あらすじ
1996年、横浜市内で塾経営者が殺害された。
事件発生から2年、被疑者である元教え子の足取りは今もつかめていない――。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受けている少年。
それぞれの守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を迎える。
日本推理作家協会賞受賞作。(解説)山田詠美
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今年の文庫で売出し中。小生初、芦沢央さん。推理作家協会賞受賞作。日本の犯罪系・逃走系ミステリー、層厚いしレベル高いし、途中で止められないなーと一気読み、結末はあの話に繋がってて、もう怒涛でした。
Posted by ブクログ
父親に当たり屋をさせられている小学生「橋本波瑠」
波瑠の同級生の「桜介」
過去にお世話になった塾講師を殺害した疑いで逃げ続ける男
学生時代その男に密かな恋心を抱いていた「長尾豊子」
二年間行方が知れない殺人容疑の男を追い続ける刑事「平良正太郎」と「大矢」コンビ
それぞれの視点で描く物語。
殺害の動機は障害を持つ男が親の身勝手で不妊治療をさせられ、子供が出来なくさせられていたことによる悲しい真実。
旧優生保護法という現在では人権侵害ともとれる法律が関わっていた。
Posted by ブクログ
前半は少し退屈なのが、中盤からそわそわし始めて、後半は怒涛の展開なり、ラストは深い感動に包まれる本でした。登場人物がみんな地味なのもよかったです。
一気読みしてすごくおもしろかったけど、似たような構成の本がありそうな気もする。
Posted by ブクログ
すごくよかった。どんな会話があって何が起こったのか、全ては語られないところも、奥行きがあって素敵だなと思った。人として未熟でもその時点での自分の考えや正義をしっかり持った、いい奴がいっぱい出てくる小説っていいよね…(逆の嫌なやつも出て来るけど)
Posted by ブクログ
良かったーーーーー!眠たいのに続きが気になって気になって夢中で読みました。泣いてないけどめっちゃ切ない切なすぎます。波留のおとん以外全員幸せになってほしい。
Posted by ブクログ
当たり屋ならば、血気胸、多発肋骨骨折を3回繰り返した男性を思い出した。私の当たり屋のイメージはそんな器用な男性しかなかった。もうこんな始まり方されたら、なんとか救われることを期待しながら読むしかなかった。
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初めての作家さん
まさか優生保護法が出てくる作品だとは思っていなかった
単なる犯人探しのミステリーではなく
現実的に思える作品
違う作品も読んでみたい
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった。
ある殺人事件のミステリー。
被害者の人物像、虐待される子ども、犯人の人間性、調べる刑事たち。
謎が紐解かれていくほどに手が止まらない。
多様性の時代と言われる時代に生きていて良かったと思います。
とても重いですね。
Posted by ブクログ
4人の視点から物語は進んでいく。
父親の命令で危険な行為に手を染めざるを得ない橋本波留。そんな波留を放っておけず、友情を寄せる同級生・仲村桜介。人望ある塾講師が殺害された事件を追う刑事・平良正太郎。そして事件の鍵を握る過去を抱えた女性、長尾豊子。
この4人の物語が少しずつ絡まり、気付けば大きなうねりへと変わっていく。
その中心にいるのに、自分の視点では決して語られない男・阿久津弦。
1996年に起きた塾経営者殺害事件。通常の学校では居場所を見つけにくい子どもたちを受け入れていた個別指導塾・戸川塾。幼少期に阿久津はそこに通い、事件当時は35歳だった。目撃証言から犯人とされたが、嘘がつけず、曖昧な質問には答えられない彼が、どうして道標のような存在だった先生を殺めてしまったのか。その気持ちが知りたくて、ページを捲る手が止まらなかった。
物語の背景には、旧優生保護法や「不幸な子どもの生まれない運動」という、今では信じられない人権侵害が色濃く影を落としている。当時はそれが“正しいこと”として推奨されていたという事実に、胸がざわつく。登場人物たちが口にする言葉を前に、完全には同意できないのに、どこか理解してしまいそうになる自分がいて、それもまた苦しかった。
誰かひとりを「絶対悪」と切り捨てることができない物語だと思う。だからこそ、どうしようもない切なさが込み上げる。
ニュースでは決して表に出ない、それぞれの人生や背景がそこにはあって、本人の了解なしに物事が決められていく残酷さが痛いほど響く。罪は罪として重いのに、ただ裁いて終わりにできない。
読み終えて残ったのは、不幸な生い立ちを背負った登場人物たちが、どうかせめてこれからは幸福に向かって歩けますように。そんな祈りのような気持ちだった。
Posted by ブクログ
初読みの作家さん
たまたま書店で推されていたので手に取りましたが心を深く揺さぶられました。読んで良かった。
