【感想・ネタバレ】夜の道標のレビュー

あらすじ

1996年、横浜市内で塾経営者が殺害された。
事件発生から2年、被疑者である元教え子の足取りは今もつかめていない――。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受けている少年。
それぞれの守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を迎える。

日本推理作家協会賞受賞作。(解説)山田詠美

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Posted by ブクログ

面白かった!遅ればせながら初めてこの著者の本を読んだ。丁寧な人物や心情の描写と流れるような物語の動きがすーっと入ってきて、深いところにいったい何があるのか気になって2日でイッキ読み。人の生殖を管理すること、罪人と悪人、親の愛、、登場人物たちそれぞれの揺れる想いや上辺からはなかなか見えない深層を丁寧に掬い取り、深く考えさせられる重いテーマの秀逸なミステリー。山田詠美さんの解説もさすが。他の作品も読んでみよう。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

桜介お前って奴は!
「みんなやってる」をキーワードに
殺人事件、当たり屋など
何故そこに行き着いたのか?
犯人、女、父、母?そして僕ら!一見繋がない話が
少年の想いを紡ぐ様に…
「嘘と隣人」に繋がる平良正太郎の刑事時代のストーリー

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2026年03月11日

Posted by ブクログ

普段古い本ばっか読んでいてミステリもそんなに読まないので、1年以内に文庫化された本を読むのは新鮮。どうかなと思っていたが、惹き込まれた。

ドタバタぐにゃっとしたオチが苦手なのだが、そうした印象は受けず、その後どうなるのか想像の余地を残す最後も良かった。

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2026年03月05日

Posted by ブクログ

芦沢央さん『夜の道標』
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1. 背景、テーマ:1996年、「正しさ」が変容する過渡期の闇

物語の舞台は1996年から1998年。

それは現代のような「発達障害」という概念が定着する前夜です。「精薄(精神薄弱)」という言葉がまだ公然と使われ、旧優生保護法の影が色濃く残る時代です。

法律や社会が掲げる「支援」や「善意」が、実は当事者を深く傷つけ、否定するものであったとしたら?

本作は、「良かれと思ってなされたことが、人を死に追いやる」という救いのない逆説をテーマに、時代が生んだ悲劇を浮き彫りにします。 
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2. 物語の中心人物:交錯する「持たざる者」たち

• 阿久津 弦(あくつ げん):
恩師である塾講師を殺害したとされる容疑者。軽度の知的障害があり、言葉を字面通りにしか受け取れない危うさを持つ。

• 橋本 波留(はしもと はる):
父親から虐待を受け、公道を走る車にぶつかる「当たり屋」を強要されている小学生。

• 戸川 勝弘: 被害者の塾講師。障害児教育に熱心で「聖人」と慕われていた男。彼こそが阿久津にとっての唯一の道標でした。
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3. 動きだすシナリオ:半地下の窓が開くとき

戸川が殺害されてから2年が経過します。
阿久津は同級生の豊子の家に潜伏し、息を潜めて生きていました。

一方、飢えと暴力に晒される波留は、偶然見つけた阿久津の潜伏先の小窓から、彼と接触します。

「殺人犯」と「虐待される子供」。

社会から存在を否定され、公助からも見捨てられた二人が、暗闇の中で手を取り合う皮肉な救済の物語です。

阿久津が波留の願いを叶えるために外の世界へ踏み出そうと決意したとき、止まっていた2年前の事件の真相と、警察の捜査が激しく動き出します。
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4. 読み終えて:真の「道標」を誰が示せるのか

読み終えて突きつけられるのは、「子供に罪はない」という言葉の重みと、それを守れなかった社会の罪です。

戸川先生が生徒の阿久津に与えていたのは「教育」ではなかったのです。
では、何を与えたのか?
ここが、物語の核心となります。

私たちは、誰かを救おうとする自分の「正しさ」が、相手を追い詰めているかもしれません。

この小説は、下記の問いかけを投げ込んできます。

私たちは、世界を歩く誰かのために、壊れない道標を立てられているのか??

