなかったです。

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2025年09月12日

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ネタバレ

面白かったし、楽しめたけど
徒島での犯人は秒で分かる
二部でどんな確率だよってツッコミたくなる程繋がった

横島兄弟があまり好きになれなかったのと、
ただの先輩の為に6人を殺して自殺するとか、、
あの時のサッカー部の関係性は普通じゃなかったから。で片付けられるのはちょっと無理があるなと思った

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2025年08月29日

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1部から2部に変わったときに全然違う話になったと思ったけど、きちんと関わりがありつながった物語だった。最後はなるほど、そうなるのかという着地。

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2025年05月09日

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前作が良かったので今作も手に取りました

こういうミステリー、久しぶり!
とワクワクしながら読み進め、第一部と第二部がこうやって繋がるのかと

殺したいほど憎いと思った相手でも
情がわくということは、その相手も本人も悪人ではないということだよなぁ

誰かを傷つけたとき
あれは仕方なかったんだ、と言ってはならない

最後の最後でタイトル回収
良い回収だったと、とても思います

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2025年03月29日

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孤島で起きる連続殺人事件の話。前の殺人事件の第一発見者が順々に殺されていく1部とその後の2部構成。クローズドサークル結構好きで色々読むけどそこからの、という構成なの珍しく感じた。腑に落ちてないところを2部で明言されててそよなってなってた。

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2025年02月27日

Posted by ブクログ

クローズドサークルものの江戸川乱歩賞受賞作、と聞いたら読まずに通り過ぎるわけにはいかない。
復讐計画を胸に秘めて知人グループと孤島にやってきた主人公。だが自分が手を下す前にターゲットは殺されてしまった…一体誰が?
本作は二部構成になっていて、第一部は謎を残して幕を閉じ、数年後として第二部が展開される。この全体の構成はなかなか面白かったので、最後どう話を閉じるのか気になって興味をひかれた。
部分部分強引な印象だったけど、グイグイ引っ張る力がある作品だなぁと思った。

ただ第一部の真犯人の殺害方法は無理があるというか、(テラスのところなどは)トリックというよりかなり運が味方した感がある。真犯人のキャラクターが苛烈で(ある人のふりをできるような性格じゃなさそうなのに)二重人格のようで、犯行の動機を知ってもしっくりこなかった。

帯の「Z世代のクリスティー」に釣られたけど、孤島の連続殺人という共通点を持つ作品は山のようにあるし、ちょっと言い過ぎ、かな。

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2025年02月03日

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護るべき対処の偏った愛情のあり方を考え必要性を感じるミステリー小説

前作、「此の世の果ての殺人」が衝撃的に面白かったので読みました。
今回は2部構成になっていて、ワクワクしながら読みました。

1部と2部繋がっていく感じが凄まじいです。
1部目の推理がそう思わさせるための思わせ振りにゾッとしました

荒木あかねさんの作品はこれからも楽しみにしています。

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2025年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

島原湾に浮かぶ無人島・徒島の海上コテージに集まった7人の男女。樋藤清嗣は復讐のため、他の6人の殺人を計画していた。樋藤が計画を実行に移せず悩む中、参加者の1人が舌を切られた死体となって発見される。立て続けに第2、第3の殺人が起きるが、被害者は前の殺人の第一発見者だった…。
ちょうど読んでいる時に『十角館の殺人』のドラマを見ていたので、似たような展開に驚き。孤島と連続殺人と復讐はワンセットなのか。
二部構成と知らなかったので、半分ぐらいでみんな死んでしまってびっくりした。第二部は第一部から3年後、変わって舞台は大阪。主人公が樋藤の事件と何の関わりがあるのか読み進めていくまでわからず、終盤色々わかるとすっきり。面白く読めたが、樋藤の先輩に対する気持ちも犯人の妹に対する気持ちもわかるようなわからないような不思議。複雑。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

クローズドサークルミステリーが読みたくて。
怪しいなぁと思った人物が犯人だけど犯人じゃなくて、やっぱり犯人だった。
犯人の狂気がよく理解出来ない。理解出来ないから狂気なのかもしれない。でも、1部を読む限り、2部のための『愛』なら独りよがりな『愛』だと思う。

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2024年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第1章、第2章と分かれていたけど、第1章の怒涛の展開にドキドキハラハラしっぱなし。
その分第2章で少し拍子抜け感が…。
第2章で展開が読めてしまったし、主人公の女の子があまり共感がもてなかった。
面白かったんだけど、モヤっとする気もあって何とも言えない感じだった。

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2024年12月22日

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一冊で二度美味しい。
けど、タイトルがイマイチ。
あと、z世代のアガサクリスティは、
明らかに言い過ぎ。

