【感想・ネタバレ】夜の道標のレビュー

あらすじ

1996年、横浜市内で塾経営者が殺害された。
事件発生から2年、被疑者である元教え子の足取りは今もつかめていない――。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受けている少年。
それぞれの守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を迎える。

日本推理作家協会賞受賞作。(解説)山田詠美

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

バスケをしている少年2人と、パートをしている中年女性、刑事の2人がそれぞれの視点の主となって語られる一つの事件にまつわる話。

障害者に関わる話でした。時代も時代で、今となっては「そんなことがあったのか」と絶句するような話。私もそういうものがあったことすら知らず、優勢手術で調べてしまいました。
あまりにも障害者を尊重していないものですが、一方で望まぬ妊娠を生み出してしまう、加害者になる可能性があるというのもまた事実で。非常に難しいですね。母の気持ちも、戸川先生の想いも、もちろん阿久津の気持ちも想像ができますし、誰も悪くない……(母親のやり方はまずかった)
戸川先生は何故殺されたのか、はっきりと語られません。ただ「子どもはほしくない、ほしかった」という言葉が……親ですら理解できなかった気持ちが……つらいな……。

人間は自分と違うものを怖がる性質があり、障害者に関してもそうなのだろうなと思います。私も電車で独り言を言ったり奇声を上げている人のことを怖いと思っています。でも、阿久津って好かれてるんですよね。女性からも、豊子からも、波留からも。決して悪い人じゃないんですよ。こういうところに障害者に関わるものの難しさがあると考えていて、私の中でもずっと答えが出せていません。新しく考えるきっかけになったので、本作を読めて良かったな。

波留くんの話もきつすぎたんですけど、最後にちょっとだけすかっとできるところがありました。無垢な子どもは救われてほしいですね。

0
2026年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

知的障害のない自閉スペクトラム症(ASD)の息子の母親として、重くのしかかるものがありました。
親として最低なのは承知の上ですが、日々息子の特性ゆえの言動に振り回されて疲弊する中で、最近、この子が将来結婚すると言い出したらどうしようと思うことがあります。
我が子は知的な遅れはなく、ASDの特性も弱くはないものの強くもないのできっと普通(敢えて普通と書きます)の人達の中で社会生活を送ることになると思っています。
その中でもし結婚という事になったら…?
正直、怖くて怖くて不安でしかありません。
今の時代なのでさすがに優生手術という発想に行き着いたことはありませんが、もし自分がこの時代に生まれたこの母親だったら…と考えると…。
我が子には何よりもとにかく幸せになってほしい。幸せでいてほしい。そう毎日思っていますが、その幸せは、我が子1人の幸せではなく、周りの人も一緒に幸せになってほしいんですよね。

感想でもないただの呟きで失礼致しました。

0
2026年06月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わってやるせなくなる逃亡ものの話
若干、染井為人の『正体』と同じ読後感(テーマ然り、内容はかなり異なるのだが)
それぞれのパートの挟み方は有名なノベルゲームの『街』形式
場面と登場人物が変わっても展開の惹きつけのうまさと巧妙さで、ストレスなく読めるし、それぞれの人物たちが近づいていく様は鳥肌も
そして、今では考えられない、旧優生保護法という法律の存在がこの物語の根底にあり、2.3年前に書かれた物語ではあるのだが、過去の過ちを改めて見つめ直すためのストーリーであったように感じた
また、中盤以降と読み終わった後、2度ほどタイトルの意味を深く考えさせられる、そんな悲しくも素晴らしい物語

0
2026年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

誰に出会うかで人生は変わるし、人は多面的であるということを痛感する。

なんでこの時代が舞台なの?という疑問が、中盤で確認に変わっていく話。ミステリーというより社会派小説。刑事達が、読者の私たちが絶句するようなことを国がしていた事実。『国がそうすべきだって言ったんじゃ無いですか!』という『母親』の台詞の打席と重さと罪悪感に言い表せない感情になる。

エピローグで、少しだけ希望のあるこれからを予感させてくれてよかった。

0
2026年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 色々な人がかわいそうで、途中から読む事が苦しかったですが、面白かったです。

 このような法律…制度?が存在していた事自体知らなかった為、衝撃的でした。
 弦さんは心から子供が欲しかったのだろうな…良い父親になれていただろうなと思いました。

 しばらく余韻に浸りたいと思います。

0
2026年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

塾講師が殺害された事件を巡って、警察・犯人を匿う女、そして小学生の桜介と当たりやをさせられている波留。これらの人たち目線で物語が紡がれていき、最後に交わっていき真実が明らかになっていく。
夜の道標というタイトルの秀逸さが沁みる物語だった。道標というと目的地までの方向や距離を示すもので、夜には暗くて遠くが見えないため助けになるものとなる。
しかし、それが人生に置き換えられたとき、それでも良い意味に捉えられると思うけど、この物語では悪い方向、なにもわからない暗闇を歩いているからこそ、従わざるを得ない道しるべとなってしまっていた。犯人の阿久津や波留、また阿久津の親、殺害された塾講師も良いと信じて行ってきたことが、悪い結果を招いてしまった。現実でも後から振り返ればこういうこともできただろうということはたくさんあるけど、そのときにある情報を元に判断してしまった結果失敗するということはよくあるよなーと思う。

0
2026年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

勤務中にお客様に勧められて読んだ

子供にとっての親は唯一で絶対的な存在すぎて怖いなと思った。桜介がずっと真っ直ぐで、波留が自分の意思で父親の話を出来てよかった。

話が進むにつれて関係ないように思えた登場人物が絡んでいく話は好きで面白かったし、すごく難しい訳でもなくて読みやすかった。

0
2026年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作品の舞台の街が、私の故郷の近くだ。なんだかそれが面白かった。

波瑠が虐待を受けている、というのが一番ショックだった。
無邪気とも見える桜介。波瑠を心配しているクラスメイト。
本当は、手を差し伸べれば、波瑠に助けの手を差し伸べる人たちはたくさんいるのだ。

でも、渦中の人間にはそれが分からない。
波瑠だけではない。渦中の人間って、分からないもんなんだ。

閑話休題。

障害を持つ子供、障害と言っても重度なわけではない。それでも本人たちにしてみたら大きなことで。
俺は〇〇ができないから、人の気持ちを想像することができないから、空気を読むことができない。
そんな人たちは、かなりの人数がいると思われる。かつてわたしの周りにもいたのだ。

優生保護法。暗い時代を思い起こさせる法律の名前。
塾の先生の戸川だって、それはそれは子供たちのことを思い、そのために行動していた。なのに、その時代の国の方針に沿う形での発言が、不幸を招くことになってしまったのだ。

ガッツリとそれぞれの登場人物達を描ききってある作品だと思った。

0
2026年05月12日

「小説」ランキング