本作は、その問いを一生消えない火傷のように、ジリジリと心に残す作品でした。

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2026年03月04日

Posted by ブクログ

最初はよくある小説、ちょっと前の物、自分の学生時代の話だなーとしか思わなかったぎ読み進めるうちに少し前に新聞で見た時事ネタを扱ったものだと気づき、改めて法に翻弄された人たちがいたこと、自分には遠い話と思っていた話が現実に感じられた 普段体験できないことが感じられるのがこういう小説の良いところだと改めて本を読むことの大切さに気付かされた

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

少年のモノローグから始まるんで、てっきり青春の闇系かと思ったら壮大な闇だったなぁ。

少年の友情と毒親貧困問題、塾長殺人事件と指名手配犯、それを追う2人の刑事が入り乱れる。
今でこそ指名手配男の言動の不自然さに気づくけど、物語の時代設定上では理解されにくかったかもしれない。
時代のせいだと片付けるには、あまりにも苦しい話しだった。

さて、ではどうすれば良かったのか。
彼らの問題は誰にも解決できない、21世紀の現在でも答えは見いだせていない。
頭で理解していても解決に至らない。

少年達がどうなったのか、犯人は捕らえられたが、その後の審判や刑事のその後は一切語られない。
語りようもないのだ。バッドエンドにしても、ハッピーエンドにしても、この物語には大して意味はない。
著者は登場人物同様に、読者に問題を突きつける。

「だって皆さんやってらっしゃるから」と語る手配犯の母の言葉が苦しい。
多勢がやる事が是となる危うさは世界中に蔓延している。個人の判断が、時に「ワガママ」だと切り捨てられる事さえある。
どうすりゃいいのさ、まったく。

考え続ける、それしかない。

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2026年02月13日

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ネタバレ

なんとも重く、最後まで重い…
この先、この子はどうやって生きていくのか…
描かれていないこれからが大変そうだ

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2026年02月10日

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いやーー面白かった。
4人の視点で進むけれど、登場人物は多くなく、たった一つのゴールを目指してじわじわと進んでいくような感覚だった。
途中から4人が合流して、そして進んでいくような感覚。
時代で物事の捉え方はこんなにも違うと改めて思い知った。
とにかく面白かった。近く映像化されそう。

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2026年01月16日

Posted by ブクログ

「日本推理作家協会賞受賞作」なので

きっと面白いだろうとワクワクしながら読み始めました





横浜市内で塾経営者が殺された。

事件発生から2年たった今も

犯人と思われる男の行方は分かっていない。



殺人犯を匿う女、

虐待を受けている少年とその友人

事件を追う刑事

などなど、その人物の立場から物語がつづられる



そして、それぞれの物語は絡み合いながら繋がっていく・・・



面白い!

読み始めたら先が気になって止まらなくなります

休日の前の夜に、おすすめ!

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2025年12月15日

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今年の文庫で売出し中。小生初、芦沢央さん。推理作家協会賞受賞作。日本の犯罪系・逃走系ミステリー、層厚いしレベル高いし、途中で止められないなーと一気読み、結末はあの話に繋がってて、もう怒涛でした。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

父親に当たり屋をさせられている小学生「橋本波瑠」
波瑠の同級生の「桜介」
過去にお世話になった塾講師を殺害した疑いで逃げ続ける男
学生時代その男に密かな恋心を抱いていた「長尾豊子」
二年間行方が知れない殺人容疑の男を追い続ける刑事「平良正太郎」と「大矢」コンビ

それぞれの視点で描く物語。

殺害の動機は障害を持つ男が親の身勝手で不妊治療をさせられ、子供が出来なくさせられていたことによる悲しい真実。
旧優生保護法という現在では人権侵害ともとれる法律が関わっていた。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

前半は少し退屈なのが、中盤からそわそわし始めて、後半は怒涛の展開なり、ラストは深い感動に包まれる本でした。登場人物がみんな地味なのもよかったです。
一気読みしてすごくおもしろかったけど、似たような構成の本がありそうな気もする。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

ストーリーは、私塾の元教え子の男が、私塾の経営者兼先生に手をかけてしまいある事情から匿われて
いるという設定
また、もう一人の親から虐待を受けている小学生の
男の子もいて、二人の話が軸になっている。
殺人犯として指名手配されてしまい、かつての内部告発から窓際に追いやられた刑事と相棒の部下が、
班場も縮小された事件として、殺人犯の捜査を続けて、元教え子の足取りを追う。
先生は元教え子の恨みを買うような過去は見えなかったが、ラストに進むにつれ、ある背景が見えてくる。
ネタバレになるから書けないが、動機がショッキングな事情からだった。
男の子は父の虐待から生きる気力も削がれていくが、自分のことを真剣に考えてくれる友人を得るところが救いだったと思う。
元教え子の男と虐待を受ける男の子の出会いが、物語の肝でそこからのストーリーが面白い
芦沢央の小説は、ミステリーものも充分楽しめる!