ミステリーという謎解きよりもそれぞれが抱える闇の部分が絡み合う人間描写が主体
殺人犯を匿う女
虐待を受ける少年とその友達
殺人事件を追う刑事
そして殺人犯
それぞれの視点描写に自然と引き込まれ、罪と救いが何たるかを考えさせられる作品
それぞれの生き様が深く心に刺さりました
Posted by ブクログ
んー、最初色んな人が出てきて、どう繋がっていくのかな?と思っていたら、、、
表には見せていない姿と感情がある人物ばかりで、、、
悲しい物語だった。
Posted by ブクログ
1996年、横浜市内で塾経営者が殺害された。
事件発生から二年、容疑者として指名手配されている阿久津弦は未だに捕まらずにいた。
小学6年生の仲村桜介。
そのバスケ友達の橋本波留。
刑事である平良正太郎。
謎の男を匿っている長尾豊子。
その四人の視点で物語は進んでいく。
波留は父親から当たり屋をさせられていて、ご飯代もろくにもらえず、いつしか長尾豊子の家の地下に住んでいる男に食べ物をもらうようになる。
塾経営者だった戸川勝弘は、知的障害や発達障害、学校に馴染めない子を、それぞれの個性を見極めながら勉強を教えていた。
被疑者である阿久津弦もその教え子の一人だった。
阿久津弦は結婚していた時期があり、元妻であった真木実和のことが大好きだったんだろうな、と感じた。それは、阿久津弦の母親の口から零れた「欲しくはない。欲しかったんだ」の一言があったから。
優生保護法に触れた物語。
だからこそ、この時代だったんだね。
阿久津弦は、やっぱり障害があるんだろうし、人を殴ったり殺したりしてしまうのもいけないことなんだけど、阿久津弦の気持ちを考えるとやるせなくなった。
Posted by ブクログ
登場人物それぞれの思い、言葉が読み取れて
友達とのやり取り、仕事の上司と部下のやり取り
どれも読んでいて大切にしたいと思った、
何度も繰り返し読んでみたいと思った
その度に感じる思いが変わる気がする、それも楽しめそうな作品。
Posted by ブクログ
芦沢央の日本推理作家協会賞受賞作
1990年代の横浜を舞台に、塾経営者を殺害した被疑者の元教え子、その殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして父親から虐待を受けている少年、それぞれの想いと人生の交錯、その顛末をじっくりと描いています。
芦沢央らしい感じで淡々と語られるストーリーに、ちょっと中弛み感がありますが、クライマックスは一気に読ませます。その落し処をどう感じるかは、読者次第でしょうか?
純文学寄りのミステリ・・興味ある方は是非!
Posted by ブクログ
登場人物それぞれの視点から描かれ、次第に容疑者の人物像が浮かび上がってくる構成。展開が早くとても面白かった。私はじんわりと温かな気持ちで読み終わりました。素晴らしい作品だと思います。
Posted by ブクログ
塾講師戸川勝弘が殺害された。
被疑者の阿久津弦は行方不明。
バスケ部で同級生の仲村桜介と橋本波留。
波留は父親の指示で当たり屋をして生計費を稼いでいた。
スーパーで働く長尾豊子、たまたま会った同級生阿久津弦を家に匿うことに。
それぞれの登場人物別に物語が進んでいって、どう交わっていくのか期待しながら読み進める。
食事に困った波留が猫に導かれたどり着いたのが阿久津が匿われている家の庭。そこで窓越しに波留から食べ物をもらううちに、自分が当たり屋である事を話すように。
二人で初めて家の外で会い、それが波留の父親に見つかり当たり屋の見本を見せろとしらしめるために阿久津が父親に車でぶつかる。
それが事件になり日光に向かう途中でパトカーに囲まれて捕まってしまう。
阿久津は幼い頃に親に避妊治療を受けさせられた過去がある。波留も父親から当たり屋を強いられている。
2人とも親からの虐待の被害者であり、暗く重い話だった。
重い話の中でも阿久津の優しさがみえて切なくなった。
阿久津は本当に戸川を殺害したのか、警察に捕まった後どうなったのか…匿っていた長尾はどうなったのか…気になる。
Posted by ブクログ
桜介や波留、阿久津、ふたりの刑事、それぞれのキャラに魅かれながら読み進めた。優生思想の問題にも考えさせられる。出来たら阿久津と刑事のその後、波留の父親がどうなったのか知りたかったような気がする。「一度子どもが生まれたら、一生親で居続けなければならない。」阿久津の母親の言葉が、重い。きっと世の中の沢山の人がある日突然親なり、親という役目を背負っていく事に時には苦しみながらも生きている。この母親のようにやり直せないこともある。子を持つことの意味をあらためて考えた一冊。
Posted by ブクログ
舞台は1998年。2年前に起きた事件を軸に、様々な人物からの視点で話は進んでゆきます。
何故この時代の話だったのか、作者の意図が最後に突きつけられるように明かされるのが印象的でした。
私自身が、かつてその事を知った時感じた、遠い昔の話ではない驚きと嫌悪が再び甦りました。
ただやるせなさだけが残る作品ではなかったのが私には救いでした。
Posted by ブクログ
なんだか、やるせない気持ち、割り切れないモヤモヤが胸の奥に残って、でもそれが嫌ではない感じ。
