あらすじ
なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男――。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。きらめく全五篇。
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2024年下半期の直木賞受賞作。「夢化けの島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」「藍を継ぐ海」の5編を収める。どれも巧妙な構成と大きなテーマで心に残る。著者の伊与原新は東京大学大学院理学研究科で地球惑星科学を専攻したという経歴を持つ。科学的な知見と人間の心を深く見つめる視線が稀有な物語を生み出している。
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久しぶりに装丁に惹かれた本。地方を舞台に科学のエッセンスを加えた、心が温まる短編集。
感動して落涙するというよりは、人の想いに触れてじんわりと涙が滲む。
5つの場所に住んで、そこに暮らす人と交流して、自分の現在に戻ってきた感じ。
これからちょっとだけ頑張ろうと前向きになれた。
特に印象的だったのは「星隕つ駅逓」
字面からロマンチックなのと、歴史・文化・科学・想いのバランスがとても良かったと感じる。
実際に平成の合併で地図から名前が消えた地元に重ねて読んでいた。
伊与原さんの他の本も読んでみたい。
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収録された5編、どれも展開の運びが見事だった。地質や隕石、絶滅種といった硬質な題材から入りながら、いつのまにか人の営みの話へと滑らかに移り変わっていく。派手な仕掛けはないのに先が気になって仕方なく、一編ごとに違う土地・違う人生を歩いた読後感がある。捨て回がひとつもない短編集は貴重だ。全編を通して、その土地に積もった時間の厚みが静かに残る。
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感動させてやろうとか、温かい気持ちにさせてやろうという下心がない物語で、気持ちが凪いでいく。
登場人物を通して、こんな小さなところまで見つめる視点が温かい。
と思えば目の前のちっぽけなことではなく、広い視野で物事を見せてくれる。
日本なのに、知らないことばかり。
今日も知らない物語がどこかで紡がれているんだろうな。
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5つの短編からなるお話でした。どの話も人の営み、先人の知恵、世界の広さを伝えてくれるもので、心が温まる物語に仕上げられていたと思います。希望を感じられる終わり方になっているのも良かったです。特に『祈りの破片』は涙が止まらなくなるくらい感動する物語に仕上げられていたと思います。良い読書時間でした。
ふぁぁぁ、なんて綺麗なお話なんだろう。いつも読んでる本よりは専門性がちょっと深くて、素人にはいまいちピンとこない部分もあったりしたけど、専門家やその道のプロやそれを愛する人たちの真っすぐな気持ち、熱意がよく伝わってきて胸が震える。たとえ利益などにならなくても、ずっと心の中にあって夢中になれて、時に自分を支えてくれたり突き動かしてくれる原動力になったり、そんなものがあるってすごく幸せだなあ。
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直木賞受賞作。「宙わたる教室」が秀作だったのでこちらも拝読。珠玉の短編集だった。この作家さんは、どの作品も人間への讃歌、自然への敬愛に満ちていて、読んでいて心地よい。理系作家だからこその切り口が随所にあり、勉強にもなる。
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どの話もいい!
狼犬ダイアリー、好き!
狼と犬を交配したウルフドッグ見てみたいと思った。
題名にもなっている藍を継ぐ海は、ウミガメの話。
ウミガメの話なんだけど、最後に、さわさんが、カメはここに戻らなくてもいい、自分の好きなところで暮らしたらいいという言葉が響いた。
カメもそうだし、私たちもそう、自分が暮らしやすいところで暮らしたらいい。
このかたの話は、話の内容も好きだが、指針になるような言葉や表現があって読むたびに、なるほどーと思わされる!