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

芦沢央さん、2冊目。
“作家生活10周年記念作品”らしいが、皆さんの★も多かったこの本にしてみた。

「仲村桜介」「長尾豊子」「平良正太郎」「橋本波留」の四人の視点から語られる物語。
「バスケ好きの少年」「惣菜店のパート社員」「上司からいびられ捜査が行き詰った事件だけを押し付けられている刑事」「父から『当たり屋』を強要されている桜介の同級生」の、その背景と今の立ち位置が丁寧に語られて、ずんずんと読まされる。
それらの話が、どうつながっていくのかと思っていたが、その四人の視点からでしか語られない、五人目の登場人物を中心に巧く結びついていく。

『数年前から「正しさが変わること」について考えるようになりました』という作者さん。
殺人事件を追って、犯人は早めに知れる一方、その動機がポイントとなった話だったが、その謎が解かれた時に思いもかけない課題が描かれていて、物語の重みが増した。

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2026年01月25日

Posted by ブクログ

4人の視点で進んでいく物語。

それぞれの思惑がリアルに感じ、桜介と波留の視点は少々辛い。

何故1996年が舞台なのか。
実在する事件や社会的に騒がれたドキュメンタリーやバラエティが入り混じって進む。一気読みでした。

阿久津弦とはどういう人間なのか。
彼からの視点が読みたかった。


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2026年01月12日

Posted by ブクログ

それぞれ違う立場の登場人物の日常が描かれ、何か関係があるのかと読み進めると、少しづつ接点が見えてくる。とても見事な描き方だった。

結末はなんだかやり切れない。
その時代の何が正しいのか…
時が経って善悪の判断ができるが、その時を生きている者は、例え自分の感情と異なっても社会を信じるしかないのかもしれない。

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2025年12月22日

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学び

善意が人を救うこともあれば、壊すこともある
「正しいと思ったこと」が誰かの未来を奪う可能性
主観的善意と客観的正義のズレ

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4人の視点から物語は進んでいく。
父親の命令で危険な行為に手を染めざるを得ない橋本波留。そんな波留を放っておけず、友情を寄せる同級生・仲村桜介。人望ある塾講師が殺害された事件を追う刑事・平良正太郎。そして事件の鍵を握る過去を抱えた女性、長尾豊子。
この4人の物語が少しずつ絡まり、気付けば大きなうねりへと変わっていく。

その中心にいるのに、自分の視点では決して語られない男・阿久津弦。

1996年に起きた塾経営者殺害事件。通常の学校では居場所を見つけにくい子どもたちを受け入れていた個別指導塾・戸川塾。幼少期に阿久津はそこに通い、事件当時は35歳だった。目撃証言から犯人とされたが、嘘がつけず、曖昧な質問には答えられない彼が、どうして道標のような存在だった先生を殺めてしまったのか。その気持ちが知りたくて、ページを捲る手が止まらなかった。

物語の背景には、旧優生保護法や「不幸な子どもの生まれない運動」という、今では信じられない人権侵害が色濃く影を落としている。当時はそれが“正しいこと”として推奨されていたという事実に、胸がざわつく。登場人物たちが口にする言葉を前に、完全には同意できないのに、どこか理解してしまいそうになる自分がいて、それもまた苦しかった。

誰かひとりを「絶対悪」と切り捨てることができない物語だと思う。だからこそ、どうしようもない切なさが込み上げる。
ニュースでは決して表に出ない、それぞれの人生や背景がそこにはあって、本人の了解なしに物事が決められていく残酷さが痛いほど響く。罪は罪として重いのに、ただ裁いて終わりにできない。