誰かを傷つける時に悪意があるならばまだマシなのかもしれない。
無意識、さらに手に負えないのは、そこに善意がある時だと思う。
その人のため、良かれと思って、で人を傷つけるのはとてもタチが悪い。傷ついた側は傷ついた!と泣くことも傷つけられた!と怒ることもできなくて、さらに自分を傷つける。
自分の見えている世界が全てではないし、自分の知ってるあの子はあの子のほんの一部でしかないんだと、傷つけられてるのは自分だけじゃなくてもしかしたら自分も知らずに誰かを傷つけているのかもしれない。
でも、優生保護法、ちょっと前にニュースになってたけど本当に恐ろしい。人間は神じゃないのに、人間が人間の生きる死ぬ、産まれる産まないをコントロールなんかしていいわけないのに。当時の世間も怖いけど、親や、障害のある人に寄り添う立場の人たちは、その人たちの将来や、幸せを思ってそうしてたと思うと、辛すぎる。
Posted by ブクログ
新進気鋭のイヤミス作家というイメージから読み始める。
4人の視点から変わる変わる描かれる日常風景に「一体どういう系統の話なんだ…」と困惑気味だったが、中盤になり話が見えてくる。
大きなトピックは殺人犯の阿久津を匿う豊子と父に当たり屋をさせられている波留の2つ。
これが最後、どう収束するのか期待したが若干のご都合主義な感じもあるがそこそこ面白かった。
波留と同級生の桜介が彼を救いたい気持ちとは裏腹に無力で親や先生を頼らざる得ない行動や逆鱗に触れる発言がリアル。また、殺人犯の阿久津の人間性の欠落した受け答えも心に残る。
まあ、インパクト薄めの話なので多分忘れちゃう部類の小説ではあるが…。
Posted by ブクログ
最後までどうして弦が殺人を犯してしまったのかよく分からなかった。自分自身でさえもどうしてこんな行動をとってしまうのだろうと思う事をよくやっている。でも、どうしてそうなったの!!??と思う登場人物が沢山出てきてザワザワとした気持ちになった。
Posted by ブクログ
芦沢さんの本は初めて。スケールは大きくないがよくまとまっていた。最近犯人当てのものばかり読んでいたが、こういった動機を探るストーリーに、過去の優生保護法の暗闇を重ねた展開が重みを与え、こんな小説もいいなと思えた。当たり屋ケンちゃんのような小学生のパートは、構成としての脆さもあるし、警察側の深堀りは今一つだけど、全体として読み心地は悪くはなかった。タイトルは、あ、こういうことだったのかと思わせることで秀逸。
Posted by ブクログ
刑事が職場で冷遇されているという設定、阿久津を匿う女は物語上必要不可欠だったのだろうか?
2人の性描写は阿久津が強制不妊施術を受けさせられていたことの伏線でもあると思うけど、生々しさが少ししんどかった。
桜介も小学生と思えば不自然な言動ではないだろうけど、友情というかもはや執着に近い気がする。
物語の根幹に関わっている旧優生保護法という重いテーマも、扱いきれているのかよく分からない。
阿久津と波留の関係性は良かった。
Posted by ブクログ
ミステリー?サスペンス?
はっきりとジャンル分けが難しく感じた本作ですが、最近流行りのARGを体験したような気持ちになりました。日常が侵食されるような不穏。
ラストで一気に核心へと向かう部分はググッと引き込まれました。
Posted by ブクログ
重っ、
だから、時代が1996年だったのかあ
最初1996年と2020年代が交互に出てくるのか?と思ったわ
今で言う、発達障害なのかなー
現代だったら確かに不妊手術っていう話にはならないだろうね。
これからも各々の人生は続く、っていう終わり方だったな。
阿久津は罪に問われて、
母親も本人の同意なしにそんな手術をしたのはなんらかの罪なりそうだし、
阿久津が悪気なく話しちゃえば豊子も匿ってた罪になるし(てか豊子自分から警察行きそう)、
波瑠は父親と向き合わなきゃいけないし。
怒りが母親ではなく戸川に向いたのは
母親は絶対的存在的な、自分を無条件で愛してくれる人、そして自分にとっても大切な人(殺す対象ではない)っていう潜在的なものがあったからなのかなあ
なんか会話の端々なそういうのを感じた気がする(曖昧)
それか戸川が「お母さんのせいじゃない、僕のせいだ」って言って、殺させた?
いろんな考察読もーっと。
追記。
中野にあるネズミみたいなカンガルーみたいな滑り台、気になって調べたら、確かにネズミみたいなカンガルーでした。
Posted by ブクログ
親から虐待を受ける子供とその友人、殺人犯と匿う女、厄介者扱いの刑事とその部下。2人組×3組の話が平行して進んでいく。
その3組が交わればこの話は終わりなのだ、ということがわかっているだけに、終盤は早く読みたい気持ちとゆっくり読みたい気持ちが押さえきれませんでした。
とてもおもしろかったのですが、つい忘れて現代の話と思ってしまいました。ちりばめられた当時の描写が弱かったのかもしれません。
そこだけが残念でした。
Posted by ブクログ
犯人の動機がわからず、少し物足りなさを感じましたが、これが人間なんだという、理屈だけでは説明できない部分も感じました。
解説の山田詠美さんが描く解説が、この小説を表現していると感じました。