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地方に住む人がそれぞれ主人公の短編集。
それぞれ伊与原さんらしく科学が絡んで、知らなかった世界を教えてくれます。
私は、「星隕つ駅逓」が一番好きだった。
北海道が舞台。「駅逓」も知らなかったし、職場で逓送便という他部署に書類を送る時に、使っていたシステム。ずっと逓の字が書けないままに何年もすごしてしまったが、この小説で逓の字が「次々に、伝え送る」という意味があることを知った。
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2024年下半期の、直木賞受賞作品。
ウミガメに関する話だと知って興味を持ち、Audibleで聴くことにしました。
5つの短編小説で、構成されています。
表題作は、中学生の女の子が主人公。
徳島県の海辺の町で育った彼女は、砂浜に産み付けられたアカウミガメの卵を掘り返し、自分で孵化させようとします。
その時に外国人と思われる男性と出会ってしまった彼女は、痕跡を十分消すことなく、慌ててその場を立ち去ります。
そのおかげで、地元で保護活動をしている人たちが、産卵場所の異変に気付いて・・・という始まり。
長年続けられてきた、ウミガメの保護活動。
それに反して、浜に戻って来る個体数も、産卵される卵の数も減少の一途をたどり、近年では産卵が無い年も多くなっています。
いっぽう、年の離れた姉が家を出て、祖父と二人で暮らしている彼女。
「田舎に取り残されてしまった」という彼女の思いが、大海原に出た後に長い年月を経て、生まれた浜に戻ってくる、ウミガメの生涯と重ね合わせて描かれています。
5作品それぞれのテーマは、焼き物、オオカミ、原爆、隕石、そしてウミガメ。
実話が元になっている話もあるようですが、いずれも興味深く読ませていただきました。
5作品に共通しているのが、離島や山村など、都市部ではない土地が舞台になっている点。
そしてそれぞれの登場人物が、自らの悩みと向き合う姿が描かれている点でも共通しています。
過去にいた人物、過去に起こった出来事があって、今の状況がある、現在の自分がいる。
過去と現在、自分とのつながりに気づけるか、気づけたとしてそれを、どう受け止めるのか。
ストーリーを楽しめて、考えさせてももらえる。
さすが、大きな賞を受賞した作品だなと、感じました。
この作家さんが他に、どのような作品を発表しているのか気になったので、探して読んでいきたいと思います。
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夢化けの島、狼犬ダイアリー、祈りの破片、星隕つ駅逓、藍を継ぐ海の5編からなる短編集。
この人の作品は美しいと思う。それは単なる情景描写だけでなく、主要な登場人物の心情、行為行動が美しいと感じられるからだと思う。そしてそれは、登場人物たちの育ち、生き様から生じる寂しさや悲しさが優しさとなり、背景などと相まって美しい心情、行為になるのではないだろうか。
とにかく、この5編に描かれている情景は美しく、悲しい。そしてこの5編の主人公も回りの人たちも寂しく優しい。と感じた。
特に「藍を継ぐ海」は壮大な風景を想像させ、ウミガメの壮絶な生き様は主人公のこれからの人生を連想させてくれる。本当に美しい小説だと思った。
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* 五つの短編集。タイトルの藍を継ぐ海は5つ目の最後の話だった。
* どの話も、今は過去の延長線上にあると言うことを感じられた。
* 好きだったのは「祈りの破片」と「藍を継ぐ海」。
* 「祈りの破片」は、長崎の原爆投下後にその影響を研究者としての使命で記録してくれていた人と信仰への迷いを持った神父さんの残したものの意味や背景を辿っていく話。養育院にいた孤児の子が死に行く際に隣の子にマリア像が彫られたメダルをかけてあげたという話は涙。信仰によりすがる以外に理不尽極まりない状況を受け入れがたかったということはあるのかなとら感じた。
* 「藍を継ぐ海」はウミガメをめぐり、故郷や生きていく場所は自分で選んで良いという話。地球半周くらい?しながら旅するウミガメの不思議さに改めてすごいなと感じた。おじさんの義雄が体が万全でない中沙月を育てていることを想像して泣けてきた。
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読み応えのある短編集でした。
学生時代の校外学習みたいに、感受性を揺さぶられるような物語でした。