読み終えて残ったのは、不幸な生い立ちを背負った登場人物たちが、どうかせめてこれからは幸福に向かって歩けますように。そんな祈りのような気持ちだった。

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2025年12月03日

Posted by ブクログ

初読みの作家さん
たまたま書店で推されていたので手に取りましたが心を深く揺さぶられました。読んで良かった。

ミステリーという謎解きよりもそれぞれが抱える闇の部分が絡み合う人間描写が主体

殺人犯を匿う女
虐待を受ける少年とその友達
殺人事件を追う刑事
そして殺人犯

それぞれの視点描写に自然と引き込まれ、罪と救いが何たるかを考えさせられる作品

それぞれの生き様が深く心に刺さりました

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

んー、最初色んな人が出てきて、どう繋がっていくのかな?と思っていたら、、、
表には見せていない姿と感情がある人物ばかりで、、、
悲しい物語だった。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

1996年、横浜市内で塾経営者が殺害された。
事件発生から二年、容疑者として指名手配されている阿久津弦は未だに捕まらずにいた。

小学6年生の仲村桜介。
そのバスケ友達の橋本波留。
刑事である平良正太郎。
謎の男を匿っている長尾豊子。
その四人の視点で物語は進んでいく。

波留は父親から当たり屋をさせられていて、ご飯代もろくにもらえず、いつしか長尾豊子の家の地下に住んでいる男に食べ物をもらうようになる。

塾経営者だった戸川勝弘は、知的障害や発達障害、学校に馴染めない子を、それぞれの個性を見極めながら勉強を教えていた。
被疑者である阿久津弦もその教え子の一人だった。

阿久津弦は結婚していた時期があり、元妻であった真木実和のことが大好きだったんだろうな、と感じた。それは、阿久津弦の母親の口から零れた「欲しくはない。欲しかったんだ」の一言があったから。

優生保護法に触れた物語。
だからこそ、この時代だったんだね。

阿久津弦は、やっぱり障害があるんだろうし、人を殴ったり殺したりしてしまうのもいけないことなんだけど、阿久津弦の気持ちを考えるとやるせなくなった。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

桜介や波留、阿久津、ふたりの刑事、それぞれのキャラに魅かれながら読み進めた。優生思想の問題にも考えさせられる。出来たら阿久津と刑事のその後、波留の父親がどうなったのか知りたかったような気がする。「一度子どもが生まれたら、一生親で居続けなければならない。」阿久津の母親の言葉が、重い。きっと世の中の沢山の人がある日突然親なり、親という役目を背負っていく事に時には苦しみながらも生きている。この母親のようにやり直せないこともある。子を持つことの意味をあらためて考えた一冊。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中村桜介
小学三年生でバスケのクラブチームに入る。