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2024年12月10日

Posted by ブクログ

 徒島 ( あだしま ) 。島原湾の港から8㌔沖に浮かぶ小さな島だ。かつては 200人ほどの住民がいたが、現在は無人になっている。

 その島に建つ古いコテージ施設で7人の惨殺死体が見つかった。さらに近くの海に浮かぶ瀕死の青年も発見され救助された。
 そして、この青年のものと見られる殺害予告がネットに書き込まれていたことから警察は、意識が戻らず植物状態の青年の犯行と推定した。2020年8月のことだった。

 だが、この猟奇的な殺人事件はまだ終わってはおらず、3年後に再び息を吹き返す。
 歪んだ愛憎の織りなす連続殺人の謎に迫るサスペンスミステリー。
          ◇
 熊本県の宇土半島から1本の観光道路で繋がる5つの島。その最先端にある天草上島のバス停に、樋藤清嗣は仲間6人とともに降り立った。

 海の方向にしばらく歩くと小規模の港があった。そこから船で8㌔沖にある徒島が今回の目的地だ。
 徒島には仲間の1人である浦井啓司の叔母が所有するコテージ棟がある。

 コテージ棟は、徒島に住民がいた頃に産業振興策として建設したものだ。
 けれど大型台風の上陸によって基幹産業だったエビ養殖場が大破。住民の多くが島を捨てたため、観光業どころか集落として成り立たなくなった島は無人島と化した。
 当然、コテージ棟は日の目を見ることなく廃墟になっていたのだが、民宿経営で財を成した浦井の叔母が買い取ったということだ。

 島への定期便は廃止されているし、電気やガスも島には通っていないが、叔母によって少しずつ修繕されていた客室が宿泊可能となったため、浦井の声かけで仲間7人で泊まりに来たのである。
 ところで、仲間と言っても樋藤だけが異質な存在だ。他の6人は高校時代から付き合いのあるグループで、そのうちの1人の大石有と職場で親しくなった樋藤が仲間に加わったという経緯がある。

 その樋藤には恐るべき計画があった。実は樋藤が大石の職場に潜り込んで大石と親しくなったのも、大石を通じて6人の仲間に加えてもらったのも、すべてこの計画を実行するためにしたことだ。
 樋藤の計画。それはこの6人全員に死の制裁を与えることだった。( 第1部 ) ※全2部。

      * * * * *

 荒木あかねさんは初読みの作家さんです。予備知識も何もない状態で手に取りました。いや、なかなかエグかった。特に第1部。

 舞台は、本土とは交通手段も通信手段もない無人島。クローズドサークルに閉じ込められた形の7人の若者と最寄りの港町に住む管理人の青年。

 電気もガスも来ていない古びたコテージ棟 ( 水道設備は生きているようだけど、 トイレなどの生活排水の浄化設備はどうなのか気になる。) で起こる惨劇。1人また1人と撲殺されていく状況だけでも怖いのに、潰れた頭部の口内から舌が切り取られているという理解不能な猟奇的行為。

 こんな展開が苦手な私は、読みながら「しまった」と後悔しました。
 でも、犯人が誰なのか、殺人を犯す理由は何なのか、なぜ死体損壊をするのか、などが気になって読むのをやめられません。

 第1部の主人公でもともと殺人計画を立てていた樋藤が、最後に犯人の正体を見破り、文字通り命がけで追い詰めるのですが…… 。 それでも犯行についての謎は残されたままでした。
 
 木を隠すのは森の中、死体を隠すのは死体の中。理屈はわかります。それでも普通はしないでしょ。釈然としない第1部でした。

 ため息をつきつつ第2部へ。でも、こちらはおもしろかった。

 あれから3年後、再び関連殺人と見られる事件が起こります。
 第1部同様に、死体の第1発見者が次々と殺されていくという連鎖殺人で、被害者は3人。死体から舌が切り取られるという損壊の仕方も踏襲されていました。

 けれど、3人目の死体の第1発見者で生命の危機にさらされていく第2部主人公の横島真莉愛に存在感があったことと、事件解決に奔走する大阪府警吹田署の新田如子刑事が魅力的だったことが、第2部を読み応えのあるものにしていました。

 そして、歪んだ愛憎が根底に流れているのは同じでも、そこに狂気しかなかった第1部と違ってずいぶん救いが感じられる展開だったので、最後まで読んだことを後悔せずにすんでよかったと思いました。
 
 クライマックスの舞台が病院であり、救助用エアクッションが登場するなど、大好きなアニメ『僕だけがいない街』を思い出させてくれるシーンも気に入りました。 ( でも疲れました。)

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2024年07月07日

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