大自然の中の、歴史や営みをドラマ仕立てにしていてとても面白かったです。
似たような本があればまた読みたいですね。
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短編小説は物語に入り込む前に終わってしまうからつまらないというイメージがあったけれど、
この短編集、特に「藍を継ぐ海」は、違った。
短編だから、少ない言葉だけれど、その少ない言葉に、風景や、人の想いが凝縮されていた。読むうちに、お話の世界が膨らんで、楽しめた気がする。
自分が見たことのある海の様子を思い出しながら、お話の中の姫が浦の海が頭の中に広がりました。
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藍を継ぐ海では父親が違う姉を想いが妹の心情がとてもリアルに感じられて息が苦しくなる。太平洋を泳ぎどこへでも行ってしまうウミガメの逞しさに救われていく様を見て、人間とは本当に小さな存在であることに気づかされた。全ての話に共通するのが田舎のコミュニティ。自然や歴史と向き合う人々の苦悩や生きる力は力強く、学ぶべきところは多い。伊与原さんの得意な科学と綺麗な情景が絡み、本作もさっくり読めました。大好き度❤️
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初めて読む著者さんです。
統一されたテーマはあるもののそれぞれの短編に繋がりはないので、好きな順番で読むことが出来ます。
『祈りの破片』が圧倒的に一番良かったです。
被曝資料を収集し続けた男と、生き残った神父の話。
著者さんのあとがきで、広島平和記念資料館の初代館長の活動に着想を得たお話だと知りました。
他のお話は、個人的に主人公にあまり感情移入出来ない・好きになれない部分もちらほらありました。
でも、「何かを継ぐ・繋ぐ」というテーマで展開される優しい話は、自然と涙が出ることもあり心に響きました。
また違う著作も読んでみたいと思います。
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何故かほろっとくる。
自然や科学を語る緻密で硬質な言葉がそこに生きる人々や自然の姿を温かく浮き彫りにする。
人と自然の飾りの無い交流が沁みる。
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科学や自然を題材にしながら、人が受け継いできた思いや未来へ残していくものを描いた短編集。
五つの物語それぞれに温かさがあり、知らない世界を知る楽しさと、人とのつながりの大切さを感じた。
犬好きなので、『狼犬ダイアリー』が特に印象に残りました。
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いずれも理学(主に地学)と人間模様が織りなすヒューマンドラマの短編集。どれもハートフルなストーリーで良かった。また、どれも地方の話で、自然の情景が目に浮かぶような筆致だった。個人的にお気に入りは星堕つ駅逓。
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それぞれに繋がりはない独立した5つの短編集。
地質調査で山口県の見島に訪れた、理学部の助教の歩美。
今までの生活に疲れ、奈良県東吉野で心機一転、フリーのWEBデザイナーとして頑張るまひろ。
空き家に光が見えたとの連絡より、空き家内の大量の原爆資料を発見した長崎県長与町役場の小寺。
火球により隕石が落ちてきたと予想される北海道の白滝。その町で郵便局員として働く信吾。
ウミガメの産卵する浜がある徳島阿須町で祖父と二人暮らしをする中学生の沙月。
それぞれの物語に、ジャンルの違う知識が詰め込まれていてそれが圧巻。
それらの知識が物語の鍵となっていて、著者の知識量があるからこその、物語が展開していく感じが面白かった。
個人的には3編目の、町役場の小寺さんのお話が好きだった。
大変な状況下において、未来を見据えて行動した人の強さに感動した。
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伊与原新さんの『藍を継ぐ海』を読んだ。消えゆくものへの熱い思いに触れた迷い人が、奥底の根強い葛藤を安易に消化するのではなく丸ごと抱え込んだうえで前に進む一歩を踏み出す…5編の短編それぞれに希望がありそれぞれの人生に朝日が昇る。今、自分もそっと背中を押してもらったような気がしている。