橋本波留
身長が百八十二センチ。三歳でバスケを始めた。両親が離婚し、父親と二人暮らし。父親に当たり屋をやらされている。

長尾豊子
惣菜店の店員。三十代。両親が他界して一人暮らし。

野澤麻衣
惣菜店の店員。

近藤淳史
惣菜店の店員。

Qちゃ
高橋尚子に似てるからとつけられたあだ名。タイムセールでコロッケを大量に買う。

三田
ドラッグストアの店員。

平良正太郎
強行犯係。巡査部長。主任。井筒とは馬が合わない。

大矢啓吾
強行犯係。巡査。

青木
警部補。正太郎の同期。

福田
去年正太郎と同じ巡査部長に昇進。

井筒
課長。正太郎の七期上の四十八歳。

柴崎
正太郎がタッグを組んでいたベテラン刑事。春の異動でいなくなった。

戸川勝弘
五十四歳。横浜市内で学習支援業を営む。被害者。

中谷雅子
殺害された戸川の第一発見者。

阿久津弦
戸川殺しの被疑者。建設作業員。戸川の塾に通っていた。豊子の家の地下室に住む。

加藤大輝
阿久津が塾の前に立っているところを母親の祐子と目撃。

加藤祐子
大輝の母親。

脇田
井筒の前の課長。

橋本太洋
波留の父。元証券会社の実業団のバスケットボール選手。

おばあさん
波留をはねた。

玲人
戸川の塾に通っていたダウン症の子。

上原剛史
豊子が中学の頃の問題児。

伊藤洋司
上原に笑い者にされる。阿久津に助けられる。

真木実和
阿久津の元妻。旧姓田島。

早瀬顕一
私立高校の教師。江木の高校時代の後輩。

岡野
桜介の学校の先生。

小高
桜介の学校の一年生の先生。

江木達雄
阿久津の元同僚。

森川茜
江木が幹事だったバーベキューの参加者。桝本の職場の同僚。

高峰幸也
江木が幹事だったバーベキューの参加者。

桝本洋子
江木が幹事だったバーベキューの参加者。江木の高校時代の後輩。

達也
桝本の息子。

真木晋助
実和の再婚相手。

豊子の元夫


波留が転校してくるまで桜介と一番仲が良かった。

阿久津の母

平山幸子
戸川の塾に在籍していた。

喜田川
バスガイド。

梅原友希
児童会の書記を務め、いつもハキハキしている。

渡辺千佳子







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2026年03月02日

Posted by ブクログ

横浜市民なのでね。二俣川舞台でローカル。二俣川の本屋で紹介していたから読んだ。読みやすいし、素直な気持ちになれる。良かった。ほんと考え方ってシンプルが良いと思った。大人ぬなるとややこしいから。自ら難しくすることない。

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2026年02月09日

Posted by ブクログ

社会的には事件にはなってないけれど、被害者だったり加害者だったりする登場人物達だな、と思いました。救いがあるとは言えないが嫌な気持ちになるだけではなかったです。

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2025年12月28日

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1996年に塾経営者が殺された事件を追う窓際刑事とその犯人、当たり屋をやらされている少年、それぞれが絡み合っていくエンターテイメント小説。

グレーゾーンだと思われる阿久津弦の母が言った「正しいことだと信じて取り返しがつかないことをしてしまって、後になって、あれは間違いだった、そんな人権侵害はありえないと言われたって、今さらどうすればいいんですか」という叫びが痛い。

当たり前だと思われる子供への対応や人気番組(といっても当時も非人道的と思う場面もあった)が、時代が変われば人権侵害といわれる。

価値観のアップデートは不可欠だけれど、同時にアップデート前の自分の行動への責任をどこまで取るべきか?ということを考えさせられた。

阿久津弦や波留の自分ではどうしようもできない世間との隔たりによる苦しみ、理解されないことを理解している苦痛が痛いくらいに伝わってきた。

読み始めはなぜ今1998年?と疑問に思ったけれど、旧優生保護法、中流社会の中の貧困者など、この時代設定でなければならない理由に納得。

芦沢央さんというと短編のイメージがあったが、内容的に読み応えのある長編(といっても面白くて一気読み)だった。

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2025年12月25日

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ネタバレ

新進気鋭のイヤミス作家というイメージから読み始める。
4人の視点から変わる変わる描かれる日常風景に「一体どういう系統の話なんだ…」と困惑気味だったが、中盤になり話が見えてくる。

大きなトピックは殺人犯の阿久津を匿う豊子と父に当たり屋をさせられている波留の2つ。
これが最後、どう収束するのか期待したが若干のご都合主義な感じもあるがそこそこ面白かった。

波留と同級生の桜介が彼を救いたい気持ちとは裏腹に無力で親や先生を頼らざる得ない行動や逆鱗に触れる発言がリアル。また、殺人犯の阿久津の人間性の欠落した受け答えも心に残る。

まあ、インパクト薄めの話なので多分忘れちゃう部類の小説ではあるが…。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

最後までどうして弦が殺人を犯してしまったのかよく分からなかった。自分自身でさえもどうしてこんな行動をとってしまうのだろうと思う事をよくやっている。でも、どうしてそうなったの!!??と思う登場人物が沢山出てきてザワザワとした気持ちになった。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芦沢さんの本は初めて。スケールは大きくないがよくまとまっていた。最近犯人当てのものばかり読んでいたが、こういった動機を探るストーリーに、過去の優生保護法の暗闇を重ねた展開が重みを与え、こんな小説もいいなと思えた。当たり屋ケンちゃんのような小学生のパートは、構成としての脆さもあるし、警察側の深堀りは今一つだけど、全体として読み心地は悪くはなかった。タイトルは、あ、こういうことだったのかと思わせることで秀逸。

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2025年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

刑事が職場で冷遇されているという設定、阿久津を匿う女は物語上必要不可欠だったのだろうか?
2人の性描写は阿久津が強制不妊施術を受けさせられていたことの伏線でもあると思うけど、生々しさが少ししんどかった。
桜介も小学生と思えば不自然な言動ではないだろうけど、友情というかもはや執着に近い気がする。

語の根幹に関わっている旧優生保護法という重いテーマも、扱いきれているのかよく分からない。

阿久津と波留の関係性は良かった。

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2025年11月15日

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