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伊与原新の『藍を継ぐ海』を読んだ。
『藍を継ぐ海』は、「夢化けの島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」「藍を継ぐ海」の短編5話で構成されている。
「夢化けの島」は、岩石愛がすごい主人公が、萩焼の土を探す青年に出会う話。
岩石は、私も小学生の頃に一時期集めたことがあった。
父に標本箱を作ってもらい、夏休みの作品として出したことを思い出した。
萩焼も好きだ。
学生の頃、自転車で萩まで行った時にコーヒーカップを買ってきたことがある。
「狼犬ダイアリー」は、絵本になってもおかしくないような話だった。
「祈りの破片」は長崎の原爆を題材にしている。
先日、NHKの『映像の世紀 バタフライエフェクト』で被爆した女性たちのことを放送していたので、その映像と重なった。
「星隕つ駅逓」は隕石の話。
高校の頃、天文学部のサークルにいたので興味深く読んだ。
北海道開拓の過酷な歴史についても聞いたことがあったので、その部分も面白かった。
表題作の「藍を継ぐ海」はウミガメの話。
ウミガメというと、水族館や、きれいな海を泳ぐスキューバダイビングの映像ばかりが浮かんでしまう。
しかし実際には、生まれたウミガメが成長して生き残る確率はとても低い。
そのウミガメの生態と、主人公の女の子の生き方が重ね合わされていて良かった。
どれも短編だが、『鉄道員(ぽっぽや)』が短編から映画になったくらいだから、この5編もそれぞれドラマや映画になってもおかしくない。
そんなことを思いながら読み終えた。
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萩焼、ニホンオオカミ、アイヌと隕石など、日本各地の自然と歴史と人間の美しい物語。
自然と歴史の素晴らしさを感じる一方、人間の浅ましさが目についてしまいました。父の為とはいえ隕石の落下場所を偽ったり(父はそんなこと望んでいない)、大事に育てたとはいえウミガメの卵を掘り返したり。ドン引きです。理解できません。
良い話だったけど、心震えるほどは感動しなかったな〜。直木賞作品として期待しすぎたかも(^_^;)
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短編集でした。直木賞をとったとのことで読んでみました。
感動したけどちょっと期待しすぎていたかも…
短編集だと自分がいまいち世界観に入り込めないタイプなのでそのせいかな。
でもいいお話でした。
Posted by ブクログ
表題作「藍を継ぐ海」の他、「夢化ねこ島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」の四作品を収録。
いずれも短編ながらも、地方都市の有り様をよく表現して、科学的な知識を含ませて品性かつ抑制の効いた文章という印象を抱いた。
高揚感は少なめでこれが直木賞かと思わせるも、何処か静寂を感じさせ、ゆっくりと読みたいところの作品である。
表題作もいいが、「星隕つ駅逓」も北海道、アイヌ、宇宙との繋がり、産まれてくる生命、老いて行く親などなどそれぞれがいい平衡を保っており、遠軽隕石一つから、着想を得て作り上げたのかと勝手に解釈すれば、ますますに興味深い。
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Audiobookで聴いた。直木賞受賞とのことなので、聴いた。
5編の短編集。そこまで心に刺さるって程でもないが、じんわり良い余韻が残る話だった。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作。
伊与原さんの作品を読むのは初めて。
日本の様々な風土の中で紡がれる5編の短編集。
自分のふるさとの土地の物語が含まれていたのがびっくりするととともに嬉しかった。
(ただ、あまりに近すぎると「この方言は使わないな~」とか余計なことを思う。)
どの物語も、色々な取材や下調べがかなりされている中で執筆されているのだろうなという印象。
フィクションなのに、ノンフィクションの雰囲気があり、本当に起こったことのように思えてしまった。
ドラマの脚本みたい
民放の一時間ドラマの脚本みたいな短編が並ぶ。
三編くらいまでは読んだが、どれもあまり合わなかったので途中で読むのをやめてしまった。
女性にとって、仕事というのは恋愛の添え物やきっかけでしかないのかな、などと残念な気持ちになった。